航本日誌
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2001年の記録(5/8)
 
華胥の幽夢』小野不由美
過ぎ去りし日々の光』アーサー・C・クラーク&スティーヴン・バクスター
宇宙船ビーグル号』A・E・ヴァン・ヴォクト
竜の歌い手』アン・マキャフリイ
竜の太鼓』アン・マキャフリイ
 
五無斎先生探偵帳』横田順彌
ボイド 星の方舟』F・ハーバート
竜の夜明け』アン・マキャフリイ
竜の貴婦人』アン・マキャフリイ
ネリルカ物語』アン・マキャフリイ
 
長い長い殺人』宮部みゆき
こちら魔法探偵社!』ロバート・アスプリン
魔物をたずねて超次元!』ロバート・アスプリン
遠きに目ありて』天藤 真
竜の反逆者』アン・マキャフリィ
 
たのしいムーミン一家』トーベ・ヤンソン
スーパートイズ』ブライアン・オールディス
ノービットの冒険』パット・マーフィー
寝ずの番』中島らも
ハイペリオン』ダン・シモンズ
 
 
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2001年

7月17日
小野不由美
『華胥の幽夢』
講談社文庫

 小野不由美の代表作である<十二国記>シリーズ七作目。短編集。
 きちんとした短編になっているものもあれば、単なる裏話もあり。
 本編を読んでいないとおはなしにならない一冊。

 
 
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2001年

7月20日
アーサー・C・クラーク&スティーヴン・バクスター
(冬川 亘/訳)
『過ぎ去りし日々の光』上下巻
ハヤカワ文庫SF

 ハードSF。
 500年後にやってくる彗星が地球に衝突することが確定的な世界が舞台。
 ハイテク企業アワワールド社は、空間の壁、時間の壁をもろともしない新技術・ワームカムを完成させた。どこでも覗き見ることができるワームカムは、瞬く間に全世界にひろがっていく。

 凡作。
 あのクラークと、けっこう好きなバクスターの組み合わせ……ということで、期待しすぎてしまいました。

 
 
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2001年

7月22日
A・E・ヴァン・ヴォクト(浅倉久志/訳)
『宇宙船ビーグル号』
ハヤカワ文庫SF

 宇宙SF。
 3千人の科学者を乗せた宇宙船ビーグル号は、科学調査船。文明の形跡が残る惑星に着陸し、猫のような生物と遭遇する。しかし、それはただの猫ではなかった。
 情報総合学ただ一人の部員グローヴナーを中心に、探検隊の内部抗争と、未知の生物たちとの出会いをつづった古典。

 グローヴナー自身はもう成熟しているので、もっぱら地位の向上が焦点の成長物語。
 いわゆる「敵」の視点も取り入れた快作なのですが、4つの短編をつなぎあわせたものなので、構成がちょっとへん。でも、おもしろい。

 
 
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2001年

7月23日
アン・マキャフリィ(小尾芙佐/訳)
『竜の歌い手』ハヤカワ文庫SF

 アン・マキャフリイの代表作である<パーンの竜騎士>シリーズ第五作。
 音楽を愛する少女・メノリの物語。
 竪琴師ノ長ロビントンに見いだされて竪琴師ノ工舎に迎えられたメノリだったが、周囲に妬まれてしまう。お稽古事の音楽を学ぶ娘たちに邪険にされたり、石頭の工師たちに認めてもらえなかったり……。しかし、理解ある友人ピイマアや女人の長シルビナの存在に助けられ、メノリは困難を克服していく……。

 一応ジュブナイルということで、どこまでも読みやすい一冊。
 秀作。

 
 
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2001年

7月24日
アン・マキャフリィ(小尾芙佐/訳)
『竜の太鼓』ハヤカワ文庫SF

 アン・マキャフリイの代表作である<パーンの竜騎士>シリーズ第六作。
 少年・ピイマアの物語。
 竪琴師ノ工舎で一番の美声の持ち主だったピイマアは、声変わりで歌えなくなってしまう。そのためピイマアは太鼓師を目指すことになった。そして、長ロビントンの密命を帯びてナボルへ潜入するが……。

