環境 水質

 水の惑星、地球は奇跡の星。水が生命を創造したと言っても過言ではない

 その水を人間は、汚しているがこれ以上汚さない為には、生活を見直す必要がある。

 生活活動で単に水を汚すだけではなく、色々な要因が今では問題になっている。土壌汚染、大気汚染、化学物質、ゴミ問題など様々、それに早く気がつき改善が必要

 である思う。政府のように単純に環境税などというお金で解決しようとする考え方はかなり愚かな行為である。

 本当の自然は清水が自然に湧き出す環境であり、造成された自然は何の意味もない。

 人間は際限なく生活地域を拡大していったが、手をつけない自然を保護する環境を作るべきである。

水の話
水分子の構造 水の3つの状態 硬水・軟水とは

水は典型的な極性分子→水素結合を形成する
 水については誰もがよく知っており、また、水分子の構造についても理科の本に詳しく記述されていますので、いまさら触れる必要はないと思いますが、話しの順序として簡単に記述します。水分子の構造は図1のようであることが分っています。


図1 水分子の構造

 水分子H2Oは図1(A)のように酸素原子Oと2個の水素原子Hが共有結合で結ばれており、O―H 結合の距離は0.957Å、角度H―O―Hは104.5°です。これをさらに詳しくみると、図1(B)に示したような構造をしています。酸素原子を正四面体の中心に置いたとき、O―H 結合はこの酸素原子から正四面体のほぼ頂点方向に伸びています。中心と頂点の距離、すなわち、OとHの距離は0.957Åになります。また、2つのO―H 結合の作る角度は104.5°で幾何学的な正四面体の中心角109.5°と非常に近い値になっています。正四面体の残りの2つの頂点には酸素原子の2個の非共有電子対(孤立電子対:電子が2個ペアになって他の原子との結合性を失ったもの)が配向しています。

 

氷も水も水蒸気もスカスカの構造をしている。氷は水よりスカスカ
(液体の水も互いに束縛し合う)
 物質の多くは、固体、液体、気体の3つの状態をとりますが、水も同様に固体、液体、気体の3つの状態をとることは、日常水に接している私達のよく知っているところです。固体の水、つまり氷は水分子が互いに水素結合でがっちり結合し、それぞれの分子が自由に動き回ることができません。液体の水は前節で述べたように水素結合でクラスターを作り、氷ほどではありませんがやはり互いに束縛しあった動きをしています。気体の水、すなわち水蒸気では分子が完全に1個1個ばらばらで、自由自在に動き回っています。気体と液体の水はH2O分子単位でみたとき、ほぼ1.1.1で説明したような構造をしています。しかし、氷は大分様子が違い、いろいろな結晶構造をしています。

(水素結合が水の特異性のもと)
 水は自然界に存在する他の多くの物質と比べると非常に変わっています。自然界の物質の多くは、 液体<個体 のように液体から固体へと移り変わるに従って密度が大きくなります。一般に固体の方が液体よりも原子がぎっしり詰まっていますから密度が大きいのが当然です。しかし、水の場合は液体の水の方が固体の氷よりも密度が大きいという変わった性質を持っています。

 また、液体は、アルコールにしても石油にしても、温度が上昇すると、気体と同じように、膨張して軽くなりますが、水は約4℃で最も重くなります。

 どうして水は上のような他の物質と異なった性質を示すのかについては古くから多くの人々が注目し、研究してきました。水の構造を議論するとき、水素結合という言葉が頻繁に出てきます。先に述べたように、氷は勿論のこと、液体の水も大部分は水素結合で互いに繋がっています。その結果水分子は勝手気ままに存在しているわけにはいかず、互いに束縛し合っています。ところで、水素結合の強さは水分子間の距離だけではなく、分子の方向に依存しています。そのため、水は全体として最も安定した構造をとるためには特定の方向にある分子とつながりを持ち、他の分子はそこに入り込めないことになります。このようにして水分子はぎっしり詰まることができず、スカスカの詰まり方になるわけです。

