整理表―憲法
1天皇制―公的行為の憲法上の解釈
| 国事行為 | 私的行為 | 公的行為 | ||
| 二行為説 | 私的行為説 | ○ | ○(公的行為) | 私的行為に含める。 |
| 国事行為説 | ○(公的行為) | ○ | 国事行為に含める。 | |
| 準国事行為説 | ○(公的行為) | ○ | 国事行為に密接に関連する公的行為は国事行為に準ずるものとして認められる。 | |
| 厳格二行為説 | ○ | ○ | 違憲である。 | |
| 三行為説 | 象徴行為説 | ○ | ○ | ○象徴としての地位に基づくものとして認められる。 |
| 公人行為説 | ○ | ○ | ○知事等と同様に公人としての地位に伴う当然の社交的・儀礼的行為として認められる。 | |
2 憲法9条の解釈
| 1項―戦争放棄 | 2項前段―戦力放棄 | 2項後段 | 自衛のための | 備考 | |||
| 侵略戦争 | 自衛戦争 | 侵略戦力 | 自衛戦略 | 戦争 | 戦力 | ||
| 放棄 | 可 | 放棄 | 可 | 戦争を行う権利の放棄 | × | ○ | かかる学説は存在しない。 |
| 放棄 | 可 | 放棄 | 可 | 国際法上の交戦者の諸権利の放棄 | ○ | ○ | 「〜の目的」が2項後段にかからないなら自衛戦争も放棄 |
| 放棄 | 可 | 放棄 | 放棄 | 戦争を行う権利の放棄 | × | × | 2項前段によって戦争放棄、後段が重ねて規定したもの |
| 放棄 | 可 | 放棄 | 放棄 | 国際法上の交戦者の諸権利の放棄 | × | × | 2項前段は戦争遂行を物質面から、後段は法的に不可能にしたもの |
| 放棄 | 放棄 | 放棄 | 放棄 | 戦争を行う権利の放棄 | × | × | 2項後段は1項を重ねて規定したもの |
| 放棄 | 放棄 | 放棄 | 放棄 | 国際法上の交戦者の諸権利の放棄 | × | × | 2項後段は1項の注意規定 |
3 私人間効力―当然に私人間に直接的な効力を持つもの
| 内容 | 理由 | |
| 15条4項 | 選挙における投票の秘密の保護 | 「私的にも」と規定し、秘密投票の原則を保障する為に選挙人の行使の無責任を定めている。 |
| 18条 | 奴隷的拘束及び苦役からの自由 | 全ての非人格的な自由の拘束は人格無視として否定する趣旨であり一般の社会生活関係においても妥当する。 |
| 24条 | 婚姻の自由と夫婦関係の平等 | 同条の趣旨は個人の尊厳と両性の平等を国家との関係のみならず、私人間でも徹底させるところにある。 |
| 27条3項 | 児童酷使の禁止 | 児童の相手方として使用者を本来概念的必然的に前提としている。 |
| 28条 | 勤労者の団結権等 | 勤労者の相手方として使用者を本来概念的必然的に前提としている。 |
4 検閲の概念
| 主体 | 対象 | 目的 | 態様 | 時期 | 行為 | 検閲の意義 | |
| 判例 | 行政権 | 思想内容等の表現物 | 全部又は一部の発表禁止目的 | 網羅的一般的 | 発表前 | 発表禁止 | 絶対禁止 |
| 佐藤幸 | 行政権 | 表現内容 | なし | なし | 表現行為前(受領行為前) | 表現行為禁止 | 絶対禁止 |
| 芦部 | 公権力 | 表現内容(又は思想内容) | なし | なし | 表現行為前(受領行為前) | 発表禁止 | 例外認める |
5 行政権と司法権に対する民主的統制
| 行政権 | 司法権 | |
| 国会による統制 | 議院内閣制→内閣不信任決議 国政調査権 |
任命権内閣 弾劾裁判 国政調査権 |
| 国民による統制 | 財政状況の報告 行政情報公開請求権 リコール制(否定) 表現の自由 |
国民審査 裁判の公開 陪審制 表現の自由 |
6 機関の自立性
| 議院 | 裁判所 | 内閣 | |
| 趣旨 | 国民の意思を国政に公正に反映させるため、外部からの不当な干渉を排除する必要がある。 | 少数者の人権を保障する為に裁判の公正が要請され、そのため司法の独立を保障する必要がある。裁判官の自立性が核となる。 | 円滑な行政の執行のためた機関からの干渉を排除する必要がある。ただし行政権の暴走を防止するため自律性は制約されている。 |
| 自主組織権 | 役員選任権 議員の逮捕許諾権 議員の資格総称の裁判 |
最高裁の下級裁裁判官指名権 | 総理に国務大臣の任免権 |
| 自律的運営権 | 規則制定権 議員の懲罰権 不逮捕特権 |
規則制定権 最高裁・下級裁による懲戒処分 |
|
| 身分保障 | 不逮捕特権 免責特権 歳費受領権 |
罷免事由の限定 行政機関による懲戒の禁止 報酬の保障 |
