●●● BSS『アレクセイの花園』バックログ ●●●


● 2004年7月上
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ヒートダウン・ヒートアップ 投稿者:ホランド  投稿日: 7月 8日(木)22時01分52秒

 みなさん、こんばんは! このところサーバトラブルに翻弄されているここ「花園」ですが、早く安定してくれるといいですね。さっぱり雨の降らない夏日が続いているから、コンピュータもヒートダウン(?)しちゃったのかな?

 さて、それに比べて、ますますヒートアップしているのが、園主さまとはらぴょんさまとの間で現在も進行中の討論・笠井潔をめぐってです。
『ヒートアップ』って言っても、喧嘩になっているわけではないので、どうぞご安心下さい。園主さまはいつもどおり、時々厳しいツッコミを入れていますが、はらぴょんさんの方はマイペースを堅持しており、まったく違ったタイプの二人によるコラボレーションが、笠井潔というテーマをめぐって、うまい具合にアンサンブルを奏でているようです。

 どちらもそれぞれに引き出しを持っているようなので、もうしばらくは「笠井潔をめぐる議論」は続きそうですね。どうぞ、みなさんもご注目下さい。……喧嘩すれば面 白いのに、なんて邪念ぬきで(笑)。





 素朴な疑問者さま
 はじめまして、ようこそいらっしゃいました!

> 笠井氏のように「権威に囚われる事の少ない、行動派の左翼的感性者」に好意を抱いている者として、率直な御意見を申し上げました。

とのことですが、それってここでは、とっても貴重な意見で、その意味では、ご意見の表明はとても価値のあるものだと思います。

ただ、ご意見には根拠がまったく示されておらず、ただ笠井潔批判者である園主さまに、難癖をつけているだけとしか見えないのは問題です。せっかく理論家である笠井さんのファンなんですから、もうすこし論理的に、園主さまの意見を批判否定していくべきではないでしょうか。それから、特にさしつかえがないのなら、こんなうさん臭いハンドルネームはやめるべきでしょうね。でないと、よけいに信用されませんよ。

 ともあれ、討論・笠井潔をめぐっては、黒猫掲示板の方で現在も進行中ですので、いっそのこと、そちらの方へ、笠井潔支持者を代表して、殴り込みをかけてみてはいかがでしょうか? 意見を同じくするもの同士の対話よりは、立場を異にする人が一人でも加わった討論の方が、絶対おもしろいものになると思いますし(笑)。



 Keenさま
> 待つ

 ありがとうございました。
 サッカーも終ったことですし、いつまでも待たせないで、早く復帰して下さいね(笑)。



 園主さま
> 『田中幸一「地獄は地獄で洗え…… ――笠井潔批判」。これを読んだ笠井委員は怒り心頭に発して、破門を言い渡したそうである。』

>              (第三回創元推理評論賞・選考委員 法月綸太郎の選評より)

 そう言えば・・・「おっさん、勘違いするなよ。俺がいつ、おまえの弟子になったって言うんだ。俺は、ヘタレの法月綸太郎とは違って、おまえの小判鮫なんかじゃねえんだからな。反論できると言うんなら、相手してやるから、いつでもかかってこんかい!」とか言ってましたよね、昔・・・(^-^;)。





 ではでは、みなさん、おやすみなさい(ハート)。


復旧のご報告とお願い 投稿者:園主  投稿日: 7月 8日(木)17時34分54秒


 みなさま

またもや、掲示板レンタル会社のサーバトラブルのために、昨深夜0時ごろから本日の午後2時半ごろまでの長時間にわたり、当掲示板へのアクセスができなくなっておりました。

昨夜、トラブル発生直後に、掲示板レンタル会社の方へ、トラブル確認のメールを打っておきましたが、掲示板システムのお知らせ掲示板(メンテなど)にトラブル発生の告知がなされたのは本日の正午ごろで、対応の遅れが目立ち、そのせいか今回は、復旧報告の書き込みにも、トラブルの発生時間を明記しておりませんでした。

わずか2日ほどで、同じサーバにトラブルが発生している点を考えますと、当分の間はこのような不安定な状態を覚悟しておいた方がよいのかも知れません。みなさまにはたいへんご迷惑とご心配をおかけしますが、斯様な状態ですので、ご自身の書き込みはご自身でログを取っておいていただくなど、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。


=========(Tea Cup Communication掲示板システムのお知らせ掲示板より)=========

80xxサーバー復旧のお知らせ 投稿者:admin 投稿日: 7月 8日(木)14時44分42秒


本日14時半頃、80xxのサーバーの復旧作業が完了いたしました。
現在は正常に稼動しております。

ご不便、ご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。


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80xxサーバー障害発生のお知らせ 投稿者:admin 投稿日: 7月 8日(木)12時03分6秒


ただいま80xxサーバーにて障害が発生しております。
これにより、サーバーネーム80xxの掲示板・チャット・マイページ・メッセージBOXが現在ご利用できなくなっております。

ご迷惑をおかけしていますが、現在復旧作業中ですのでもうしばらくお待ちください。


--------------------------------------------------------------------------
80xxサーバー障害発生のお知らせ 投稿者:admin 投稿日: 7月 5日(月)13時55分48秒


本日午前6時15分頃より、80xxサーバーにてハードウェア障害が発生致しました。
午後1時45頃に復旧作業を完了し、現在は正常稼動しております。

このため、上記時間帯にサーバーネーム80xx掲示板・チャット・マイページ・メッセージBOXがご利用できませんでした。ご不便、ご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。




http://homepage2.nifty.com/aleksey/LIBRA/index.htm


お詫び 投稿者:園主  投稿日: 7月 8日(木)17時05分24秒


 素朴な疑問者さま


レスの宛名を『素朴な訪問者』と誤記しておりました。謹んでお詫びいたします。

「バックログ」収録時に訂正いたしますので、ご勘弁下さいまし。





http://homepage2.nifty.com/aleksey/LIBRA/index.htm


彼我の差(7) 投稿者:園主  投稿日: 7月 7日(水)19時45分11秒


 Keenさま
> 待つ

お心づかい、まことにありがとうございます。
ホランドくんは、本当に果報者でございましょう(笑)。



 ホランド
> これも、もうひとつの田中幸一節ですよね。「泣かせ」の方じゃなくて、「脅し」の方の(笑)。

人聞きの悪い言い方をするな。私は単に「中味の伴わない大物ぶり」が大嫌いな「実力主義者」なだけで、「ミステリ界の前田日明」だというわけではないんだからな(笑)。





それでは、みなさま、おやすみなさいまし。

http://homepage2.nifty.com/aleksey/LIBRA/index.htm


彼我の差(6) 投稿者:園主  投稿日: 7月 7日(水)19時44分33秒


 素朴な疑問者さま(つづき)

それでは、私からも『素朴な』質問をひとつ。

人に教えを乞うのに、どうして貴方さまは「匿名」なのでございましょうか?
こうした点からも、笠井潔を『権威に囚われる事の少ない、行動派の左翼的感性者』と評価して『好意を抱いている者』の見識が疑われる、とはお考えにならなかったのでしょうか?
実名などのプライバシーを明かせとは申しませんが、捨てメールアドレスではない、日頃使っているメールアドレスくらい示して見せるのが、人に教えを乞う者、あるいは、他人を批判する者の、最低限の礼儀だとはお思いにならなかったのでございましょうか?

私の場合、笠井潔は私の住所・氏名を知っておりますし、面識もございます。これは笠井潔と同じく「創元推理」評論賞の選考委員だった、法月綸太郎や巽昌章(ともに京大ミス研出身)についても同様で、この二人とも、面 識もあれば住所・名前も伝えてあります。法月とは個人的に飲んだこともあるし、巽の家には何度も遊びに行っておりますよ。評論賞を落選させられてからも。――つまり、私の批判は、物陰から石を投げつけるような種類のものではなく、真っ向から勝負を挑んだものなのだ、ということなのでございます。

拙論恃衆、あるいは 一票の重みと党派の暴力――ある「探偵小説研究会」所属評論家の弁にも書きましたが、どうして笠井潔支持者は「匿名」でしか、私にもの申せないのでございましょうか? やはりこれは「類は友を呼ぶ」ということなのでございましょうか?


