| 健康管理とリスクマネージメント |
暑熱対策
概要
夏場のサッカー活動は、熱中症などの危険を伴っており、十分な注意が必要です。
特に、この時期は通常の試合や練習に加え、合宿なども行われますので、私たちサポータが周囲環境や
子どもたちの様子を観察しておく必要があります。
暑さの指標(WBGT:Wet-Bulb Globe Temparature)
WBGT(湿球黒球温度)とは、人体の熱収支に影響の大きい湿度、輻射熱、気温の3つを取入れた指標で、
乾球温度、湿球温度、黒球温度の値を使って計算します。
日本気象協会(http://www.jwa.or.jp/)が、毎年6月1日〜9月30日に発表する「熱中症予防情報」も
WBGTが利用されています。
【WBGT(湿球黒球温度)の算出方法 】
屋外:WBGT = 0.7×湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
屋内:WBGT = 0.7×湿球温度+0.3×黒球温度
日本体育協会 熱中症予防のための運動指針より
|
WBGT
[℃] |
指標 |
運動指針 |
参考(気温)
気温[℃] |
| 31以上 |
運動は原則中止 |
WBGT温度が31℃以上では、皮膚温より気温の方が高くなる。
特別の場合以外は、運動は中止する。 |
35以上 |
| 28〜31 |
厳重警戒 |
熱中症の危険度が高いので激しい運動や持久走など熱負担の大きい運動は避ける。運動する場合には積極的に休息をとり水分補給を行う。 |
31〜35 |
| 25〜28 |
警戒 |
熱中症の危険が増すので、積極的に休息をとり、水分を補給する。激しい運動では、30分おきくらいに休息をとる。 |
28〜31 |
| 21〜25 |
注意 |
熱中症による死亡事故が発生する可能性がある。熱中症の兆候に注意するとともに運動の合間に積極的に水を飲むようにする。 |
24〜28 |
| 21まで |
ほぼ安全 |
通常は熱中症の危険性は小さいが、適宜水分の補給は必要である。市民マラソンなどではこの条件でも熱中症が発生するので注意する。 |
24まで |
熱中症の分類と症状
| 種類 |
病態 |
症状 |
| 熱失神 |
皮膚血管の拡張によって血圧が低下、脳血流が減少している状態 |
めまい、失神、顔面蒼白、脈拍は早く弱い状態 |
| 熱疲労 |
大量発汗による脱水状態 |
頭痛、吐き気、脱力感、倦怠感 |
| 熱けいれん |
血液中の塩分濃度低下(水分補給だけが行われた状態) |
足、腕、腹部の痛みを伴うけいれん |
| 熱射病 |
体温上昇の為に中枢機能に異常をきたした状態 |
意識障害(応答が遅い、言動がおかしい、意識がない)の状態で、死亡率が高い |
<注意>表は下段に行くほど症状が重い
熱中症の予防(5か条)
| 項目 |
内容 |
@暑さに慣れる
(暑熱順化) |
熱中症は急激な環境温度変化があった日に発生しやすいと言われています。
6月以降から徐々に暑さに慣れていくことが重要です。
また、室内でのエアコンによる冷やし過ぎも、外に出た際の体調に影響を与えます。
室内外の温度差が少なくなるよう配慮が必要です。 |
| A環境を認識する |
その日のWBGT予測を確認し、運動指針に従い練習量を調整しましょう。
場合によっては中止することも必要です。 |
| B水分補給の徹底 |
発汗により、体重の3%の水分が失われると、運動能力や体温調節機能が働かず、
練習そのものに効果がないばかりではなく、熱中症の危険を伴います。
運動中は、2%以上が失われないよう、こまめな水分補給が必要です。
また、発汗と同時に塩分も排出されるので、塩化ナトリウム、カリウム等を含むスポーツ
ドリンクを補給するようにします。
【水分補給の考え方】
個人差がありますが、一般的に以下のようにします。
@練習や試合の前に250ml程度のスポーツドリンクを飲む
A運動中は20〜30分に1回程度、100ml程度の水分補給を行う |