 ピイマアの成長物語。
 他の作品との関連で楽しめます。

 
 
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2001年

7月26日
横田順彌
『五無斎先生探偵帳』
インターメディア出版

 歴史もの。連作短編集。
 明治39年、英字新聞「ジャパン・タイムス」の婦人記者・高橋京子は、かかりけの医師・島田の家の庭に、深夜、石がほうりこまれたことを知る。誰がなんのために? 京子は、五無斎に意見を仰ごうと考える。五無斎は、鉱物の採集見本を皇族に献上して下賜品を受けたことがあるので、石には詳しいらしいのだ。

 志の高い変わり者、保科百助こと五無斎をユーモアたっぷりにあぶりだした一冊。
 探偵帳とあるとおりミステリィ的要素もあるものの、ネタばれ状態。歴史上の快人を慈しみたい人にはいいかも。

 
 
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2001年

7月27日
フランク・ハーバート(小川 隆/訳)
『ボイド 星の方舟』小学館

 SF。
 冷凍睡眠中の3000名の人命を乗せた宇宙船・地球人号は、鯨座タウ・ケチ星にむけた植民船だった。しかし、航行制御コンピュータの人工知能が暴走してしまう。三人の要員を殺されてしまい、残された三人の要員は、船搭載の最後の人工知能を抹殺した。制御を失った宇宙船はトラブル続出。助かった要員たちに疑心が生まれる。
 地球基地は、地球人号をおそるべき実験台にしているのではないか?

 視点になる人物がひんぱんに入れ代わるので、ついていくのに苦労させられました。さらに、脚注の多さが駄訳の雰囲気を醸しだしていて……。巻末に関連ブックガイドがあったり、「紹介」といったスタンスが脚注をのさばらせているんでしょうけどねぇ。
 ちょっと残念な一冊。

 
 
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2001年

7月30日
アン・マキャフリイ(浅羽莢子/訳)
『竜の夜明け』
上下巻・ハヤカワ文庫SF

アン・マキャフリイの代表作である<パーンの竜騎士>シリーズ、番外編。
 恒星ルクバトの第三惑星パーンは、移民が可能なものの、大企業が利権を争うような星ではなかった。FSP(生命既存惑星連邦)にパーンをもらった植民者たちは、片道切符を手に、理想の植民地を建設するために飛来する。ポール・ベンデンの指揮の元、牧歌的な暮らしは順調そのもの。パーン原産の食用にできる植物を見つけだし、竜に似た小さな生物・小竜(火蜥蜴)を手なづけ……。
 しかし、植民から8年、人々を厄災が襲った。

 いわゆる「古代」パーン人の物語。
 人間めいたドロドロしたもの、のちの歴史をかいま見せるエピソード、竜の誕生秘話、ぎっしりつまってます。

 
 
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2001年

8月1日
アン・マキャフリイ(幹 遙子/訳)
『竜の貴婦人』
上下巻・ハヤカワ文庫SF

 アン・マキャフリイの代表作である<パーンの竜騎士>シリーズ、番外編・第二作。
 本編でしばしば登場する「モレタの飛翔のバラード」を語った作品。
 モレタは、フォート大巖洞の首位洞母。ルアサの市に出席し、若い、ルアサ城砦ノ太守・アレッサンと共に早駆け獣のレースを観戦した。そのレースの最中、一頭の早駆け獣が突然倒れ、絶命する事件が発生する。始めて見る症状に首をかしげるモレタ。
 実は、禁断の地・南の大陸から猫に似た動物が連れこまれ、それが元で疫病が広がりつつあったのだ。疫病は、獣だけでなく人間、そして、パーンをおそろしい糸胞から守っている竜騎士たちにも襲いかかる……。

 災害との闘争の記録。

 
 
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2001年

8月2日
アン・マキャフリイ(幹 遙子/訳)
『ネリルカ物語』ハヤカワ文庫SF

 アン・マキャフリイの代表作である<パーンの竜騎士>シリーズ、番外編・第三作。
竜の貴婦人』の出来事を、ネリルカの目からとらえなおした作品。
 ネリルカは、フォート城砦ノ太守の娘。パーン全土を襲う疫病で、母と妹たちを失ってしまう。母亡き後、すかさず後妻をめとった父のトロカンプ太守に反発し、自分の人生を自分自身で切り開こうと決意する。