ちなみに、私と はらぴょん氏との間で現在進行中の討論・笠井潔をめぐっては、「笠井潔の現実」を考える上で、きっと参考になるものと存じますので、こちらもぜひお読みになって下さいまし(笑)。


(※ なお、引用文中の「文字化け」は、そのまま引用させていただきました。マックでは「○囲みの数字」は、このように化けるのでございます)





( 以下は「彼我の差(7)」につづく)


彼我の差(5) 投稿者:園主  投稿日: 7月 7日(水)19時43分47秒


 素朴な疑問者さま(つづき)

> 京都大学ミス研ばかり贔屓されるという事には作品の内容への言及が成されていないと思いましたので。

よく意味の取れない文章でございますが……ともあれ、私は一度も『京都大学ミス研ばかり贔屓される』などとは申しておりません。それは、拙論笠井潔が、真に望んだこと。―― 往復書簡『動物化する世界の中で』に見る、笠井潔の欺瞞性をまともに読んでいただければ、明らかなことでございましょう。

しかし、それでもお分かりいただけない方のために、こんな説明をしておきましょう。

 ・ 笠井潔によって『京都大学ミス研ばかり贔屓される』

ということと、

 ・ 笠井潔によって「組織された「探偵小説研究会」や「本格ミステリ作家クラブ」に、京都大学ミス研出身者が、わりあい多い」

ということとは、同じではない。


> あれほどの文章が書けるのならぜひとも御自身の完成した作品を拝見させて戴きたいのですが…

『自身の完成した作品』としての「評論」を、何度もお読みいただいているのではなかったのでしょうか?(笑)

いえいえ、わかっておりますとも。つまり、私に「書けるものなら、(ミステリ)小説を書いてみせよ」とおっしゃりたいのでございましょう?
――これなどは「まともな著作も持たない書評家ごときが、私を批判するな」と(いう主旨の)発言をした笠井潔(『ミネルヴァの梟は黄昏に飛びたつか?』)の信奉者らしい「もの言い」だと存じます(笑)。

つぎに、

> 後気になったのは、「政治をやるのが許せない」という批判は「全く意味を成さない」と思うのですが…

また、議論の前提が、間違っております。私は『政治をやるのが許せない』などとは申しておりません。「政治的な力の行使によって、アンフェアなことをするのは許せない」と言っているのでございます。
このことについても、上記の笠井潔が、真に望んだこと。を最後まで読んでいただければ、普通 はご理解いただけるものと存じます。

> 実際ここでアレクセイ様が行なっていらっしゃる行動も「反笠井派の政治活動」に近いものがあると疑念を抱きます。

「(本来の)政治」活動と「悪しき政治的活動」との区別がついていない貴方さまには、当然のことながら笠井潔が行っている「悪しき文壇政治」としての『政治活動』と、私が「個人」で行っている「批評活動」との区別 もつかないことでございましょう。

> アレクセイ様は所謂「政治」(×政治家)についてどのようにお考えなのでしょうか?村上龍のように「政治家にはなるな」と受け取られ兼ねないメッセージを発し続けるお考えなのでしょうか?

『受け取られ兼ねないメッセージを発し続けるお考えなのでしょうか?』とのお尋ねですが、私には、読者の「読解力不足」の責任までは負いかねる、とだけ申し上げておきましょう。


> 笠井氏のように「権威に囚われる事の少ない、行動派の左翼的感性者」に好意を抱いている者として、率直な御意見を申し上げました。

ありがとうございます。現在の笠井潔を、このように高く評価する人とは、一体どういう人なのか、が大変よくわかるご感想をいただけて、私も心より感謝しております。

> 若者にこれ以上政治アレルギーが増加すれば、日本の将来に希望は見出せません。

まったくでございますね。しかし、若者の間に『政治アレルギー』を蔓延させたのは、笠井潔のような「悪しき政治屋」なのでございます。ですから、私は、笠井潔を批判するのでございますよ。

> 大変恐縮なのですが、私の笠井氏への認識におかしな部分があれば修正を宜しくお願いします。

ご自身のお考えは、ご自身でしか『修正』できないものなのでございます。そこを、よくよくご検討下さいまし。





( 以下は「彼我の差(6)」につづく)


彼我の差(4) 投稿者:園主  投稿日: 7月 7日(水)19時42分29秒


 素朴な疑問者さま
はじめまして。ようこそ、いらっしゃいました。
なかなか「含蓄のあるハンドルネーム」でございますね(笑)。

いろいろとご質問やらご感想をいただき、

> それでは御返事をお待ちしております。

とのことでございますが、結論から申しますと、貴方さまに対し、個人的にご回答やらご説明をするのは、時間の無駄 だと、私は考えます。なぜならば、貴方さまは、

(1) 私(アレクセイ・田中幸一)が、すでに説明済みの事項について説明を求めており、私の文章をろくすっぽ読んでいない

のが明らかであり、その意味で、

(2) 貴方さまが、他人に教えを乞う場合の(社会人としての)基本的な礼儀をご存じでない

のが、明らかだからでございます。例えば、

> アレクセイさんの書き込みを見て、感想を述べさせて頂きます。
> @あそこまで笠井氏を手厳しく糾弾するのは、笠井氏の元熱烈ファンとしての心境の裏返しなのでしょうか?

このことについては、私はこれまでに何度も「そういう意味合いが大きい(つまり、それがすべてでもない)」という主旨のことを書いております(※ 真に笠井潔的なるものは、反・笠井潔的である(1)〜(2)等)。
つまり、貴方さまのこのご質問は、「Aである」と言った相手に「Aなのですか?」と質問するのと同じ、まったくの無内容なのでございます。

> Aあるいは御自身の「作品の発表の場を潰された、作品が落選した」等、個人的な恨みでもあるのでしょうか?

これも、事実に則さない、礼を失した「無根拠な憶測」表明でございます。つまり、私には、笠井潔によって『自身の「作品の発表の場を潰された、作品が落選した」等』の事実がないのでございます。

たしかに私は、「創元推理」評論賞に二度3本応募して落選しておりますが、それは、その論文の内容が、初めから「笠井潔が押し進めているようなミステリ評論のあり方」や「笠井潔」そのものを手厳しく批判するものだったからでございます。
つまり、私は初めから、落選させられるのを覚悟の上で、今と変わらぬ自分の意見(笠井潔批判)を書き送ったのでございますから、落とされて怨みに思う理由など、もとより無いのでございます。むしろ「落とされるのが自然」な投稿だったのでございますからね(笑)。
また、そのようなものでなければ、笠井潔選考委員が、私の論文「地獄は地獄で洗え…」を読んで、

『田中幸一「地獄は地獄で洗え…… ――笠井潔批判」。これを読んだ笠井委員は怒り心頭に発して、破門を言い渡したそうである。』

(第三回創元推理評論賞・選考委員 法月綸太郎の選評より)


ということになるはずもございません。
笠井潔は、私が彼のファンであることを事前に知っておりましたから、入選させてもらうために笠井流に「媚びた評論」を書いてくることはあっても、よもやあそこまで徹底的な批判を展開するとは思ってもみなかったのでございましょう。だからこそ、彼は「飼い犬に手を噛まれた」とでも勘違いして、激怒したのでございます。

ちなみに、もう一人の選考委員である巽昌章は、落選した拙稿について、次のように語っております。

『やはり選考委員への挑戦といえるのが、田中幸一「地獄は地獄で洗え…… ――笠井潔批判」だった。これは、最近の笠井氏の言動を取り上げて、「身内に甘い」傾向がみえると指摘するものである。最近の「論壇」の状況をよくすくい上げて一貫した文章にまとめているし、単なるゴシップではなく、笠井作品への読み込みを感じさせる点、また、馴合いではない批評という正論が根底にある点で、私は好感を持つ。』

(第三回創元推理評論賞・選考委員 巽昌章の選評より)


――つまり、私のしたこととは「笠井潔が私の論文を落選させる前に、私が笠井潔という人間を落選させた」ということなのでございますよ(笑)。





( 以下は「彼我の差(5)」につづく)


