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■Repro Nikkor 170mm F1.4 Platinum Silver
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Repro Nikkor 170mm F1.4 Platinum Silver
Full Energy
Platinum Silver
Strong Philosophy
Repro Nikkor
170mm F1.4
Super High Speed Lens
Yes, F1.4
Nippon Kogaku
Repro Nikkor
170mm F1.4
M=1
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アルパ研究会
東京・月島。
リバーシテイの高層住宅がそびえる夏風は隅田川。
ひさしぶりのアルパ研究会への参加である。
私のレッドブックニッコールエイドに賛同してくださった
唯一最初のプロフェッショナル写真家が田中長徳氏だ。
「銀色のレンズを捕獲したので見に来ませんか」と、ありがたいメールをいただいた。
文化財級のレンズである。
とにかく拝みにいくのがすべてだ。
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ベトナムウオッカ
アルパ研究会は、ご存知チョートクさんこと田中長徳氏が主催されている会である。
Web上でもいくつかのエピソードが展開されているが、
最初の会合が立ち上がった直後によく通っていた。
いまはレチナハウスのオーナー社長をしている望月良二氏との出会いもこの会合であった。
彼がまだお店を開く前の話だ。
時代の話は、また別な紙面で書いてみたいが、とにかく、
ひさしぶりの会合であった。
チョートクさんは、ベトナムの取材から帰ったばかりで、
週末を日本で過ごして今度はヨーロッパ方面で業務とのことであった。
おみやげは、少々あやしい香りのするベトナム産ウオッカのビンがテーブルに置かれている。
ラベルには、なんと読むか分からないがNep Moiとロゴが入っている。
ベトナムの夕立の味だ。
たのしいサイゴン都市事情についてお話があり、メンバーの近況報告が続いた。
買出し部隊がスーパーの紙袋を下げて戻ってくると、冷たいビールやワインが並び、
おつまみをパクつきながらカメラ談義が続いた。
ビールをこぼしてはいけない。テーブルに無造作に置かれた会員の世界の銘機はバッグに収まり、
1本のプラチナシルバーのレンズがあたりを圧倒した。
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重量級プラチナシルバー
リプロニッコール170mm F1.4だ。
私はこの世界にかかわるようになって、いくつかの文献や資料で、その存在は知っていた。
しかし、実物がこの世に存在しているとは思わなかった。
何回も書いていることだが、こういった産業用レンズ、工業用レンズは、
その搭載された巨大な装置とともに破壊され廃棄されてしまう運命にあったのだ。
とくに大きい長焦点レンズほど数が少ない。絶滅危惧種の1本なのだ。
アルパ研究会では、会員の方が珍しそうにレンズに目を向けている。
細かい紹介は抜きにして、まず持っていただいた。
茶革のケースからレンズを指先でつまんで取り出そうとすると、
だれもが、「あれ?重たい!」と声をあげる。
見た目は美しい銀色なので、それほど重たいようにはみえないが、重量は約2.3Kgである。
しかもレンズは素通しのような透明だ。
写真家の田村彰英氏もレンズを両手で持ち上げて、前玉をのぞいている。
1967年。昭和42年のことだ。
日本光学は、2種類のリプロニッコールを世に出した。
弟は光速レンズと言われたリプロニッコール85mm F1.0だ。
そして兄にあたるのが、プラチナシルバーのリプロニッコール170mm F1.4である。
アルパ研究会ではチョートクさんからレンズを見せていただき、
デジタルカメラで画像を撮らせてもらうつもりであった。
しかし、特別に貸し出していただくこととなり、赤ん坊を抱くように抱えて帰ってきた。
こうして兄弟は、里帰りしたニッポンで再会したのである。
Repro Nikkor 170mm F1.4 and Repro Nikkor 85mm F1.0
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もう造れない巨大レンズ
このリプロニッコール170mm F1.4はヨーロッパ方面で活躍し、
数奇なルートをめぐり日本に帰り着いたのだった。
