作成2001.6.27-2
画像追加,細部修正2001.7.18

改革の人!


『財界』という雑誌の7月10日号によれば,山本一元旭化成社長は改革の人です.同誌の主幹である質問者は山本社長をもちあげて曰く.

 「山本さんは,これまで改革に次ぐ改革を進めてきましたね.」

山本社長答えて曰く.

 「(前略)坂本龍馬や高杉晋作,西郷隆盛などの改革者をみればわかりますが,改革が終わったら去っています.私は社長に就任する時に,私の使命は改革だと決めていました.(後略)」

改革の中身は多角化事業の見直しでキーワードは選択と集中です.



さて今年の4月7日の日経新聞「景気減速下の舵取りートップに聞くー」というシリーズに山本社長は写真入りで登場されています.

日経の質問はさすがにシビアで尋ねて曰く,従来の複合経営を見直すことはないのか.

山本社長答えて曰く.「多角化路線を今すぐ,変更するつもりはない.相乗効果を追求していく.(後略)」

日経尋ねて曰く,どんな事業を強化していくのか

山本社長答えて曰く.「情報,ヘルスケア,バイオテクノロジー,環境事業といった成長分野には重点的に投資していく.(後略)」

量から質への転換という言葉はでてきますが選択と集中という言葉はでてきません.

多角化当面変更せず
成長分野には重点投資


が記事の見出しです.山本社長の見解は見出しを他につけようがない総花的見解です.

選択と集中において,選択とは投資分野の徹底的絞込みです.誰も成功を保証できないという意味で選択は一種の賭けで選択には洞察力つまり経営者として本質的な資質が問われます.そして集中的に投資するのです.儲かりそうな分野にいろいろ投資するという多角化路線とは考え方が全く違います.

山本社長はわずか2ヶ月あまりの間に方針を大転換したのでしょうか.その間に誰も想像しなかった改革の人小泉首相の誕生があります.山本社長は改革断行の人に君子豹変したのでしょうか.

さて『財界』にもどりましょう.

質問者曰く.「小泉首相が言うように,改革を断行しようとすれば必ず抵抗がありますね.」

山本社長答えて曰く.

 「はい,それから社内の当事者にその事業をやめろと言うのは,実際に顔を見ると辛いんです.しかし,それをやらないと,もっと不幸な目に遭わせてしまうことになりますからね.(中略)資本コストを加味して株主からの期待も加えたEVA(経済的付加価値)を去年から導入しています.つまり株主にも目を配らなければいけないということです.」

山本社長に対する抵抗勢力とは社内の部下と株主だという事です.これが抵抗勢力?

質問者曰く.「山本さんは「辞表を懐に」という覚悟で自分を律してきたと.」

山本社長答えて曰く.

 「(前略)娘も息子も言って聞かせてわからなければぶん殴ったりしましたからね.悪いことをやったりしたら殴られる,痛い目に遭う,ということを子供にわからせねばならない,という考え方なんです.(後略)」

厳しい考え方です.偽善者でない限り当然ご自身に対しても同じ考えをお持ちの筈です.



山本社長は会社を去る覚悟をきめたということを世間に広く宣言したいようです.そして改革をもちだし大見得を切られました.大見得画像

志が成就すれば野に下った維新の志士に見習う

「私は改革が終わったら会社を去る覚悟です」


山本社長の「改革」の中身は,多角化路線の変更といったハイブローなものであるはずはないと私は考えます.万一そうだとすると,それはあまりに格好をつけすぎだと私は考えます.

山本社長は述べておられます.
「もう少し自由に議論ができる従来の旭化成を取り戻さなければいけない,ということを痛感しました.」

甘いかもしれませんが,山本社長が旭化成の腐った部分を摘出する大手術を断行してくれることを期待しましょう.痛みを伴う改革の実例を,小泉首相にさきがけて?是非見せて頂きましょう.