ナジャ アンドレ・ブルトン著

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まったくなにもすることのない、ひどくものうい午後の
ひとつがおわるころ、最近出たトロツキーの本を購入し
た直後、ブルトンはその人に出会った。

彼女は自分の名前をこう表現する。

「ナジャ。なぜって、ロシア語で希望という言葉のはじ
まりだから、はじまりだけだから。」

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この出会いは必然だった。

大戦終結当時、シュルレアリスムを掲げたブルトン。

シュルレアリスムとは超現実と訳せる。

それは 現実離れしたという解釈よりも、
現実を生活や労働といっ た日常に限定させないといった
ほうがしっくりくるであ ろう。

まさに彼はナジャという女性を通してそれを実体験した
のだ。

彼の求めた超現実、ナジャによってもたらされた生活は
まさに

  その世界はとつぜんの接近や、
  唖然とさせる符号や、
  他のどんな精神活動の飛躍的展開にもまさる反射や、
  ピアノで一挙にたたき鳴らされる和音のような一致や、
  もしもそれがほかの稲妻とくらべてさほど速くない走
  り方をするようなら見せてくれる、いや本当に見るこ
  とを可能にしてくれる稲妻、

  などで成りたっているもの だったのである。

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ストーリーは別段なにか事件があるわけでもなく、日常
の記述が淡々と続くのみである。

そんななかブルトンと読者を捕らえて離さないのは他で
もないナジャ1人なのである。

ナジャの言葉なのである。

  あなたが望むなら、
  わたしはあなたにとってなんでもないものに、
  それとも足跡だけのものになるでしょう

 

  ライオンの爪が葡萄の胸をしめつける

等、急速に近付き、突き放す、それは天性のものだ。

そして、 ナジャのデッサンなのである。

デッサン『恋人たちの花』は特にすばらしい。
あれを かける女性を思いのままにできるとはとても
思えない。

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これは単なる恋愛小説ではない
これは単なる思想書物とも異なる

これを なんの予備知識もなしに読んでみてください
ブルトンやシュルレアリスムを知ってから読んでみてく
ださい
作中の写真、デッサンを楽しんでみてください

最後の一行

 美は痙攣的なものだろう、それ以外にはないだろう

を味わってみて下さい。

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関連書籍

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2006/4/3