お気楽読書案内
お勉強の本とは
別に、気楽に読めて肩も凝らず、
しかも何か得られそうな本を、少しでも
紹介できたらと思います。
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『ぼくを探しに』



ぼくを探しに ビッグ・オーとの出会い』



シェル・シルヴァスタイン作,倉橋由美子訳,講談社

各1500円+税

あるクライエントさんが
教えてくれた絵本です。とてもシンプルな
表現ながら、心の在りようや人との関係、
人生について考えさせられます。

『求めない』

加島祥造
小学館

1300円+税

とても
ちっちゃい本です。

縦14cm、横13cm、
厚さは1.5cmくらいありますが、
紙が分厚い上に1頁当たりの字数が極端に少ないので
( 例えば「求めない―」のみ )、20分程度で読めてしまいます。
でも、本当はゆ~っくり読むとよさそうな本です。

2007年10月のある朝、
NHKニュースの中で、わざわざアナウンサーが
信州は伊那谷まで出かけて行って著者の加島氏にインタヴューしていました。
加島氏は「求めるなと言うのではない、そんなことは不可能だ、ただ求め過ぎているのをやめてみると、
すでに十分であることが分かるのだ」というようなお話を訥々とされていました。
加島氏はフォークナーやトウェインなどの翻訳もなさった
英米文学者にして詩人だったようですが、
70歳頃に『老子』に出会って感銘を受けられ、以後は
(もっぱ)ら老子のタオ(道)思想の紹介に努めておられるようです。

本書はしかし、
著者自らが断っておられるように、
そのような哲理の解説書ではなく、まさにタオ(道)の思想が
加島祥造という一現代詩人の身体を通じて現代に迸(ほとばし)り出たような作品です。
説教臭いところが無くて、私は好きになりました。

『べてるの家の「非」援助論』

商品写真

『べてるの家の「当事者研究」』

商品写真

浦河べてるの家,医学書院
各2000円+税
「浦河べてるの家」
いうのは、なかなかぶっ飛んだ所のようで、
この本も、当事者である患者さん達が堂々と実名顔写真入りで
登場されて、自身の日常や研究を報告されています。私にとっては、
少し大袈裟に言えば、コペルニクス的転回を迫られるような本でした。
漫画のように読み易く、少々値は張りますがそれだけの
値打ちはあります。どのようにぶっ飛んで
いるかは、読んでのお楽しみ!

『ブッタとシッタカブッタ』
ブッタとシッタカブッタ 1
こたえはボクにある
小泉吉宏/著
メディアファクトリー
998円
2003年5月
ブッタとシッタカブッタ 2
そのまんまでいいよ
小泉吉宏/著
メディアファクトリー
998円
2003年5月
ブッタとシッタカブッタ 3
なぁんでもないよ
小泉吉宏/著
メディアファクトリー
998円
2003年5月
悩み多き
ブタのお話です。
お話と言っても、短編漫画集です。

『人類は「宗教」に勝てるか‐一神教文明の終焉』
町田宗鳳
日本放送出版協会,東京,2007
1070円+税

本書は実は
『参考図書』にも入れさせて頂いています。
(もう少し詳しい内容紹介はそちらにあります。)
かなり挑発的な題名ですが、大風呂敷を広げる類の
浮ついた本では決してありません。
難しいテーマを扱っているにもかかわらず、
議論は著者自身の体験に裏打ちされていて
堅実です。
そのせいもあってか、
読み出すとどんどん夢中になって読めてしまいます。
既存の宗教を批判的に論じ、そこから現代文明を論じていて
筆者にはとても示唆に富んでいました。

新書判で、
手軽にどこででも読めます。

境界例の治療ポイント
平井孝男/著創元社
2100円(税込)

著者の
平井先生は、同門の先輩です。
先生の文章はとても厳密で、仲間内でも「辻語」と
言われるくらいですので、初めて読む人にはかなり骨が折れる
代物なのですが、平井先生のそれはとても読み易く工夫されていて、
Amazonその他の読者レヴューを見ると、なかなか評判も良いようです。
中身は当然、平井先生ご自身の臨床経験に基いたものですが、
「治療精神医学」の精神に忠実に、どなたがお読みに
なっても
お役に立つように書かれています。

先日、
某クライエントさんにお貸ししたところ、
「あまりに当て嵌まっていて、読んでいて思わず笑ってしまった」
とのことでしたので、ここで紹介させて頂くことに
しました。