(水の配位数)
 水の配位数【配位数とは、ある分子の周りに配位している他の分子の数】は、一般の単純液体、例えば、ベンゼンやプロパンといったような分子間に特殊な相互作用や会合〈クラスター〉が存在しない多くの液体に比較して極端に小さいものです。氷の配位数は4、液体水の配位数はそれより若干大きくて5弱です。すなわち、水は非常に隙間の多い分子配置、すかすかの構造をしているわけです。氷の配位数が液体水の配位数より小さいと云うことは、水の場合、固体の方が液体よりもすかすかで、密度が小さいことを意味しています。

(水は4℃で最大密度)
 水の最大密度が約4℃ということは、4℃までは氷点(0℃)から温度が上昇するに従って分子運動が盛んになり、分子配置が崩れて若干隙間が小さくなることを意味しています。4℃よりも温度が上昇すると、他の液体と同じように膨張して密度が小さくなります。

 

 

カルシウムイオンやマグネシウムイオンを比較的多量に含む水を硬水(hard water)と云い、それらの濃度が比較的小さい水を軟水(soft water)と云います。

 硬水のうち、含まれている陰イオンが主に炭酸水素イオンの場合、煮沸することでCa2+やMg2+を炭酸塩として沈殿させることができます。このような水を「一時硬水」と云います。陰イオンが塩化物イオンCl-や硫酸イオンSO42-などの場合には煮沸しても沈殿させることができません。このような水を「永久硬水」と云います。

(硬水・軟水の表し方)
 硬水か軟水かを表す尺度として硬度(hardness)が使われます。硬度はカルシウムイオンやマグネシウムイオンをどのくらい含んでいるかを示すものです。硬度には大別してドイツ硬度とアメリカ硬度の2つがあります。

ドイツ硬度:

カルシウムやマグネシウムの量を全て酸化カルシウムCaO量に換算して表します。
水100ml中にCaO 1mgを含むとき1度とし、マグネシウムは、1.4MgO = 1.0CaOとしてCaOに換算します。
通常、20度以上の水を硬水、10度以下の水を軟水と云います。

アメリカ硬度:

カルシウム、マグネシウムの量を炭酸カルシウムCaCO3に換算し、mg/l又はppmで表します(mg/l ≡ ppm)。

ドイツ硬度1度 ≡ アメリカ硬度17.8mg/l になります。

 

(硬水を軟水にするには)
 硬水はボイラー内部に固い石灰質の湯あか(缶石)を生じて熱伝導率を悪くしたり、石けんの効力を弱めたり(カルシウムイオンやマグネシウムイオンが石けんの脂肪酸塩と反応すると、水に溶けない脂肪酸カルシウムや脂肪酸マグネシウムのような金属石けんになり、石けんの効きを損ないます)、あるいは著しい硬水を飲み続けると肝臓障害を引き起こすことがあります。そこでしばしば硬水を無害な軟水にする処理が行われます。

 一時硬水の場合は煮沸することでかなり軟水にすることができますが、一般的には、あるいは工業的には、イオン交換樹脂や合成ゼオライトなどのイオン交換体の層に硬水を通して水中のカルシウムイオン等を除くイオン交換法が盛んに行われています。

 

水の性質 表面張力 水の状態変化

水は蒸発しにくく、凍結しにくく、温まると冷めにくく、また良く熱を伝える
 この節では水の注目すべき特性のうち、熱に関する特性、特に比熱容量、気化熱、融解熱および熱伝導率について概観しましょう。

(比熱容量)
 比熱容量とは、単位質量の物質の温度を1℃上げるのに必要な熱量のことを言います。古くは比熱と呼んでいましたが、定義のしかたが比重などと同一だと考える間違いが生じやすいので、現在は「比熱」を使用しないことが推奨されています。

