『既にそこにあるもの』 大竹伸朗 著

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僕には 完全に自分の感性で納得できてしまうものよりも
違和感 や 時には嫌悪感すら を感じさせるものに深く興味をもつところがある。

きっとそこには
「なぜこうするのか?」
「ここでそうくるの?」
とか少なからず驚きがあるからだと思う。

すべてに納得してしまうものであれば出会いはすぐに結果として収束してしまう。
そうではなく
驚くということは 想定外なことが起ったり
予想だにしないことを目の当たりにしたり することである。

もう、そういう状況下におかれたらイニシアティブはその ものにある。

僕は驚きに対処しようと必死なのに対して、そのものは 悠然とそこに在る。

そんな存在感にやられてしまうのである。
そんな出会いはいつまで経っても魅力的で僕を離さないのである。

大竹伸朗さんの作品もそんなパワーを持つものが沢山ある。

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本著は大竹伸朗さんの二十年間にわたり綴ってきたエッセイを まとめたもの。
そんな大竹さんの言葉達には僕の惹かれるものについての 作り手からの考察が
けっこう載っていて自分との差が新鮮である。
(「新鮮」というのも驚きの一種ですね)

 

『神は、肉体を持つ人間の一人を実に気まぐれにそしてあまりに  
無造作に選び、奇妙な時間を与え、変なモノをつくらせる。  
世の中にはそんなある種の突起物が結構ごろりと転がっている ものだ。  
そのズレた何ものかは僕の頭の中を瞬時に真白にし、  
極限まで落ち込ませ、そして最後には何かをつくらねばならぬ気にさせてくれる。』

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大竹伸朗さんはアーティストやデザイナーなどの分類にははまらないという独自の
スタンスをもっている方だと思う。
ジャンルなんかに縛られず自分がビビッときたらつくる。
がんがんにつくる。
そんな方なのだ。

真面目に、しかし、決してシリアスにならず、突き抜けた笑いと共に。

大竹さんの作品といえば、やはりコラージュものが好みである。
あのスクラップブックは異様な迫力である。

その他ほんとにどうしょうもなくあほで悪趣味なもの
例えば『ザ・ハード・パイプ くいこみ蜘蛛』とか。。
も、なぜだか惹かれる。
不思議な魅力がある。

ちなみにそんな大竹さんの悪趣味作品を解することができる
きれいなOLさんとかっているのだろうか?
(べつにOLさんにこだわらない けど、一番遠い気がしたので。。丸の内とか)
いたらお目にかかりたいものです。  

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大竹さんが作中で「信じる」「信じられる」という言葉を何度か使っている。
それはなにもアートでなくても、
道を極めようとすれば必ず真理となって理解 できることであった。
『どんなにまじめに努力し、  
与えられた条件をどんなにうまくこなした作品でも、
届かないものは届かない  
その非情さこそ、  逆に僕がいまだアートというものを
 信じることができる点であるとも言える。』

『どんどん作り、そして容赦なくそれを壊し、  
そしてまたどんどんどんどんつくる奴、私はそんな奴を無言で信じる。
意味は何もないが信じられると私は思う。  
たとえそいつが薬で脳ミソボロボロでも  
底なしの女たらしであっても  
約束は絶対破る奴でも  
酒グセメッチャクチャ悪い奴でも  
鼻もちならない奴で、救いようのないバカでも  
私はそいつのことを大嫌いになるかもしれないが  
どこかで絶対に信じると思うのだ。』


ちんけな友情でもなく 貴重な尊敬でもない ただ、信じてしまうこと、
信じてしまえるということ。
それには言葉はいらないのであろう。

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関連書籍

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2005/10/30