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■Ultra Micro Nikkor Technology
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マイクロ写真から超マイクロ写真へ
グランドヒストリーでは簡単に書いたが、日本光学が最初にリリースした
ウルトラマイクロニッコール105mm F2.8は、
高周波トランジスタ用のエバポレーション・ネガマスクの作製が目的だった。
以後は微細なフォトマスク製作用、つまり超マイクロ写真用に開発が進められていった。
当時の線幅は1〜3μmだ。
ウルトラマイクロニッコールのテクノロジーについて、
いくつかの観点でかんたんにまとめてみたいと思う。
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レンズの明るさと解像力のこと
カメラファンの常識、あるいは一般的な感覚として、「レンズは絞り込むとシャープになる」、
というのがある。
であるから、超高解像度レンズの開発は、
明るさを犠牲にして高解像度を追求することが考えられるが、
このハイエンドな世界ではそれが通用しない。
収差の非常に少ないレンズの場合は、絞り込むほどに解像力が低下する。
高い解像力を持つためには、レンズが明るいことが絶対条件なのだ。
以下のかんたんな式を見てほしい。
収差の極めて少ない優秀なレンズが波長λmmの光で被写体を結んでいる。
FeはレンズのFナンバーの実効値。
その画面中心部の解像力は、以下のかんたんな式で表現できる。
解像力=1/1.22λFe (本/mm)
被写体が無限遠にある場合は、FeはFと一致するが、
被写体が近距離にあって撮影倍率M倍の場合には、おおよそ以下の式になる。
Fe=F(1+M)
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光の波長と解像力のかんけい
前述の式より、Fナンバーの実効値を計算してみると以下の表のようになる。
この表から、高い解像力を必要ならばFeの値が小さいこと、つまり、
レンズが明るくなくてはならないことが理解できるだろう。
また、同じFナンバーだと光の波長を短くするほど高い解像力が得られる。
*表中のe-lineからh-lineで示す値は、解像力(本/mm)を示している。
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有効 F No.
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e-line
λ=546.1mμ
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g-line
λ=435.8mμ
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h-line
λ=404.7mμ
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1.0
1.2
1.4
2
2.8
4
5.6
8
11
16
22
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1,5601
1,251
1,072
750
536
375
268
188
136
94
68
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1,881
1,567
1,343
940
672
470
336
235
171
118
85
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2,025
1,688
1,447
1,013
723
506
362
253
184
127
92
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e線とg線
短い波長ほど高い解像力が得られることがわかったが、利点ばかりではない。
銀塩乳剤を使った高解像度乾板では、短波長の光ほど粒子による錯乱が多くなり
画像にニジミを生じさせ像の鮮鋭度が低下する欠点があった。
銀塩乳剤ではダメならばということで、
フォトレジスト(感光性樹脂)を使うことが考えられた。
製品も銀塩乳剤用のレンズとしてのe線用ウルトラマイクロニッコールが、
感光性樹脂用のレンズとしてのg線用ウルトラマイクロニッコールが
当時のカタログに登場する。
このあたりが理解できていないと、なんで似たようなレンズが重複しているか、
という疑問に答えられないのだ。
Ultra-Micro-Nikkor 28mm F1.7e, Collector's Dream Rare Lens
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種類
e線とg線用が明確に区別された1971年の資料から、以下のリストを掲載する。
個人的なコレクションには、銀塩乳剤用のe線タイプが好ましいが、
g線用と比べたわけではない。
一眼レフカメラにカラーフィルムを詰めて自然界と対峙するには、
e線用ウルトラマイクロニッコールがいいかもしれない。
e線用ウルトラマイクロニッコールの解像度
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種類
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基準倍率
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画像サイズ
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空中解像力
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28mm F1.7e
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1/10X
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8mmφ
6mmφ
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700本/mm
800本/mm
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28mm F1.8e
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1/10X
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8mmφ
7mmφ
6mmφ
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600本/mm
650本/mm
700本/mm
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30mm F1.2
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1/25X
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2mmφ
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1250本/mm
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50mm F1.8e
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1/5X
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14mmφ
12mmφ
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500本/mm
600本/mm
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55mm F2
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1/4X
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12mmφ
|
500本/mm
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125mm F2.8
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1/25X
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28mmφ
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400本/mm
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135mm F4
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1/25X
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50mmφ(F4にて)
64mmφ(F5.6にて)
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330本/mm
200本/mm
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155mm F4
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1/10X
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56mmφ(F4にて)
80mmφ(F5.6にて)
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300本/mm
200本/mm
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165mm F4
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1/40X
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56mmφ(F4にて)
80mmφ(F5.6にて)
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300本/mm
200本/mm
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250mm F4
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1/20X
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80mmφ
(F4にて)
100mmφ
(F5.6にて)
110mmφ
(F5.6にて)
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320本/mm
220本/mm
180本/mm
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g線およびh線用ウルトラマイクロニッコールの解像度
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種類
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基準倍率
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画像サイズ
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空中解像力
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28mm F1.7g
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1/10X
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8mmφ
6mmφ
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800本/mm
900本/mm
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28mm F1.8h
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1/10X
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8mmφ
7mmφ
6mmφ
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750本/mm
800本/mm
900本/mm
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30mm F1.2h
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1/25X
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3mmφ
2mmφ
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1300本/mm
1600本/mm
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50mm F1.8h
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1/5X
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14mmφ
10mmφ
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650本/mm
800本/mm
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225mm F1.0g
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1X
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50mmφ
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400本/mm
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300mm F1.4g
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1X
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60mmφ
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400本/mm
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理想レンズ・ウルトラマイクロニッコール
ウルトラマイクロニッコールは理想レンズに近い特性を持っている。
数値特性を知らなくてもよい。
往年のレコードもたいせつだが、生き延びたレンズには生きがいが必要だ。
働いてきたレンズだ。
その扱いは、敬意をもって接したい。
けっして失礼があってはならない。
レンズのなかにも礼儀あり。と、むかしの人は言っている。
日本刀は武器だ。言ってみれば人を斬るために存在する。
しかしいま、その役割はない。
美術品として、そしてもっと精神性のある存在に昇華している。
ウルトラマイクロニッコールも同じことが言える。
いまさら、時代の装置にセットすることもない。
日本の春夏秋冬。日本の歳時記のなかで、使うことがよい。
癒し系レンズなのかもしれない。
本物は、生きつづけるものだ。
写真は、ウルトラマイクロニッコール55mm F2。
解像度 500本/mm の驚異的性能のスーパー標準レンズだが、姿はやさしい。
新潟の米どころ、初夏は田んぼで休憩中にスナップ。
研ぎ澄まされたコーテングに鎮守の森がうつっている。
Ultra-Micro-Nikkor 55mm F2, in Japanese Early Summer Time
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