C体重の変化に
気を配る |
体重の変化を確認することによって、疲労の回復度合や体調のチェックを行います。
練習前後は体重を計測し、適切な水分補給が実施されたか確認するようにします。 |
| D衣服へ気を配る |
皮膚からの熱の出入りは衣服が関係しています。
吸湿性や通気性の良いものを着用しましょう。
また、夏場は直射日光を避けるためにも帽子を着用しましょう。 |
熱中症になってしまった場合の救急処置(5か条)
| 処置 |
内容 |
| @運動の停止 |
すぐに運動を中止し、涼しい場所で休ませ、意識の有無を確認する |
| A水分補給 |
水分補給を促す。
熱けいれんであれば、生理食塩水(0.9%)であれば,通常は回復します。 |
| Bマッサージ |
足を高くし、手足の抹消から中枢部にかけてマッサージを行います |
| C冷却 |
体を冷やします。
特に、首、わきの下、足の付け根部などの血管の太い部分を冷やします。 |
| D医療機関へ搬送 |
体温が著しく上昇、意識がない場合は速やかに医療機関へ受診させます。 |
|
ケガについて
ジュニア期に起こりやすいケガの種類と処置方法
サッカー活動中にケガが発生した場合は、最低限の救急処置を施す必要があります。
救急処置後も素人判断をせず、病院での診療を受けるようにしましょう。
■外傷
サッカー活動においては、打撲、捻挫、肉離れなど機械的要因によって身体に損傷を受ける場合が
多いかと思います。
外傷が発生すると皮下の毛細血管が切れ、内出血が発生し、腫れと痛みの要因となります。
処置としては、「RICE」を施す必要があります。
R:Rest(局所を安静に保つ)
状況によっては添え木などを使用し、動かさないように固定します
I :Ice(冷やす)
氷を使用し15〜20分程度冷却、1時間程度休憩を数回繰り返します
C:Compression(圧迫)
腫れないようパッドと包帯などで患部を圧迫します
E:Elevation(拳上)
患部を心臓より高く上げます
■挫傷
皮膚の表面のみのすりキズ(擦過傷)と皮膚が裂けてしまっている切りキズ(挫創)に分類されます。
いずれの場合も皮膚の損傷と出血を伴います。
擦過傷の場合には、水道水や消毒液で患部をきれいに洗い、砂などがそのまま皮膚に残らないよう
処置します。
挫創の場合で出血が多い場合は、止血の処置が必要になります。
患部をガーゼ等で当て、心臓に近い部分を縛り上げます。
ゴムチューブなどで手足の根元を縛っての圧迫止血は45〜60分以内に医療機関へ搬送します。
■障害
発育期には骨端線と呼ばれる骨の成長する部分が存在します。
この部分の骨はひじょうに柔らかく、繰り返しの外力によって、損傷や剥離を起こしやすい状態になっ
ています。
いつも同じ部位ばかりを使っていると発生しやすく、オーバーユースシンドローム(使いすぎ症候群)
などとも呼ばれています。
代表的なものでは、膝のやや下の部分に痛みが発生するオスグットシュラッター病や踵の部分の
踵骨々端炎などがあります。
いずれの場合も休ませることが前提で、専門医の診療を受け適切な指導が必要です。
■その他の注意
発育期の慢性的な腰痛は、腰椎分離症を起こしている可能性があるので注意が必要です。
腰椎分離症とは、腰椎を構成する椎弓と呼ばれる部分が分離した状態(連続性)を失った状態で
椎間板ヘルニア同様、神経を圧迫することによって痛みを伴うものです。
発育期の激しい運動によって発生する疲労骨折とも呼ばれています。
|
栄養
子どものころから良い食習慣
スポーツをする子どもたちは、運動と成長の両面においてエネルギーを消費します。
失われたエネルギーは、栄養バランスの良い食事によって補うことに加え、摂取するタイミングが重要と
言われています。
将来、スポーツ選手にならなくとも、子どもの頃の食習慣は大人になっても継続されますので、あらため
て、見直してみましょう。
■朝食をとっていますか?