彼我の差(3) 投稿者:園主  投稿日: 7月 7日(水)19時41分26秒


 影姫さま
> 限定本の読み方

たいへん素晴らしいアイデアだと存じます。感心いたしました。

ホランドくんが書いておりましたとおり、えてして限定本というのは、買ったその日にひととおり眺めて、硫酸紙でカバーを掛けたら、そのまま整理用の段ボール箱に収めてそれっきり……、でございますからねえー(^-^;)。

> さてみなさんも新潮文庫の「YONDA?」ではありませんがこの夏普段あまり読まない作家の本をお読みになるのも一興と存じます。では。

なるほど。しかし、いろんなジャンルで好きな文筆家がおり、その新刊を読みこなすことすら満足にできていない現状では、それも難しゅうございましょうね。たとえば本日も、京極夏彦の『百鬼徒然袋 ― 風』(講談社ノベルス)、ノーム・チョムスキー『秘密と嘘の民主主義』などの新刊を買ってまいりましたし……。

――もっとも、いま読んでいるのは片岡義男でございまして、この作家は、前回読んだのが昭和60年ですから、じつに17年ぶりの2冊目ということになります。
しかし、前回読んだのは、当時、劇場用アニメ化のなされた青春小説『ボビーに首ったけ』(角川文庫)であり、今回読んでいるのは、日本とアメリカの現状を「言葉」に着目するところから言分けしたエッセイ集『影の外に出る――日本、アメリカ、戦後の分岐点』(NHK出版)でございますから、「ひさしぶりに片岡義男を読んでみた」というのとは、ちょっと意味合いが違うようでございます(笑)。





( 以下は「彼我の差(4)」につづく)


彼我の差(2) 投稿者:園主  投稿日: 7月 7日(水)19時40分28秒


このように「公正性の確保」に徹して、「(政治的)有力者へのごますり投票」や「組織票」などを断じて許さない態度が、MWA賞の権威を保証しているのでございますが、では、日本の「文学賞の現実」はどうなのかと申しますと、笠井潔が、

『野間賞や谷崎賞を代表格とした文学賞は、日本の小説市場における非関税障壁の、あるいはダンゴーやケーレツのシステムの悪しき象徴ではないだろうか。
 それらには、もはや文学的価値の尺度という意味などない。選考委員がまわりもちで受賞しているような、「文壇」的ダンゴーとケーレツの産物にほかならない「賞」が、はたして文学賞の名に値するだろうか。それは芸術院会員や文化勲章にいたる、国家に保証された権威大系に組み込まれた、その下位 階梯をなしているものにすぎない。
 文学賞による権威の分配機構と、公共土木事業の分配機構は、基本的に同型のシステムをなしている。後者に金丸信のような調整役が存在したように、前者にも同様のキャラクターが要請されるのはとうぜんのことだろう。噂によれば「文壇の人事部長」某氏が、その役割を演じているそうだ。』 (『国家民営化論』)


と書いているとおりで、しばしばそれは「党派的政治性」が幅をきかせる、いたって「不公正」なものになっているようなのでございますね。
では、こう批判する笠井潔自身が、賞の立ち上げに深くかかわった「本格ミステリ大賞」は、どうなのでございましょう?

今回ご紹介いたしました「MWA賞」と、私の批判する「本格ミステリ大賞」とが、どれほど違っているのか。――それを、多くのミステリファンのみなさまに(拙稿笠井潔が、真に望んだこと。『2004 本格ミステリ・ベスト10』の舞台裏などをご参照いただいた上で)真剣にご検討をいただければ、アメリカのそれに恥じない、日本のミステリ界の健全な発展に、多少は益することにもなるのではないかと、私は斯様に考えるのでございます。





( 以下は「彼我の差(3)」につづく)

 


彼我の差(1) 投稿者:園主  投稿日: 7月 7日(水)19時39分44秒

みなさま、私は、かねがね機会あるごとに本格ミステリ大賞(本格ミステリ作家クラブ 主催)の「お手盛り」性を批判してまいりましたが、今回はそれと比較すべき事例をご紹介したいと存じます。

「本格ミステリ大賞」と好対照とも言ってよい「健全さ」を保っているミステリの賞とは、先般 、桐野夏生の『OUT』がその候補作になって、日本でも広く注目された、アメリカ探偵作家クラブ(Mystery Writers of America)の主催する「アメリカ探偵作家クラブ賞」つまり、MWA賞でございます。


『 MWA賞は俗に「ミステリー界のアカデミー賞」とも呼ばれているが、どこが同じで、どこが違うのだろうか? アカデミー賞は会員の「人気投票」に近いが、MWA賞は全会員の投票で決めるのではなく、作家仲間である選考委員が候補作と受賞作を決定するのである。では、二〇〇二年度の長編小説部門に関して述べてみよう。
 まずMWA副会長がMWA賞委員長を指名し、本部の理事会の承諾を得る。そして、承認されたMWA賞委員長が部門別 の選考委員長を探す。この場合、性別と地域とジャンル(男女、東海岸と西海岸と中部と南部、警察ものとサスペンスものと素人探偵ものと私立探偵もの)の面 で偏りがないようにバランスを取らなければならない。それぞれの選考委員長はまたもや性別 と地域とジャンルの面で偏りがないように、選考委員(長編小説部門では七人)を捜す。選考委員長と委員の資格は、まずMWA正会員であること(つまり、ミステリー関係の小説やノンフィクションを発表して、原稿料か印税をもらったことがあること)。そして、選考にベストを尽し、公平で倫理的に選考すること。しかし、対象になる長編小説は〇二年度で四百作以上に及び、無償で(!)ほとんど一年じゅう選考しているわけだから、創作の仕事ははかどらないし、収入が少なくなることを覚悟しなければならない。締切日が迫っていたり、その部門で自分の作品が有力候補だと思う会員は辞退する場合もある。つまり、選考委員の作品はその部門において選考対象から外されるのである(ほかの部門ならよい)。
 そのほか、MWA賞委員長とそれを指名するMWA副会長の作品はあらゆる部門において選考対象にならないが、会長の作品は選考対象になる。つまり、現会長コナリーは自分の作品を候補作から外す必要はなかったのだが、第三者に公正性を見せるために仕方がなかったのであろう。』

(木村仁良「MWA賞の内幕を暴け!」より、講談社『IN・POCKET』2004・3月号所掲)


つまり、この木村仁良の文章(の、中見出しのひとつ)にもございますとおり『徹底的な公正さが権威をささえている』のが、MWA賞なのでございます。





( 以下は「彼我の差(2)」につづく)


待つ 投稿者:Keen  投稿日: 7月 7日(水)19時24分19秒

「ホランド」
後ろから呼びかけられて飛び上がりそうになったボクに、アリョーシャが言う。

「なに驚いてるんだ?お前この頃元気ないぞ、食も落ちてるし。ホラ、これなら食えるだろう」
ボクの大好物の、かぼちゃプリン。このところ暑くなってきたから、アリョーシャ、気を回してくれたんだ。でも……

「ありがとう。でも、今はいいや。冷蔵庫入れといてくれる?」
「お前なあ、そうやって携帯ばっかりいじくって、でなけりゃボーッとしてるし、どうしたんだ?」
「……待ってる」
「ん?」
「待ってるんだ……着信じゃなくても、メール届いてないかな、ってチェックして……でも、ちっとも来なくって……」

声が喉にぐっとつまり、目の奥から暖かいものが湧いて来るのがわかる。ダメだ、どうしてアリョーシャの前だと、自分を抑えられないんだろう。ボクは黙って、うつむいていた。しばらくしてから、アリョーシャの指がボクの髪をくしゃくしゃに掻き回し、ボクが顔を上げると、静かに話し始めた。

「ホランド、『この世の二大暴君とは、偶然と時間である』って言葉、知ってるか?不意の一撃で殴り倒すのが「偶然」ならば、いつ終わるとも知れぬ 待つという行為を通して、慢性疾患のように人を苛むのが「時間」なんだと。だがな、「時間」はそれだけじゃないんだぜ。中井英夫の『香りの時間』に「待つ」ってタイトルの断章があったの、覚えてるだろう。