 表3に水を含む種々の物質の比熱容量を示しました。


 金属の比熱容量は別として、アルコールなどの通常の液体の熱容量が2kJ/kg・K以下なのに比して水の熱容量が4.2 kJ/kg・Kときわめて高いことが分かります。このことは、水は温めるのに大きな熱量を必要としますが、いったん温まると冷めにくい液体であることを示しています。

(気化熱、融解熱)
 次に、水を蒸発させたり、氷を溶かしたりするときにどのくらい熱を必要とするか調べてみましょう。

 表4に水を含む種々の物質の気化熱(蒸発熱)を、表5に融解熱を示しました。



 表4を見ますと、液体酸素や液体窒素を含めて、一般に液体の沸点における気化熱が数百のオーダーなのに、水の気化熱が異常に高いことが分かります。また、表5を見ますと、銅を例外として、他の液体や固体(金属)に比して水の融解熱(凍るときの凝固熱に等しい)が異常に大きいことが分かります。

 つまり、水は蒸発しにくく、凍りにくい液体であることが分かります。

(熱伝導率)
 上記の性質は水が如何に熱を蓄え易いかを示すものですが、最後に熱の伝え方について見てみましょう。表6に各種物質の熱伝導率を示しました。


 熱伝導率の最も大きい銀をはじめとして、金属の熱伝導率が大きいのは私達の常識通りですが、水はアルコールのような液体に比して大きい熱伝導率を備えていることが分かります。また氷の熱伝導率が非常に大きいことが注目されます。寒い地方で子供達が雪にかまくらを掘り、その中で遊んでいますが、かまくらが冷たい外気を遮断してくれるのは雪が多量の空気を含んでいるからでしょう。

 

水は玉になりやすい
 雨滴も水道の蛇口からぽたぽた漏れる水滴もみな玉になっています。これは水にできるだけその表面積を小さくするような力が働いているからです。この力を表面張力と言います。

(表面張力とは)
 学生時代にかえったつもりで、表面張力とはどういうものか簡単に振り返ってみましょう。表面張力が生じるのは、液体分子に働く分子間引力(分子同士が引き合う力)が液体の表面と内部では違うからです。この関係を分かりやすいように平面図で、模式的に図6に示しました。


 図で液体分子は円で示しました。図で着色した分子に着目してみます。内部の分子には左右上下共に等しく引力が働いています。しかし、表面の分子は左右および下方の分子と互いに引き合っていますが、上には引かれていません。このように表面の分子では内側に引かれる力が大きくなります。この引力のアンバランスが表面張力の元です。図6から分かるように、分子配置がどの液体でも同じとすると、分子間力が大きい液体ほど表面張力は大きくなります。

(水の表面張力)
 それでは水の表面張力の大きさをを私達の身近にある他の液体と比べてみましょう。その結果を表8に示しました。(表面張力は、通常単位長さあたりの力で表します。)


 水の表面張力はエタノール、ベンゼンなどの液体と比べて非常に大きいことが分かります。水分子の間に存在する水素結合により水分子が互いに大きな力で引き合っているからです。

 身近のところで、水より表面張力が大きい液体は水銀ですが、水銀の表面張力が非常に大きいのは水銀原子が金属結合により強く結ばれているからです。溶融した鉛や鉄も同様の理由により大きな表面張力をもっています。

 

日常接している氷、水、水蒸気は一気圧の大気中での水の状態
(水の状態図)
 前節で述べたように、水は固体(氷)、液体(水)、気体(水蒸気)の3つの状態をとります。この3つの状態がどのような関係にあるかをみてみましょう。水の3つの状態の変化をみるには「状態図」が役立ちます。水の状態図とは、温度と圧力を変化させたときに、3つの状態がどのように変化するかを示したグラフです。それを図3に示しました(図は概念図であって、スケールは正確ではありません)。


