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午後10時 御殿場口(5合目)に到着 僕らが登山口についた時は既に真っ暗でした。 場所は御殿場口、標高 1400m 程度 他の登山口が 2300m 程度ありますから ここは圧倒的に標高が低い! なんで同じ5合目で標高に差があるんだ??? と疑問に思う気持ちも無理からぬことです。 でも、そのおかげで、ここの登山口は人気がなく 僕らが着いた時にも、人は数人しかいません。 それも登山をする気は全くない人たちだけでした。 僕らはさっそく着替えをし、靴をはきかえ、 登山の準備にかかりました。 今回のメンバーは私を入れて9人… 中には初心者もいますが、 体力が自慢の頼もしい仲間達です。 天気は快晴!星空が奇麗でした。 風もおだやかでここちよく 霊峰富士が僕らをやさしく出迎えてくれている …と感じずにはいられませんでした。 ところが....その穏やかさとは裏腹に “山”は恐るべき罠を僕らにしかけていたのです。 |
ほほえむ山
![]() 意気揚揚と登山の準備をするメンバー |
人気のない道
![]() 360度、明かりなし |
午後11時(1時間経過) 明かりのない広野 準備が完了した僕らは、元気よく歩き出し 中○隊長がみんなを先導していきます。 前にも後ろにも人気は全くありません。 開いている店も無ければ ルートを示す案内板も目につきません。 僕らは人の踏んだ足跡だけを頼りに歩いていきました。 大勢の人で混んでいるのは嫌だけど、 人が全くいないということも どちらに進めばいいのか分からず、 嫌なものだという事を知りました。 御殿場口は樹木も店もなく、明かりの全くない広野で 満天の星空と頭の上のヘッドライトだけが唯一の光でした。 下は富士山特有の足が潜るような、疲れを促進させる砂利... だんだん初心者の息使いが荒くなっていくのが感じられます。 ひたすら歩くこと、10分,20分,30分… 前方斜めには巨大な富士の頂きが見えるのですが 一向に近づく気配がありません。 それどころか、 ルートを示す案内板やロープが全く見えないのです。 しかも足場は、足にまとわりつく流砂のような砂利。 まるで蟻地獄のよう… 「何かがおかしい....」 私はそう感じました。 明らかに道とは思えない道を僕らは進んでいたのです。 ふと腕時計を見ると午後11時、 出発してから1時間が過ぎようとしていました.... |
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午前0時(2時間経過) 道とは思えない道 「隊長!!」 私は先頭の中○隊長に声をかけました。 「はぁ〜??」 返事をしながらも、彼は前へ前へと進んでいきます。 既に初心者の太郎君は流砂にやられて 先頭部隊から数十m後ろで蟻地獄から抜け出そうと もがき苦しんでいます。 「隊長!何かコースの分かる目印みたいなものある?」 「さっきまではロープがあったんですけど....今は、何も... それが何か??」 さすがは私が隊長に任命した男だけあります。 たとえ目印が無くても前へ前へと進むその行動力! …と褒めてる場合ではありませんでした。 「迷った!!」 私はそう感じました。 考えたくもなかったのですが、 この状況は間違いなくホワイトアウトならぬコースアウトです。 さすがに状況を察したのか、 隊長は近くの丘にあがり正規ルートを探し始めています。 私は地図のコピーをヘッドライトで照らし 必死に現在地を模索していました。 「やばいぞ、これは...」 ただでさえ長いルートなのに、 道に迷ったとあっては初心者の体力が心配です。 彼らの気力にも影響します。 何とかしなくては... その時!!誰かが叫んだのです。 「あっ!あの赤い点滅は何だ!!」 |
蟻地獄![]() 必死にルートを探す中○隊長 |
希望の光![]() 赤い点滅… 希望の光か? |
午前0時半(2時間30分経過) 赤い点滅の見える場所 「あっ!あの赤い点滅は何だ!!」 遥か彼方に赤い点滅を発見しました。 暗闇の中にはっきりとそれは見えました。 あれこそがコースを示す目印に違いない。 何てことだ! こんなに正規ルートからそれていたのか..... 僕らはその赤い点滅に向かって歩き始めました。 そう、一直線に赤い点滅を目指し、 再び道なき道を進むことになったのです。 この時、脳裏に一つ不安な事が浮かびました。 “沢みたいな大きな窪地があったらアウトだ... あそこまでは行けない...” しかし、若干の窪みはあっても、 渡れないようなものは何もありませんでした。 希望の光は、まだ僕たちの前に輝いていました。 僕らは赤い点滅をしっかり眼中に捕らえ 一歩一歩、着実に進んでいきました。 次に脳裏に浮かんだ不安は更に深刻なものでした。 そう、ここで赤い点滅を見失ったら… そして僕らは最悪の事態を迎えることになるのです。 |