二子山

平成13年5月13日 

日程 
自宅6:00 コンビニで食料を用意して駅に向かう
所沢着7:15 ここで特急の指定券を購入する。7:57発特急車中で朝食を取り、
出たゴミは車内のゴミ箱へがパターンになってきている。 西武秩父9:00着
西武秩父駅9:10 小鹿野役場9:50 470円
小鹿野役場10:00 坂本10:30 着   500円
終点までは私を含めて単独登山の乗客3名だけとなった。
坂本10:35 股峠 11:30
東岳12:00 股峠 12:45
西岳13:10 昼飯 13:45 
股峠14:05 から 15:35
坂本16:10  16:30 バス 小鹿野役場17:00
小鹿野役場17:24 西武秩父駅18:04
西武秩父18:24特急 所沢19:24
帰宅20:10


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坂本からは民宿二子山荘の脇を通って登山道がある。
最初は舗装された坂道でゆっくり歩いていると70歳位の老氏に追い抜かれる。
続いて早いペースで中年の男性に追い抜かされてしまう。いつもながら出足はペースが
あがらない。これからのコースを考えながら行くことにする。
股峠→東岳→股峠→西岳→ローソク岩→バス停とゆっくり歩いても3時30分に
は着いてしまう。16:30の帰りのバスを待つ間の読書タイムとして”戦艦武蔵”
の文庫本をザックに入れてある。
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中年の男性に追い抜かれてしまう


民家の狭い脇道を通過すると登山道らしくなって来た。
15分位右側の沢を見ながら登り詰めると車道に出る。

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簡易トイレのある道を少し登ると左手に登山道の標識が現れるのでここで車道と分かれた。
先を行く老氏に道を譲られて、ここから先単独行になる。


道は沢に沿って右左に横断しながら急斜面を登り詰めていく。樹木に光をさえぎられた暗い道と、所どころ荒れた沢を乗り越えるのであまり家族でハイキングに来るような所ではない。
沢が少しばかり広がった明るいポイントに来ると休んでいた中年の男性に追いついた。
相変わらずのノロノロペースで坂を登る。

しばらく急な斜面を登るとニリンソウの群落があった。花を楽しみつつローソク岩との分岐点にたった。
道標に従ってさらにすこし登るとそこは西岳と東岳の鞍部、股峠である。

 

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峠には数人の登山者が足を休め多くのザックがまとめてデポしてある。どちらかの山にグループで
登っているのだろう。

歩き初めてから1時間で小休止。まもなく汗をかきながら中年の登山者が到着した。
東岳に登る。

地図では西岳と同じく登山道が破線で描かれているルートであり、
手に持っていたデジカメをザックにしまう。潅木に巻かれた赤テープを目印に高度を上げる。
ロッククライミングに近い所もあるので、帰りの時に降りられるかどうかの判断と周りのルートの特徴を
記憶しておくことをお勧めする。決して無理せずだめなら引き返すこと。雨で地面が濡れていたら
私も遠慮する。岩峰帯になるところで手ぶらの女性グループとすれ違う。天気がいいのか
足元で盛んにトカゲが逃げる。潅木がとぎれた所で中年の男性とすれ違う。
あ!トカゲがいた。多いですね。などと言葉をかわす。ここでは岩に手をかけたらたとえトカゲがいても
驚いて手を離すことの無いように心構えが必要だと思う。


頂上かと思ったらさらに先にもう一つのピークがあった。少し下りまた登りかえしてようやく東岳の
頂上に立つ。北西に西岳 南西には両神山の峰が広がる。

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東岳山頂から眺める両神山と西岳


東岳12:00 南側の方に広いスペースがありグループの登山者たちが休んでいた。
十分に眺望を楽しんだら股峠に引き返す。 股峠12:45着

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そのまま西岳に向かう。案内図には岩壁を直登する上級者コースと一般コースがあり途中で
分かれている。実際分岐点は木の幹に赤テープを2重に回し各々上級者コースと西岳頂上へ行く
初心者コースとマジックで書かれていた。
この分岐については手元のガイドブックにも地図にも載っていないので、注意が必要だ。

右側のコースのしばらく平らな道を行くと、つずら折りの斜面をとる道になる。東岳とは違い危険な箇所は無い。

中年の夫婦らしい男性がせまい岩場の所で女性に足の運びかたを教えている。
夫婦の後を追って稜線の分岐点に出る。右方向にすこし行くと目指す西岳の頂上についた。
東岳の眺望は西岳の前衛峰に隠れてしまい見えなかったがその岩場ではロッククライミング
をするパーティーがピークを目指しているのが見える。

  yonoo-gake.jpg (17866 バイト) yonoomici.jpg (18981 バイト) 魚尾道峠へ向かうコース


反対側は西岳のもう一つのピークから魚尾道峠へと縦走するグループが岩場を通過しているのがみえた。ここから見るとかなりの迫力がある。


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ロッククライミングのパーティーを眺める 

 

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朝コンビニで買ったおにぎりを出して昼食をとることにした。
13:45西岳を後にする。ここから東岳の山容を見たかったが前衛ピークに行くコースが
下りぎみの狭いザレ場ののような片側ガケの箇所を通らなければならないみたいだったので、
省略し予定通りローソク岩を見て下山することにした。

14:00 
股峠近づくにつれ平坦な場所でザックの横で登山者が寝ていた。あまり休むような場所ではないので、いやな予感がしたが、なんとその人は斜面に対して頭と足の位置がさかさになっている。


正直なところ見てはいけないものを見てしまったという感じだ。


口が半開きの状態、目が大きく見開きいたまま瞳孔が動いていない、前頭葉が岩にぶつけたかの
ように割れているが、出血はそれほどでもない。
昼でも暗い登山道で、動かない遭難者とそこにたたずむ一人の登山者、客観的にフリーズした絵
を想像すると、恐怖感に襲われてくる。


