路外からから道路に進入するための右折車と、直進車との事故については確認すべきことが何点かあります。そこで、必要とされる知識と、確認すべきポイントを整理しました。

                 
【事故例】路外から道路に入るための右左折車と直進車との事故



『別冊判例タイムス』No.15「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」
(平成9年全丁3版)78、79図より引用。

事故例が適用されるケース

駐車場やガソリンスタンド等の道路外の施設から右左折をして道路に進入する車と当該道路を走行中の直進車との衝突事故に適用します。
基 本 過 失 割 合

A 20:80



1.私道から道路に進入した場合

「交差点での出合頭事故」なのか「路外進入事故」なのか?

事故場所に応じて、「交差点での出合頭事故」とみなすか、「路外進入事故」とみなすかが変わります。これは、進入場所が道交法にいう「道路」に該当するかどうかによります。

☆ 私道が「道路」に該当する場合
 →「路外からの進入」とはならず、「交差点での出合頭事故」として扱う

☆ 私道が「道路」に該当しない場合
 →「路外からの進入」となり、「路外進入事故」として扱う


「道路」とは何をさすのか?

 「道路」とは、道交法第2条1項に定められており、整理すると次のようになります。
@高速自動車国道
A一般国道
B都道府県道
C市町村道
D道路運送法に規定する自動車道(一般自動車道・専用自動車道)
E一般交通の用に供するその他の場所


私道は「道路」に該当するのか?

私道については、現場状況や交通実態を確認し、「形態性」「公開性」「客観性」の観点から「道路」に該当するかどうかを検討します。

「一般交通の用に供するその他の場所」とは、現実に不特定多数の人や車両の交通のためにその場所が開放され(形態性)、通行することについてその都度管理者の許可を受ける必要のないこと(公開性)が、客観的に認められる(客観性)場所とされています(仙台高裁 昭38.12.23、最高裁 昭44.7.11)。

例をあげれば、個人の敷地内に敷かれた私道で、使用するのは専ら敷地所有者であり、一般の人が通行する場合は敷地所有者の了解を取り付けるようなケースは、「一般交通の用に供している」とは言い難く、道交法にいう「道路」には該当しないことになります。一方、土地所有者が敷いた林道で、土地所有者の了解が必要なく誰もが自由に通行しているようなケースは、道交法にいう「道路」に該当するといえます。

【 「道路」に関連する法令 】
道交法第2条1項(定義)  
道路 道路法第2条第1項に規定する道路、道路運送法第2条第9項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。
道路法第2条第1項(用語の定義)
この法律において『道路』とは、一般交通の用に供する道で次条各号に掲げるものをいい、トンネル、橋、渡船施設、道路用エレベーター等道路と一体となってその効用を全うする施設又は工作物及び道路の付属物で当該道路に付属して設けられているものを含むものとする。

道路法第3条(道路の種類)
道路の種類は、次に掲げるものとする。
1.高速自動車国道
2.一般国道
3.都道府県道
4.市町村道道路運送法第2条第9項(定義)
 この法律で「自動車道」とは、専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で道路法による道路以外のものをいい、「一般自動車道」とは、専用自動車道以外のものをいい、「専用自動車道」とは、自動車運送業者(自動車運送事業を経営する者をいう。以下同じ。)が専らその事業用自動車(自動車運送事業者がその自動車運送事業の用に供する自動車をいう。以下同じ。)の交通の用に供することを目的として設けた道をいう。


2.路外車が右左折し道路に進入し、しばらく走行後に直進車と接触した場合


     

 「追突事故」なのか「路外進入事故」なのか?

【事故例】は、「道路進入車が道路に進入しかかっている時に接触した」または「進入のために右折を完了した直後に直進車と接触した」事故を想定しています。したがって、道路進入車が道路に進入してしばらく走行した後、直進車と接触をした(追突された)場合は追突事故となり、「路外進入事故」として扱わないことになります。

※追突事故とみなすかどうかについては、双方車両の損傷部位、路外車の車両の向き、路外車が直進した距離などがポイントとなります。
修正要素の知識とポイント

主な修正要素として「徐行なし」「幹線道路」「頭を出して待機」「既右折」があります。

1.「徐行なし

B車
(道路外進入車)が徐行をしていない場合は修正要素となります。
路外車はそろそろと(徐行状態で)道路進入してくることが一般的であり、それにより直進車も路外車を認識することが可能になります。したがって、これに反して路外車が著しく加速して道路に飛び出した場合等は、路外車側に加算修正します。

2.「幹線道路

A車(道路直進車)が幹線道路を走行していた場合は修正要素となります。

幹線道路とは、歩車道の区別があり、車道幅員がおよそ14m以上(片道2車線以上)の通行量の多い国道や一部県道のような道路を想定しています。道交法上の優先道路が必ずしも幹線道路に該当しないことに注意が必要です。

 道路直進車の走行路が幹線道路であった場合は、路外車側に加算修正します。

3.「頭を出して待機

B車
(道路外進入車)が頭を出して待機後、発進した場合は、修正要素となります。

路外車が路外からそろそろ出てきて、少し頭を出して待機した状態を指します。その後、発進して衝突した場合は直進車側に加算修正します。

直進車の立場では、路外車が頭を出している状態を確認できたか、それはどの地点か、がポイントになります。

路外車の立場では、どの位置で待機(停止)をしたか、待機状態はどの程度の時間か、さらにはその位置から直進車を確認することができたか、がポイントになります。

4.「
既右折


B車(道路外進入車)が、既右折状態であった場合は、修正要素となります。

路外車の右折がほぼ完了した途端に直進車と接触した場合は、直進車側に加算修正します。路外車の右折開始(道路進入開始)の時点が早ければ、直進車としてもそれだけ事故回避措置をとりうる余地が大きくなるため、修正要素となっています。

但し、この修正要素は、直進車が路外進入車の左方に当たる場合(【事故例】のイ)にのみ適用され、直進車が右方の場合(【事故例】のロ)には適用されませんのでご注意ください。

5.その他の修正要素

直進車がクラクションを鳴らし、それにより路外車も事故回避措置が可能であった場合
B車側(道路外進入車)に加算修正します。

単に「クラクションを鳴らした」という事実だけでなく、「クラクションによって事故回避措置ができたかどうか」が修正要素として適用できるかどうかがポイントになります。衝突寸前など事故回避する余地のないタイミングで直進車がクラクションを鳴らした場合には注意が必要です。


直進車に著しい前方不注視があった場合

A車側(道路直進車)に加算修正します。

軽度の前方不注視は基本過失に含まれているので、修正要素とはなりません。例えば、「助手席の人との話に夢中になりしばらく横を向いていた」場合は、著しい前方不注視と考えられます。一方、「一瞬、景色に気をとられた」場合は、軽度の前方不注視と考えられ、修正要素として考慮しないことになります。「よそ見」という言葉のみとらわれず、実際の運転者の前後の行動がポイントになります。

過失割合と道路交通法
4  路外から道路への進入