 前作『竜の貴婦人』を読んでないとちょっとおはなしにならない一冊。
 前作と併せてどうぞ。

 
 
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2001年

8月3日
宮部みゆき
『長い長い殺人』
光文社文庫

 死体のからんだミステリィ。
 財布を主役に語り継ぐ、一風変わったスタイル。

 深夜、ひき逃げ事件が発生した。単なる事故とも思えない事件の被害者は森元隆一。妻・法子は、当夜女友達の家に泊まっていた。そして、森元のネクタイピンが消えていた。
 法子の元に多額の保険金が入ると聞きこんだホステスは、恐喝を開始する。
 一方。少年・雅樹は、大好きな叔母の結婚相手・塚田和彦に言い知れぬ恐怖を感じていた。

 財布という、自分からは動けない媒体を介して人間の内側を書いていく手腕は、さすが宮部みゆきといったところ。
 良作。

 
 
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2001年

8月4日
ロバート・アスプリン(矢口 悟/訳)
『こちら魔法探偵社!』
ハヤカワ文庫FT

 マジカルランド・シリーズ第七作。

 偉大な魔術師(ということになっている)スキーヴは、ディーヴァのバザールで、仲間たちと魔法探偵社を設立した。スキーヴは、次々と舞いこむ仕事を、仲間たちに割りふっていく……。

 成長して、ちょっとヤな人間になったスキーヴが見もの。

 
 
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2001年

8月4日
ロバート・アスプリン(矢口 悟/訳)
『魔物をたずねて超次元!』
ハヤカワ文庫FT

 マジカルランド・シリーズ

 魔法探偵社の相談役オゥズが、退職届を残して姿を消した。スキーヴは、元師匠にして相棒のオゥズをさがすため、単身パーヴにのりこむ。パーヴは「この世の地獄のような」次元。頼りにするは、壜入りのジン・カルヴァン。しかし、いざ蓋を開けてみると……。

 前作『こちら魔法探偵社!』でヤな人間になったスキーヴの更正(?)物語。

 
 
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2001年

8月5日
天藤 
『遠きに目ありて』
創元推理文庫

 連作短編集。
 成城署の真名部警部は、とある縁で岩井信一少年と知り合う。聡明な信一には重度の脳性マヒがあり、車椅子生活を余儀無くされていた。
 ある日真名部は、約束をキャンセルしてしまったおわびに、その原因となった事件のはなしをする。その事件とは、滝の台団地で殺人事件が起こったというもの。大勢の主婦たちが犯人とおぼしき人間を目撃したが、彼女等の証言は少しずつ食い違っている。
 多すぎる証言という問題の前に捜査は行き詰まっていたのだが、信一は、自宅にいながらにして真実をつきとめていく……。

 20年前の作だけあって少々古めかしいところがあるものの、文句なしの秀作。

 
 
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2001年

8月7日
アン・マキャフリイ(小尾芙佐/訳)
『竜の反逆者』ハヤカワ文庫SF

 アン・マキャフリイの代表作である<パーンの竜騎士>シリーズ、第七作。

 惑星パーンでは平穏な歳月が400年もつづいたために、人々は気をゆるめていた。そんな中、テルガー城砦ノ太守の姉セラは、縁談をけって城砦を飛びだした。男まさりで剣の使い手のセラは、やがて盗賊団の頭となる。そして、竜の声を聞くことができる少女・アラミナの噂を聞いたセラは、少女を手に入れようと画策する。

 過去六冊の正伝をちがった角度で眺めつつ、新たな探索も盛りこんだ贅沢なつくり。

 
 
