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第一部 詐欺師 1.M氏邸 2.東京都鴨川邸 3.インチキプログラム 4.懲りない詐欺師 第二部 水枕 1.独自絶縁工法 2.防水シートが浮いた! 3.3層構造になった経緯 4.K所長 5.プロの診断 6.素人の徹底反論 7.覆水盆に返らず 第三部 坊っちゃん 1.宿直事件 2.釣り 3.職員会議 4.マドンナ 5.増給の話 6.送別会 7.祝勝会乱闘事件 8.荒肝を挫ぐ 結び 真実 寿命すりかえ事件 |
旭化成のロングライフ全面広告は03年4月22日から7日間連続で全国紙に掲載されました.私はその資料請求を広告に掲載されたフリーダイヤルで行いました.1週間ほどして旭化成ホームズ高槻営業所の若手社員が,わざわざ自宅まで資料を届けてくれました.
ピンク色の旭イヒ成の紙袋には,要求した『LONG LIFE』(以下「絵本」とも呼びます),おまけのサランラップ,そしてパンフレットが2冊入っていました.パンフレットは見ずに放置していましたが,株主総会翌日の全面広告の紹介も終わり身辺の整理を始めたとき,ついつい手に取って中を見てしまいました.
1冊はなんの変哲もないカタログでしたが,もう1冊の『HEBEL HAUS LONG LIFE HOUSING TECHNOLOGY』というパンフレット(0301改定D版)は,「絵本」と同じくロングライフ住宅基準をテーマにしたもので面白いものが載っていました.
全面広告では30年目点検,築30年という表現があることから,M氏邸は71年築らしいと推測できます.しかし広告本文でそれは一言も言っていません.わずかに写真余白のS46.11月という手書きメモが,昭和46年すなわち1971年築であると小さな声でつぶやいているだけです.30年目点検は大々的に宣伝したい,しかし71年築はどうやらできれば隠したいようです.ところがご覧下さい.最新パンフレットでは71年築が踊っています.ご丁寧に3箇所も.
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お子さんが映っている中央の写真が全面広告ではS46.11月というメモ付で掲載されたものです.
全面広告によるとM氏邸は01年7月に30年点検が実施されたことになっています.これから逆算して建物完成は71年7月である,そして広告には「子どもの成長に合わせて,室内スペースを広げる必要があった」ので増築したとあり,お子さんがすでに小学生らしいことから,増築は早い時期に行われた,ひょっとするとこの11月の写真は増築直前の記念写真かもしれないと私は皮肉りました.新築直後の増築とは!?
日本の貧しい住宅事情では,子供部屋の確保は新築時に最優先で考慮されます.そして増築が割高であることは誰でも知っています.全面広告の説明はそもそも少しおかしいのです.
このパンフレットによって増築が11年目という早い時期に行われ,増築理由は子供の成長と無関係だったことがはじめてわかりました.全面広告の説明は嘘だったのです.
「2階のベランダ部分を増築して,和室を広いベッドルームにリフォーム」されました.大きな洋間に増改築してご夫妻のベッドをおき,ウォークインクロゼット,書斎コーナーなどを作られたのでしょう.モデルルームでよく見かけるように.
布団生活からベッド生活への変更,つまりこれがM氏の言われる「ライフスタイルの変化」の中身のようです.
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ヘーベルハウスは旭化成の沿革にあるとおり72年販売開始です. 左の二つの写真は販売開始当時のヘーベルハウスです.いずれも『ヘーベリアン』02年秋号のヘーベルハウスの歴史から採りました. 上はDシリーズ,下はEシリーズです.ご覧のようにヘーベルハウスの第1号は蒲田展示場のモデルハウスだそうです.見本が1号棟だなんておかしな話ですが. Dシリーズはこの後長く主役を務めました.18年後に建てた我が家は後継のFシリーズですが,Dシリーズはカタログにまだ残っていました.(一方Eシリーズはすぐ消えたと思われます?) 屋根の形状は家の表情・印象をきめる上で重要なポイントです.陸屋根の場合,なにしろ普通の屋根はないのですから,その代わりに庇の形状がたいへん重要になります. DとEでは,庇の形がちがいます.Dは先端が斜めになっていますが,Eは垂直です.庇下面の形状も違います.Dの方がふっくらと丸みがついています. Fシリーズ住人の眼からすると,Eシリーズの庇は不細工です. |
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ヘーベルハウスは72年販売開始で71年築のM氏邸は商品ではありません.したがってその仕様は商品仕様のDでもEでもなくプロトタイプ仕様いわばXシリーズです. 左の二つの写真はM氏邸の71年新築当時と現在の同じ場所の写真です(全面広告の写真を拡大).映っている部分より左側が増築された所です. これで見ると新築時の庇はEシリーズ風です.平たい箱を載せたような形で今みれば古臭い形です.ところが現在はご覧のようにDシリーズ風のスマートな庇に変わっています.箱型の例は他社にいくらもありますが,D形庇は旭化成独自でヘーベルハウスを特徴づけるものの一つです. M氏邸の庇はEシリーズ風からDシリーズ風に化けています.普通の家ではこんな基本仕様の変更は不可能です. 庇は形が変わっただけでなく,長く(深く)なっています.庇のこれらの変更にはへーベル板の取り替え,防水シートの貼り替え,外壁の塗り替えが必要となりますから大改造です.(その他に和室の窓は,しゃれた出窓に変更されています.) 11年目の増築時にこれらの大改造が「ついでに」行われたかどうか不明ですが,M氏邸が金に糸目をつけずに改造されている事がよくわかります. |
| M氏邸の全景を新旧で比べてみました. 1:新型庇で深くなっている. 2:出窓に変更 3:コーナー出窓を増築部に新設 4:玄関上の庇を厚い庇に変更 5:1階庇を新型に変更 6:新築時になかった雨戸新設 見たところこれだけ変わっています.当時最新だったに違いない大きなコーナー出窓がまるでM氏邸のシンボルのように派手に目立っています. M氏邸が30年の歳月を感じさせないのは当然です.30年の間に大改造され全く別の家に化けているからです,もちろん大金かけて. 旭化成は金の話は一切出さずに,躯体・へーベル板の頑丈さ,「綿密な」メンテナンスプログラムそして長期無償点検システムのおかげで,ヘーベルハウスは30年経ってもこれこのとおり新築同様だと訴えたのです. |
同じ場所から撮影した東京都内にあるヘーベルハウス鴨川邸.1枚が,今から30年前の新築当時のもの.もう1枚が,この6月末に「30年目点検」をしたときのもの.見分けがつきますか.(実は左の写真が新築当時のものです.)この30年,見た目にほとんど変化がない.驚くべきことにM氏邸の場合と全く違って鴨川邸は昔とそっくりだと旭化成は主張しています.本当かどうか念のため細部を比べてみましょう.
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鴨川邸の増築時期は,M氏邸と違い14年前(つまり築16年時点)と明記してあります.大阪から帰ってきた長男夫婦と同居するためという増築理由にも疑いをさしはさむ余地はありません.増築にはさぞかし金がかかったでしょうから,庇を新型に変え長くして窓は出窓にしようなどとは夢にも思われなかったに相違ありません.鴨川邸には一つ不明点があります.建設時期です.71年築であることを直接証明する証拠は全面広告には何もありません.鴨川邸では71年築は完全に隠されています.
鴨川邸も71年築だと主張されるのならご自由に.私は鴨川氏は正規ユーザだと思います.鴨川邸が72年築だとすると30年経っていませんから,旭化成が30年目点検異常なしと宣伝するのは嘘になります.ただしこの嘘は1年フライングしたという嘘でありそれ以上に悪質ではないことにご注意ください.
| 屋根の型 | 勾配屋根 | 陸屋根 | ||||
| 実施時期目安 | 15年 | 30年 | 45年 | 15年 | 30年 | 45年 |
| 屋根メンテ | 補修 | 交換 | 補修 | − | 交換 | − |
| 外壁吹付け塗装 | 交換 | 交換 | 交換 | 交換 | 交換 | 交換 |
| シーリング(目地補修) | 補修 | 交換 | 補修 | 補修 | 交換 | 補修 |
30年点検異常なし全面広告で旭化成は「日本の家の平均寿命は約26年」と言っています.旭化成によるとヘーベル以外の一般住宅の「寿命」は30年なのです.30年経つと物理的な寿命によって建替えざるを得なくなる30年耐用住宅とは具体的にどんな住宅なのでしょうか.旭化成の競争相手である他社プレハブ,あるいは注文住宅に,そんな住宅があるのでしょうか.
| 15年時点 | 30年時点 | 45年時点 | 60年時点 |
| 220万 | 550万 | 220万 | 0万 |
| 15年時 | 30年時点 | 45年時点 | 60年時点 | 75年時点 | 90年時点 |
| 220万 | 550万 | 220万 | 550万+α | 220万+α | 0万 |
| 15年時点 | 30年時点 |
| 220万 | 0万 |
旭化成はヘーベルハウスの新築費,解体費が一般住宅より高いのは素直に認めています.良いもの・頑丈なものは高いのだと言いたいのでしょう.しかしメンテナンス費用が高いことは隠したいのです.
99年以降のヘーベルハウスはそれ以前に比べると格段にメンテナンスコストが安くなっている筈です.それでもなお旭化成にお任せすると,内装リフォーム費用,給湯器交換,水廻り設備の交換などを除いて,屋根・壁だけで30年で770万かかるのです.
旭化成はピンハネ以外に何もしていないことが,知らぬが仏事件で明るみに出ました.ピンハネ分高くなった法外価格で契約をとるために,詐欺が必然でした.
旭化成は反駁の必要に迫られました.苦しい限りですがそれでも盗人の三分の理を展開しました.それが「メンテナンスプログラムと50年点検システムが実現するメリット」という珍説です.不当ピンハネ分を「メリット」の中に潜り込ませて正当化しようとしているのです.
金のにおいがしないメンテ***と50年点検***を,堅固な躯体・ALCと組み合わせることにより,旭化成は安心を売っているのです.その代償がいかに高くつくかは,全面広告では一切触れず,パンフレットではむしろ安いと偽りました.
これが01年の全面広告以来の旭化成の論理です.03年のロングライフ全面広告にもこの論理が一貫して流れています.というよりロングライフ住宅基準こそ,詐欺論理の総花的集大成なのです.