図3 水の状態図

 図3で、固、液、気と示したのは,それぞれ固体(氷)、液体(水)、気体(水蒸気)が生じる範囲を示しています。それらの境界線A、B、C上では互いに隣り合う2つの状態が共存することができます。たとえば、1気圧のもとで、温度を上げていきますと、はじめ氷であったものが、P点(0℃)で氷と水が共存します。この点は融点又は氷点といいます。ここを過ぎると完全に(液体の)水になり、さらに温度を上げるとQ点(100℃)で、水と1気圧の水蒸気が共存します。この点は1気圧での水の沸点です。

(三重点)
 温度が0.01℃、圧力が0.06気圧の点ではA線、B線、C線の3つが交わります。この点Tでは氷と水と水蒸気の3つの状態が平衡して共存できます。T点を水の三重点といいます。図からわかるように氷の融点(0℃、1気圧)と三重点(0.01℃、0.06気圧)は同じではありません。T点以下の温度、圧力では液体の水は存在することができず、温度の変化に応じて、C線を境にして氷が直接水蒸気になり(昇華)、また水蒸気が直接氷として凝結します。

(臨界点、臨界温度、臨界圧力)
 一方、A線で温度、圧力が非常に高くなり、374℃、218気圧(K点)以上になりますと、液体と気体の水は互いに区別できなくなり、A線はK点で終わりになります。この点を水の臨界点といい、その温度、圧力をそれぞれ臨界温度、臨界圧力といいます。ここでは詳しくは触れませんが、臨界点を過ぎた水は特殊な媒体として働き、この中では特異な化学反応が起きるようで、現在各所で精力的な研究が行われています。

(氷の状態)
 図では、氷については単に「固」として示しただけですが、実は図の氷は氷Thという状態を示したもので、氷は温度と圧力を変えると、氷Ih、氷Ic、氷II、氷III、氷IV、氷V、氷VI、氷VII、氷VIII、氷IX, 氷X、といった種々の状態の氷になります(氷IVと氷IXは準安定相)。氷Ihは水分子の4つの水素結合が109.5°の角度を作る、六方晶系の、大きな空孔のある構造で、私達が普段接する氷です。先に氷の密度が液体の水の密度よりも小さいと言いましたが、これは氷Ihの場合です。圧力が高くなるに従って水分子の充填度が高くなり、水素結合でつながれた2つの網目が入り組んだ構造をするようになります。それに応じて密度が上昇し、氷[では1.66g/cm3以上になります。

 

ゴミ問題と水質汚染 難分解性化学物質と水質汚染

ゴミ問題は私達個人個人を含む社会全体の問題
 水質汚染について何か云おうとすると、ゴミによる水質汚染の問題を避けて通るわけにはいきません。

(ゴミの排出量)
 毎日毎日個々人から、各家庭から、職場から、企業から大量のゴミが排出されています。その量は莫大なものです。最新の統計ではありませんが、日本でゴミがどの位排出されているか、環境年表'98/'99で調べてみました。表16は一般廃棄物、すなわち、家庭ゴミの排出量の1975年から1993年までの年度推移を示しています。

 表16から分かるように、近年の一般ゴミの量はほぼ一定量に落ち着いてきています。一人一日当たり約1.1kgのゴミが排出されています。

 一般ゴミよりもはるかに多い産業廃棄物の排出量はどうでしょうか。産業廃棄物は種類別に統計がとられています。表17 に産業廃棄物の排出量を示しました。

 表17 によると、産業廃棄物の年間排出量は約400 Mtonに達します。この量を一人一日当たりに直すと約9 kg/人・日となります。

 一般廃棄物と産業廃棄物の合計は、統計が重なっているものもあるので正確ではありませんが、約10 kg/人・日 となり、日本では如何に多くのゴミが捨てられているかが分かります。

 廃棄物で最も多いのは汚泥で、これと動物の糞尿を合わせると全体の約2/3を占めています。建設廃材も全体の15% 程度を占めています。鉱滓も8%程度と多く、これをコンクリート材料などに使用して欲しいという自治体の要望がうなずけます。