この時は40代位の細身の男性と思われこの状況ではもうだめかと感じた。
ヘルメットをしてが無いので岩登りをする人ではなさそうだが、場所から察するとてっぺんから落ちてきたか妙なコースを登ろうとして落下したのか、状況が掴めないまま現在時間を見ながら股峠に下る。
そこには多分携帯電話を持った人がいるだろうし、救助の連絡がとれると思い急ぎかけ降りた。

峠ではグループの一人の女性が携帯で警察に連絡している。その様子から自分が第1発見者でない事がわかった。遭難者がいませんでしたか?との問いに状況を説明する。
110番するにも群馬側に連絡はつくが説明中に電波の状態が悪く切れてしまう。
別の電話番号を調べるために持っていた地図とガイドブックを渡す。

話によると第1発見者の人は内科医の先生で、遭難者の発見過程は私と同じく寝ているものと思ったようだ。


胸ポケットから血の付着した名刺を取り出している状態で発見したらしい。ある意志表示
のように感じ取ったかもしれない。股峠にまで、オーイ、オーイと怒鳴る声が聞こえたみたいだから、
遭難者の耳元で意識があるかどうか確認したり、脈をとったりしていたみたいだ。
顔面がきれいだったのは血を拭っておいたからなのではないか。
聴診器があればさらに手当を進められたのにとも言っていたらしい。
彼は書き置きを残しまだ生命を取り戻せる可能性があると判断し、救助の要請をしに下山していった。
残ったグループは携帯電話で連絡を試みる。

はっきり言って私が第一発見者であったら何も出来なかっただろう。彼の行動に敬服を覚える。
発見したときは誰でも最初に見つけたと思うのだから、自分の行動と比べると自己嫌悪感状態に
なってしまう。

しばらくすると同じ方向からロッククライミングのパーティーが着た。上級者コースを通ったらしく
遭難者のことは知らない。2人が現場の様子を見に戻り、リーダーらしい人が救助の協力をする
ようだ。
現場から戻ってきた2人は何も声がでない様子で、案内図に現場の場所を示している。


touge-hiito.jpg (15839 バイト)  股峠で救助隊が来るのを待つ


坂本方面から救急車のサイレンが聞こえ林道を迂回して長沢方面の登山道からこちらに向かうようだ。
頭上ではヘリが二子山の周りを飛んでいる。ようやく2名の救助隊が登ってきて現場に向かった。
周りを飛んでいたヘリは股峠頭上に降りてきて二名の救助班をロープで降ろす。股峠はヘリの風圧で葉が舞、小枝が飛び、砂ぼこりがたち目が開けられない。注意書きの看板も壊れる。

3:xx頃 長沢側から救助員2名と第一発見者が戻ってきた。
救助員の人からの話だと年寄りの単独登山者だったらしい。何かいやな予感がした。
私がみたのが若い人だと思ったのはやはり気が動転していたためなのか、バスであった老人の
事が頭に浮かんだ。遭難者は帽子も眼鏡もかけていなかったからだ。
服装やザックの色など覚えてはいない。体型は確かに似てはいるが。


3:30
登りの時にあった夫婦の登山者が下りてきた。上級者コースをまわり降りようとしたそうだ。
最初は緩斜面だったが垂直に下りるコースになってしまい下るのは危険と思い、一般コースに戻ってここに来たらしい。

救助隊からの連絡でようやく股峠から解放された、現場から遭難者をヘリで運ぶらしい。
バスの時間が迫ってきているので、急ぎ峠を離れた。あの発見者は東岳でトカゲの話で
すれ違った男性ではなかったか、似ているような気がする。

発見したとき水を飲ませた方が良かったのか、でも山岳マンガでは絶対飲ませてはいけない
ような事が書いてあったし、あの一般コースからは誤って転落するような道はついていなかった
ような気がする。もし上級者コースが一般コースの上を通っているならあり得ないことではないが、
例の分岐の赤テープを見逃すと道はまっすぐ上級者コースに入っていく。
股峠の案内図にはコースの地図がハッキリ書いてあったし、確かに分岐の赤テープは心もとないが
目の高さなので気がつくはずである。
もしかして、あの夫婦のように上級者コースをとったのかもしれない。降りるほうが登るより難しい
からそのような事は無いと思うが、現実にあの夫婦は試みている。無いとはいいきれない。
いろいろな事が頭の中を駆けめぐる。いつのまにか坂本のバス停に着く。

16:30のバスを待つのは私一人であった。このバスを逃すと次は18:20である。
バス利用の登山計画だと二子山は16:30に戻ってくるのが普通だと思ったが、行きに乗り合わせた
登山者は戻ってこなかった。
発車まぎわになって一人の登山者が汗をかきながら乗り込んで来た。
両神山を八丁峠から来たとのこと、日向大谷から登り日帰りで戻って来たそうだ。


バスは二名の乗客を乗せて出発した。気がかりな二人の単独登山者を残して。


追記
   14日の毎日新聞の朝刊(埼玉版)にはこの時の記事が載っていた。
小鹿野 登山の男性が転落死
13日午後1時半ごろ、小鹿野町小鹿野の二子山(1165メートル)の中腹にある登山道脇の
林に、東京都目黒区−−無職、(75)が倒れているのを男性登山客(52)が
発見した。病院に搬送したが、脳挫傷ですでに死亡していた。同日1人でハイキング中、
登山道から誤って約26メートル下に転落したらしい。(小鹿野署調べ)

  亡くなられた方のご冥福をお祈りします。