旭化成はインチキに拠るしかありません.なぜなら法外ピンハネに正当性がないからです.そして今後もピンハネで儲けたいと考えているからです.
ヘーベルハウス宮部邸.千葉県舟橋市,今年築30年. 右は,新築当時家の前で撮った家族の記念写真.左は同じ場所から最近撮ったご夫婦の写真.ご主人の髪はすっかり白くなられました.奥様は変わらずにおきれいです.二人の息子さんは.社会人になり現在独立されて別のところに住んでいます.激動と言われたこの30年.宮部家には平和な時間が流れていたことを,ご夫婦の穏やかな表情がもの語っているような気がします. さて,家族が幸福を長く維持してゆくために,家にできることってなんだろう.ヘーベルハウスは,このことを考えてきました.その答えのひとつは,家のことを心配せずにずっと暮らせること.ロングライフ住宅ヘーベルハウスを支えているのは,新築当時の性能を保ちつづけられる基本性能です.例えば,外壁,屋根,床材に使用されているALCコンクリート・ヘーベル.完全無機質のこの建材は,経年劣化が極めて少なく,耐水性,耐火性,遮音性などにすぐれた性能を持っています.もちろん鉄骨躯体や基礎部分も,頑丈そのもの. さらにヘーベルハウスでは,50年目まで定期的に点検するシステムをとっている.この7月に宮部邸で行われた「30年目点検」.玄関ドアのビスのゆるみ,屋上防水シートのきずなど,軽微な補修を必要とする数箇所を除いて,異常は見つかりませんでした.また同時に,綿密なメンテナンスプログラムにより,耐用年数に応じた補修や部品交換を計画的に行っています. そして家族が幸福を長く維持してゆくために家にできることのもうひとつの答えは,家族の変化とともに,家も変化していくこと.二枚の写真の比較で明らかなように,30年前テラスだった場所の一部が増築されている.子どもの成長に合わせて,室内スペースを広げる必要があったのです.ヘーベルハウスの鉄骨躯体は,家族構成の変化に合わせて増改築ができる設計自由度の高さが,大きな特徴の一つです. 日本の家の平均寿命は約26年と言われています.でもこの宮部邸にとって,それはほんの通過点にすぎません. ヘーベルハウスを建てた方は,30年後にこうおっしゃいます.家は建てたあとが大事だったんだ,と.あらためて報告します.宮部邸, |
欠陥住宅でない限りどんな家でも,金をかけて手入れすれば「30年点検異常なし」で当たり前です.ヘーベルハウスでなくても,当たり前です.当たり前のことを金をかけて全面広告で訴えても効果は薄いのです.鴨川氏は全面広告の中で「30年たっていますから,さすがに家の中の様子は変わっていますが,今だにドアの建てつけもいいし,床のきしみもありません」と極めて穏当な感想を述べておられます.しかしこれではインパクトがないと旭化成は考えました.そして客である鴨川氏の写真がないことが,実績宣伝広告として致命的だと旭化成は考えたのでしょう,きっと.
1.増築時期を隠し嘘の増築理由をつけたことM氏邸の嘘は1年さばを読んだというかわいい(?)嘘ではもはやありません.根本的に消費者をだまそうとしているのです.
2.増築以外に大改造していること
そして
3.商品でないことが明らかなこと
『組織とエリート達の犯罪』(新田健一著 朝日新聞社 01年11月発行)という本には「日本の警察には組織権威防衛のための無謬主義と秘匿主義がある」という記述があるそうです.無謬(むびゅう)主義とはまちがいをまちがいと認めないばかりか,俺達はそもそもまちがいなどしないと強弁することです.官僚ばかりか隠蔽体質の旭化成にも無謬主義がはびこっています.
| 無謬主義のシンボルとして 新築同様の71年築ヘーベルハウス は これからもずっと 消費者をだまし続けるでしょう. |
(これは2年半前に書いた『防水シート補修顛末記』の続編です.)
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日射熱によるシートの伸縮は絶縁工法には関係ないと思われます.外壁にべったり全面接着している外壁塗料が日射熱で伸縮しても問題ないように.絶縁工法は主に地震時のへーベル板のずれ対策であるに違いありません.(『独自免震工法』参照)ヘーベル板に防水シートをべったり全面接着すると,地震でへーベル板がずれた時,防水シートに対する負荷はずれ部位に集中し破断する恐れがあります.しかしもしディスク間隔が仮に1メートルだとすると,たとえば1センチのずれを1メートルで吸収すればいい話になります.負荷を分散・吸収できるのです.
絶縁工法はヘーベルハウスの昔からの基本仕様です.耐久性が30年に向上したことと絶縁工法は無関係です.我が家の屋根も絶縁工法で施工されていますが,30年耐久ではありません.ヘーベルハウス陸屋根では,防水シートに傷がついて水が入ったらお終いです.防水シートの下には隙間があり水が広い範囲にまわり,防水シートの下の断熱材・へーベル板には防水性がないからです.
屋根には高分子系の最高級防水シート(DNシート)が採用され,まるで家全体が雨合羽を着たような状態です.普通の家より雨合羽を着ている分,防水性能が高いような誤った印象を与えます.屋根のない家が雨合羽を着たような状態と表現する方が正しいと思われます.ヘーベルハウスは薄い雨合羽が命の綱なのです.
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| 防水シートはベランダにも貼られます.屋根と違ってベランダには人が日常的に出入りします.そのためシート厚は2ミリです.一方屋根は1.3ミリです.(90年築の我が家の場合です.) 左は『ヘーベリアン』96年夏号から採りました.ベランダはこんな感じで普通に掃除できます. 近着03年夏号の『ヘーベリアン』にも同様の記述がありました(左下参照).しかし今度は「防水シートを傷める恐れ」があるので掃除は年に1,2回という注意書きが加わっています. |
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写真上は,ベランダの土手(と呼ぶことにします)をナイロン不織布で, 写真下は,「広い部分」つまり船でいうと人が乗る甲板すなわちデッキをデッキブラシで掃除しています. 96年の説明はデッキの掃除でした.ここはなにも気にせず掃除していいのです. ところが土手は注意が必要なのです.毎日土手をデッキブラシでごしごし掃除するのは,多分厳禁です. 左の記事はこう読むべきだと考えます.その理由はあとで説明します. さてベランダには人工芝を張っても構いません.防水シート保護の意味もあると営業が勧めたので我が家は張っています.人口芝の下はこの13年間一度も掃除したことがありません.人口芝の端をめくってみました. |
| ここは居室部と近く日当たりの悪い場所です.こけで少し緑色に変色しています. 土手の2箇所(矢印)とデッキの隅をティッシュでぬぐってみました.いずれも表面の汚れをとれば,防水シートのきれいな表面が現われます.旭化成推奨の方法で掃除すれば見違えるようにきれいになる筈です. 土手とデッキのつなぎ目部分(写真の赤の直線)は鋼材に完全接着されていますが,そこを離れると土手の方もデッキの方も,写真から受ける固い印象とは異なり,押すとへこみます.絶縁工法による隙間が下にあるせいです. |
10畳ベランダに面した日が良く当たる土手です. 手入れなしですが,上に示した場所よりきれいです. こちらの方が屋根に条件が近いと考えられます. へこみを示すため直線を描きました. 右のようにへこみます. |
デッキには人が毎日乗ります.デッキの下の隙間は,毎日人の体重で押しつぶされます.防水シートはそれに耐える物理的強度・耐久性を持ったものでなければなりません.もしそうでなければ設計ミスです.ベランダシート厚が2ミリというのは,正確にはデッキが2ミリで,土手はそれより薄く1.3ミリ厚だと思われます.土手の取り扱いは要注意です.1.3ミリ厚の屋根も同様に要注意です.どちらも物理的強度が十分ではないのです.
傷むおそれがあるから掃除は年1,2回にと旭化成は警告しました.毎日人を乗せて平気なデッキにそんな注意が不要であることは明らかです.つまりデッキと土手は防水シートのものが違い,デッキは強いが土手は弱いのです.
『ヘーベリアン』96年新春号では,貼り替え時期の目安は15年になっています.15年から20年であったものが,いつのまにか15年前後になっています.防水シートはその後9?年に2ミリ厚に,98年秋から2.3ミリ厚に変更され,そして現在は2ミリ厚で30年耐久を謳っています.1.3ミリ厚シートに問題があったことは明らかです.
貼り替え時期は旭化成にご相談くださいとなっています.外壁の塗り替え時期はどうでしょうか.
外壁は汚れます.ベランダの土手が13年経つとあれだけ汚れるように,外壁も汚れます.特に砂壁風ざらざら表面の壁は,拭いてきれいになるわけではなく,汚れは蓄積します.そしてボーダー金物も色あせます.ここに業者(含む旭化成)の勧誘が加わり,客は塗り替えを決意します.
一方防水シートの貼り替えはどうでしょうか.防水シートに美観上の要素は一切ありません.外からは全く見えないからです.
一般家庭向け防水シート業者の広告・チラシはほとんど皆無です.その上旭化成は独自シートを独自工法で施工と言っています.素人には旭化成が頼りです.そこがつけめです.破れる危険性があるということは寿命だということです.寿命だと誰が判断するのでしょうか.
ベランダ土手の防水シートは毎日観察できますが,これがどうなったら,いつ破れてもおかしくない状態なのでしょうか?素人が判断してはならないのです.ハウスドクターの旭化成が判断するのです.客から相談を受けた時,あるいは定期点検時に,屋根にあがって診断し寿命ですと告知してくれるのです.
我が家の防水シートは,防水シートの何たるかを熟知している旭化成が傷をつけ雨漏りしました.いったん雨漏りが発生したら,築9年であってもプロは貼り替えを勧めます.パッチ補修は収縮性に問題があるとかなんとか言って.