平井先生の本は、
「○○の治療ポイント」としてシリーズ化
されています。
カウンセリングの治療ポイント / 平井孝男/著
カウンセリングの治療ポイント 
平井孝男/著
創元社
2005年9月
2,100円
うつ病の治療ポイント 長期化の予防とその対策 / 平井孝男/著
うつ病の治療ポイント
    長期化の予防とその対策
 
平井孝男/著
創元社
2004年9月
2,100円
境界例の治療ポイント / 平井孝男/著
境界例の治療ポイント 
平井孝男/著
創元社
2002年9月
2,100円
心の病いの治療ポイント 事例を通した理解 / 平井孝男/著
心の病いの治療ポイント
         事例を通した理解
 
平井孝男/著
創元社
1989年7月
1,890円

『暴力恋愛』
雨宮処凛著,講談社文庫
590円(税別)

実のところこの本は、
「お気軽」に読めるとは言い難い小説です。
著者名は「雨宮処凛」と書いて「あまみや かりん」と読みます。
筆者はある患者さんに教えてもらって初めて知ったのですが、
このHPの読者の中には、既にご存知の方も
多いのかも知れません。

「文才のある人が書くとこうなるのか!」
と感心するくらい、
筆者達が臨床で毎日のように出会う
抜き差しならない双数的/決闘的な排他的二者関係の世界、
その中で当事者が追い込まれて行く「殺るか殺られるか」という心情が、
テンポのよい理知的な文体で、きめ細かに、それこそ余すところ無く
描写し尽くされているように、筆者には思われました。

著者の経歴を見ると、
本書の主人公「みかさん」以上に波乱万丈のようで、
だからこそ、殆ど体験者でないと書けないと思われるような
詳細かつ迫真の描写が可能だったんだな、
と納得。

ただ
どうにも腑に落ちない処が
一箇所だけあります。
それは
79頁の
「私が甘えてきたのは肉親に対してのみで、
母親や父親はいつもそんな私を受け容れてくれていた。
私が死にたいって言って泣き叫んでも、抱き締めてくれた。
生きていてくれるだけでいいって言ってくれた。
私はそう言われると安心して、
一人で眠ることができた。」
という下りです。
筆者の経験からは、
そのような温かい親子関係から
「みか」のような(或いは著者の「雨宮処凛」のような)
生き辛い状態が生ずるとは、どうしても思えないのです。⇒[追記]

生き辛さの描写が迫真のものであるだけに、もしかすると、
全体がフィクションであることを刻印するメタ・メッセージとして、
わざとこのような嘘っぽい記述を紛れ込ませた
のかも知れませんが…
筆者は勿論
文芸評論家ではありませんし、
多くの小説を読破しているわけでさえありませんので、
本書の文学的価値や位置づけやらは皆目分かりませんが、
文章の流れの良さと私小説風の内容から、
太宰治を連想しました。
[追記]
『生き地獄天国 雨宮処凛自伝』
(ちくま文庫,2000&2007)を読ませて頂いた限りでは、
(そして、それが本当に「自伝」である限りでは)
処凛さんと彼女の両親との関係は
予想通りのものでした。

『新版 ひとりでできる こころの手あて セルフケア♡ノート』
八巻香織著 ティーンズポスト編
新水社,2004

1300円(税別)

表紙画像
ケッコー奥深い内容を、
とても平易な普段着の言葉で
サラッと語ってあります。
例えば
第1章は「私のカウンセラーになろう」で、
第6章は「私の中のいじめっ子」、
第7章は「私の中の小さな私」、
ちょっと読みたくなる内容でしょ?

セルフケアの言葉どおり、本書の所々に
「私は私のカウンセラー」と記された
WORK SHEET がついていて、
セルフ・カウンセリングもできる趣向になっています。
でも、むしろそんなことは全く気にせずに
ただ読むだけで十分だ
と思います。

しかもユーモラスなイラストつきです

マンガ
境界性人格障害&躁うつ病REMIX
日々奮闘している方々へ。
マイペースで行こう!