 月日は流れ、私は残る、だ。

  龍舌蘭の陰なる時計職人はま白き鼠族の歯をもてるかも
  こじあけし時計のうちらに小機械薄荷みじろぐさまにうごきゐつ

 葛原妙子のそんな歌をくちずさむとき、香り高い時間というものも稀れには訪れてくるものだと、ただ待つほかに出来ることはないのだから。
  待つ、だんだん衰える、見守る。
  wait, waste, そして watch.
  …………

まあ、お前の気が済むまで待てばいいさ。それにしても、お前をそんなに待たせるなんて、ずいぶんと贅沢な相手だな」

それから、ついでみたいに付け加えた。
「俺はお前を待たせたりしない」


こんにちは 投稿者:素朴な疑問者  投稿日: 7月 7日(水)13時06分6秒

こんにちは、とある20代男性から「笠井氏について色々語って欲しい」というような主旨の相談を受けた為、色々調べていてここの存在を知りました。

アレクセイさんの書き込みを見て、感想を述べさせて頂きます。
@あそこまで笠井氏を手厳しく糾弾するのは、笠井氏の元熱烈ファンとしての心境の裏返しなのでしょうか?
Aあるいは御自身の「作品の発表の場を潰された、作品が落選した」等、個人的な恨みでもあるのでしょうか?京都大学ミス研ばかり贔屓されるという事には作品の内容への言及が成されていないと思いましたので。
あれほどの文章が書けるのならぜひとも御自身の完成した作品を拝見させて戴きたいのですが…

後気になったのは、「政治をやるのが許せない」という批判は「全く意味を成さない」と思うのですが…
実際ここでアレクセイ様が行なっていらっしゃる行動も「反笠井派の政治活動」に近いものがあると疑念を抱きます。
アレクセイ様は所謂「政治」(×政治家)についてどのようにお考えなのでしょうか?村上龍のように「政治家にはなるな」と受け取られ兼ねないメッセージを発し続けるお考えなのでしょうか?

笠井氏のように「権威に囚われる事の少ない、行動派の左翼的感性者」に好意を抱いている者として、率直な御意見を申し上げました。
若者にこれ以上政治アレルギーが増加すれば、日本の将来に希望は見出せません。
大変恐縮なのですが、私の笠井氏への認識におかしな部分があれば修正を宜しくお願いします。

それでは御返事をお待ちしております。
今後のアレクセイ様の御活躍をお祈りします。


今はもういない君に(下) 投稿者:ホランド  投稿日: 7月 5日(月)23時54分21秒


 影姫さま
> 限定本の読み方

> その読み方とはズバリ「クライマックスだけ限定本で読む」というものです。小説というものはクライマッスクスにおいて今までの伏線が解かれたり、ストーリーが急に加速していくものです。ですから文庫本でクライマックス直前まで読みイイトコだけ限定本で読もうというのです。いわば「おいしいこと取り」なわけです。これで限定本は眺めてよし、触ってよし、読んでよし、の素晴らしい本となるわけです。

 なるほど。うまいこと考えましたね(笑)。
 ボクも、園主さまに限定本を見せてもらった時、買って、しまっておくだけじゃ、本も喜ばないんじゃないかなって思ったことがありましたから。でも、なにしろ高価できれいなものだから汚せませんしねー。

> 水上勉『五番町夕霧楼』

 水上さんの本は、ミステリの傑作として『海の牙』を、随分いぜんに読んでそれっきりです。『虚無への供物』と同じく、洞爺丸事件を扱った作品ですよね。でも、印象は「松本清張時代の、地味な社会派ミステリ」という感じで、ボクの好みとは方向性の違うのがわかりましたから、その後が続かなかったんでしょう。でも、今、ミステリ以外の作品を読めば、また評価は変わるじゃないかな。



 園主さま
> 言っとくけど、私は『作家が文学賞を欲しがる』こと自体、を批判しているんじゃない。「欲しがっているくせに、欲しがっていませんみたいな顔をするな。芸術家ぶるな。先生ぶるな」と言ってるんだよ。「俺はちょっと、そんじょそこらの奴らとは違うぜ」みたいな顔がしたいんなら、本当は欲しくても、やせ我慢でもなんでもして、賞を断ってみろよ、と言いたいんだな。

 これも、もうひとつの田中幸一節ですよね。「泣かせ」の方じゃなくて、「脅し」の方の(笑)。





 ではでは、みなさん、おやすみなさい(ハート)。


今はもういない君に(中) 投稿者:ホランド  投稿日: 7月 5日(月)23時53分52秒


 AOIさま
>>  また、「政治がらみの話」を書くにしても、自分の考え方をはっきり書かないで、他人のを紹介(宣伝)ばかりするみたいな書き込みだと、どうしても「政治運動」めいて見えて、うさんくさく取られがちだから、そのあたりにもご配慮いただければと思います。

> あ、私、政治の話っていうふうに思って書いたのじゃないです!
> パロディー自体も面白いし、その経過も面白いと思ったからよ。
> う〜む・・・「政治運動」めいてみえるのか(困)?

 気を悪くしないで下さいね。でも、とかく政治がらみのことは、そういう風に見られがちだってことだし、そうした場合では、無邪気ではすまされないこともある、ということを言いたかったんです。

> 「対米追従の向こうに何が見えるか」はたまたま、テーマに魅かれて聞いてみたんだけど、とりたてて新しい議論がされているというわけではないです。
> 『挑発する知』(姜 尚中 、宮台真治)がわからないなりにちょっと面白かったのもあってね。
> 2003年を総括して外交問題や経済問題で近視眼的に不安を掻き立てられるんじゃなくて、人間の生き方や生活と関連づけて政治を考えようということが語られてるのだけれど、これは今に始まった議論でもないですね。でも、こういうことの前提ナシに政治的な選択もないんだと思うし、先入観ナシに聴いてみてほしいと思ったのでコメントしなかったんですけれどね。

 政治の話を『先入観ナシに聴いてみてほしい』というのが、実は一番困難なことなんですよね。人は誰でも、自覚の有無にかかわりなく、ある政治的立場を選んでいて、その立場から対象を眺めます。これがまず一種の「先入観」を生んでるんです。

 ですから、「余計な注釈を付したら、色眼鏡で見られかねないから、コメントを付さずに」というのは、よくわかるんですけど、コメントを付さないということは、その紹介したものの内容は、その紹介者の意に沿うものだということを、普通 は意味していますよね。誰だって、わざわざ他人を敵にするために、ある考えを紹介しようなんて思いませんから。

 だから立場を明示しないというのは、よけいに「うさん臭い」と思われてしまうんですよ。例えば「健康についての講演があるから、あなたも一緒に聞きに行きませんか」と誘われ、暇だし話だけならと思っていってみると、たしかに講演はあったけれど、それは健康食品の即売会場だった」というようなことがありますよね。だから「おいしい話」や「ニュートラルな立場の表明」「無私の表明」なんてのは、現代ではもっとも「うさん臭い」ものだって思われがちなんですよ。まして、それが政治がらみだったら尚更です。

> 経済原理を推し進めてゆけば、軍事拡大していかざるおえないし、その破綻が早晩くるのもみえている。9.11はその象徴的前触れといえる。
> 市場経済だけじゃなくて、いろんな経済システムがあって、それら小さいけれど大切な共同体を支える経済システムを回していこうというのが納得できたし、そういうことができるのが「政治」の力なのだとおもったのでした。
> 人のよっては、そんなの当たり前という議論なのでしょうね。

 「政治」が重要であるというのは、みんな知ってるし、当たり前のことだとも思ってる。でも、大切な「政治」だからこそ、その周囲には、庶民の想像が及ばないような魑魅魍魎が跋扈しているということも、みんなよく知っているんですね。だから、園主さまがおっしゃってたとおり、みんな「君子、危うきに近寄らず」で、「政治」がらみのことは敬遠してしまうんです。