傷は足場解体屋がつけたことになっていますが,足場解体屋にあらかじめ防水シートが要注意であることを教えていなかったとしたら,未必の故意に該当します.
| 左の『LONG LIFE』が示すとおり 独自防水シートは30年耐久であると 旭化成は誇らしげです. しかしこんなことを言い出したのは 99年以降です. それまでは15年が交換の目安です 交換時期はご相談くださいと 旭化成は言っていたのです. 我が家の防水シートは特異な経緯(後述)により薄いシートの3層構造になっています.3層目が貼られたのは3年前です. いくら薄くても3枚も重ねれば当分大丈夫だろうと私は思いました.しかし大丈夫ではありませんでした. |
雨上がりの状態です. たまってはいけない水がたまり, ちょっとしたどぶ状態になっています. 排水口周辺の防水シートが浮きあがっているため, 水が排水口に入らないのです. こうして水は矢印方向に庇からあふれ落ちます. 他の隅でも同様の浮きがみられます. |
手で押さえると数センチ沈みます. 左のたまった雨水が流れてきています. もっと押さえると排水口まで流れます. |
陸屋根の中央部は平ら(なだらかな勾配がある)ですが,庇先端に近い部分は雨水を排水口に導くために,少しくぼんでいます.樋の役目をしているのです.絶縁工法と防水シートの浮きをダイレクトに結びつけて考えてしまったのです.3枚の接着剤でべったりくっついた防水シートがへーベル下地から浮き上がってしまった,これは貼り替えるしかないと私は思いました.
「樋」の底の防水シートと下地の接着面には,シートが収縮したとき,上向きの力,すなわちシートを下地から剥がす方向の力が働きます.剥がす力は1ミリの防水シートより3層で計3ミリの防水シートの方が強い・・・こうして「樋」は3年で部分的に消滅した?
剥がしのメカニズムが当たっているかどうかは別にして,全面接着されている場合に比べ,部分接着されている防水シートが下地から剥がれ易いのは道理だと思われます.そしてもし部分接着(絶縁工法)の仕様を無視して重ね貼りすれば,剥がれそして浮くのは必然だ・・・
・2/11雨漏りは旭化成ホームズに連絡しました.前年末の外壁工事に関係することなど想像外でした.旭化成ホームズ→旭化成リフォーム→工事店と連絡が流れ,外壁工事を担当した工事店社員が見にきました.工事監督の責を負うべき旭化成は見にきませんでした.
夜2階和室雨漏り.かなりの量.妻が見つける.築9年の家がどうして雨漏りするのよと妻怒る.
・2/12
旭化成ホームズに電話.(工事店社員)M氏来る.対応はさすがに速い.
・2/13この工事店のアドバイスは注目すべきです.防水シートの補修は貼り直すことを客には勧めていると言うのです.(経済的にお困りの場合はパッチですが・・・と彼は付け加えました.)
M氏および他一人(足場責任者?)来る.陸屋根2階上の防水シート点検.傷は新しい,周辺部に数ヵ所あるという.M氏犯人が塗装屋か足場屋か調査中であるが,きちんとなおさせて頂くという.また防水シートの補修は,パッチにすると収縮性の違いで問題が多いので1枚貼り直すことを客には勧めているという.個人的には1枚貼り直すほうがいいと思うと説明した.
・2/22重ね貼りは工事店社員の意思ではなく,旭化成の意思だから旭化成に説明させるということでしょう.この後かかってきた電話で旭化成S氏が登場します.実に前年10月の外壁塗装の契約から,この電話まで旭化成の人間は一度も登場していないのです.塗料すりかえが発覚するのはこの電話です.
月曜午前M氏来る.(妻対応)防水シート重ね張りするが5年もつ.あさって水曜工事したい,1日ですむとのこと.夜M氏に電話,5年しかもたないというのはどういうことかときくと,折り返し関西旭化成リフォームから電話させるとのことなので切る.
・2/22(つづき)この後我が家を訪れた旭化成S氏は言いました.
関西旭化成リフォームS氏より電話.関西旭化成リフォームの正社員と初めての会話.新築10年以降の客には無償で1ミリのシートを張っている(初耳),今回の旭化成100%責任の破損に対し無償品で対処するのは筋が違うと思ったのでちょっと感情的になる.水曜の工事断わる.対応を再度考えるとのことなので,K工業でなくリフォームより連絡してもらうことにして電話を切る.
切る前に念のため本体の塗料の種類を聞く.メーカは違うかもしれないが新築時のものと同じ製品でサラテックスというものであると明言.予想外の答だった.妻が横で聞いていて,私が感情的になったり,塗料の話などもちだしたので,驚いた顔をしたので,年末以来私が持っていた疑念を話す.
2.3ミリは施工性に問題があり,現在の30年耐久シートは2ミリだそうです.その後3月8日の三者話合い(旭化成,工事店,客)において「一筆頂きたい」という旭化成の態度に驚いた私は,それ以後あらかじめ旭化成に書面見解を必ず出させそれを元に話合いすることにしました.
キズの補修は通常は部分的補修のパッチ(部分当て)補修ですが,今回は弊社がキズをつけ,多々御迷惑をおかけした事もあり,社長回答の内容は通常の部分補修のみではなく,庇の先端部より内側へ2m幅で全周シートを増貼りする工事のご提案をさせて頂いております.この点についても,御相談させて頂ければと思います.「通常」ならパッチ補修だが,旭化成は責任を感じている,したがって2m幅で全周シートを増貼りしてやる,これで不足なら相談にのってやる・・・と旭化成は言っています.
4年ぶりの会話はほんの1,2分で終りました.30分後,K所長よりTEL.8月2日(土)に旭化成リフォーム社員1名,他4,5名で伺うという.そんなに大勢で来られるのですかと訊くと,すぐ直せるものならその場で直すとのこと.電話を切った後,釈然としない思いが残った.
貼り替えるしかないという私の素人判断が誤りかもしれないことをK所長は示唆してくれました.30分後,私の方からTEL.旭化成リフォーム社員1名,他1名でまず見てもらうだけで結構ですと伝える.K所長がお急ぎだと思いましたのでと言ったので,雨漏りしているわけではありませんからと答える.こうして診断日が土曜午前に決まった.
防水シートの膨らみは次の手順で簡単になおる.穴をあけ,浮き袋の空気を抜くように空気(まさか水ではないと思うが)をしぼりだし,そのあと穴から接着剤を流し込み防水シートを下地にはりつけ,あなを塞ぎ,パッチを貼ればおしまい.と私は考えました.なにしろ防水シートの浮きと絶縁工法を結びつけて考えていますから,こんな荒療治を想像してしまったのも仕方がありません.
接着剤は十分広範囲にまわる分量を注ぎ込む必要がある.広範囲といっても全面接着ではないので,「絶縁工法」の規約に抵触しないだろう.
これで5年保証(あと2年)という約束は守れる.あとは野となれ山となれ.
私が屋根の上で聞いて理解したところを模式的に表わすと次のようになります.
| 内容 | |
| − | 庇に沿った水たまり |
| 第3層 | 00年10年点検後に貼られた1ミリ厚シート |
| − | 接着剤による(線状)部分接着 (・・・水・水・水・・・) |
| 第2層 | 99年旭化成責の傷に対する1ミリ厚補修シート |
| − | 接着剤による全面接着 |
| 第1層 | 90年新築時の1.3ミリ厚DNシート |
| − | ディスクを介した部分接着(*) |
| 建屋本体 | 断熱材・へーベル板 |
(*)樋の底にはディスクではなく板状の鋼材が入っているとの事.(ベランダの土手とデッキのつなぎめのようなものか.)
このサイトの事や詐欺事件のことは話題にしていませんが,世間話をしたわけではありません.メンテナンス価格の話題から例のシーリング46万を持ち出した時,親方が身を乗り出したように見えました.
課長はあわてて46万の中身を親方に説明したのですが,その中につい足場代が入ってしまいました.足場代でもいれないと46万は説明できないのです.私は足場代は別ですと事実だけを言い,それでその話題はお終いです.
3層は防水シートとしてはでき損ないでしたが,3年間紫外線を一身に浴びて,1,2層に対する保護シートとしてはお役に立ったと考えることもできます(ベランダの人工芝のように).排水口近傍に「水抜き穴」でも開いていれば,保護シートとしては万全でした.
保護シートのたすけがあれば,1.3ミリ厚DNシートでも,それこそ課長が言われたように亀の子状のひび割れができるまで,「老衰」で寿命が尽きるまで20年以上お役に立てるのではないでしょうか.
| (1)状況 「原因は3層目のシートの庇先端の接着不良部(X,Y)より雨水が浸入し, 2層目と3層目の間に水がたまり(水枕とよんでいます), 3層目のシートが持ち上がった為に雨水が庇よりオーバーフローしております.」 |
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第3層が浮き上がっています.もし第3層が樋の底の鋼板にきちんと接着されていれば,たとえ雨水が浸入しても,薄い水の層ができるだけであり水枕にはなりようがありません.
課長の図は排水口まわりの防水シートが膨らみきっている個所の断面図です.水枕の上から流れ落ちる水の量はしれています.(ほとんどは排水口に入る.)
右は課長の図を改ざんして作った解説用の補足図です.こちらは3層の上にできた水溜りの絵です.この水溜りは屋根の広い範囲の水を集め,満杯になると庇から一気に流れ落ちます.こちらの水に悩まされました.
| (2)雨水侵入部位 「接着不良個所(X,Y)の周りを踏むと溜まった雨水がでてきます. 水枕は庇全周囲にひろがってきています」 |
Xは水溜りに接していますが,そもそも水溜りは水枕ができた結果であり,水枕がなぜできたかを今問題にしています.
水枕は5月には庇上端の線より上まで膨らんでいます(課長の断面図のように).その結果水は排水口に流れずに,庇から流れ落ちるようになったのです.水枕ができはじめたのは,ずっと前からだと思われます.そして水枕の水の全量は,少なく見ても浴槽の水くらいはあるでしょう.
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(3)改修方法 「改修方法はリフォーム本部に確認し,別紙2の手順で行います.」 | 別紙2 庇先端水枕部の改修方法 |
別紙2は改修手順の詳細な説明(図入り)です.防水シートに関しては「社内の誰もがいうことをきく」人が作成したとのことです.隠蔽文書を作文する人がいる一方,こういう職人肌の人もいることが,大企業の強みです.