その日の脳の働きは、朝食によってスイッチが入ると言われています。
朝食をとらないと、スポーツのみならず、学習の効果も著しく低下します。
朝食は必ずとらせましょう。
■偏食はありませんか?
子どもたちの大好きなハンバーガーやお菓子などのジャンクフードと呼ばれる食べ物は、糖質、
脂質によるカロリーが高いと言われています。
一方、子どもたちが敬遠しがちな、ピーマン、にんじんなどの緑黄色野菜や小魚などには、体の調整
機能の源となるビタミン、ミネラルが多量に含まれています。
スポーツ選手にとっては、これらの糖質、脂質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素をバランスよく摂取する
必要があります。
■適切な時間に食事をとっていますか?
スポーツ選手にとって、試合や練習後の食事では、ごはん(糖質)と肉や魚(たんぱく質)を多量に
摂取する必要があります。
これらの食事によるエネルギー摂取の時間が遅れると、その後のエネルギー吸収量が減退し、
疲労感が残ると言われています。
最近は夜間の習い事などで、夜型の生活を送る子どもが増えていると言われています。
出来るだけ夜型の生活を控え、適切な時間に食事をとるようにしましょう。
子どもたちに必要な栄養素
■スポーツ活動に必要な3つの要素
(1)エネルギー
筋肉や内臓に十分なエネルギーが蓄えられていること
(2)身体つくり
スポーツに適した骨格や筋肉をつくること
(3)コンディショニング
練習や試合前後に、体調を整えること
■5大栄養素
| 栄養素 |
エネルギー |
身体つくり |
コンディ
ショニング |
食材の例 |
| 糖質 |
○ |
|
|
ごはん、パン、めん類、ジャガイモ、砂糖 |
| 脂質 |
○ |
○ |
|
サラダ油、バター |
| たんぱく質 |
○ |
○ |
|
肉、魚、卵、チーズ、納豆 |
| ミネラル |
|
○ |
○ |
牛乳、レバー、ほうれん草、めざし |
| ビタミン |
|
|
○ |
ピーマン、にんじん、グレープフルーツ、イチゴ |
■5つの食卓チェック
|
@主食 |
Aおかず |
B野菜 |
C果物 |
D乳製品 |
| 主な役割 |
エネルギー源 |
身体つくり |
コンディショニング |
コンディショニング |
身体つくり |
| 主な栄養 |
・糖質 |
・たんぱく質
・脂質
・鉄 |
・ビタミン
・ミネラル
・食物繊維 |
・ビタミン
・糖質
・食物繊維 |
・たんぱく質
・カルシウム
|
| 食材 |
・ごはん
・パン
・めん類
・パスタ
・イモ
・エネルギー
フーズ |
・肉
・魚
・卵
・豆腐
・プロテイン
|
・具の多い味噌汁
・煮物
・サラダ
・野菜炒め
・野菜スープ
・ビタミン補助財
|
・果物各種
・果汁100%ジュース
|
・牛乳
・ヨーグルト
・チーズ
・カルシウム
補助財 |
|
睡眠と休養
睡眠不足はケガのもと
試合の日の早朝、とても眠そうにしている子が見受けられます。
理由は、前日の深夜に家族行事から帰宅した、ゲームをしていた...などさまざまです。
ご家庭の都合もあるかと思いますが、小学生世代であれば、最低9時間の睡眠は確保してあげて下さい。
休養には2種類ある
休養には、消極的休養と積極的休養があります。
消極的休養は睡眠や安静にして身体を休ませることなどを言い、積極的休養は森林浴や温泉浴など、
身体を動かしながら休養をとることを言います。
サッカーとは違うスポーツをしたり、旅行に出かけることで休養になることがあります。
|