父王に殺されかけて生き延びた異母兄が予言者を装い「この子は王家を滅ぼす」と不吉な予言をしたため(この辺りのいきさつは作中では不明のまま)、実父から奴隷の焼き印を押され疎まれることとなる。
彼の命を守ったのは母親の亜麻の方。朱理自身にかまうことはなく、ひたすら鬱金王のご機嫌をとって朱理が殺されないように努めた。
12歳の元服後、統治のまだだった西方(現在の山陰・山陽地方?)の砂漠の国をあてがわれ「赤の王」となる。3年後わずか15歳で西日本を制圧し、辣腕ぶりを発揮する。
しかしそのやり方は従わない者・意に染まぬ者を徹底的に排除するというものだったため、彼にとって様々な禍根を残すことになる。合理的ではあるがそれなりに柔軟な考え方の持ち主でもあるはずなので、強権の行使によって反発を招くという他の政策と比べてもあまり利口と思えないやり方は、あの末期的症状の王族社会で生まれ育った彼の限界だったのかもしれない。人に愛されたり人を愛するという感情をほとんど知らずに育ってきたという、人格形成上の欠陥もこの辺りのことと不可分だと思われる。
このような点さえなければ彼は至ってまっとうな、どころか超有能な王様だったのではないだろうか。
ハイレベルな経済政策や実用的なシステムを作り上げる能力に恵まれている上、王と国の尊厳を外国に誇示し、都の住民にも自覚と誇りをもたせることができる統治者は当時王族としては朱理しかいなかった。
こうした彼の鮮烈な個性と論理は多くの敵を作る一方で、多くの人を惹きつける。
即断・英断力と潔さ、剛胆な行動と強烈な自信という「赤の王」時代の魅力炸裂状態の「『紅丸』自爆」のエピソードは、熱烈な「赤の王」ファンの心に刻みつけられた不滅の金字塔。
ヒロイン・更紗を白虎の村襲撃&肉親虐殺により「革命家・タタラ」へと転身させた張本人。
皮肉なことにその彼女を「タタラ」から「更紗」〜というか「女」〜に戻した張本人でもある。
「BASARA」という物語は、場面的に言えば朱理の暴虐で始まり、朱理のオトシマエで終わったと言えないこともない。
お互いの正体を知らずに出会い愛し合った更紗とのラブロマンスは、この大河ロマンの目玉商品の一つ。少女まんがとしては拓けた(笑)描写で、多くの朱理ファン&らぶらぶファンを喜ばせた。
肉体は強靱で大ケガした後の回復も早い。水泳体型で大胸筋の発達著しく、背中の肩胛骨の盛り上がりに目眩を覚えるファンも多い。剣の腕も王様ということを考えるとかなり筋がいい方で、師匠には「心・技・体」共に頼もしいと評されている。ワニのいる川を泳ごうとする辺り、泳ぎにもかなり自信があるらしい。
精神力の強靱さも肉体のそれにひけをとらない。どんなにどん底にいても、自分がすべきことを忘れず常に前向きに行動を起こす。
もともとの性格は傲岸不遜にして大ざっぱでズボラ。情報分析能力は人一倍高いが人情の機微には疎く、あまり気が回らない。特に志高く本音を隠して行動している人間の裏を読むのは苦手。だが悪気があるわけではないので、後で気づくとかなりショックを受ける一面もある。
一般的に彼の「欠点」として指摘されている部分もいくつかあるが、大概の朱理ファンにとってはそれは彼の「売り」である。更紗への罪の意識により彼自ら葬り去ってしまった「赤の王らしさ」を惜しむ声は多く、「赤の王」の壮絶な覚悟に裏打ちされた行動力と才腕、そして王としての誇り高さは、今もファンの心を惹きつけてやまない。
「赤の王」時代のウイークポイントの一つに、彼に心酔している者ほど安易にも命をかけてしまうことから、重要な腹心を次々失う羽目になったということが挙げられる。つまり「自分が命を捨てて守らなければ」と部下に思わせてしまうような色々な意味での危うさが、当時の朱理にはあった。
女性に関しては百戦錬磨だそうだが、単に回数と女性の色香に対する免疫の問題ではないかと思う。男性経験皆無の鈍感なヒロインに振り回されること激しく、恋愛の駆け引きに長けているとはとても思えない。スケベな割には据え膳を食わなかったり、さほど手当たり次第というわけでもなく彼なりの哲学があるように見えるなど、妙に硬派な点も多く好き嫌いもはっきりしていることから、真性の女好きではないようだ。少女まんがのヒーローだった故か、なんだかんだ言って本気の恋愛に関してはかなり純な人。
好みのタイプは「気丈で賢くて行動的な女性」。本人はあまり意識してなくて「タイプなんぞない」と言っていたけど、どう見てもこれが共通項。当人の弁によれば、これに「プライドがある」というのが加わるらしい。更紗は完璧に朱理好みで、彼は口で言うほど美女やグラマーにこだわりがあるわけではなかった。
余談だが色々見ている限り、更紗の方も結果的には朱理がタイプだったように見える。
終盤新しい時代を築くための戦いで彼が失った左腕は、そのまま彼が失ったもの―過去の考え方とかある種の自信とか―の象徴となる。そこには失くしてしまったものと、彼自身が葬ったもの、の両方があったようだ。
とうに捨てたはずの王族のレッテルを再び被り、滅ぼされる側に立って光と影の両面を担いながらヒロインの革命を支え抜いた、数奇な運命のヒーロー。
己の死をもって自分の過去のオトシマエをつけ革命の幕引きを終える覚悟をしていたが、どうにもならないほどらぶらぶの関係だったヒロインが彼と共に生きる(死ぬ?)人生を選んだため、命を救われる。
ラスト、物語の負の部分のしわ寄せをかなり1人で背負っていた感じがする。
「BASARA」キャラの中で唯一人「正面全身くまなくオールヌード」を披露した人(但し赤ちゃん)。
本編終了後は、革命家を引退し普通の女のコに戻った更紗と2人、新しい人生を歩き始める。
外伝「KANATA」において、かつて大陸と呼ばれた地域の一帝国内における紛争を調停者として解決。その過程で本編終了以来2人の間に横たわっていたわだかまりも氷解し、十数年を経た後も子供に呆れられるほどのらぶらぶモードに突入した。
将来は外交か商売に関する仕事に手を染めたいという展望があり、「KANATA」のラストでは世界を回って見識を深めるため更紗を連れ欧州へと旅立つ。その後の2人の物語は、「巻き込まれ&解決」タイプの冒険・漂泊譚を地でいっていたのではないかと想像される。
やがて2人はグリーン商会を設立、商業活動を通じて欧州に日本の文化や産業を紹介し始める。
「KANATA」より十数年後の外伝「WAKABA」の時代には、世界を股にかける貿易会社に成長。2人の悲願である「故郷西日本の緑化」に巨額の資金を投入する。遙か遠い海の向こうで、彼は今も「蘇芳の桜吹雪」に夢を馳せているのだろう。
赤の王時代の“正の遺産”は彼の中に健在であり、グリーン商会の繁栄を支えていると思われる。彼は今後もその高い情報分析能力と行動力で、影ながらも日本のために活躍を続けていくことだろう。こうして彼は、生きてる限り前を向いて走り続けるのである。
物語開始時の年齢は17歳で、4コマに見る最後の映像つき消息(双児誕生時)ではおそらく22〜24歳前後。