|
■MACRO Nikkor 12cm F6.3 Spilit of Naturalist
|
マクロニッコール 12cm F6.3。
繊細
風雪
高解像度命
科学技術写真
無名の博物学者に捧ぐ
12センチ
F6.3
THE
MACRO NIKKOR
12cm F6.3
レンズの純情
●
物語
森の人。
山に暮らす。
ウイスキーが友だち。
朝は雲海をみる。
午前中は西行を読む。夜読むとかなしいからだ。
午後は気象観測のラヂヲゾンデを飛ばす。
個人で百葉箱を持っているのは、
かなりマニヤックにみえるが、これは生活のためだ。
「ひゃくようそう」、などと知っているように言わないで、
これは「ひゃくようばこ」と呼ぶのが正しい。
午後は執筆活動。
昭和初期にこつぜんと現れた幻のボン書店に興味はつきないが、
原子間顕微鏡で標本をリアルタイムに撮影する技術の動向を調べる。
つかれたら、古い日本光学製LUR-Ke型をのぞく。
対物レンズはオリンパス光学のプラン1.3倍だ。こだわるねえ。
ザイスのルミナー40mm F4を対物レンズ代わりに付けるのも粋。
●
MACRO NIKKOR 12cm F6.3 Spilit of Naturalist
友あり。午後3時に来たる。
平日の午後3時にヒマな人種というのも、現代では希少だ。
低い丘の木陰に入り込み、カメラをセット。
友人はリンホフの4×5を持ってきた。
カメラの割にはきゃしゃな三脚だったが、リンホフ製の軽い三脚は
見た目よりはるかにドシリと安定していた。
三脚は見た目で判断してはいけない。と、よくいわれた。
私はニコンカメラに、MACRO NIKKOR 12cm F6.3だ。
暗い。
しかし、目の前はこの明るいランドスケープだ。
なんの不都合はかんじない。
軽いのがうれしい。
先鋭なスペックではあるが、鮮鋭な画像を結ぶ。
当然プリセット絞りだが、
山のグラム単位で装備をチェックする世界だってある。
私はそこまでストイックでない。ただ、気軽に中望遠レンズが使いたいだけ。
MACRO NIKKOR 12cm F6.3のライカスクリューマウントを外して、
友はリンホフボードに取り付けた。
そうか、こういう荒業もきくのか。
ニッコール・オン・リンホフ。これはききます。
●
気になるこのレンズ
このレンズ、現在でも現役。
科学映画製作会社のレンズ所有リストに掲載されていたり、
水産試験場の設置備品だったりする。
医学系か理科の大学だったら、もちろん現役。
このようなヨタ話をWebでばらまいてしまい、
寝た子を起こさなければいいが。
こつ然と、研究室のマルチフォト装置からレンズだけが消えたなんて状況は
シャレにならない。
ベローズ装置にきおくれする方だったら、ヘリコイドアダプタがおすすめだ。
BORGブランドで、お手軽価格で買えるのも嬉しい。
Lマウントのレンズを、一眼レフカメラに装着できるヘリコイドリングセットだ。
カメラ誌で、よく紹介されているので、すでに入手されている方も多いだろう。
私もヘリコイドアダプタをニコンFマウントで用意している。
MACRO NIKKOR 12cm F6.3は無限も出るし、無限を超えて、冥王星までも届く。
もちろん路歩きでは、雑草生態学を実践し、名もない花を撮影するのもよい趣味だ。
MACRO NIKKOR 12cm F6.3は軽い。暗くても、この軽快さには、かなわない。
●
ニコンがニコンであるために
ここだけの話、
ニコン一眼レフ用レンズに、
こういったレンズが用意されると、ニコンファンが戻ってくるだろう。
世界中のどこのカメラメーカーでも出していない。
幻の仕様のレンズだ。
低迷する市場のなかで、製品の差別化はマニヤに聞かないとだめ。
もちろん製品すべてという意味ではない。
各社似たような製品思想のなかで、1本や2本とんがった製品が
存在してもいいのではないか。
魚眼レンズの実質撤退。UVニッコールの安楽死。
夜間撮影用高速レンズの沈没。
世界で唯一の正射影方式アスフェリカル魚眼レンズを生産していたのが
日本光学だった。
プライドを取り戻してほしい。
差別用語をあえて言うが、女子供のつかうカメラを作ってはだめだ。
ニコンは。ヘタなんだから。
●
レンズの純情
そう思いながら、スノッブにトリスを飲む。
いままで買ったことがないウイスキーだつたが、こんなにしびれるとはおもわなかった。
ウイスキーは値段で判断してはいけない。
夢みるときは。過ぎた。か。
赤いラインのレッドラインニッコール。
万能レンズ。ごく一部のわかっているマニヤでの人気は語り草。
山岳写真家と自然科学写真家には必携の超高解像度レンズだ。
レンズは純情なのにかぎる。
Back to RED BOOK NIKKOR
Copyright Akiyama Michio, Tokyo Japan 2001, 2002
|