この資料は庇の構造図や接着剤の固有名などが入っていて,社内資料に近いものかもしれませんので,原文の公表は控えておきます.私が理解した範囲を次に説明します.
| 工程 | 作業内容 | コメント |
| 工程1 | 第3層シートの庇先端から30から40センチの所をはさみで切り,平部側にめくる. | (排水口の中心が30センチですから,上記写真の2の線より庇側です.) |
| 工程2 | 平部側にめくった第3層下面,および第2層上面に代5センチ残し接着剤塗布. | (めくれるのは1の線までと思われる.第3層と第2層は1の線で部分接着されている筈だから.) |
| 工程3 | 第3層をもどして第2層に接着.代部は熱風溶着. | (カットした線と1の間が今度は全面接着され「3層べったり構造」になります.) |
| 工程4 | カット位置から庇先端側の第3層シートを撤去.可能であれば,第2層も撤去. | (第2層に罪はないので,なぜ第2層が邪魔なのか気になります.後述します.) |
| 工程5 | 新設シート装着.庇先端部およびカット部は熱風溶着,その他は接着剤で接着.ただし 樋の底の鋼板部はXXXXXXを打設. | (樋の底は,このような特別の処理がされています.) |
| 工程6 | 新設シートの庇先端部およびカット部のコーキング,シーリング処理. | (端,つなぎ目には必ずこのような後処理がされています.) |
8月2日屋根の上で,既存第3層がなぜ第2層に全面接着されていないのかと質問した時の親方の答えは,8月6日にY課長によって否定されました.結局のところ,そのような仕様で施工したという以上の答えは得られませんでした.第1層の絶縁工法には必然性がありますが,既存第3層の袋貼施工には必然性がありません.手抜きしただけだと思われます.また庇側はこの改修方法によると樋をまたいでシートを貼り,かつ樋の底には特別の処理がされています.これは既存第3層の施工方法とは全く違います.
ところで「名人」は庇側は第2層の撤去を望んでいるように思われます.第2層はK文書によれば庇先端から2M幅で第1層に全面接着されている筈です.第1層を傷めずに第2層を部分的に剥ぎ取ることが可能なのでしょうか.そもそもなぜそんな危ないことまでして第2層を撤去する必要があるのでしょうか.
庇側は庇という山あり,樋という谷あり,排水口という井戸ありで,施工の難易度は平部に比べるとずっと高いと思われます.さらに樋底の鋼板にはXXXXXX打設という特別の処理が必要です.接着剤でべったり全面接着した3枚の計3.3ミリ厚のシートでは,これらの施工に実績がないのでしょうか.
いろいろ考えてみた結果,「可能であれば,第2層も撤去」が何を意味しているのか訊いた上で,旭化成の改修方法を受け入れるかどうか決めることにしました.10日の日曜日午後,旭化成リフォームに電話して火曜日に連絡くれるよう伝言を依頼.
例の道具を使ってつなぎ目をチェックしてもらったが特に異常なし.ちょっと残念.(しかしこんな道具で,水漏れのような細かい隙間がわかるかのか不明だと内心思う.)「可能ならば第2層撤去」の意味は,第2層が簡単にはがれるような状態になっている(そういうことはないと思うが)ならば,撤去すると言うことだった.関連して鋼板に打設するXXXXXXとは何かを訊いたが,接着剤の種類だと思うが確認するとのこと.工事は天気がよければ盆明けの21日にしてもらうことになった.
屋根の上の説明では,補修シートに含まれている補強用のネットのせいかもしれないということでしたが,どのシートも同じ構造である以上これは説明になりません.もし第2層が例えば7年経過しているとしましょう.すると経年劣化したため2箇所で接着不良を起こした,他にもあるかもしれない・・・という説明が,正しいかどうか別にして,素人に対しては通用すると思われます.
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隙間は前に挙げた樋のつなぎ目の写真にも映っていますが,庇側から接写してみました. 1はボーダー金物,2がK文書補修時のコーキング,3が問題の隙間,4が樋底のつなぎ目です. この写真はベランダの上の庇で,脚立が映っている写真の個所です.ここはどういう理由かはっきりしませんが,北側庇に比べて「樋」が浅い個所です. ボーダー金物には雨水があふれ出たときの水跡がついています. |
前に丘の上の穴では,どう考えても大きな水枕ができる筈がないと書きました.しかしその穴に細い溝がつながっていれば,話はすこし変わるかもしれません.
接着不良部位はヘラでめくれるように見えました.完全に熱風溶着されているのか疑問です.だとするとヘラで検出できる大きな穴XYだけでなく接着面全域に細かい穴があるかもしれません.そして溝は無数の毛細管で水枕と繋がっているかもしれません.
年間降雨量を1500ミリ,細い溝の全長を30メートルとして,溝に降る量は1年で150*(3000*0.5)で225リットルとなり,かなりの量です.溝周辺の水も入り込むと思われますが,いくら(XY+毛管現象)でせっせと溝の水を水枕に移しても,大部分は溝からあふれてしまうと思われますので,水枕事件の主役をはるには力不足だと私は思います.しかしとにかくプロはXYが原因だとしました.
2箇所に接着不良があったという言い方には,100%完璧な工事などない,どうしても不良個所がでてくるというニュアンスがあります.
正しくははじめから40点の工事しかしていないのです.その上やったところにも不良個所XYがあったということです.
水は,庇の上の接着不良部位から入ったでしょう.平部の接着不良部位からも入ったでしょう.そして樋の底の接着不良部位からも入ったでしょう.大きな水枕は手抜き工事が原因でできたのです.
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| 工事が終わって翌23日土曜日の写真です.水枕は消滅しています.庇先端の隙間,樋底のつぎめはもうありません. 1は今回のコーキング,2はベランダ上の庇部分につけてくれた水押さえのための鋼板,3は2層補修時のコーキングです.なぜここだけ,古いコーキングのままになっているのかは,訊く前に若手が教えてくれました. 4に脚立に乗って写真をとっている私の姿が映っています.庇金物には水があふれたときの汚れがついていましたが,スプレーできれいに塗装してくれたようです. |
旭化成が謝るときの決まり文句は,「迷惑をかけて申し訳ございません」の一言です.リフォーム工事を始める前に,近隣に挨拶する時と同じ言い方です.説明は(客の立場から言えば)決して十分とはいえませんでしたが,「庇先端水枕部の改修方法」はその不足を補ってあまりあるものでした.それを読めば旭化成の本来あるべき工事基準が明らかです.そして旭化成はその基準で工事をやり直しました.これは誠実な対応であると評価すべきだと思われます.
旭化成に限らず営利団体ならどこでも,自分に落ち度がないのに馬鹿にならない額の持ち出しサービスなどするわけがありません.もし本当に世間に公表されたサービスなら,1.3ミリ厚シートが薄すぎると公式に認めリコールしているようなものです.隠蔽体質・無謬主義・儲け主義の旭化成がそんな潔い行動をするとは,残念ながら到底信じられません.
この無償サービスのことを初めて聞いた時,防水シートが薄すぎたためのクレームに対するリコール隠しの類ではないかと思いました.どの顧客に対してもサービスしているというのは後から旭化成が追加したものです.
根拠はもう十分示しました.旭化成は打合せ記録書の偽造を認めましたか? 客に罪を着せるインチキ文書発行を認めましたか? 71年築のプレハブが商品ではないことを認めましたか?
防水シートはたとえ薄いものであっても,広範囲にかつ丁寧に重ね貼りすれば,性能・耐久性は貼る前より向上します.これは客の望むところですが,営利団体にとっては儲ける機会の損失です.無償サービスには実はもう一種類あります.こちらは有償の場合と同等の良質のサービスです.これを無償出血サービスと呼んでおきます.
重ね貼りは,あくまで傷部に対する負荷を分散させるための局部補強でなければならないのです.全面重ね貼りで性能が格段に上がっては絶対にならないのです.
1.3ミリ厚シートの物理的強度はすでに述べたように十分ではありません.なんらかの経緯でその弱点が露呈し,客が弁護士あるいは消費者センターなど公的機関の関係者同伴で,そこを衝いてきた場合,旭化成は無償出血サービスを強いられます.
我が家の第2層は,旭化成に詐欺事件を隠蔽するという下心があったため無償出血サービスになりました.隠蔽をあきらめた時期の第3層は通常の無償サービスです.
X氏宅の防水シートはなにも異常がありませんでしたが,築10年段階で無償サービスの恩恵を受けました.高齢のX氏は旭化成お任せの客で屋根にあがって自分の眼で何がどうなっているか確かめるようなことはしません(4年半前の私と同じです).3年後,庇から雨水が流れ落ちてきました.X氏はすぐ旭化成リフォームに電話します.「すぐ直してください」. 旭化成リフォームは社員1人他4,5人を手配しすぐ客の家に向います. 旭化成は,排水口の近傍の膨れあがっている個所に穴をあけます.水枕の中の水は勢いよく排水口に流れ込みます.水枕を足で踏みしめ十分だし終れば,あけた穴に蓋をします. 屋根から下りた旭化成社員は,X氏に口頭で説明するでしょう. 「防水シートが古くなっているため水枕ができていました.これで当分は大丈夫ですが,この機会に貼り替えられてはいかがでしょうか.それともこの際いっそのこと勾配屋根に変更されてはどうでしょうか.」 X氏が金に余裕のある場合,100万(?)かけてシートを貼り替える,あるいは更に金をかけて屋根掛けし木に竹を接いだ家にリフォームすることになります. もしX氏が金欠なら,3年後にまた水枕が発生し今度は引導を渡されます.なぜならすでに築16年になっており,旭化成が主張する交換時期になっているからです. |
| − | 00年サービス工事 | 98年外壁塗装工事 |
| 特徴 | 無償サービス | 旭化成リフォームの中心業務 |
| 仕様 | 旭化成お任せ | 契約書で規定 |
| 結果 | 水枕発生 | 塗料すりかえ |
| 対応 | 別仕様で工事やり直し | 契約塗料で工事やり直しを提案 |
工事店は打合せ記録書の写しを客に提出した後,旭化成に原紙を提出しました.その原紙に安物塗料への変更が追記されていました.こうして旭化成は塗料が変更されたことを認識しました.打合せ記録書を媒介にした契約書改ざんは日常化していたと考えられます.法外価格が原因で本来とれるはずのない契約までとって売上を増やすために,旭化成は工事店にだまされたふりをしていたのです.
にもかかわらず旭化成発行の記名捺印入り請書には,客の注文した塗料がそのまま記載されています.旭化成は嘘の請書を嘘と知りつつ発行したのです.このことに弁明の余地はありません.旭化成は詐欺に加担しているのです.