 だからボクとしては、ボクたちがそういう「政治屋」じゃないということを、日頃の興味のありかや、それへの態度として示せた方が良いと思ったんです。そして「この人の言うことなら素直に聞ける」という状態の中で、大切な「政治」の話もできれば良いなと思ったんです。

> 「他のこと」を書こうとすると長くなっちゃうし、長く書く余裕がないのです。
> だからといって、自分が面白いと思ったことだけ書いてるのがよくないのよね。きっと。

 時間が無いのならしかたないですけど、「できれば」ってことで、ボクの希望を書かせていただいたんです。だから、そんな希望に沿ってる暇はないから、書き込みもしない、なんてイジワルは言わないで下さいね。ボクはいつでも書き込みをお待ちしてるんですから。





( 以下は「今はもういない君に(下)」につづく)


今はもういない君に(上) 投稿者:ホランド  投稿日: 7月 5日(月)23時52分47秒

 みなさん、こんばんは! 今日は思うところあって、詩を書かせていただきます。詩なんて書くのは初めてだから、詩だか何だかわからないものになるかも知れませんが、一切のツッコミにお答えしませんので、そのつもりで読み流してください(笑)。



      今はもういない君に


  文字どおり 君はもういない
  おとといの夜中までは たしかに いたのにね

  きみは 忘れた頃に ボクに電話をくれた
  何ヶ月も音沙汰なしだったくせに 今から会いたい なんて 
  子供みたいな 無理をいった

  おとといの夜中にも電話をくれて
  今から会いたい 君はそういった
  でも ボクは仕事があるからって 断った

  じゃあ日曜は空いてるかと 君は重ねてきいた
  日曜日は空いていた
  じゃあ いつものところで2時に

  いつものところとは 紀伊国屋書店の新刊売場のことだ

  オッケー じゃあ2時に といったあと ボクはつけくわえた
  きっと来てくれよ じゃあ元気だしてな おやすみ

  なのに 君はその朝 

  信じられなかったけど 信じなければならないことだった
  お通夜 葬儀 そんな言葉のすべてが これが冗談じゃないことを
  ボクに理解させようとした

  でも そんな場所へ 行く気はない

  もの言わぬ君は もうボクの知ってる 君じゃない
  だから ボクはボクなりのやり方を選んだ

  待ち合わせ場所に行く そして君を待つ

  一時間待って 君が来なければ 
  今日は都合が悪くなったって 携帯に連絡が入らないまま 一時間たったら
  ボクは 君がもういないことを認めようと思った

  変なやつだよね 
  でも 約束の場所に 行かないではいられなかった

  ボクがいないその場所で 君がひとりでボクを待っている姿が目にうかび
  ボクは そこに行かずにはいられなかった

  一時間待ったよ いつものとおり本を眺めながら
  ときどき 君の姿を目で探したりしながら

  ホントは 一時間をちょっと過ぎた 未練なのかな

  君と同世代の 君と見間違う後ろ姿はおおぜいいるのに
  結局 君をみつけられなかった

  また すっぽかされたんだな でも
  今度は 永遠に

  君はその時 ボクとの約束を 忘れてたんだろうか
  ボクの きっと来てくれよ って言葉 思い出さなかったんだろうか

  でも ボクは約束どおり 待ち合わせに行ったよ
  そして 君がすっぽかしたことに腹を立てて 帰ったんだ

  せめて携帯に 連絡くらいしてくれれば よかったのにって





( 以下は「今はもういない君に(中)」につづく)


復旧のご報告 投稿者:園主  投稿日: 7月 5日(月)14時20分6秒


 みなさま

すでにお気づきの方もいらっしゃいましょうが、今朝方から先程まで、掲示板レンタル会社のサーバトラブルのために、当掲示板へのアクセスができなくなっておりました。

今朝午前10時頃に、掲示板レンタル会社の方へ、トラブル確認のメールを打っておきましたところ、先ほど復旧しておりましたので、さっそくご報告をいたします。

たいへんご心配をおかけしました。――しかし「アレクセイの花園」は、(当分の間)不滅です(笑)。

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80xxサーバー障害発生のお知らせ 投稿者:admin 投稿日: 7月 5日(月)13時55分48秒


本日午前6時15分頃より、80xxサーバーにてハードウェア障害が発生致しました。
午後1時45頃に復旧作業を完了し、現在は正常稼動しております。

このため、上記時間帯にサーバーネーム80xx掲示板・チャット・マイページ・メッセージBOXがご利用できませんでした。ご不便、ご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。

Tea Cup Communication掲示板システムのお知らせ掲示板より)




http://homepage2.nifty.com/aleksey/LIBRA/index.htm


限定本の読み方 投稿者:影姫  投稿日: 7月 3日(土)07時00分28秒

以前成瀬書房版200部限定版・水上勉『五番町夕霧楼』をゲットしました。
という話をしましたがわたしはなんと限定版で全部読破してしまいました。
しかし寝そべって読めない、ジュース・飲み物類は危ないから厳禁というこ
とで机にキチンと座って読みました。わたしは自宅では本を読まず、必ず喫
茶店かホテルのロビーで読むという変なクセがあるのでなにやら奇妙な読書
体験でありました。やはり限定本は読書には向かない、読むのは文庫本で限
定本は「保存用」と考えたりしましたがそれでは贅をつくした限定本がもっ
たいないというので「影姫流限定本の読み方」を編み出しました。その読み
方とはズバリ「クライマックスだけ限定本で読む」というものです。小説と
いうものはクライマッスクスにおいて今までの伏線が解かれたり、ストーリ
ーが急に加速していくものです。ですから文庫本でクライマックス直前まで
読みイイトコだけ限定本で読もうというのです。いわば「おいしいこと取り
」なわけです。これで限定本は眺めてよし、触ってよし、読んでよし、の素
晴らしい本となるわけです。

さて『五番町夕霧楼』は映画にもなりましたのでご存知の方も多いとは思い
ますが簡単に説明すると田舎の寒村から「身売り」され娼妓となった薄幸の
女「夕子」と暗い過去を秘めた雲水「檜田」の悲恋を実在の事件を材にとっ
た「金閣寺炎上」に絡めて描くという極めてミステリー色が強くかつ緻密な
人間模様も合わせて描くという中中重厚な作品となっております。
三島由紀夫の『金閣寺』もまたこの「金閣炎上」事件に材にとった作品なの
ですがこちらは「抽象的・観念的」と評されることが多いのにたいし『五番
町〜』のほうは「現実的・具体的」と評されているようです。無論わたしの
好みは『五番町〜』のほうであることはいうまでもありません。

さてみなさんも新潮文庫の「YONDA?」ではありませんがこの夏普段あまり
読まない作家の本をお読みになるのも一興と存じます。では。

http://www.cna.ne.jp/~kuroneko/index.html


見掛けも大切(4) 投稿者:園主  投稿日: 7月 2日(金)22時31分18秒


 ホランド
『文学賞メッタ斬り!』(大森望・豊崎由美/パルコ)を読了しました。この本が面 白いっていうのは、前回書いたとおりですが、通読して思ったのは、「ベストセラー作家になるか、メジャーな文学賞でももらわないかぎり、作家というのは、その傍目の華やかさに比して、全然いい商売ではない」なということです。だから、園主さまは批判的だけど、作家が文学賞を欲しがるのも、やむを得ないことなのかなあ、という感じがしました。

言っとくけど、私は『作家が文学賞を欲しがる』こと自体、を批判しているんじゃない。「欲しがっているくせに、欲しがっていませんみたいな顔をするな。芸術家ぶるな。先生ぶるな」と言ってるんだよ。「俺はちょっと、そんじょそこらの奴らとは違うぜ」みたいな顔がしたいんなら、本当は欲しくても、やせ我慢でもなんでもして、賞を断ってみろよ、と言いたいんだな。

つまり、私が言うのは「言行一致の努力をせよ。人としての筋を通せ」ということであり、「それができないんなら、金輪際、世間に向けて偉そうな講釈を垂れるんじゃないぞ」ってことなんだよ。「普通 の人間が普通にしていることを非難はしないが、普通の人間がさも普通以上であるかのような態度をとる欺瞞は許さんぞ」ということなんだ。そこんところを間違わないでくれよ。――私は狷介かも知れないけれど、無理を言っているわけではないんだからな(以下の論文参照/笑)。