 プラスチック、金属、鉱滓などのリサイクルは図られていますが、産業廃棄物の大部分は埋め立て処理を行わざるを得ない状態にあり、ともすると水質汚染の元凶になります。

(廃棄物による汚染)
 先に私達の生活排水や畜産廃棄物による水の大腸菌汚染、工業廃棄物である難分解性化学物質による汚染などについて書きましたが、大量の廃棄物による水質汚染は今後長年にわたって私達の生活を脅かす恐れがあります。廃棄物の大部分は究極的には埋め立てをしなければならず、廃棄物、特に産業廃棄物の処理は企業や廃棄物業者の責任などと云っているわけにはいきません。一般廃棄物は勿論、産業廃棄物といえども煎じ詰めれば私達一人一人が関わる問題であることは明らかです。

 産業廃棄物の投棄は各地で問題になっていますが、その象徴的な事件は、1975年頃から始まった瀬戸内海国立公園の香川県小豆郡上庄町の豊島(てしま)で起きた廃棄物不法投棄と云えそうです。ここに持ち込まれた産業廃棄物はシュレッダーダスト(廃車や家電製品などの粉砕くず;バッテリーなども含む)、廃液、廃油、製紙汚泥、鉱滓、煤塵等種々雑多と言われています。ここではさらに悪いことに、シュレッダーダストなどに廃油をかけて「野焼き」も行ったため、高濃度のダイオキシンも発生し、ダイオキシンの最高濃度は39ng-TEQ/lに達したそうです。【ダイオキシンについては次節でもう少し詳しくふれます。】

 廃棄物を持ち込んだ業者が摘発され、検挙されたとき、400m×200mの凹地を掘って投棄された廃棄物は小山を作り、浸出液が海に入るのを防ぐために海側に掘った堀にはどす黒い液が溜まっていたそうです。これが徐々に海水を汚染することは明らかでしょう。

 ドイツのように徹底した分別をすることもなく、何でもかでもいっしょくたにして埋め立ててきた日本では、将来そこからしみ出した汚水が地下水を汚染して大変なことになるかもしれません。ゴムマットで漏水防止処理を行えば大丈夫とはとても思えません。行政と共に私達一人一人が知恵をしぼって悔いを残さないようにしなければならないと思います。

 

難分解性化学物質は放射性廃棄物と並んで地球の癌である
 第2次大戦以降の化学の歴史をみると、有機化学分野のかなりの人々が化学的、微生物化学的、あるいは物理的に安定な物質を生み出すことに努力したように思われます。その結果多くの安定な化合物が合成されました。例えば、優れた油分の溶剤であり、洗浄剤であるトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなどの塩素化物、熱交換媒体のフレオン、殺菌・殺虫剤のDDT(p,p'−ジクロロジフェニルトリクロロエタン)、BHC(ベンゼンヘキサクロリド)など、変圧器絶縁油のPCB(ポリ塩素化ビフェニル)、あるいは高分子のポリ塩化ビニル、ポリエチレンなど、その他枚挙に遑がないほどの新規化学物質が合成され、世に送り出されてきました。また、近年は人が意図しないダイオキシンなどという物質も発生しています。

(難分解性化学物質の問題点)
 さて、ここで云う難分解性化学物質とは、有機物質であって、自然の環境条件下では分解され難い化学物質のことです。つまり紫外線や微生物の作用によっては分解されない物質を指しています。勿論有機物ですから、高温では分解し、燃せばCO2やH2Oなどの無機物に変化してしまいます。

 難分解性化学物質は地球の自然環境下では分解しませんので、何時までも地球上に残留することになります。微生物分解を受けないということは、動物の体内に入っても消化液や消化酵素の作用を受けないことを意味しています。

