■Ultra Micro Nikkor 55mm F2 Two of Us

Ultra-Micro-Nikkor 55mm F2, Two of Us, Super High Resolution Superb Lens

Ultra-Micro-Nikkor 55mm F2 Two of Us

The Superb Lens

Grand High End

Super Resolution

Nippon Dreaming

55mm F2

Ultra-Micro-Nikkor

美しいものは高性能

ウルトラマイクロニッコール55mm F2を2本置いてみる。
もともと、ウルトラマイクロニッコールはすべて美しい。
様式美が完結しているところは、さすがというしかない。

美しさの原点は鏡胴にある。
じつに頑強に造られている。
超高精度なレンズブロックを収納するためには、 オーバースペックに思える真鍮削り出し鏡胴が必要だったのだ。
ライカスクリューマウントの加工は、極限まで精度が高い。
鏡胴の後半がクロームめっきの金属ブロックになっている構成は、 60年代だから造れた美術品だ。

前期時代のウルトラマイクロニッコールは、絞りがあったので、 カメラファンにはなじみやすい。
絞りも半絞りづつ小気味よいクリックがあり、 より精密感をかんじる仕組みになっている。

美しさはコーテングにも表れている。
太古の群青から、山清水の蒼く清い、パープルバイオレットコーテングだ。
美しいものは高性能といわれるが、 ウルトラマイクロニッコールを手に取り眺めてみると、事実であることがわかる。

はかない命

私のこれまでの調査では、 日本国内でウルトラマイクロニッコールが保存されている事実はない。
おそらく70年代なら捕獲できたかもしれないが、 もはや絶滅したと推測される。
救済するのが遅かったのか。

いや違う、日本では前時代の装置を破壊するのが、あまりにも早すぎるのだ。
米国からの報告によると、ウルトラマイクロニッコール55mm F2を装着した測定機器を つい最近まで工場で使っていたという。
使っていた技術者本人の情報であるから確かだろう。
「あのレンズは本当にすごかった」と語っていたが、わかる人はわかっていたようだ。

ここに写っている2本のウルトラマイクロニッコール55mm F2はともに前期型だ。
後期型になると、レッドポイントが刻印される。
M=1/4と赤い刻印があるのはレンズ番号No.560000番代で見られる。
レンズ番号No.550824とNo.550365では、外観上の違いはない。

2本とも海外から里帰りしたものだ。
左のレンズはオランダから、そして右のレンズはイタリアから帰ってきた。
ものをだいじにするヨーロッパ諸国にいて生き延びていたレンズである。
私は、「よく生きていたね」と声をかけた。

希少性ゆえに消える運命なのか、希少性ゆえに残るケースもある。
そのためには、情報が重要である。
さいきんの例では、 ウルトラマイクロニッコール55mm F2がオーストリアのウイーンに出現したのを確認した。
さすがに3本目は捕獲しきれなかったのだが、 本Webサイト経由の情報によりこのレンズは日本の同好の方の手に渡りよかったと思う。

デジタルでよみがえる超高性能

米国の著名な自然写真家の方は、 ウルトラマイクロニッコール55mm F2をニコンD1およびニコンD1Xと組み合わせて、 非常にクオリテイの高いマクロ撮影を行っている。
彼のウルトラマイクロニッコール55mm F2に対する評価はベタ誉めである。
開放から目ざましく鋭い、ずば抜けたレンズと断言しているが、 ウルトラマイクロニッコールに傾倒している職業写真家がいることは心強い。

説明するまでもなく、ニコンD1およびニコンD1Xは一眼レフ式のデジタルカメラだ。
デジタルで、前時代のスーパーハイエンドレンズがよみがえるのは、すばらしい。
もちろん現在でもニコンをはじめ各社から性能のよいマクロレンズが販売されているが、 高性能を越えて、極超高性能となると、 1960年代に製造されたウルトラマイクロニッコールしか選択肢がないのである。

超マクロ撮影では、条件がごくわずか変わっただけで写りが変わるほどシビアである。
こういった状況では、デジタルカメラの即時性が非常に効果的だ。
撮影してすぐ写りが確認できるため、その場で撮影条件の見直しが可能であり、 狙った映像をかくじつに記録することができる。

デジタルでウルトラマイクロニッコールがよみがえるのはうれしいことだ。
これはただの懐古趣味とか物好きではなく、超高性能を手にするためによみがえるのだから、 ウルトラマイクロニッコールの名誉回復といえる。
本物は朽ちないとは、こういうことなのだ。

不思議な妖気

ウルトラマイクロニッコール55mm F2を2本置いてみる。
空気がかわる。
レンズの持つ清浄作用のせいかもしれない。
地磁気の位置関係が動き、地球の存在に気がつく。
この、不思議な妖気はなんだ。

パープルバイオレットのコーテングも、いよいよ輝いてきた。
ガラスと金属でできた物体としてみたら、これはただのレンズであるが、 人間の想いとか魂の連鎖に光をみるならば、 レンズではなく豊穣の光装置に昇華していることに気がつく。

ウルトラマイクロニッコール55mm F2。
まだ捕獲の可能性が28mm F1.8に次いで高い。
世界のどこかで眠っている。
寝た子を起こせ、と人はいう。
寝たまま、光を見ずに葬ることは人のすることではない。

Back to RED BOOK NIKKOR


Copyright Akiyama Michio, Tokyo Japan 2002