星和書店

マンガ 境界性人格障害&躁うつ病REMIX『マンガ お手軽躁うつ病講座High&Low』[2004年刊 1,680円(税込)]
に続く第2弾!!
なんと境界性人格障碍が隠れていた?
躁うつ病に境界性人格障碍を併せ持つ漫画家たなかみるが、
ユーモアいっぱいにマンガでつづる爆笑体験記。
→境界性人格障碍(BPD)簡単講座
(マンガの一部をご覧いただけます。)

新聞記事 (2006/7/8に朝日新聞に掲載されました。)
たなかみる 著
定価1,680円(本体1,600円) 四六判 並製 196頁
ISBN 978-4-7911-0604-2 〔2006〕


ある当直の夜、
病院のある真面目そうな看護師さんから
「分かり易いパーソナリティ障碍の本はありませんか?」
と尋ねられ、(やはりこのHPは分かり難いのか、と内心傷つきながら)
別の看護師さんに教えてもらっていた本書のことを思い出して
早速購入し読んでみました。

近頃
「当事者」御本人の手による読み物が
結構出版されていますが、本書もそのような読み物の一つです。
それらの読み物には当事者の立場からの様々な体験や思いが描かれていて、
私達医療従事者にとっては、とても貴重な理解と反省の材料にもなります。
本書は、そのような読み物の中では
医療への批判が少なく
(それは、
著者さんがかかっておられる病院の
医療看護の水準の高さにもよるのでしょうが)
かなり穏やかな部類に入るのではないでしょうか。

著者さんの
主治医の先生は本書末尾で
「診断学よりも臨床を大事にしている」と
自ら大いに照れながら書かれていますように、
精神疾患を実体化/具象化して捉えることは
決してなさっていないようですが、
著者さん御自身は
「BPD(境界性人格障碍)」や「躁うつ病」を
まるで体の病気のように「~を持っています」と
相当に実体化/具象化して捉えておられるところに
やや違和感を覚えます。
しかし、
それはこの著者さんの
問題の捉え方の特徴であると同時に
昨今の多くの精神科医にも共通した捉え方でしょうから、
一人この著者さんのみを責めるわけにも行かないのでしょう。
できる事なら他の当事者さんの感想を聞いてみたい
そんな一冊です (^-^)

わかり易くて、面白い!

マンガで読み解く「仏教」のはじまり

とみ新蔵著 《漫画家》
発売日 2009年08月10日
在 庫 あり
判 型 A5判並製
ISBN 978-4-569-77146-5
税込価格 1260円 (本体価格1200円)
この何とも
軽いタイトルの本は、
それだけだと手に取ることもなかった
かも知れません。しかし、目を惹くのはこの帯です。
軽いタイトルとは裏腹に、苦行で死にかけているブッダの姿を
古代ヘレニズムの様式的リアリズムで追求した仏像、それを写した
この帯を見て、思わず手に取って見てしまいました。
そして買ってしまいました (^_^;)
はっきり言って
これは、
原始仏教
(つまりは本当の仏説)を
これ以上は不可能なくらい簡明に説いた
とんでもない名著だと思います

『リストカットの向こうへ』
生野照子

今ここで、切りなさい。私が見ていてあげるから――。
心を病む少女と医師の長い旅。
発行形態 書籍
判型 四六判変型
頁数 268ページ
ISBN 978-4-10-315631-4
C-CODE 0093
発売日 2009/06/30
1,470円(定価)
立ち読み 立ち読み

書評 書評/対談
これは、
臨床家(心療内科医)
によって書かれた、本邦でも珍しい
臨床的「私小説」、或は私小説風ドキュメントです。
やさしい文体で、一気に読めます。

小説という体裁を借りることでかえって、
治療者が何を考えどんな思いで治療に取り組んでいるかが、
かなりリアルに(赤裸々に、と言ってもよいかも知れません)描き出されています。
小説としての文学的評価は、筆者には分かるはずもありませんが、
治療関係に於ける内面のドラマを伝えることには、
見事に成功していると思います。

『人生に生きる価値はない』
中島義道


発行形態 : 書籍
判型 : 四六判
頁数 : 206ページ
ISBN : 978-4-10-439706-8
C-CODE : 0095
発売日 : 2009/02/18
挑発的なようでいて
あまりにも素直なタイトルに惹かれて
思わず買ってしまいました。
本書は哲学の研究書ではなく随筆集ですし、
著者は哲学研究者であるよりは哲学者でありたいと思っておられるようで、
まず面白かったのは、
逸脱行為を許さない「みんな一緒教徒」への嫌悪感の表明など
「哲学者」という人種に属する人間の本音(や愚痴)が
飾らない言葉で語られている点です。

それでいて、
カントの研究者であった著者は、
カントの超越論的観念論や倫理学を梃子(てこ)に、
「死」や「客観的世界の実在性」や「誠実性」について、
ほとんど仏教的と言って良いような議論を展開しています。
(但し、著者は182頁に仏教を「衰弱したニヒリズム」と記しておられ、
仏教に関してはいささか誤解されているように思われます。)