その道では知られた業者の方が直接チョートクさんに交渉をもちかけ、
コレクションの一部に収まったのだという。
とても私では手が出せない高額なレンズであるが、どちらにせよ、
日本に戻すことができてよかった。
日本が、日本のみが生産しうる世界の文化財なのだから、
日本にあることが重要なのだ。
平成のグローバルスタンダード、効率が優先する時代では、
もうこんなばかげたハイパースペックの巨大レンズは造らないだろう。
いや、造れないだろう。
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ハイパースペック
リプロニッコール170mm F1.4の性能緒言をまとめてみる。
レンズ構成図も入手しているが、対称型のとてもゴージャスなガラスブロックだ。
リプロニッコール170mm F1.4の、尊敬をこめて、バケモノのような性能をみてみよう。
−焦点距離: 169mm
−絞り: 開放F1.4 最小絞りF8 1/3づつのステップ
−レンズ構成: 6群10枚
−基準倍率: 1 X
−画角: 7.3度 (1X), 7.7度 (0.9X)
−色収差補正波長域: 400mμ〜650mμ
−歪曲収差: 0.0000000000000%
−画像サイズ: 24mm×36mm (43.2mmφ)
−基準倍率における原稿から画像までの距離: 407mm
−重量: 2,320g
歪曲収差は驚愕の0.0000000000000%だ。
フィルター径は72mm ピッチ0.75mmで鮮鋭なネジが切られている。
つまり普通のニコンカメラ用72mm フィルターがセットできる。
キャップはアルミのNIKKORと刻印のラッカー流し込み鮮やかなものだ。
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武士の誇り
テクニカルデータには出てこないところだが、
鏡胴は熟練の旋盤技術者によるフルスクラッチ超精密仕上げ。
さらにプラチナシルバーのめっきの丁寧さ、
絞り羽根の仕上がり、
カチリと動く絞りリングとマウントの工作精度。
一般家庭用レンズにはない、
ハイエンドな要求仕様追求のために存在した、ためいきは究極の美しさだ。
径73mm ピッチ0.75mmのネジマウントでカメラに装着できる。
当時のセールスマニュアルを見てみると、
「リプロニッコールは、大口径比、高解像力の等倍撮影およびリレー専用のレンズです。
原画から画像までの距離により、
85mm F1.0および170mm F1.4の2種のレンズが用意されています。」
と説明がある。
また、
「等倍撮影においては他のいかなるレンズの追従も許さない極めて優れた性能を示します。」
と言い切ってしまう大胆な心意気がうれしい。
世界中のレンズ、原子レベルの存在を確かめられるレンズさえも、
このリプロニッコールの足元にも及ばないのである。
1968年6月の資料からの記述であるが、
日本人はこういった武士の誇りを忘れてしまったのではないか。
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レンズは冷たい水の音
よいレンズはなめらかで、そして冷たい。
よく冷えたレンズを冥王星の軌道に向き合って置いてみる。
リプロニッコール170mm F1.4のレンズはガラスブロックのような、透明な水が写る。
木々を交差する光の波動は、プラチナシルバーの頑強な鏡胴に反射し、
神々しいまでに冷紫色のコーテングが至福の午後の光線に込めた記号を解析した。
レンズはただのガラスと思っている人もいる。
そう思うのは自由であるし、また、レンズは水と思うのも自由だ。
水のような清清としたレンズもそうあるものではないが、
リプロニッコール170mm F1.4の前玉に耳をあてると、
どう考えても水の流れにしかおもえない音がきこえる。
理屈ではありえない話だが、ありえない話を聞いても、気分がよければそれでよしだ。
下の画像がリプロニッコール170mm F1.4の前玉である。
水の音が聞こえるようにかんじるのであれば、それはそれで幸福なことだ。
音が聞こえないのであれば、そこはそれ、
これから聞こえるかもしれない楽しみがあるではないですか。
Special Thanks Mr. Cyotoku Tanaka
Repro Nikkor 170mm F1.4, Sound of Water from Lens
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Copyright Akiyama Michio, Tokyo Japan 2002
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