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| Y課長は旭化成リフォームの売上は同業のSハウス,Dハウスに負けていると言いました.ただしヘーベルハウス自体が少ないですからと付け加えることを忘れませんでした.そうです.それで当たり前です. 左は日経掲載の「ザ・リフォーム」の広告(01年2月)です. 00年には,旭化成リフォームは,「顧客への徹底フォロー」で年率25%の急成長をとげ,全国450社中堂々7位を占め「高収益ぶり」が注目されています. 対象客がヘーベリアンに限定されていることおよび旭化成リフォームが新機軸を打ち出したわけではないことを勘案すれば.これは異常です. この時期旭化成は工事店に一切を丸投げしすきにさせていました.旭化成の信用と(一部)工事店の手練手管という本来両立しえないものが,両立どころか相乗効果を発揮して売上が急伸していたのです. 「打合せ記録書原紙こそ客の意思を表わす」と旭化成が信じるふりをすることによって不可能が可能になったのです.(*) このランキングは旭化成を信用し疑うことを知らなかった知らぬが仏がいかに多かったかを雄弁に物語ります. |
(*:03年10月21日補足.宮家の名を騙った詐欺事件に対して,テレビで弁護士が興味深いコメントをしていました.大掛かりな詐欺事件つまり複数の人間・組織が関与する詐欺事件では,詐欺犯側にだます・だまされるという関係が生じるのが一般的なようです.もちろんだまされる側もだまされて潤っているのであり,うすうすにしろ本当はわかっているのです.旭化成と工事店の関係がまさにそれです.)
先日ある方からメールを頂きました.趣旨は
・今後のねらいがはっきりしない
・私なら示談または裁判に持ち込む
・相手も馬鹿ではないから時効を狙っているのではないか
というものでした.
夏目漱石「坊っちゃん」の力を借りてお答えしようと思います.
「イナゴでもバッタでも,何でおれの床の中へ入れたんだ.おれがいつ,バッタを入れてくれと頼んだ」坊っちゃんは思います.
「誰も入れやせんがな」
「入れないものが,どうして床の中にいるんだ」
「イナゴは温い所が好きじゃけれ,大方一人で御這入りたのじゃあろ」
「馬鹿あいえ.バッタが一人で御這入りになるなんて−バッタに御這入りになられてたまるもんか.−さあなぜこんないたずらしたか,いえ」
「いえてて,入れんものを説明しようがないがな」
けちな奴らだ,自分で自分のした事がいえない位なら,てんで仕ないがいい.証拠さえ挙がらなければ,しらを切るつもりで図太く構えていやがる.おれだって中学にいた時分は少しはいたずらしたもんだ.しかしだれがしたと聞かれた時に,尻込みをするような卑怯なことはただの一度もなかった.坊っちゃんはいたずらを否定しているのではありません.いたずらをやった後の態度を問題にしているのです.
おれはこんな腐った了見の奴らと談判するのは胸糞が悪るいから,「そんなにいわれなきゃ,聞かなくっていい.中学校へ這入って,上品も下品も区別が出来ないのは気の毒なものだ」といって六人を逐っ放してやった.おれは言葉や様子こそ余り上品じゃないが,心はこいつらより遥かに上品なつもりだ.六人は悠々と引き揚げた.上部だけは教師のおれよりよっぽどえらく見える.実は落ち付いているだけになお悪い.おれには到底これほどの度胸はない.坊っちゃんはバッタ事件に続いて同夜起こった吶喊(とっかん)事件で生徒らの図太さを改めて感じます
おれが宿直部屋へ連れて来た奴を詰問し始めると,豚は,打っても擲いても豚だから,ただ知らんがなで,どこまでも通す了見と見えて,決して白状しない.
「僕の前任者が,誰れに乗ぜられたんです」下宿の世話をしたのは数学の主任(山嵐)です.宿直事件は山嵐が生徒を扇動して起こったと赤シャツは示唆したのです.赤シャツが「蔭口をきくのでさえ,公然と名前がいえない位な男」だと坊っちゃんは気付いていますから,決して鵜呑みにしたわけではありませんが・・・
「だれと指すと,その人の名誉に関係するからいえない.また判然と証拠のない事だからいうとこっちの落度になる.とにかく,折角君が来たもんんだから,ここで失敗しちゃ僕らも君を呼んだ甲斐がない,どうか気を付けてくれ玉え」
「気をつけろったって,これより気の付けようはありません.わるい事をしなけりゃ好いんでしょう」
赤シャツはホホホホと笑った.別段おれは笑われるような事をいった覚はない.今日ただ今に至るまでこれでいいと堅く信じている.(略) 赤シャツがホホホホと笑ったのは,おれの単純なのを笑ったのだ.単純や真率が笑われる世の中じゃ仕様がない.清はこんな時に決して笑った事はない.大に感心して聞いたもんだ.清の方が赤シャツよりよっぽど上等だ.
「無論悪るい事をしなければ好いんですが,自分だけ悪るい事をしなくっても,人の悪るいのが分らなくっちゃ,やっぱりひどい目に逢うでしょう.世の中には磊落なように見えても,淡白なように見えても,親切に下宿の世話なんかしてくれても,滅多に油断の出来ないのがありますから・・・・・・.(略)」
ここへ来た時第一番に氷水を奢ったのは山嵐だ.そんな裏表のある奴から,氷水でも奢ってもらっちゃ,おれの顔にかかわる.おれはたった一杯しか飲まなかったから一銭五厘しか払わしちゃない.しかし一銭だろうが,五厘だろうが,詐欺師の恩になっては,死ぬまで心持ちがよくない.あした学校へ行ったら,一銭五厘返して置こう.(『知らぬが仏』:私も詐欺師のお世話にはなっていません.)
纏めるというのは黒白の決しかねる事柄についていうべき言葉だ.この場合のような,誰が見たって,不都合としか思われない事件に会議をするのは暇潰しだ.誰が何と解釈したって異説の出ようはずがない.こんな明白なのは即座に校長が処分してしまえばいいに.随分決断のない事だ.校長ってものが,これならば,何の事はない,煮え切らない愚図の異名だ.(『知らぬが仏』:塗料すりかえも黒白がはっきりしています.「異説の出ようはずがない」のです.)
おれは校長の言葉を聞いて,なるほど校長だの狸だのというものは,えらい事をいうもんだと感心した.こう校長が何もかも責任を受けて,自分の咎だとか,不徳だとかいう位なら,生徒を処分するのは,やめにして,自分から先へ免職になったら,よさそうなもんだ.そうすればこんな面倒な会議なんぞを開く必要もなくなる訳だ.第一常識からいっても分っている.おれが大人しく宿直をする.生徒が乱暴をする.わるいのは校長でもなけりゃ,おれでもない.生徒だけに極ってる.もし山嵐が扇動したとすれば,生徒と山嵐を退治すればそれで沢山だ.人の尻を自分で背負い込んで,おれの尻だ,おれの尻だと吹き散らかす奴が,どこの国にあるもんか.狸でなくっちゃ出来る芸当じゃない.赤シャツ
「事件その物を見ると何だか生徒だけがわるいようであるが,その真相を極めると責任はかえって学校にあるかも知れない.だから表面上にあらわれた所だけで厳重な制裁を加えるのは,かえって本来のためによくないかとも思われます.かつ少年血気のものであるから活気があふれて,善悪の考はなく,半ば無意識にこんな悪戯をやる事はないとも限らん.」坊っちゃんは狸が狸なら赤シャツも赤シャツだ,生徒があばれるのは教師が悪いのだと公言していると憤慨します.
活気にみちて困るなら運動場へ出て相撲でも取るがいい,半ば無意識に床の中へバッタを入れられて堪るもんか.この様子じゃ寝頸をかかれても,半ば無意識だって放免するだろう.(『知らぬが仏』:赤シャツの「半ば無意識」と旭化成の「認識まちがい」は同じ穴のむじなです.)
「・・・・・それでただ今校長及び教頭の御述べになった御説は,実に肯綮に中った剴切な御考えで私は徹頭徹尾賛成致します」坊っちゃんは野だ(いこ)が生意気にもへらへらと意見を述べるのがやたら癇に障ります.阿諛者は誰が見ても,坊っちゃんが見ても,そうとわかるからです.
野だのいう事は言語はあるが意味がない,漢語をのべつに陳列するぎりで訳が分らない.分ったのは徹頭徹尾賛成致しますという言葉だけだ.おれは野だのいう意味は分らないけれども,何だか非常に腹が立ったから,腹案も出来ないうちに起ち上がってしまった.「私は徹頭徹尾反対です・・・・・・」といったがあとが急に出て来ない.「・・・・・・そんな頓珍漢な,処分は大嫌いです」とつけたら,職員が一同笑い出した.(『知らぬが仏』:K文書も「意味は分らないけれども,何だか非常に腹が立った」点で全く同じです.)
「私は教頭およびその他諸君の御説には全然不同意であります.というのもこの事件はどの点から見ても,五十名の寄宿生が新米の教師某氏を軽侮してこれを翻弄しようとした所為とより外には認められんのであります.教頭はその原因を教師の人物如何に御求めになるようでありますが失礼ながらそれは失言かと思います.某氏が宿直にあたられたのは着後早々の事で,まだ生徒に接せられてから二十日に満たぬ頃であります.この短い二十日間において生徒は君の学問人物を評価し得る余地がないのであります.軽侮されるべき至当な理由があって,軽侮を受けたのなら生徒の行為に斟酌を加える理由もありましょうが,何らの原因もないのに新米の先生を愚弄するような軽薄な生徒を寛仮しては学校の威信にかかわる事と思います.教育の精神は単に学問を授けるばかりではない,高尚な,正直な,武士的な元気を鼓吹すると同時に,野卑な,軽躁な,暴慢な悪風を掃蕩するにあると思います.もし反動が恐しいの,騒動が大きくなるのと姑息な事をいった日にはこの弊風はいつ矯正出来るか知れません.かかる弊風を杜絶するためにこそわれわれはこの学校に職を奉じているので,これを見逃す位なら始めから教師にならん方がいいと思います.私は以上の理由で寄宿生一同を厳罰に処する上に,当該教師の面前において公けに謝罪の意を表せしむるのを至当の処置と心得ます.」事件被害者すなわち坊っちゃんになんの非もないことを論理的に説明し,赤シャツに堂々と反論します.説得力のある見事な演説です.むろんわが愛する坊っちゃんは・・・
おれは何だか非常に嬉しかった.おれのいおうと思う所をおれの代わりに山嵐がすっかり言ってくれたようなものだ.おれはこういう単純な人間だから,今までの喧嘩はまるで忘れて,大にありがたいという顔を以て,腰を卸した山嵐の方を見たら,山嵐は一向知らん顔をしている.(『知らぬが仏』:99年4月20日私が旭化成に要求したのはただ一点です.公けに謝罪することです.40年ぶりに「坊っちゃん」を読み返して漱石が同じ言葉を使っているのを知り,何だか非常に嬉しくなりました.密かに謝るのではなく,みんなの前で謝れ,それが私の気持ちでした.)