筆者は本書を通じて、
カントってホントに誠実な人だったんだなぁ」と
感心してしまいました。

解説を書いておられる野矢茂樹という人が、
この著者の主張を
《人生の憂いを払拭するためにこそ、
「生きていれば何かいいことあるさ」という楽観と希望を捨て、
この人生の門をくぐらねばならない。》
とまとめています。
これはなかなか厳しい言葉で、
評者自身、「生きていれば何かいいことあるさ」という楽観と希望を
当てにして生きている気がしますし、現に患者さんにそう言ったこともあります。
そんなことを連想していたらふと、昔に入院させられて長期に亘って病院に閉じ込められ
今に至っている患者さん達はまさに「生きていれば何かいいことあるさ」という楽観と希望を
徹底的に打ち砕かれてきたのだろうな、と思い至りました。
不用意に「生きていれば何かいいことあるさ」という楽観と希望を打ち砕くと、
主体性を醸成し難くなることを、それらの患者さん達が教えてくれているように思います。
にもかかわらず「生きていれば何かいいことあるさ」という楽観と希望を捨てて
人生の門をくぐることができる人物は、まさに悟りを開いた人であり、
無を受け止められる人でしょう。

家裁調査官のこころの風景の画像

創元社 (2006/07/20 出版)

310p / 19cm / B6判
ISBN: 9784422113746
NDC分類: 327.4

価格: ¥1,890 (税込)

序章 デッソー先生と辻先生
第1章 「本当は支えを」―ある幼女の慧眼
第2章 私の裏切り―あれほどにも素直な言葉をもらったのに
第3章 「普通」の人―背伸びをやめていった少年
第4章 家族の誕生―シンナー地獄から抜け出た少女
第5章 ある離婚―秘めた未練を振り切っていった人
第6章 「寄ってない」子―六回も家裁に係属した少年
第7章 ある復縁―夫の優しさを信じていた女性
第8章 自分を求めて―強姦事件を起こした少女の苦闘
第9章 親の愛―面接交渉を強引に実現した父親
第10章 風穴―窒息状態から抜け出した少年

【内容紹介】

 少年への裏切り、幼女の慧眼、生きていてくれた少年……。次の家裁調査官たちに伝えることが自分のなすべきこととして綴った、家族の深層をめぐる10の記録。自らの反省も率直に振り返りながら、人には必ず「出会える」人がいること、人は「変われる」のだという希望を語る。
 辻悟による序文が、各事例の登場人物が著者と出会うことで自分自身と出会い、いかに新たな一歩を踏みだしていくことになったのか、深い洞察力で伝えている。

【著者略歴】

 1964年大阪大学文学部卒業(哲学科心理学専攻)後、家裁調査官補、家裁調査官として37年4ヶ月勤務。その間にドロシー・デッソー辻悟の指導を受けた。
 現在は、家事調停委員として調停事件にかかわり、家庭問題情報センター(FPIC)の会員として相談等を担当している。
 共著として『生き方としての女性論』(嵯峨野書院)、分担執筆として『夫婦の危機と養育機能の修復』(家庭問題情報センター)がある。

[以上、『紀伊國屋書店BookWeb』の紹介記事のママ]


著者は、門下では
評者の「姉弟子」に当たる方です。
生命誌研究者に同姓同名の方がおられますが、
もちろん別人です。

2006年7月発行と記されていますので、
恐らくその年の先生を囲んでの忘年会の席で、
著者が本書のことを仰っていたのですが、
つい買いそびれていました
(たぶん(おとうと)弟子の(ひが)もあったのでしょう)。

今回、(わけ)あって
家裁調査官のお仕事を知りたいと思い、
本書のことを思い出して、アマゾンくんで注文しました。

読み始めてすぐに、
もっと早く読んでおくんだった、と後悔しました。
というわけで、ここに紹介させていただく次第です。
new!
『老師と少年』
南直哉
判型 : 新潮文庫
ISBN : 978-4-10-130481-6
発売日 : 2009/12/01

「生きることが尊いのではない。生きることを引き受けることが尊いのだ」

気鋭の禅僧によって著された本書は、
「僕が死ぬとはどういうことか」などの
「危険な問い」「隠された問い」に
取り憑かれた少年と老師との
交流のお話です。

大き目の活字で、行間も広く取ってあり、
100頁余りの薄い文庫本ですので、
すぐに読めます。
しかし、
内容は深いと思います。
冒頭の一文が本書の主張だと思われますが、
「自分を脱落せよ。ならば問いは消滅する」
もなかなか素敵な言葉だと思います。
皆さんはどう読まれるでしょうか。











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