しかし、長い目で見ると事情が変わるかも知れません。どんな物質でも長年月自然界に曝されていると、それを消化(分解)する微生物が出現してくる可能性があります。ポリエチレンは微生物分解を受けない代表的なポリマーですが、紫外線の当たる水辺では微生物分解を受けるといった研究結果も報告されています。

 これから何千年、何万年経ったときにどうなるかは分かりませんが、50年や100年の間に上記のような難分解性化学物質が微生物などにより分解されるようになることはないでしょう。

 難分解性化学物質は、非常に安定なわけですから、使い方によっては私達の生活に役立つはずです。実際、ポリ塩化ビニルは土の中でも安定に存在するので、水道管や下水管として使われていますし、ポリエチレンやポリプロピレンは食品包装、その他広く利用されて生活必需品となっています。

 高分子物質と異なり、低分子の有機物質はそのままの状態で毒性を示すので厄介です。生体がそれを外からの侵入物(異物)と認識して排除すればよいのですが、安定で分解もしないということは、別の面からみると生体内の酵素や抗体が作用しないということで、どんどん体内に蓄積し、長期にわたって害を及ぼすことになります。

(水質汚染)
 先に日本ではトリクロロエチレンやテトラクロロエチレンのような化学物質で汚染された地下水が増えていると書きましたが、多くの難分解性化学物質が水を汚染していることが知られています。難分解性化学物質のほとんどは疎水性で、水には溶解しません。したがって、水質汚染とは関係がないように思われますが、しかし水に難溶性といっても、全く溶けないわけではなく、ごくわずかは必ず溶けると云ってよいでしょう。それが食物連鎖により濃縮されて、頂点に立つ動物の体内には高濃度で蓄積されることになります。

 また、難分解性といっても程度は様々で、例えばドライクリーニングに広く使われているテトラクロロエチレンは安定な液体ですが、空気に接した状態で紫外線に当たると徐々に酸化されます。酸化物はもとのテトラクロロエチレンよりも水に溶けやすくなります。

 さらに、疎水性の難分解性化学物質がそのままでは水に溶けなくても、水中に流れ出した洗剤などの界面活性物質に合うとこれに包まれて水によく溶けるようになります。界面活性物質に取り囲まれたからといって難分解性でなくなったわけではなく、水の汚染性が変わるわけでもありません。

 こうみてくると、難分解性化学物質による水質汚染は、極少量でも問題で、河川や海を汚染したときの最大の恐ろしさは食物連鎖よる濃縮にあると云えます。

 放射性廃棄物は、すぐ放射能による白血病、奇形などを連想するので、聞いただけで何か恐怖感を覚えますが、土中や水中に広がった難分解性化学物質はそれと同等、あるいはもっと危険な存在と云えるかもしれません

 

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水道水質基準について

水道法第4条に基づく水質基準は、水質基準に関する省令(平成15年5月30日厚生労働省令第101号)により、定められています。
水道水は、水質基準に適合するものでなければならず、水道法により、水道事業体等に検査の義務が課されています。
水質基準以外にも、水質管理上留意すべき項目を水質管理目標設定項目、毒性評価が定まらない物質や、水道水中での検出実態が明らかでない項目を要検討項目と位置づけ、必要な情報・知見の収集に努めています。水道事業者は、水質基準項目等の検査について、水質検査計画を策定し、需要者に情報提供することとなっています。