 ・ 「インテリげんちゃん」の凡庸さについて―― 高橋源一郎に見る、文学者のホンネ

 ・ 文学賞にジタバタ―― フジ産経・文春系作家、日垣隆の場合





それでは、みなさま、おやすみなさいまし。

http://homepage2.nifty.com/aleksey/LIBRA/index.htm


見掛けも大切(3) 投稿者:園主  投稿日: 7月 2日(金)22時30分26秒


 AOIさま(つづき)

一般的な多くの人にとって、「政治かぶれの人」から聞かされる「政治の話」ほど、うんざりさせられるものはございません。なぜなら、それはしばしば、「興味のない話」を「重要な話」だからと、むりやり聞かされることになりがちだからでございます。――ちょうどそれは、選挙前になったら、近所の創価学会員のおばちゃんがやってきて、さんざ政治の話をしたあげく「だから公明党に投票してね」と言って帰っていったときに感じる、あの「うんざり」なのでございます。

ですから、たとえ実際には「面白い話」「興味深い話」「大切な話」であっても、そのプレゼンテーションがまずければ、誰も耳を傾けてはくれないんだということを、少なくとも話す側の人は、考慮すべきなのでございます。

もちろん、私も、時にはそうしたプレゼンテーションを、あえて無視することはございます。例えば、以前ここでなされた、創価学会員の方との議論などは、宗教に興味のない人、創価学会が嫌いな人には、見たくもないものだったでございましょう。しかし、あの時の私は、そういう人たちには、あの議論を見てもらわなくても構わない、と思っておりました。私が見ていただきたかったのは、宗教に興味のある人、すべての信仰者、そして何より創価学会員のみなさんだったからでございます。

しかし、「政治」の話は、そうはいきません。まして現今の政治問題は、誰にとっても「興味がない」では済まされないものなのでございます。
しかし、実際には「興味がない」人が大半だというのも、否定できない事実なら、そういう人たちに如何に興味をもってもらうのかが、重要なポイントとなってまいります。そして、その場合に考えなければならないのが、「プレゼンテーション」の問題、つまり「見かけ」の問題なのでございます。

> 「他のこと」を書こうとすると長くなっちゃうし、長く書く余裕がないのです。
> だからといって、自分が面白いと思ったことだけ書いてるのがよくないのよね。きっと。

時間がないのは致し方ありません。ですが、短文でも「見かけ」に配慮することは可能だと存じます。

『自分が面白いと思ったことだけ』を書くのは、悪いことではございません。しかし、「他人の目」に配慮しなかった場合、時にそれは、他人にとってたまらなく「うざった」かったり「奇異」に映ったりするものになることもあるのだ、という事実を思い出していただきたいのでございます。痰がからんだからといって、どこへでも痰を吐くようなことをしないように、私たちには「他者への配慮」という「良い意味での政治性」が、是非とも必要なのでございます。


> とり戻せないもの。

> もう、7月なんて、うそみたい。半年がたってしまったんですね。

時間は取り戻せませんが、それに見合うだけの「充実した思い出」を、日々積みかさねていこうではございませんか(笑)。





( 以下は「見掛けも大切(4)」につづく)


見掛けも大切(2) 投稿者:園主  投稿日: 7月 2日(金)22時29分36秒


 AOIさま(つづき)

> あ、私、政治の話っていうふうに思って書いたのじゃないです!
> パロディー自体も面白いし、その経過も面白いと思ったからよ。
> う〜む・・・「政治運動」めいてみえるのか(困)?

> でも、私たちのまわり、「政治」の絡んでいないものはないとも言えるんじゃないの。
> 人間関係ひとつとっても。
> だから、文学賞メッタ斬りなんてことにもなるんでしょ?

『私たちのまわり、「政治」の絡んでいないものはないとも言えるんじゃないの。』というのは、まったくそのとおりでございましょう。ホランドくんも、それを承知しているからこそ、

>  こないだ笠井(潔)さんによる『空の境界』(奈須きのこ・講談社ノベルス)の売り込み方が、ほとんど『マインドコントロール』だって書きましたけど、現代はまさに「プロパガンダ(政治的宣伝)」による「洗脳」の時代なんでしょうね。みんな、いいように、それに踊らされているんです。

と書いたのでございましょう。しかし、ホランドくんが、

>  AOIさまも「政治がらみの話」ばっかりじゃなくて、たまには他のことも書いて下さいね。
>  また、「政治がらみの話」を書くにしても、自分の考え方をはっきり書かないで、他人のを紹介(宣伝)ばかりするみたいな書き込みだと、どうしても「政治運動」めいて見えて、うさんくさく取られがちだから、そのあたりにもご配慮いただければと思います。

と書いたのは、そういう「現実(本質)」の話ではなく、「見かけ」の問題なのでございます。

つまり、日本には「政治」の話には心底うんざりしている人が大勢いるのでございます。そういう人に、「見るからに」政治の話という感じのものを振っても、決して興味は示してもらえないだろう、ということなのでございますね(事実、ここ「花園」でも、そういう話にまともに乗ってくるのは、私とホランドくんだけでございましょう? たいていの日本人は、内心はともかく、ひとまず態度としては「政治」を敬遠するものなのでございます)。

じっさい、AOIさまご本人は、ご自身が「特に政治に興味を持っている」とはお考えにならないかも知れません。しかし、その人が「どう見えるか」は、所詮「周囲との比較」の問題に過ぎないのでございます。つまり、ロムの方から見て、AOIさまは明らかに、Keenさまよりも、楽古堂さまよりも、政治に興味を持っておられる方だと映りましょう。また、実際これまでにご紹介いただいた、お友達から届くというメールの内容も、決して「ごく一般 的なもの」だとは申せません。普通の人のところには、少なくとも「友人から」、「反戦運動のメール」が届いたりすることは、まあないのでございますよ。……で、人によっては、AOIさまは、私よりもホランドくんよりも「政治に興味のある人」と映るかも知れません。それは、たぶん、私やホランドくんが「趣味的な話」にも多くの筆を費やしているからでございましょう。





( 以下は「見掛けも大切(3)」につづく)


見掛けも大切(1) 投稿者:園主  投稿日: 7月 2日(金)22時26分36秒

みなさま、本日は、先般こちらに書かせていただきました、歌人 春日井建の追悼文を加筆改訂して、

 ・ 父の子の帰還――追悼・春日井建

としてアップさせていただきました。拙文中で御文を引用させていただいた本多正一さまからは、

『田中幸一節が炸裂しているところばかり臨場感あふれる力の入った描写で「なんだかな〜」と感服いたしました(^^;)。』

との、「絶賛」のお言葉をいただいており、これ(私のおかげ)で春日井建の冥福も間違いなしと、意を強くしているところでございます(笑)。


また、こちらも先般アップさせていただきましたばかりの討論・笠井潔をめぐってで、ご協力いただいている はらぴょんさんのサイト 薔薇十字制作室を、リンク集の方に収めさせていただきました。多彩 で濃厚なサイトですので、ぜひご覧になって下さいまし。





 AOIさま
> おもしろいよ〜!