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2001年

8月8日
トーベ・ヤンソン(山室 静/訳)
『たのしいムーミン一家』
講談社文庫

 幻想的な童話。
 長い冬眠からさめたムーミントロールは、仲良しの、スナフキンとスニフと共に遊びにでかけた。三人がおさびし山に登ると、そこにはまっ黒いシルクハットが……。一番乗りではなかったことにがっかりする三人。ムーミンは帽子を、パパにプレゼントするために家に持って帰る。しかし、この帽子こそ、飛行おにの魔法の帽子だった。そして、飛行おには、宝石「ルビーの王さま」を捜しているのだという……。

 いくつものエピソードを積み重ねて語る、短編集的作品。最初にでてくる黒いシルクハットが飛行おにの逸話につながり、根深い一本の軸になっている構成にほれぼれしてしまう一冊。
 名作。

 
 
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2001年

8月9日
ブライアン・オールディス(中俣真知子/訳)
『スーパートイズ』
竹書房文庫

 映画「A.I.」の原案となった表題作を含むSF短編集。
 人工過密を避けるために、政府は出産を許可制にした。そのため、出産の権利を得られない夫婦のために、子供型の人工知能が開発される。デイヴィットもそのうちの一体。しかしデイヴィットは、自分はホンモノだと信じ、スウィントン夫人をママとして心から愛していた。やがて、スウィントン夫妻に出産許可がおりて……。(スーパートイズ)

 涙なくして読めない一冊。
 ただし、物足りないのも事実。
 上から下まで文字がびっしりつまっているのにスカスカに見えてしまう竹書房の版組は、読みやすさを考慮したというより、カサを増すためにやったのかと勘ぐりたくなります。

 
 
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2001年

8月10日
パット・マーフィー(浅倉久志/訳)
『ノービットの冒険 −ゆきて帰りし物語−』
ハヤカワ文庫SF

 トールキンの『ホビットの冒険』を下敷きにしたSF。
 アステロイド・ベルトで静かに暮らすベイリー・ベルトンは、冒険とは縁遠い日々を心から楽しんでいた。ある日ベイリーは、漂流中のメッセージ・ポットを拾う。律儀にも宛名人に通知をだすベイリー。そして、物置きにしまいついでにポットのことを忘れてしまう。
 しかし、女性探検家ギターナがやってきたことで、嫌でも思いだすことに……。
 おまけに、ベイリー自身が冒険の旅にでるはめに! 断ろうとしたベイリーだったが、そのときにはもう、愛する我家から11光年もはなれたところにいた。

 元ネタがあるために展開そのものはよめてしまうのですが、それにしたって、危機の連続にわくわくきます。ちがう演出家の同作舞台を観る楽しさ。

 
 
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2001年

8月11日
中島らも
『寝ずの番』
講談社

 短編集。
 表題作「寝ずの番」は……百年に一人といわれた咄家橋鶴の弟子である橋太が語り部。おのれの最期にまでオチをつけた師匠の通夜は、無礼講。弟子たちは、師匠の思い出話を披露しあう。

 中島らものはなしは下ネタが多いのですが、ヘンないやらしさはなく、あっけらかんとしてて笑って読めます。

 
 
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2001年

8月15日
ダン・シモンズ(酒井昭伸/訳)
『ハイペリオン』上下巻・ハヤカワ文庫SF

 雑多なSF。
 辺境の惑星ハイペリオンには、謎の遺跡<時間の墓標>があった。そこには殺戮者シュライクが封じこめられているが、今はまだ閉ざされている。
 28世紀。宇宙連邦が震撼させられる事件がおこった。<時間の墓標>が開きはじめたというのだ。さらに、時おなじくして蛮族アウスターがハイペリオンへと侵攻を開始していた。連邦は、<時間の墓標>の謎をアウスターより先に解明するために、七人の男女を送りだす。さまざまな経歴を持つ彼らは、いずれもハイペリオンと深いかかわりがあった。互いを理解するために、おのれの人生を物語ることになる七人。
 七人は<時間の墓標>にたどりつくことができるのか?
 七人の中にいるというアウスターのスパイは誰なのか?

 世間の「大傑作」という評判と、魅惑的な設定に期待を持ったのですが、期待しすぎたようです。きっと、続編の『ハイペリオンの没落』を読んで、始めて語れる物語なのでしょう。

 
 
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