「ただ今ちょっと失念して言い落しましたから,申します.当夜の宿直員は宿直中外出して温泉に行かれたようであるが,あれは以ての外の事と考えます.いやしくも自分が一校の留守番を引き受けながら,咎める者のないのを幸に,場所もあろうに温泉などへ入湯に行くなどというのは大きな失体である.(略)」坊っちゃん
妙な奴だ,ほめたと思ったら,あとからすぐ人の失策をあばいている.おれは何の気もなく,前の宿直が出あるいた事を知って,そんな習慣だと思って,つい温泉まで行ってしまったんだが,なるほどそういわれて見ると,これはおれが悪るかった.攻撃されても仕方がない.そこでおれはまたも起って「私は正に宿直中に温泉に行きました.これは全くわるい.あやまります」といって着席したら,一同がまた笑い出した.おれが何かいいさえすれば笑う.つまらん奴らだ.貴様らにこれほど自分のわるい事を公けにわるかったと断言できるか,出来ないから笑うんだろう.寄宿生は一週間の禁足および坊っちゃんに謝罪という形で事件は決着します.ただし,教師はむやみに飲食店に出入りするなというおまけがつきます.
蕎麦を食うな,団子を食うなと罪な御布令を出すのは,おれのように外に道楽のないものに取っては大変な打撃だ.すると赤シャツがまた口を出した.「元来中学の教師などは社会の上流に位するものだからして,単に物質的の快楽ばかり求めるべきものでない.その方に耽るとつい品性にわるい影響を及ぼすようになる.しかし人間だから,何か娯楽がないと,田舎へ来て狭い土地では到底暮らせるものではない.それで釣に行くとか,文学書を読むとか,または新体詩や俳句を作るとか,何でも高尚な精神的娯楽を求めなくってはいけない・・・・・・」坊っちゃんは鋭い反撃を食らわします.
だまって聞いていると勝手な熱を吹く.(略)あんまり腹が立ったから「マドンナに逢うのも精神的娯楽ですか」と聞いてやった.すると今度は誰も笑わない.妙な顔をして互に眼と眼を見合わせている.赤シャツ自身は苦しそうに下を向いた.それ見ろ.利いたろう.
おれは苦もなく後ろから追い付いて,男の袖を擦り抜けざま,二足前へ出した踝をぐるりと返して男の顔を覗き込んだ.月は正面からおれの五分刈の頭から顋の辺りまで,会釈もなく照らす.男はあっと小声にいったが,急に横を向いて,もう帰ろうと女を促すが早いか,温泉の町の方へ引き返した.坊っちゃんは坊っちゃんなりにいろいろ考えて,どうも山嵐より赤シャツの方が悪いと思い始めます.
赤シャツは図太くて誤魔化すつもりか,気が弱くて名乗り損なったのかしら.所が狭くて困っているのは,おればかりではなかった.
この様子ではわる者は山嵐じゃあるまい,赤シャツの方が曲がっているんで,好加減な邪推を実しやかに,しかも遠廻しに,おれの頭の中へ浸み込ましたのではあるまいかと迷っている矢先へ,野芹川の土手で,マドンナを連れて散歩なんかしている姿を見たから,それ以来赤シャツは曲者だと極めてしまった.曲者だか何だかよくは分からないが,ともかくも善い男じゃない.表と裏とは違った男だ.曲者ときめつけたのはいいのですが,もう一つ確信がありません.そこで
野芹川の土手でも御目に懸りましたねと喰らわしてやったら,いいえ僕はあっちへは行かない,湯に這入って,すぐ帰ったと答えた.何もそんなに隠さないでもよかろう,現に逢ってるんだ.よく嘘をつく男だ.これで教頭が勤まるなら,おれなんか大学総長がつとまる.おれはこの時からいよいよ赤シャツを信用しなくなった.これが決定打でした.赤シャツは面と向かって嘘をつく人間であることを坊っちゃんははっきりと知ったのです.
月給を上げてやろうというから,別段欲しくもなかったが,入らない金を余して置くのも勿体ないと思って,よろしいと承知したのだが,転任したくないものを無理に転任させてその男の月給の上前を跳ねるなんて不人情な事が出来るものか.坊っちゃんはすぐに赤シャツの家にとってかえし増給を断ろうとします.
「それは失礼ながら少し違うでしょう.あなたの仰ゃる通りだと,下宿屋の婆さんのいう事は信じるが,教頭のいう事は信じないというように聞こえるが,そういう意味に解釈して差支えないでしょうか」(『知らぬが仏』:「ぷうたろうのいう事は信じるが,日商会頭のいう事は信じないというように聞こえるが,そういう意味に解釈して差支えないでしょうか」)
おれはちょっと困った.文学士なんてものはやっぱりえらいもんだ.妙な所へこだわって,ねちねち押し寄せてくる.おれはよく親父から貴様はそそっかしくて駄目だ駄目だといわれたが,なるほど少々そそっかしいようだ.婆さんの話を聞いてはっと思って飛び出して来たが,実はうらなり君にもうらなりの御母さんにも逢って詳しい事情を聞いて見なかったのだ.だからこう文学士流に斬り付けられると,ちょっと受け留めにくい.
正面から受け留めにくいが,おれはもう赤シャツに対して不信任を心の中で申し渡してしまった.下宿の婆さんもけちん坊の欲張り屋に相違ないが,嘘は吐かない女だ,赤シャツのように裏表はない.赤シャツはさらに「堂々たる教頭流」の形式論理を展開します.
「下宿の婆さんが君に話した事を事実とした所で,君の増給は古賀君の所得を削って得たものではないでしょう.古賀君が延岡に行かれる.その代りがくる.その代りが古賀君よりも多少低給で来てくれる.その剰余を君に廻すというのだから,君は誰にも気の毒がる必要はないはずです.古賀君は今よりも栄進される.新任者は最初からの約束で安くくる.それで君が上がられれば,これほど好都合のいい事はないと思うですがね.」
おれの頭はあまりえらくないのだから,何時もなら,相手がこういう巧妙な弁舌を揮えば,おやそうかな,それじゃ,おれが間違ってたと恐れ入って引き下がるのだけれども,今夜はそうはいかない.坊っちゃんは遣り込められ反論できません.しかし断固自分の「好き嫌い」を通します.
「あなたのいう事は尤もですが,僕は増給がいやになったんですから,まあ断ります.考えたって同じ事です.さようなら」といいすてて門を出た.頭の上には天の川が一筋かかっている.
自分が免職になるなら,赤シャツも一緒に免職させてやると大に威張った.どうして一所に免職させる気かと押し返して尋ねたら,そこはまだ考えていないと答えた.まことに残念にも山嵐は赤シャツと刺し違えする手段が思いつかないようです.
今度の事件は全く赤シャツが,うらなりを遠ざけて,マドンナを手に入れる策略なんだろうとおれがいったら,無論そうに違いない.あいつは大人しい顔をして,悪事を働いて,人が何かいうと,ちゃんと逃道を拵らえて待っているんだから,よっぽど奸物だ.あんな奴にかかっては鉄拳制裁でなくっちゃ利かないと,瘤だらけの腕をまくって見せた.坊っちゃんは山嵐に持ちかけます.
君どうだ,今夜の送別会に大に飲んだあと,赤シャツと野だを撲ってやらないかと面白半分に勧めて見たら,山嵐はそうだなと考えていたが,今夜はまあよそうといった.何故と聞くと,今夜は古賀に気の毒だから−それにどうせ撲る位なら,あいつらの悪るい所を見届て現場で撲らなくっちゃ,こっちの落度になるからと,分別のありそうな事を附加した.山嵐でもおれよりは考えがあると見える.山嵐は優しくそして分別があります.さてうらなり君の送別会です.
ことに赤シャツに至って三人のうちで一番うらなり君をほめた.この良友を失うのは実に自分に取って大なる不幸であるとまでいった.しかもそのいい方がいかにも,尤もらしくって,例のやさしい声を一層やさしくして,述べ立てるのだから,始めて聞いたものは,誰でもきっとだまされるに極ってる.マドンナも大方この手で引掛けたんだろう.こうして赤シャツは坊っちゃんにとって「ハイカラ野郎の,ペテン師の,イカサマ師の,猫被りの,香具師の,モモンガーの,岡っ引の,わんわん鳴けば犬も同然な奴」になります.しかし坊っちゃんにとって赤シャツは手にあまる存在です.坊っちゃんの相手には野だいこが手ごろなところです.
「ひどいもんだな.本当に赤シャツの策なら,僕らはこの事件で免職になるかも知れないね」続いて
「わるくすると,遣られるかも知れない」
「そんなら,おれは明日辞表を出してすぐ東京へ帰っちまわあ.こんな下等な所に頼んだっているのはいやだ」
「君が辞表を出したって,赤シャツは困らない」
「それもそうだな.どうしたら困るだろう」
「あんな奸物の遣る事は,何でも証拠の挙がらないように,挙がらないようにと工夫するんだから,反駁するのは六ずかしいね」
「厄介だな.それじゃ濡衣を着るんだね.面白くもない.天道是か非かだ」
「まあ,もう二,三日様子を見ようじゃないか.それでいよいよとなったら,温泉の町で取って抑えるより仕方がないだろう」狡猾な敵の急所は「下半身」しかないようです.今に通じる話です.
「喧嘩事件は,喧嘩事件としてか」
「そうさ.こっちはこっちで向うの急所を抑えるのさ」
赤シャツと野だが瓦斯燈の下を潜って,角屋に這入った.山嵐と坊っちゃんは,出てくるのをつらい思いしながらじっと待ちます.朝の5時にようやく出てきた赤シャツと野だを,町外れの杉並木で捕まえます.