> 知ってる!?
> 「みどりの会議」中村敦夫HPに掲載されているマッド・アマノの自民党の参議院選ポスターのパロディー(http://www.monjiro.org/Mad_Amano/index.html)を自民党が削除要求。

> その削除要求の理由が差別的だということで、同じくマッド・アマノのパロディーを掲載しているにもかかわらず削除要求を受けなかった小泉純一郎を婦女暴行事件によって告訴した木村愛二さんが「私にも削除要求をしなさい!」と抗議。
http://www.jca.apc.org/~altmedka/index.html

忌憚なく申しますと、マッド・アマノ氏は、マスコミ的には「過去の人」であり、あの程度のことが「世論」に影響を与えるようなことなど、まずはございませんでしょう。しかし、それに対して『自民党が削除要請』をしたというのは、裏を返せば、与党の議員先生がたが、如何にネットでの評判を気にし、ネットの影響力を恐れているかということの反証でもございましょう。

日本でのそれ(ネットの影響力)はまだまだでございますが、じっさい、お隣の韓国では、ネットが国を動かすだけの力を持っております。ですから、この先、万が一にもそんなことになっては困ると、一般 的な「個人情報の保護」や「ネットにおける名誉毀損問題」などに託つけて、自分たちの権威を認めないネット上の批判的言論に、圧力をかけるべく制定したのが、先のプロバイダー責任法(略称)なのでございます。

なお、この「プロバイダー責任法」のうさん臭さについては、サイト『T's ANNEX』プロバイダー責任法を考えるのページが、たいへん有益なものとなっておりますので、みなさまにも、是非ご参照いただきたいと、強く推薦させていただきます。

> 中村敦夫サイトのビデオマッセージで聴ける丸激トーク、神保哲生司会、宮台真司、中村敦夫の「対米追従の向こうに何が見えるか」は長いですけどなかなかおもしろいです。
http://www.monjiro.org/video/index.html

面白そうなサイトをご紹介下さいました。ありがとうございます。
こちらは、拝見するのに時間がかかりそうですから、少しずつ拝見したいと存じます。

ちなみに、中村敦夫は、創価学会批判者としても知られる人だと記憶いたしますので、その点にも興味があったのでございますが、どうやらその方面 の発言は、収められていないようでございますね。いささか残念でございました。





( 以下は「見掛けも大切(2)」につづく)


とり戻せないもの。 投稿者:AOI  投稿日: 7月 2日(金)19時48分59秒

もう、7月なんて、うそみたい。半年がたってしまったんですね。

☆ホランドさま

>AOIさまも「政治がらみの話」ばっかりじゃなくて、たまには他のことも書いて下さいね。
 また、「政治がらみの話」を書くにしても、自分の考え方をはっきり書かないで、他人のを紹介(宣伝)ばかりするみたいな書き込みだと、どうしても「政治運動」めいて見えて、うさんくさく取られがちだから、そのあたりにもご配慮いただければと思います。

あ、私、政治の話っていうふうに思って書いたのじゃないです!
パロディー自体も面白いし、その経過も面白いと思ったからよ。
う〜む・・・「政治運動」めいてみえるのか(困)?

でも、私たちのまわり、「政治」の絡んでいないものはないとも言えるんじゃないの。
人間関係ひとつとっても。
だから、文学賞メッタ斬りなんてことにもなるんでしょ?

「対米追従の向こうに何が見えるか」はたまたま、テーマに魅かれて聞いてみたんだけど、とりたてて新しい議論がされているというわけではないです。
『挑発する知』(姜 尚中 、宮台真司)がわからないなりにちょっと面白かったのもあってね。
2003年を総括して外交問題や経済問題で近視眼的に不安を掻き立てられるんじゃなくて、人間の生き方や生活と関連づけて政治を考えようということが語られてるのだけれど、これは今に始まった議論でもないですね。でも、こういうことの前提ナシに政治的な選択もないんだと思うし、先入観ナシに聴いてみてほしいと思ったのでコメントしなかったんですけれどね。
経済原理を推し進めてゆけば、軍事拡大していかざるおえないし、その破綻が早晩くるのもみえている。9.11はその象徴的前触れといえる。
市場経済だけじゃなくて、いろんな経済システムがあって、それら小さいけれど大切な共同体を支える経済システムを回していこうというのが納得できたし、そういうことができるのが「政治」の力なのだとおもったのでした。
人のよっては、そんなの当たり前という議論なのでしょうね。
興味のある方はどうぞ!
でも、PC壊しちゃう可能性があるならやめといたほうがいいと思うわよ(笑)。

「他のこと」を書こうとすると長くなっちゃうし、長く書く余裕がないのです。
だからといって、自分が面白いと思ったことだけ書いてるのがよくないのよね。きっと。


感化されやすさについての自覚(4) 投稿者:ホランド  投稿日: 7月 2日(金)16時09分24秒


 園主さま
> 父の子の帰還 ―― 追悼 春日井建

 面白く読ませていただきました、って言うと不謹慎に聞こえるかも知れないですけど、ボクの正直な感想です。追悼文でありながら、園主さまらしい「物語化」がなされていて、これなら春日井建さんをまったく知らない人でも、すっと入れるんじゃないかと思いました。

> 「東京都」→「君が代・日の丸の強制」→「教師」→「創価学会」→「公明党」→「山下栄一」→「スクールカウンセラーの導入」→「心理学者河合隼雄」→「心のノート」→「祖国を愛する心」→「臨教審」→「中曽根康弘」→「石原慎太郎」→「東京都」

> と、現在の日本の「政治と教育」をめぐるキナ臭い動きは、みごとに「閉じた輪」を形成しているということなのでございます。

 こないだ笠井(潔)さんによる『空の境界』(奈須きのこ・講談社ノベルス)の売り込み方が、ほとんど『マインドコントロール』だって書きましたけど、現代はまさに「プロパガンダ(政治的宣伝)」による「洗脳」の時代なんでしょうね。みんな、いいように、それに踊らされているんです。

 もちろん、ボクの選択行動自体にも、そうしたマインドコントロールの影響はあるんでしょうが、その場合、どう対処すれば良いのかと言えば、結局は「世評」に踊らされず、自分の価値観で持って、個々の対象・事象の価値を、客観的に評価するようにするしかない、ということなんだと思います。――つまり、この問題は、「政治」や「文学賞」や「ベストセラー」の問題にとどまらず、もっと普遍的なものなんだと思います。





 ではでは、みなさん、また今度(ハート)。


感化されやすさについての自覚(3) 投稿者:ホランド  投稿日: 7月 2日(金)16時08分42秒


 AOIさま
> おもしろいよ〜!

> 知ってる!?
> 「みどりの会議」中村敦夫HPに掲載されているマッド・アマノの自民党の参議院選ポスターのパロディー(http://www.monjiro.org/Mad_Amano/index.html)を自民党が削除要求。

> その削除要求の理由が差別的だということで、同じくマッド・アマノのパロディーを掲載しているにもかかわらず削除要求を受けなかった小泉純一郎を婦女暴行事件によって告訴した木村愛二さんが「私にも削除要求をしなさい!」と抗議。
http://www.jca.apc.org/~altmedka/index.html

 確かにおもしろいですねー(笑)。削除要求の理由が「差別的なものだから」だと言うのなら、その削除要求自体「差別 」なく「うちにもしろよな」って皮肉ですね。――もちろん、そんなことをして木村さんのサイトが注目されることになったら藪蛇だから、目立つマッド・アマノさんのとこだけを攻撃したんでしょうけど(笑)。

> なお、中村敦夫サイトのビデオマッセージで聴ける丸激トーク、神保哲生司会、宮台真司、中村敦夫の「対米追従の向こうに何が見えるか」は長いですけどなかなかおもしろいです。
http://www.monjiro.org/video/index.html


 うまく見られないと思ったら、マイクロソフト・メディア・プレーヤーが入ってませんでした。さっそくインストールしたんですが、ソフトをインストールするのってひさしぶりだから、ドキドキしちゃいました。だって「不具合が出ても責任は持たない」とか、やたら予防線をはってるし、ボクのつかってるパソコンはもう旧式だから、つい不安になってしまうんですよねー(^-^;)。

 「対米追従の向こうに何が見えるか」については、後でじっくり拝見させていただきます。


 ところで、AOIさまも「政治がらみの話」ばっかりじゃなくて、たまには他のことも書いて下さいね。
 また、「政治がらみの話」を書くにしても、自分の考え方をはっきり書かないで、他人のを紹介(宣伝)ばかりするみたいな書き込みだと、どうしても「政治運動」めいて見えて、うさんくさく取られがちだから、そのあたりにもご配慮いただければと思います。