総理の国務大臣の罷免権の独占 |
7 衆議院の優越
| 衆議院の先議権 | 参議院が議決しない日数 | 議決しない場合の効果 | 再議決 | 両院協議会 | |
| 法律案 | なし | 60日 | 否決とみなすことができる。 | 出席議員の3分の2以上の多数決 | 任意的 |
| 予算案 | あり | 30日 | 衆議院の議決 | 不要 | 必要的 |
| 条約 | なし | 30日 | 衆議院の議決 | 不要 | 必要的 |
| 内閣総理大臣の指名 | なし | 10日 | 衆議院の議決 | 不要 | 必要的 |
8 予算と条約の比較
| 予算 | 条約 | |
| 意義 | 一会計年度の歳入歳出の見積もりを内容とする財政行為の準則 | 外国との間における国際上の権利義務関係の創設変更にかかわる文書による法的合意 |
| 権限 | 作成権限:内閣 | 締結権限:内閣 |
| 予算は国家財政の大綱を決し施政の方針・基準となるものであるところ、行政各部からの資料をもとに迅速に総合政策的判断を行いうる行政府が、専門性・技術性ゆえにその作成に適任である。 | 条約の締結は、相手国との交渉により確定していく作業であるところ、秘密裏に情報を収集・分析し、交渉することが必要であり、行政府が適任である。複雑な国際政治情勢の下、さまざまな利益考量をしつつ迅速円滑に条約を成立させる必要がある。 | |
| 国会の関与 | 国会の議決が必要 | 国会の承認が必要 |
| 国民生活に重大な影響をもたらすため民主的に国会の議決を要求する。 | 条約が国内法的効力を有し、国民の権利義務に直接関連する場合がある。 | |
| 国会の修正権 | 修正可能(法形式説) | 修正権なし |
| 国内における財政面の問題であり、国会が本質的部分の審議・議決権を有する。 | 国際上の問題であり、本質的部分は相手国と直接交渉の任にあたる内閣固有の権限である。 |
9 内閣・裁判官の指名・任命
| 指名 | 任命 | 任命の条件 | 認証 | |
| 内閣総理大臣 | 国会の指名 | 天皇が任命 | 国会議員であること | |
| 国務大臣 | 総理が任命 | 過半数が国会議員たること | 天皇が認証 | |
| 最高裁判所長官 | 内閣の使命 | 天皇が任命 | ||
| 最高裁判所裁判官 | 内閣が任命 | 天皇が認証 | ||
| 下級裁判所裁判官 | 最高裁の指名 | 内閣が任命 | 内閣が指名したものの名簿に基づく | 高裁長官のみ天皇が認証 |
10 議会と裁判所の公開
| 議会 | 裁判所 | |
| 共通点 | 公開の根拠:国民主権 公開制度の法的性質:制度的保障であり、国民の具体的権利は保障していない。 | |
| 公開の原則 | 57条 | 82条 |
| 公開の例外 | 57条1項但書 | 82条2項本文 |
| 出席議員の3分の2以上の多数で議決したときは秘密会とできる。 | 裁判官の全員一致で公序良俗を害する恐れがあると判断した場合対審を非公開とできる。 | |
| 絶対公開事由 | なし | 政治犯罪、出版に関する犯罪、この憲法第3章で保障する国民の権利が問題となっている事件 |
| 公開の根拠 | 国会意思形成のための機関であり、国民に関係する。政治的な意思決定のための重要な資料提供の必要性。国民による民主的統制の手段。 | 裁判の公正の確保、人権保障の実現。 裁判の公正に対する国民の信頼の確保。 |
| 非公開の根拠 | 会議の公開が国の利益に反する場合がある。 自由委任を基本とする間接民主制であるから、許容性もある。 個別的な人権を扱うことは少ない。 政策的判断が必要となる。 |
公共の安全や人身に著しい悪影響を及ぼす恐れがある。 一方で直接的な権利を扱っており、また政策的判断の余地が少ないという点で非公開となし得ない場合がある。 |
11 条例における罰則制定権の根拠
| 憲法直接授権説 | 包括的法律授権説 | 限定的法律授権説 | |
| 法律の委任 | 不要 | 必要 | 必要 |
| 法律の委任の程度 | ―― | 包括的 | ある程度具体的 |
| 地方自治法14条5項と憲法との関係 | 法14条は一方で憲法上保障された地方公共団体の罰則制定権を確認し、他方で罰則定立権の範囲限界を定めたものであり新たに罰則を設けることを委任する規定ではない。 | 法14条は条例における罰則の制定を包括的に授権したものである。 | 法14条の規定はそれ自体では条例に罰則を設けることを授権する規定として不十分であるが、地方公共団体の事務が法1条2項で限定されているから個別的委任であって、憲法31条に反しない。 |