注) 平成20年4月より、水質基準に塩素酸、水質管理目標設定項目に従属栄養細菌及びフィプロニル(農薬類の中の1項目として)が追加されることとなっています。


水道水質基準の制定(平成15年)
現在の水道水質基準は、平成15年に大幅な改正が行われ制定されたものです。
平成4年の水質基準の大幅な改正から約10年が経過し、
(1)消毒副生成物に関してはトリハロメタン類以外にもハロ酢酸等の問題や新たな化学物質による問題が提起されていること。
(2)クリプトスポリジウム等の耐塩素性病原性微生物の問題が提起されていること。
(3)世界保健機関(WHO)においても、飲料水水質ガイドラインを10年ぶりに全面的に改定すべく作業が進められていること。
(4)規制改革や公益法人改革の流れの中、水質検査についての見直しなど水道水質管理の分野においても、より合理的かつ効率的なあり方を検討すべきことが求められていること。
等の社会的、科学的状況を踏まえ、平成14年7月24日に厚生科学審議会あて厚生労働大臣より水質基準の見直し等について諮問がなされました。 厚生科学審議会から平成15年4月28日に答申があり、これを踏まえ厚生労働省として水質基準等に係る制度の制定・改正を行いました。
水道水質基準の逐次改正
  平成15年に水質基準として、50項目が設定されましたが、厚生科学審議会答申において、常に最新の科学的知見に照らして改正していくべきとの考えから、必要な知見の収集等を実施し、逐次検討を進めています。

●塩素酸に係る水質基準の設定等について
  平成20年4月より、塩素酸が水質基準に追加されることとなりました。また、水質管理目標設定項目については、従属栄養細菌、フィプロニル(農薬類の中の1項目として)が追加されることとなりました。なお、塩素酸に係る水質基準の設定等については、厚生科学審議会生活環境水道部会(平成18年8月4日、平成19年10月26日)において審議されました。
水質基準項目と基準値(50項目)

水道水は、水道法第4条の規定に基づき、「水質基準に関する省令」で規定する水質基準に適合することが必要です。

項目 基準 項目 基準
一般細菌 1mlの検水で形成される集落数が100以下 総トリハロメタン 0.1mg/L以下
大腸菌 検出されないこと トリクロロ酢酸 0.2mg/L以下
カドミウム及びその化合物 カドミウムの量に関して、0.01mg/L以下 ブロモジクロロメタン 0.03mg/L以下
水銀及びその化合物 水銀の量に関して、0.0005mg/L以下 ブロモホルム 0.09mg/L以下
セレン及びその化合物 セレンの量に関して、0.01mg/L以下 ホルムアルデヒド 0.08mg/L以下
鉛及びその化合物 鉛の量に関して、0.01mg/L以下 亜鉛及びその化合物 亜鉛の量に関して、1.0mg/L以下
ヒ素及びその化合物 ヒ素の量に関して、0.01mg/L以下 アルミニウム及びその化合物 アルミニウムの量に関して、0.2mg/L以下
六価クロム化合物 六価クロムの量に関して、0.05mg/L以下 鉄及びその化合物 鉄の量に関して、0.3mg/L以下
シアン化物イオン及び塩化シアン シアンの量に関して、0.01mg/L以下 銅及びその化合物 銅の量に関して、1.0mg/L以下
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 10mg/L以下 ナトリウム及びその化合物 ナトリウムの量に関して、200mg/L以下
フッ素及びその化合物 フッ素の量に関して、0.8mg/L以下 マンガン及びその化合物 マンガンの量に関して、0.05mg/L以下
ホウ素及びその化合物 ホウ素の量に関して、1.0mg/L以下 塩化物イオン 200mg/L以下
四塩化炭素 0.002mg/L以下 カルシウム、マグネシウム等(硬度) 300mg/L以下
1,4-ジオキサン 0.05mg/L以下 蒸発残留物 500mg/L以下
1,1-ジクロロエチレン 0.02mg/L以下 陰イオン界面活性剤 0.2mg/L以下
シス-1,2-ジクロロエチレン 0.04mg/L以下 ジェオスミン 0.00001mg/L以下(注)
ジクロロメタン 0.02mg/L以下 2-メチルイソボルネオール 0.00001mg/L以下(注)
テトラクロロエチレン 0.01mg/L以下 非イオン界面活性剤 0.02mg/L以下
トリクロロエチレン 0.03mg/L以下 フェノール類 フェノールの量に換算して、0.005mg/L以下
ベンゼン 0.01mg/L以下 有機物(全有機炭素(TOC)の量) 5mg/L以下
クロロ酢酸 0.02mg/L以下 pH値 5.8以上8.6以下
クロロホルム 0.06mg/L以下 異常でないこと
ジクロロ酢酸 0.04mg/L以下 臭気 異常でないこと
ジブロモクロロメタン 0.1mg/L以下 色度 5度以下
臭素酸 0.01mg/L以下 濁度 2度以下
(注)平成19年3月31日までの間は、「0.00002mg/L」

