患者負担は医療利用を抑制するという調査結果を、確認している。204
 
北米と西ヨーロッパの多くの研究は、患者負担が医療利用にどういった影響を与えるかと言うことに集中しているが、いくつかの中東欧と旧ソ連諸国では、患者負担を用いて財源を増やすことに焦点が当てられている。シャイバーと前田は、発展途上国には自己負担に関する豊富な証拠があると述べている。そこから得られた結果の一部は、中東欧と旧ソ連の国にも関係している。
・     自己負担は、公的な財源確保を補うことができるが、公的な自己負担で得られる総収入は期待するほどではない。それは総収入の5%を超えることはほとんどない。にもかかわらず、私的な支払いと非公式な支払いとの総額は高水準で変わらない。
・     健康に悪い影響がでるという証拠がある。
・     自己負担は、医療利用を大幅に抑制するが、それは貧しい人々にとくに顕著に作用する。なぜなら自己負担は、それが直接利用を抑制するだけでなく、公的医療の負担があがるとそれにより私的な医療の価格も引き上げられ、間接的にも医療利用を抑制するからである。
・     自己負担については、それを実施するうえで必要な管理と事務の能力の問題や、それに伴う時間的な費用の問題も、合わせて考える必要がある。
 
管理費用と実行可能性
欧州連合の患者負担制度・・制度が複雑になり実行に移し管理するには高い費用がかかるかもしれないこと。(mossialos and Le Grand)
免除制度を設けて公平性や社会連帯を守ろうとするととくに妥当する。
他の政策手段と比べて費用効果は少ない。にもかかわらず中東欧や旧ソ連ではほかに収入を増加させる方法がないので直接的な手段として唯一の方法になってしまっている。
 
患者負担と公平性
ルービンとメンデルソンは、患者負担が公平性に与える影響について、類似した問題を提起している。彼らは、患者負担と健康状態の関連を調べ、患者負担は失業者とホームレスの人の健康状態に悪い影響を与えているという証拠を明らかにしている。
所得の低い人はより強い影響を受けている。また、患者負担免除の管理は管理費を引き上げている。
 
受容性
イギリス1948年 NHSが設立された頃、医療サービスの利用に際しあらゆる医療を無料にするというのが、NHSの基本的な特徴であった。草創期の1950年、眼鏡に自己負担が導入されたが政治的紛糾になった。その後、政治家と国民の多くは、薬剤と歯科医療と眼鏡に対する限定的な患者負担の適応を認めた。
 
ドイツは1977年自己負担を認めた費用抑制策導入。1982年保守党自由党連立政権では、個人の責任と社会連帯との関係は逆転している。彼らの考えは、個人が自分で面倒を見られないときのみ、国が介入し、セーフティネットを提供すべきとする。しかし、東西ドイツ統一後の1990年代に、医療保険の費用削減と医療費の民間化。医療部門が成長産業であること、潜在的な雇用の供給源であること、医療の発展を妨げてはいけない。