
♪光る海、光る大空、光る大地〜♪軽快な主題歌とともに登場したエイトマン。
ヒーローものとしてどうしても一番に挙げたいのがエイトマン。当時としては(TV放映は昭和38年11月)斬新なSF的シチュエーション、桑田次郎氏の日本人離れしたシャープな図柄(うちのカミさんは、長ずるまでエイトマンは洋モノ・アニメだと思っていた!)など、コンピューターを「電子頭脳」と呼んでいた時代に暮らす少年たちに強烈なインパクトを与えた作品です。
殉職した警視庁捜査1課所属刑事・東八郎の性格や記憶をコピーしたスーパーロボット「エイトマン」。成人型のヒーロー・アニメのはしりといって良いでしょう。東探偵事務所所長というのは、世を忍ぶ仮の姿。いったん事件が発生すれば、警視庁捜査1課8番目の特別な刑事として活躍する。警視庁捜査1課の所属刑事は、全部で49人。7人ずつ7つの班で構成されており、その番外的存在がエイトマン。
10万キロワット小型原子炉(!)をエネルギー源として人間の1000倍のスピードで走る。どんな姿形にも変化可能な人工皮膚。そして、ベルトのバックルに仕込まれたタバコ型「原子炉強化剤」。毎回毎回わくわくしながらテレビに見入ったものです。
そしてなんといってエイトマンの一番の魅力は、変な言い方ですがその弱さ!決して無敵のスーパー・ヒーローではないのです。スーパーマンでさえピストルの弾を跳ね返していましたが、エイトマンは目にもとまらぬ動きで弾を掴んでしまう。ですから見えないところからの攻撃にはめっぽう弱く、ピストルの弾にさえあたってしまえば壊れてしまいました。また、エイトマンよりも強い相手もでてきて結構痛めつけられたりしてしまいます。腕や足も意外に取れやすく、片手・片足のエイトマンを良く見た記憶があります。くたくたになって強化剤を吸ったり、過熱して電子頭脳が壊れてしまったり(ちなみに両肩の部分に予備電子頭脳が搭載されていました)・・・・。たびたびエイトマンの生みの親・谷博士に無償で修理を依頼していましたね。決して荒唐無稽な無敵のヒーローではなく、SF的な細かい裏づけがなされた作品だったのではないでしょうか。
手元にあるリム出版刊「エイトマン・完全復刻版」の最終話は、20数年の歳月を経て桑田次郎氏本人が描いています。というのも、エイトマンの最終話は、ある事件のために桑田氏ではなく、アシスタントの人たちによって描かれたものだったからです。相当な時間がたっていますので当然絵柄は変わっています。当時のほうが、太く力強いタッチですね。しかし、文字通りの完全復刻版。大切にしています。私にとって、エイトマンは永遠のヒーローです。
| 主題歌 | 主題歌の第2フレーズに「行こう無限の地平線」というくだりがあるのですが、幼かった当時、理解することができずに「ユコーム」+「ゲーン」と発音しておりました。「ユコームゲーン」てなんだろうななんて思いながら。そんなアホな子は、私だけだったのでしょうか? |
| SF的シチュエーション | それもそのはず、エイトマンの原作者は平井和正氏。そして、シナリオには豊田有恒氏、半村良氏など、現代日本のSF界を代表する大御所たちの若い日の姿があったのです。 |
| 東八郎 | 放映当時、「東」と書いて「あずま」と読ませるあたり「カッコイイなあ」と思っていたのですが、その後同姓同名のコメディアンがいることを知り、それからは「東八郎」と聞くたびにその顔が浮かんでしまい、笑いが誘われてしまったことが悲しい。 もう亡くなりましたが、「かんばーれ、強いぞ、ぼくらのナマカ」とかってギャク言ってた方です。 |
| 成人型のヒーロー | 当時も実写ものでは月光仮面やナショナル・キッドなど多くのものがすでに存在していました。そして、この成人型ヒーローは必ず自分のことを「私」と呼んだのです。決して「オレ」とか「ボク」とか言わないのです。この伝統はエイトマンにも引き継がれ、人間時代(?)の東八郎は「僕」と言っているのですが、スーパーロボット・エイトマンとなった後は「私の名前はエイトマン」と正しい一人称で大見得を切っています。 |
| 警視庁捜査1課 | 警視庁捜査1課の田中課長だけが、かつての部下・東八郎がエイトマンだということを知っています。「おお東よ、こんななさけない姿になってまって」と正義のヒーローを哀れんだりします。そして彼は、「エイトマン」のことを「エートマン」と発音するのです。娘のお気に入りのキャラクターですが。 |
| スーパーマン | TV版「スーパーマン」は、機関車よりも強く、と蒸気機関車がシュポシュポいいながら登場しますが、弾よりも速いエイトマンは「夢の超特急」ひかり号(新幹線)を追い抜きます。まさに日本の高度経済成長期に登場したヒーローだと感じられます。 |
| 目にもとまらぬ動き | エイトマンは脳からの命令を秒速30万キロの速さで受けることができるので、すばやく動くことができる、なんていう設定もニクイデス。彼はロボットですから食事はしません。でも、普段は人間のフリをしているため、人前では食事を摂ることがあります。そして、その食べたものをコッソリと胸から出して(ビニール袋に入っている)捨てる。なんと哀愁漂うヒーローであることか! |
| 谷博士 | 白髪で豊かな口ひげをたくわえ、おまけにマントまでまとった「どこの国の科学者や」と思わせる扮装で登場する谷博士。軍事用に開発されたエイトマンを悪用されることを恐れ、CIAにも目をつけられています。また、敵役として時々出てきたソラリヤ連邦のデーモン博士(扮装は谷博士に酷似している)など、当時の東西冷戦構造を彷彿とさせるシチュエーションも見事。 |
| 永遠のヒーロー | 主題歌を作詞した前田武彦氏は、ある発言が元でマスコミ界からほされたと伝えられているし、歌を歌った男性歌手は、その後殺人罪で逮捕されてしまいました。エイトマンの周りには、なんとなく悲しい出来事がまとわりついています。そう、彼は正義のヒーローであるとともに悲劇のヒーローでもあるのです。 |