「モノから見える地域の特色〜沖縄〜」


1.ねらい

@前時のパラオとの共通項(歴史的に、さまざまな国からの影響を受けた地域であること)を知る。
A青森県と沖縄県は同じ日本でありながら、異文化であることを知る。
B参加型アクティビティの手法を知る。
Cアクティビティの共同作業を通して情報を読み取る。
D沖縄の開発問題を通して青森県との共通項を知る。


2.内容

13:00〜13:40 「沖縄ビンゴ」(別紙参照)
13:50〜15:00 「沖縄ボックス」


3.ファシリテーターから

 今回の講座「モノから見える地域の特色〜沖縄〜」の組み立てに関してましては、蟻塚浩美さんの多大なご協力を得たことにまずはじめに感謝申し上げたいと思います。
 前半は、蟻塚さんが居住地沖縄で体験したゲーム「沖縄ビンゴ」(原版は25項目)を風土・気候・歴史・文化の面で9項目に絞りました。このビンゴを通じてファシリテーターが強調したかったテーマは「第2次世界大戦」後の「沖縄基地問題」でした。それゆえに、9項目のうち4項目はそれについて取り上げました。アクティビティの中でも申し上げましたが、気候・風土については前半に持って来て、持って行きたかったテーマの回答を後半集中して持ってきました。

(1)「沖縄ビンゴ」解説

 @最高気温:沖縄の最高気温はそれほど高くない、という「目から鱗」的な沖縄の気候を参加者に知って欲しくて、1問目に持ってきました。既成概念のアイスブレークですね。
 Aイタコ:青森にもいる「イタコ」は実は沖縄にも「ユタ」という名称で存在しています。ここで、青森と沖縄との共通点を気づいて欲しい、という意図がありました。
 B苗字:沖縄には珍しい名字が多く、それは青森の南部地方とも共通します。
 C色:沖縄における高貴な色は、中国の影響を強く受け「黄色」で、それは「紅型」にあらわれています。
 D和製英語:「This is NO.10(最悪だ)」ほかにも、第2次世界大戦後のアメリカ統治下、たくさんの和製英語が沖縄に生まれました。
 E〜I基地:沖縄県全体の11%が「基地」であること、また本島の20%が「基地」であること、イラク戦争に沖縄から全体の55%が派兵されていること、これはどういうことなのか、という点を「開発」つなげたくて作成しました。


(2)「沖縄ボックス」解説

主に以下の3点をキーワードに中身の6点を選びました。
・ パラオとの共通項(青パパイヤ、さとうきび、スパムおにぎり)
・ 台湾、中国との密接なつながりの歴史(ペリー来航時の市場の絵、紅型)
・ 第2次世界大戦後アメリカ・日本の影響を強く受けて今日に至る沖縄(スパムおにぎり、沖縄タイムズの死亡広告記事)
@ 青パパイヤ、さとうきび
パラオと同様の「南の国」の食文化であることを強調しました。さとうきびについては、ただ「食文化」の類似性を伝えたかっただけではありません。講座の中でも申し上げましたが、第2次世界大戦末期、日本で唯一地上戦が行われた沖縄で12万人もの一般市民の尊い命が犠牲になったこと、さとうきびがこのように豊かに実っている背景には、その土の栄養となった12万人もの沖縄県民の尊い命があるのだ、ということを知っていただきたかったのです。「ざわわ・・・」の歌を聴くときに、そんな背景があったことを心のどこかに置いていただけたら、と思います。
Aスパムおにぎり
 グアムやアメリカ、パラオ、ミクロネシア、沖縄で「スパムおにぎり」は現在、日常的に食べられてコンビニでもふつうに売られています。「スパム」はアメリカ、おにぎりは日本の影響をうけ、「スパムおにぎり」が食されている地域を見ると、そこには「アメリカ」と「日本」の影響を強く受けた地域であることが浮き彫りになります。
A ペリー来航時の絵
沖縄はご存じのように、かつて「琉球王国」と言われ、日本ではありませんでした。16世紀までは台湾や中国を含む東南アジア諸国との交易が盛んで、文化もかなり影響を受けていました。しかし、薩摩藩の侵略により、沖縄は日本の領土となりました。江戸時代の長い鎖国政策を終えた1853年、ペリーの浦賀来航以前に「琉球」にペリーは上陸していました。その時点では日本より中国・台湾文化の影響を強く受けていたことを意図した材料でした。
C紅型
 Bと同様、中国・台湾文化の影響を強く受けていたことを意図した材料でした。
D「沖縄タイムズ」の死亡広告記事
 沖縄は青森と同様、血縁関係をとても大切にし、冠婚葬祭に関しても新聞広告の「おくやみ欄」は青森のそれよりもさらに特徴的で、米国・ブラジル方面に多くの親戚がいること、故人の所属団体からおくやみ広告が出ること、クリスチャン人口が多いこと、屋号が存在することなどが挙げられます。
 これは、明治初期から昭和初期にかけてブラジルやハワイ方面に多くの移民が流出したこと、第2次世界大戦後のアメリカ統治下時代沖縄市民の多くがキリスト教の影響を受けたり、アメリカ人と結婚したりしたことが背景にあります。このような歴史的背景を知るに十分な情報を提供してくれるこの「沖縄タイムズ」死亡広告記事を題材に後半、グループでアクティビティを行いました。
 以上のアクティビティを行い、参加者は実に積極的にコミュニケートしていた印象があります。
 また、「紅型」に関しては「なぜ、黄色なのに“紅”なのか?」という疑問が出、別の参加者から「もしかしたら、紅花から抽出される黄色なのではないか」という意見が出されるなど、参加者から学ぶ場面も多く見られました。「屋号」についても、沖縄ではおそらく住職やクリスチャン以外の家庭にはすべて屋号があること、津軽地方には商人の家系にはまだ残っていること、南部地域には商人以外の家系にも屋号は残っていることなどの情報が得られ、これもまた、参加型学習ならではの大きな学びでした。
時間の都合上、基地問題や開発問題のことを青森と結びつける作業ができなかったことが悔やまれますが、それは、2日目の2時間目につなげてくださったことで感謝しています。


4.おわりに

「沖縄」には学びの素材がたくさんあります。青い空・青い海、それも「沖縄」でしょう。しかし「琉球王国の歴史」や「沖縄戦」そして戦後の基地問題もまた「沖縄」の一面です。歴史の教科書の中で、かつて「琉球王国」についても「尚巴志」についても「沖縄戦」についても多少勉強しました。そこではほんの少しの情報を得たに過ぎません。おわりに「ひめゆり記念館」の中に書かれていた文章を抜粋させていただき、報告とさせていただきたいと思います。
歴史は人類社会の羅針盤です。
歴史には学ぶべき教訓が無尽蔵に埋もれています。
 しかし、歴史は弱者を語ろうとはしません。
 歴史はつねに権力者の言葉で書かれていくからです。
 だから弱者は 弱者自らの歴史を見つめて
 その歴史をただす努力を続けていかなければなりません。
 そしてこのことは現代史を生きる私たちの非常に重要な課題です。
「沖縄」の開発問題を通して、わたしたちのすむこの「青森」の開発と共通項が見いだせることができたら、このアクティビティの意味があったのかな、そんなふうに思います。

            (文責:山脇 いづみ)