 たしかに「自分が不器用な意見表明をするよりは、この人の意見を聞いて下さいと言いたくなる」ことはボクにもよくあるんだけど、でもそういうのって、「自分の判断を他人に預けることにつながっていく」怖れがあるんですよね。
 なぜって、そういうことをやっているかぎり、自分で全責任を負わないで済むようになりがちだからです。「私が間違っていたんじゃない。あの人が間違っていたんだ。それを信じた私は馬鹿だった(だけだ)」ということになりがちなんです。だから「自分の言葉で語る」ということは、とても大切なことなんだと思います。また、それはそのまま「自分の頭で考える」ということでもあるんだと思います。





( 以下は「感化されやすさについての自覚(4)」につづく)


感化されやすさについての自覚(2) 投稿者:ホランド  投稿日: 7月 2日(金)16時07分40秒


 で、このあたりの事情を、大森望はつぎのように紹介しています。

豊崎 今と変わらないんだ。

大森 そう。『コズミック』の原型になった「華没」――「華麗なる没落のために」っていう作品をミステリ研の会誌に発表した時も、やっぱり賛否両論だったみたいで。先輩にあたる新本格第一世代の人たちはいろいろアドバイスもしたらしいけど、他人の言うことを聞く人じゃない(笑)。『コズミック』以前に、綾辻さんが監修した「黒ノ十三」ってゲームの原案を書いたりしてますけど、そのころからじぶんの意見は絶対に譲らなかったみたい。結局、先輩の助言とか助力は一切入れずに『コズミック』を投稿してデビューしたという。そのころ某所で見せてもらって仰天した彼の原稿が、新作長編の企画書。作品じゃなくて企画書ね。タイトルは「ノベレスト」。これがなにかというと、小説の最上級なんです。ノベル、ノベラー、ノベレストね(笑)。古今東西の世界文学すべてを一冊にまとめて森羅万象を描く究極の小説で、確か主人公は「あなた」。全体の構成プランと、広告代理店が書くような誇大妄想気味のセールスコピーがいっぱいついてて、これがいかにすごい小説になるかをことこまかに説明してるの。彼が書いたものの実物を読んだのはたぶんそのときが初めてだけど、最近の若者はすごいなあと感心した。発想のぶっとびかたは尋常じゃないですよ。でも根っこは駄 洒落だったりするところがまた……。

豊崎 山田詠美さんが芥川賞の選考委員になって忌憚なき意見で場を盛り上げてくれてますけど、清涼院流水は芥川賞だけは絶対にとれませんね。(引用者註:山田詠美は駄 洒落を忌み嫌っている)でも『コズミック』が第二回という賞が始まって早々のところ受賞したから、メフィスト賞に勢いが出たんだと思う。その後にデビューした人にある程度の影響を与えてるでしょう?』

大森 T流水大説U(原註:清涼院流水の造語。要するに清涼院流水の書く小説のこと。「小説」より大きいので「大説」らしい。)は一時代を画したっていうか、確実にひとつの山になってる。流水氏は本人のキャラクターも強烈だし。『コズミック』が出て一年後ぐらいに、初めてご本人と会った時、「ノベレスト」のことを聞いてみたら、「まだ『ノベレスト』の時期じゃないと思うんです。今出しても、読者がそのレベルに達してませんから、誰にも理解できないでしょう。いま書いている小説はすべて、『ノベレスト』を出すための道をつける準備作業だと思っています」とか、真顔で言っていましたから。』(P205〜207)


 『誇大妄想気味』なんじゃなくて、まんま「誇大妄想」だと思うんですが、それはさておき、――ボクも、ここまでぶっ飛んでると、いっそ愉快になってくるんですよね。大森さんも、そういう清涼院流水という(「作家」ではなくて)「人」(の方)を面 白がっているのが、文面からよく伝わってきます。こうした傾向は、変人好きの園主さまにも当然あって、本来、自己を客観視できない人を忌み嫌う園主さまですら「小説は『コズミック』一冊で充分だけど、清涼院流水はウオッチに値するな」なんて言っていました(笑)。





( 以下は「感化されやすさについての自覚(3)」につづく)


感化されやすさについての自覚(1) 投稿者:ホランド  投稿日: 7月 2日(金)16時06分9秒

 みなさん、こんにちは! 『文学賞メッタ斬り!』(大森望・豊崎由美/パルコ)を読了しました。この本が面 白いっていうのは、前回書いたとおりですが、通読して思ったのは、「ベストセラー作家になるか、メジャーな文学賞でももらわないかぎり、作家というのは、その傍目の華やかさに比して、全然いい商売ではない」なということです。だから、園主さまは批判的だけど、作家が文学賞を欲しがるのも、やむを得ないことなのかなあ、という感じがしました。
 本書の「文学賞の心得――【十二】」にも、

『文学賞は、作家のためにある。(読者のためにあるのではない)』

ってあるとおりで、結局はそういうことなんですよね。だから、読者を蔑ろにするような選考がしばしばなされるし、信念的に「読者の側」に立つ園主さまは、そういう文学賞のあり方が、「客」に対して「ペテン」的だと批判することにもなるんでしょう。


 さて、本書でおもしろかった話題のひとつは、「メフィスト賞」がらみで言及された、清涼院流水のことです。

 たしか清涼院さんの最新刊は、今年、講談社ノベルスから上下巻で出た『彩 紋家事件』のはずですが、この作品の刊行にあたって、清涼院さんが「自分の初期旧作を読みかえすと、意図に技術がついていっていないのを感じるのだが、その頃からすれば、私もずいぶん進歩した。特に今回刊行する『彩 紋家事件』には、現時点での私のもてる技術のすべてを注ぎ込んでいる。たとえば、本作に先立ついくつかの作品では、あえて使うことをさし控えておいたアイデアやテクニックを、この作品にすべて投入した。その意味で、この作品は、私の現時点での最高傑作である」という主旨のエッセイを書いていたのを、園主さまは読んだんだそうです。

 で、園主さまには、清涼院流水は新刊を出すたびに似たようなことを言っている、という印象があったので、きっと『彩 紋家事件』に「先立ついくつかの作品」でも「私の現時点での最高傑作である」みたいなことを自信満々に語っていたのだろうと推測したんだそうです。でも、もしそれが事実なら、その同じ作家が、上記のように言っちゃうのは、かなり呆れたことだ、と思ったんですね。つまり、後の『彩 紋家事件』のために「あえて」全力を傾注しなかった作品を、その時点での「最高傑作である」みたいに公言するのは、読者に対して不誠実なだけではなく、「先立ついくつかの作品」の読者を虚仮にした発言だ、と思ったわけです。

 でも、そのように読めてしまう文章を、平然と公にしてしまうというのは「ある意味ですごい。意図的にやっているのだとしたら、それはそれで大した度胸だ」と園主さまは思ったんだそうです。だから「これは普通 の神経でできることではない。もしかすると、清涼院流水のボケっぷりは、意識的な演技なのではないか」と疑ったんだそうです。
 で、ある機会に、清涼院流水の先輩にあたる「京大ミス研」のOBにその疑問をぶつけたところ、その人はきっぱりと「演技なんかじゃありません。あれが彼の素なんですよ」と保証したんだそうです。でも、そう聞かされても、園主さまは「それはそれで、やっぱり清涼院流水という人間は、ある意味ですごい」と思ったんだそうですけど(笑)。





( 以下は「感化されやすさについての自覚(2)」につづく)


おもしろいよ〜! 投稿者:AOI  投稿日: 7月 2日(金)11時39分10秒

知ってる!?
「みどりの会議」中村敦夫HPに掲載されているマッド・アマノの自民党の参議院選ポスターのパロディー(http://www.monjiro.org/Mad_Amano/index.html)を自民党が削除要求。

その削除要求の理由が差別的だということで、同じくマッド・アマノのパロディーを掲載しているにもかかわらず削除要求を受けなかった小泉純一郎を婦女暴行事件によって告訴した木村愛二さんが「私にも削除要求をしなさい!」と抗議。
http://www.jca.apc.org/~altmedka/index.html

なお、中村敦夫サイトのビデオマッセージで聴ける丸激トーク、神保哲生司会、宮台真司、中村敦夫の「対米追従の向こうに何が見えるか」は長いですけどなかなかおもしろいです。
http://www.monjiro.org/video/index.html



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