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 このコーナーでは、筆者がいままでに出会った、美しい絵本たちを紹介したいと思います。

わたしは旅行に行くと、よく古本屋さんをのぞいて、その国独特の何かが感じられる美しい絵本や画集を

探します。もう絶版になっていて一般にはあまり知られていない絵本に、古くからその国で培われてきた文化の粋や、

美術館の名画にも劣らないきらめきや、今の日本や西欧ではほとんど失われてしまったピュアな感覚

を感じることがあります。そのような絵本に出会ったときは、深い森の奥で秘密の泉を発見したような喜びがあります。

 旅行以外にも、古本散歩の途中で見つけたり、友だちからプレゼントとしてもらったりするなど、いろいろな出会いがあります。

すばらしい絵本との出会いは、めったに会えないような友達との出会いと同じように大切なものです。

Tobby's Abenteuer 「トビーの冒険」 1947 Wien

3年くらい前に、とあるアンティーク家具屋さんで見つけました。サーカス小屋でつらすぎる

仕事をさせられていたトビーくんが、数々の冒険の末、お猿のフィップスと協力して悪い海賊を

懲らしめ、南の島に帰りつくというお話。すべてのページが黒いのがとってもシュールで、

絵も可愛くてエキセントリック。一枚一枚のページが版画作品のような、すばらしい絵本です。

終戦直後のウイーンでこんなハイセンスな絵本が出版されていたということに驚かされます。

つらい仕事が終わっあと、仲間達に歌を歌ってあげているのでしょうか、それとも、故郷のことが書いてある

本を読んであげているのでしょうか。象がなぜ口に布を巻いているかというと、虫歯が痛いからです。


絨毯の物語

 ペルシャ絨毯と、白を基調とした独特の絵による、宝石のように美しい絵本。

これは実は、筆者が子どもの時に愛読(眺めるだけですが)していたものです。ペルシャ語で書かれて

いるため、どんなタイトルなのか分かりません。絵を見て物語を想像してみました。

  主人公はイランの砂漠で暮らしているお姉さんと弟です。

 家族はお父さんとお母さんと姉弟の4人。お父さんは沢山の羊を持っていて

 毎日放牧に出かけます。羊たちが草を食んでいる間、お父さんは木陰で横笛を吹きます。

それはおじいさんのそのまたおじいさんから伝えられてきた曲でした。

お母さんとお姉さんは羊の毛を紡いで絨毯を織ります。絨毯が何枚か出来上がると、

お父さんは遠くの町に売りに行きます。姉弟はお父さんが旅で見聞きした遠い世界の話を

聞かせてもらうのがとても好きでした。二人が特に好きなのは、まだ見たことのない海の話でした。

  二人は絨毯の上で遊びます。心に描いたことは、二人の間では現実になるのでした。

 赤い絨毯に描かれているのは楽園の花園。咲き乱れる花のなかに寝転がったり、

 きれいな珍しい鳥を追いかけたりして遊びます。深い青の絨毯はまるで海のよう。

 二人は船を浮かべます。


火の鳥  

I.イェルショフ、K.イェルショワ絵 坂本市郎訳 新読書社/プログレス出版社 1982年(絶版)

 ロシアの民話。「火の鳥」「カエルの女王」「あしげの馬」「カマスの命令」「ワシリーサと人形」

の5編。絵とお話はグレーの額縁のような装飾の中にかかれています。

ロシアの建築、絵画、工芸などで培われてきた民族的な文化、美術のエッセンスと、

神話的、幻想的な雰囲気が感じられる、すばらしい挿絵です。

  「夜中をすぎるころ、イワン王子は、果樹園に光がさしているような気がしました。

  だんだん明るくなってきます。ついに果樹園ぜんたいが明るくなりました。見ると、リンゴ

  の木に、いちわの火の鳥がとまって、リンゴ(金のリンゴ)を食べています。」

ロシアの挿絵画家の中で特に好きなのはYu.VATSNESOV(ヴァスネツォーフ)なのですが、この挿絵も

とても好きです。ヴァスネツォーフについては、また今度紹介します。

光沢のない紙に印刷されているので、いい風合いです。好みの問題かも知れませんがプラスチックみたい

なピカピカの光沢紙に印刷された最近の絵本は、風情に欠けるものが多い(よい感じのものもありますが)と思います。


Les Roseaux

Isabelle Massoudy  EDITIONS DE L’OBSERVATOIRE

 モロッコに行った際、モロッコ独自のものを感じさせる絵本を

探したのだが、ほとんどはアメリカ、ヨーロッパ風のものばかり。

何軒か見てようやくこれを見つけました。題名は「葦」。

独特な作風の色鉛筆画による、アラビア文字とカリグラフィーをめぐる物語です。

登場人物は、葦ペンで文字を書く青年と、草原に住む、ネズミ、ウサギ、犬、

そして女の子。アラビア語とフランス語で書かれています。

おそらく「月」と書かれているのでしょう。

スイカの種のようなねずみの目玉がおもしろい。

動物たちは女の子の案内で、葦ペンで文字を書く男の人を訪ねます。


あらじんとふしぎならんぷ

構成・文 飯沢 匡 制作シバ・プロダクション 1962 フレーベル館

実写版人形絵本。レトロな「総天然色」が非常に幻想的で、3D POST CARDにも通じる

サイケデリックな感覚がある。個人的には「日本のカレルゼマン」じゃないかと思っています。

「トッパンの人形絵本」のシリーズの一冊として出されたようですが、裏表紙を見ると37タイトル

も出ています。最近もN荻の古本屋さんで当時別の出版社から出された実写版絵本を見かけました。

(しかも表紙に3D画像がついている!…ただ、今まで見た実写版絵本ではこの「あらじん」が最高です)

当時はこの手の実写版絵本がけっこう出ていたのでしょうか。

すみずみまで凝った道具立て。時代を感じさせる色彩がすばらしい!

すてきなお姫様です。背景の色がすごい。


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