水質管理目標設定項目と目標値(27項目127物質)

水道水中での検出の可能性があるなど、水質管理上留意すべき項目です。

項目 目標値 項目 目標値
アンチモン及びその化合物 アンチモンの量に関して、0.015mg/L以下 農薬類(注) 検出値と目標値の比の和として、1以下
ウラン及びその化合物 ウランの量に関して、0.002mg/L以下(暫定) 残留塩素 1mg/L以下
ニッケル及びその化合物 ニッケルの量に関して、0.01mg/L(暫定) カルシウム、マグネシウム等(硬度) 10mg/L以上100mg/L以下
亜硝酸態窒素 0.05mg/L以下(暫定) マンガン及びその化合物 マンガンの量に関して、0.01mg/L以下
1,2-ジクロロエタン 0.004mg/L以下 遊離炭酸 20mg/L以下
トランス-1,2-ジクロロエチレン 0.04mg/L以下 1,1,1-トリクロロエタン 0.3mg/L以下
1,1,2-トリクロロエタン 0.006mg/L以下 メチル-t-ブチルエーテル 0.02mg/L以下
トルエン 0.2mg/L以下 有機物等(過マンガン酸カリウム消費量) 3mg/L以下
フタル酸ジ(2-エチルヘキシル) 0.1mg/L以下 臭気強度(TON) 3以下
亜塩素酸 0.6mg/L以下 蒸発残留物 30mg/L以上200mg/L以下
塩素酸 0.6mg/L以下 濁度 1度以下
二酸化塩素 0.6mg/L以下 pH値 7.5程度
ジクロロアセトニトリル 0.04mg/L以下(暫定) 腐食性(ランゲリア指数) −1程度以上とし、極力0に近づける
抱水クロラール 0.03mg/L以下(暫定)
(注)対象農薬は101物質

要検討項目と目標値(40項目)

毒性評価が定まらないことや、浄水中の存在量が不明等の理由から水質基準項目、水質管理目標設定項目に分類できない項目です。

項目 目標値(mg/l) 項目 目標値(mg/l)
- ヒドラジン -
バリウム 0.7 1,2-ブタジエン -
ビスマス - 1,3-ブタジエン -
モリブデン 0.07 フタル酸ジ(n-ブチル) 0.2(暫定)
アクリルアミド 0.0005 フタル酸ブチルベンジル 0.5(暫定)
アクリル酸 - ミクロキスチン−LR 0.0008(暫定)
17-β-エストラジオール 0.00008(暫定) 有機すず化合物 0.0006(暫定)(TBTO)
エチニルーエストラジオール 0.00002(暫定) ブロモクロロ酢酸 -
エチレンジアミン四酢酸(EDTA) 0.5 ブロモジクロロ酢酸 -
エピクロロヒドリン 0.0004(暫定) ジブロモクロロ酢酸 -
塩化ビニル 0.002 ブロモ酢酸 -
酢酸ビニル - ジブロモ酢酸 -
2,4-ジアミノトルエン - トリブロモ酢酸 -
2,6-ジアミノトルエン - トリクロロアセトニトリル -
N,N-ジメチルアニリン - ブロモクロロアセトニトリル -
スチレン 0.02 ジブロモアセトニトリル 0.06
ダイオキシン類 1pgTEQ/L(暫定) アセトアルデヒド -
トリエチレンテトラミン - MX 0.001
ノニルフェノール 0.3(暫定) クロロピクリン -
ビスフェノールA 0.1(暫定) キシレン 0.4