「教頭の職をもってるものが何で角屋へ行って泊った」と山嵐はすぐ詰りかけた.山嵐の追求はあくまで論理的です.赤シャツの欺瞞を衝きます.
「教頭は角屋へ泊って悪るいという規則がありますか」と赤シャツは依然として鄭寧な言葉を使ってる.顔の色は少々蒼い.
「取締上不都合だから,蕎麦屋や団子屋へさえ這入って行かんと,いう位謹直な人が,なぜ芸者と一所に宿屋にとまり込んだ」
おれはいきなり袂へ手を入れて,玉子を二つ取り出して,やっといいながら,野だの面へ擲き付けた.玉子がぐちゃりと割れて鼻の先から黄味がだらだら流れ出した.野だはよっぽど仰天した者と見えて,わっと言いながら,尻持をついて,助けてくれといった.おれは食うために玉子は買ったが,打つけるために袂へ入れてる訳ではない.ただ肝癪のあまりに,ついぶつけるともなし打つけてしまったのだ.しかし野だが尻持を突いた所を見て始めて,おれの成功した事に気がついたから,こん畜生,こん畜生といいながら残る六つを無茶苦茶に擲き付けたら,野だは顔中黄色になった.一方山嵐はあくまで首魁に迫ります.
おれが玉子をたたきつけているうち,山嵐と赤シャツはまだ談判最中である.この期に及んで赤シャツはまだしらを切ったのです.「君たちは私が小鈴と同衾しているところを見たのですか.ホホホホ」というところです.
「芸者を連れて僕が宿屋に泊ったという証拠がありますか」
「宵に貴様のなじみの芸者が角屋へ這入ったのを見ていう事だ.誤魔化せるものか」
「誤魔化す必要はない.僕は吉川君と二人で泊ったのである.芸者が宵に這入ろうが,這入るまいが,僕の知った事ではない」
「だまれ」と山嵐は拳骨を食わした.赤シャツはよろよろしたが「これは乱暴だ,狼藉である.理非を弁じないで腕力に訴えるのは無法だ」山嵐は最後に言います.
「無法で沢山だ」とまたぽかりと撲ぐる.「貴様のような奸物はなぐらなくっちゃ,答えないんだ」とぽかぽかなぐる.おれも同時に野だを散々に擲き据えた.
「おれは逃げも隠れもせん.今夜五時までは浜の港屋にいる.用があるなら巡査なりなんなり,よこせ」と山嵐がいうから,おれも「おれも逃げも隠れもしないぞ.堀田と同じ所に待っているから警察へ訴えたければ,勝手に訴えろ」といって,二人してすたすたあるき出した.赤シャツが警察に訴えなかったことはもちろんです.朝帰りの途中でやられた事を公けに知られて聖職者としての地位を危うくすることは,絶対に避けなければならないからです.赤シャツにとって地位は命です.
作家大岡昇平に「夏目漱石−『坊っちゃん』−」という短文があります. 主人公は,あまり知恵はないが,正義感に満溢した快男児である.人生の不正と欺瞞は,その美しい心情の反応から,立ちどころに裁かれる.結局「坊っちゃん」は地方生活に敗れ,辞職する.敵役たる学校上層部に「天誅」的暴力を振るっただけで,東京へ引上げるのだが,みじめな敗北感はない.「坊っちゃん」は20日足らずの間に一気呵成に書かれました.その文章を大岡は激賞しています. 漱石は『猫』の好評に気をよくして希望にみちあふれていたのであろう.感興にまかせて書いていて,のびのびしたいい文章である.といって,決して一本調子ではなく,漱石という複雑な人格を反映して,屈折に富んでいるのだが,作者の即興の潮に乗って,渋滞のかげはない.こういう多彩で流動的な文章を,その後漱石は書かなかった.また後にも先にも,日本人はだれも書かなかった.「坊っちゃん」は中学生が読んでおもしろく,大人が読んでもおもしろいのです.江藤淳を鋭く批判した理論派大岡が読んでもおもしろいのです.「坊っちゃん」は大岡の一番の愛読書で40回以上読んだそうです. 読み返すごとに,なにかこれまで気がつかなかった面白さを見つけて,私は笑い直す.この文章の波間にただようのは,なんど繰返してもあきない快楽である.傑作なのである. |
「あなたのいう事は尤もですが,僕は増給がいやになったんですから,まあ断ります.考えたって同じ事です.さようなら」といいすてて門を出た.頭の上には天の川が一筋かかっている.坊っちゃんおよび山嵐が象徴するものに対する漱石のシンパシイが印象的です.それは高みから見下す鴎外にはないものです.
生徒があやまったのは心から後悔してあやまったのではない.ただ校長から,命令されて,形式的に頭を下げたのである.商人が頭ばかりさげて,狡い事をやめないのと一般で生徒も謝罪だけはするが,いたずらは決してやめるものではない.よく考えて見ると世の中はみんなこの生徒のようなものから成立しているかも知れない.人があやまったり詫びたりするのを,真面目に受けて勘弁するのは正直過ぎる馬鹿というんだろう.あやまるのも仮りにあやまるので,勘弁するのも仮りに勘弁するのだと思ってれば差し支ない.もし本当にあやまらせる気なら,本当に後悔するまで叩きつけなくてはいけない.被害者側に責を負わせる例の論理を漱石は卑劣な根性と切り捨てています.卑劣な根性は「いくらいって聞かしたって」直りっこないと諦めています.江戸っ子である漱石は「向の筆法」を用いて「手の付けようのない返報」を考えるのが面倒になったに違いありません.だからだまれ・ぽかりとなったのです.
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おれが組と組の間に這入って行くと,天麩羅だの,団子だの,という声が絶えずする.しかも大勢だから,誰がいうのだか分らない.よし分ってもおれの事を天麩羅といったんじゃありません,団子と申したのじゃありません,それは先生が神経衰弱だから,ひがんで,そう聞くんだ位いうに極まってる.こんな卑劣な根性は封建時代から,養成したこの土地の習慣なんだから,いくらいって聞かしたって,教えてやったって,到底直りっこない.
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つまりは向から手を出して置いて,世間体はこっちが仕掛けた喧嘩のように,見倣されてしまう.大変な不利益だ.それなら向うのやるなり,愚迂多良童子を極め込んでいれば,向は益増長するばかり,大きくいえば世の中のためにならない.そこで仕方がないから,こっちも向の筆法を用いて捕まえられないで,手の付けようのない返報をしなくてはならなくなる.そうなっては江戸っ子では駄目だ.
K文書の分析は,旭化成の筆法,旭化成の土俵で手の付けようのない返報を目指したものです.『知らぬが仏』は,旭化成に対してぷうたろうが下した「鉄拳制裁」です.
客の責を匂わせながら嘘で固めた論理でごまかすという卑劣な根性を,それがいかに卑劣であるかを証明し表現することほど,精神衛生上よくないことはありません.ぷうたろうは分析の過程で何度もだまれ・ぽかりの気持ちになりました.
山嵐は心ならずも「下半身攻撃」しかできませんでした.狡猾な赤シャツは他に尻尾を出していないからです.本当に無念だったことでしょう.
ぷうたろうは違います.旭化成の「金のなる木」つまり本業そのものを,旭化成の「筆法」で,証拠を挙げて攻撃しています.
しまいには二人とも杉の根方にうずくまって動けないのか,眼がちらちらするのか逃げようともしない.旭化成もきっと口をきくのも退儀なのでしょう.一言も弁解しません.
「もう沢山か,沢山でなけりゃ,まだ撲ってやる」とぽかんぽかんと両人でなぐったら「もう沢山だ」といった.野だに「貴様も沢山か」と聞いたら「無論沢山だ」と答えた.
「貴様らは奸物だから,こうやって天誅を加えるんだ.これに懲りて以来つつしむがいい.いくら言葉巧みに弁解が立っても正義は許さんぞ」と山嵐がいったら両人ともだまっていた.ことによると口をきくのが退儀なのかも知れない.
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「坊っちゃん」に続いて,漱石の「野分」を読んでいて気付きました.漱石研究家には常識かもしれませんが. 「野添が例の人造肥料会社を起こすので・・・・・・」という会話が主人公の横でかわされる場面が園遊会のところに出てきます.2週間で50円株が65円に値上がりした,惜しいことをしたと会話は続きます.「例の」とあることから,この起業は当時評判になっていたのでしょう.野添が起こした工場は九州にあることが示唆されています. 野添のモデルは,チッソの創始者野口遵だと思われます.野口と漱石は同窓です.チッソが九州に出来たのは明治39年(チッソの沿革),「野分」の発表は明治40年です.ほぼ100年前の話です. 野口遵は旭化成の創始者でもあります.野口遵の写真が旭化成の沿革の先頭に掲げられています. チッソと旭化成はできの悪い保身だけの後継者が偉大な創始者の名を汚した点でそっくりおなじです. |
「藪の中」が好きな人がいます.『知らぬが仏』にも藪が存在します.子会社社長はなぜ事件を経営会議に諮ったと客に教えたのでしょうか?人の心の中まで断定的に立ち入れるのは小説だけです.小さな藪があることをもって真実は結局わからないと言い出す人は,幹と枝葉の区別がつかない人か,赤シャツと同じ立場の人です.
K所長はなぜ旭化成がチッソの子会社であることを客に教えたのでしょうか?
山本一元前旭化成社長はなぜあの時期にあんな大見得を切ったのでしょうか?
X氏が事件を外部に漏らしても旭化成は痛痒を感じません.事件は解決済みで念書が存在します.K文書にはX氏はクレーマーだと書いてあります.それになによりX氏に真実は何もわかっていないのです.
本章では馬鹿と間抜けという2種類の罵倒語を上のように使い分けます(本文の「イヒ流」,「旭化成流」の被害者にそれぞれ対応します).馬鹿の方が間抜けより幾分ましです.
馬鹿と間抜けの違いがわからず似たようなものだと考えるのは,旭化成の考え方です.旭化成は詐欺などしていない,つまり客はみな間抜けだと考えていました.
会社として御契約の基本部分である仕様変更確認,変更契約なしで工事を完了致しました事は御客様への御迷惑,信用面において大変な反省点と考えており,今後の再発防止に全力を上げる所存でございます.
安東様のお手紙,ご指摘を極めて重要と受け止め,弊社内に於いてその内容をもとに事実確認,問題点,今後の改善点を話し合いました.形式的に迷惑かけたと謝っている文章ではありません.旭化成に非があったと反省しているのです.大変な反省点とは何だったのでしょうか.
吹付剤,リウォールWからサラテックスへの仕様変更の経緯につきましては,Mリフォームコーディネーターの認識確認不足でありました.安東様がリウォールWにて,吹き替え前の模様と同様の仕上げを希望されているところを,前の仕様のサラテックスにするものと認識し,弊社Sに報告をしておりました.最初の文では工事店社員Mの「認識確認不足」すなわち過失が原因だとしています.これは社長がついた唯一の嘘です.Mは新製品で見本が間に合わなかったと嘘をついて故意に見本を見せなかったのです.過失ではなく詐欺です.
(ここでリウォールWとは新製品塗料でこれが契約塗料,サラテックスとはすでに商品価値のなくなった2世代前の旧製品塗料で,実際に使われた塗料です.)
注文書の内容は,打合せ記録書で変更されます.打合せ記録書のコピーは客に手渡され,その後,原紙が旭化成に提出されます.リフォームコーディネーターという名の工事店社員にすべてを任せる「工事店完全丸なげ方式」では,原紙に追記による改ざんがあるかどうか工事店だけが知っています.この業務手順こそ旭化成が良心を痛めることなく詐欺に加担できる魔法の杖でした.なぜ良心が痛まないか.原紙は客の意思を表すと信じていたからです.客は自らの意思で商品価値のない安物塗料を希望したと思っていたからです.つまり早い話,旭化成は客は間抜けと考えていたのです.
・・・そして旭化成は注文書とそっくり同じ内容で請書を発行します.
客の希望は契約書(注文書・請書)に明らかです.契約書は客の希望を記録し,旭化成がそれに合意した証です.K文書は契約書にはまったく触れずに,嘘八百の作り話でごまかそうとしました.契約書の何たるかも知らない間抜けであると客をなめているのです.K文書は工事店社員の「過失」すら認めていません.旭化成に「反省点」などまるでなく,それどころかあたかも客がクレーマーであるかのような口ぶりです.K文書はなりふりかまわず事件を徹底隠蔽しようとしています.
工事店は旭化成に皮肉をこめてこう答えたかもしれません.「何をいまさら.事情はご存知だとばかり思っていましたが.」真実の一端が露見したことを知った旭化成中枢は,徹底隠蔽によって組織防衛の名を騙った自己保身に走ったのです.
村田社長は99年8月10日付手紙で4月の経営会議に事件を諮ったと告げました.徹底隠蔽は旭化成の組織方針でした.破廉恥極まるK文書は,旭化成の「裏の専門家」が作成したのです(当時の住宅総務部長だと思われます).
おまけとして追記による改ざんが習慣化していたことを証明する偽造ミスが付いていました.偽造原紙には客は安物を希望という記述はありません.口頭報告で契約変更したとするK文書と整合性をとったのです.この時点でK文書の嘘はすでに全てばれていました.しかしまだ隠したのです.
山本社長にはその前に2回手紙をさしあげています.99年6月15日付1回目の質問に対しては住宅西日本営業本部長重富一彦氏(現旭化成ホームズ執行役員)から6月30日付手紙が返ってきました.旭化成の隠蔽工作は一方でK文書の汚い日本語で客の希望は安物だと主張し,他方で打合せ記録書の原紙を偽造することにより詐欺の証拠を隠したのです.しかしばれてしまえば,どうあがいても所詮無駄なあがきです.旭化成は契約書が絵に描いた餅である悪質企業と本質は同じです.私は,村田に対して,今般の問題解決のために直接安東様にお目にかかり,経営者として責任をもって,しかるべきご説明を差し上げるよう申し付ました.旭化成は一言も見解を出さず子会社村田社長にすべてを押し付け<おれは知らん>と逃げています.
01年1月15日付2回目の手紙ではK文書の中身を質問しました.すると住宅総務部長から1月31日付手紙が返ってきました.ご覧のように,私の理解不足の点を説明したいから是非会いたいと述べています.
私はいずれも会うことを拒否しました.書面見解を出さず手ぶらで会おうとしたからです.客は安物を希望した間抜けであると主張している旭化成の,その場限りのきれい事や泣き言を客がどうして聞かなければならないのでしょうか.K文書は真っ赤な嘘でしたと書面見解を出すのが先です.
旭化成に真実を話す気のなかった事が,3回目質問に対し本物原紙を隠したことで証明されました.
「あなたがた旭化成は詐欺せずに法外価格の契約がとれるとお考えですか.それほど客は間抜けばかりとお考えですか.それほど旭化成ブランドに力があるとお考えですか.リフォーム売上が驚異の高成長率を遂げたのは,いったい誰のおかげと考えているのですか.我々の手練手管のおかげではありませんか.」なぜ法外価格になるのか.旭化成の法外取り分が価格に上乗せされるからです.
Mは口頭で客の希望は安物だと報告し,旭化成はああそうかと客の希望を認識しました.そしてこれが旭化成中枢の保証書付き旭化成ブランドの中身です.こんな偽ブランドでも信用する間抜けがいるから法外価格でも少しは売れるでしょう.しかし莫大な宣伝広告費(ロングライフ住宅研究所人件費込み)をまかなうには馬鹿を相手に詐欺しなければならないのです.
そう認識したにもかかわらず,旭化成は高級品が記載された請書を客に発行しました.
「悪いことをやったりしたら殴られる,痛い目に遭う」社長を追い出せる人は社長より「えらい」人であることは小学生でもわかります.
| 山口信夫殿 前略.山本前社長に宛てた99年6月15日付1回目の手紙をもう一度今度はあなたにさしあげます. この間の関西旭化成リフォーム株式会社の対応をみて,本当にこれが『あさひかせい』という名前が入った会社のやることかと思いました.酷いものです.平然と嘘をいいます.誠意などかけらもみられません.わたしはこの件は『あさひかせい』の信用問題だと考えています2回目の手紙,3回目の手紙もそのままあなたにさしあげます.旭化成の名前に責任をもつべき人は,あなたをおいて他にいないことがわかったからです. 旭化成の名において 塗料見本は販売開始して1年後にできたと真っ赤な嘘を公然とつくことができる力を有するのは,あなただけです. 「終身旭化成トップ」のあなただけです. もしあなたが99年4月の経営会議で居眠りし何がどうなっているのか記憶にないということであれば,是非正直にそうお答え下さい. もしあなたが工事店完全丸なげ方式でリフォーム事業を推進し破廉恥文書で徹底隠蔽した責任は,住宅事業の総責任者だった当時の住宅事業担当副社長,現旭化成ホームズ会長土屋友二氏がとるべきだとお考えであれば,あなたの口から土屋が責任をとるべきだと是非仰ってください. いやいや山本がとるべきだ,重富がとるべきだ,元住宅総務部長がとるべきだ,元子会社社長がとるべきだ,K所長がとるべきだ,担当Sがとるべきだ・・・そうだ忘れていた,工事店Mこそ真の責任をとるべきだと,もしあなたがお考えなら是非そう仰って下さい. もしあなたが,あくどいピンはねは「泥沼のような建設業界」の常識である,どこでもやっていることでだまされる馬鹿が悪いのだとお考えであれば,是非そう仰って下さい. 経営監視の重責を担い代表権をお持ちのあなたには答える責務があります. お答えは書面でお願い致します.K文書,偽造契約書,詐欺全面広告に続く第四の書証になるでしょう. 草々 某年某月某日 ぷうたろう
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赤シャツは殴られながらそれでも
「これは乱暴だ,狼藉である.理非を弁じないで腕力に訴えるのは無法だ」と抗弁できました.
ところが旭化成は理非を弁じた追求に「会いたい」を繰り返すだけで一言も反論できないのです.
旭化成は責任を取ったでしょうか.
詐欺を否認しているのですから,責任のとりえるはずがありません.
工事やり直しは,責任を認めずに金を施すというあの恥知らずなチッソ見舞金と同類です.
客の責にすりかえて隠蔽した責任を取ったでしょうか.
客は契約書の何たるかもわきまえない間抜けである,これが旭化成の正式見解です.
旭化成は正式見解の一言一句撤回していません.
山本一元氏,沢田恵氏,村田義昭氏は表舞台から去りました.
彼らが責任を取ったのでしょうか.否.
旭化成は一言も彼らの辞任と事件の関連に触れていません.
事件の根本責任は詐欺事業を強引に推進した人にあることは明白です.
真の責任が徹底隠蔽を指示した人にあることも明々白々です.
彼らはいまだに旭化成中枢に居座っています.
ほお被りしたまま逃げようとしています.
旭化成トップ山口信夫が沈黙を続ける限り
旭化成ホームズがいくら必死に『いい家は,いい人生をつくる』と全面広告を打っても
季刊「へーべリアン」をいくら立派な体裁に「リニューアル創刊」しようと
すべて間抜けをだますための詐欺師のきれいごとだ
詐欺師であればあるほどきれいごとだけいうものだ
とばっさり切られて一言も返す言葉がないのです.
旭化成は詐欺師です.
消費者をなめた慇懃無礼な詐欺師です.
匹婦にしてなほかつ廉恥の心あるを思へば,白昼堂々として仁義道徳を説いて世を欺く偽君子ほど憎むべきものはなし.宜しくその面上に唾するも可なり.(荷風『断腸亭日乗』)
旭化成は,絶対に,反論できません.なぜか.
契約書改ざんという事の本質があまりに単純だからです.
旭化成は密室で,間抜け相手にしか,弁舌がふるえないのです.
<契約の何たるか>に関する恥知らずなすりかえ論理をもう一度,公けに,主張することは,
絶対にできないのです.
旭化成中枢は保身体質です.
官僚と同じく絶対に誤りを認めない体質です.
反論できず,誤りを認めず,
こうして沈黙するに至るのは必然です.
事件がもっと複雑だったらどうでしょうか.例えば水俣病事件のように.
100%旭化成責を顧客責にすりかえて恥じず,ばれてなお一言も謝らないその態度からみて
旭化成が盗人の三分の理で,執拗に,反論するであろうことは,
火を見るより明らかです.
知らぬが仏事件の本質は信用問題です.信用問題に時効はありません.