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アクアライン@800円社会実験報告書
副題:千葉県トラック業者への緊急アンケート集計結果、及びアクアライン社会実験に伴う国・千葉県の財政負担額、並びに費用対効果分析・環境評価等報告書
(速報値)
2004年11月17日
〒164−0003 中野区東中野1-54-6 マツヤビル5F
株式会社アプレイザル 代表取締役 松下文洋
TEL:03-3361-6681
<目次>
1 要約
2 東京湾アクアラインの現状と課題
3 有効利用・大幅値下げを求める運動の高まりと科学的評価
4 @800円社会実験の要請
5 社会実験を実施した場合の事前予測値・評価方法を検証
1)千葉県県土整備部の予測・・・弾性値0.4
2)推進協議会の予測・・・・・・ミープラン
3)両者の予測評価の差はトラックの通行台数の違い
4)トラック交通量予測の技術的困難性、
6 トラック業者へのアンケート調査と有効性
7 千葉県トラック業者への緊急アンケートの実施と集計結果
8 包括的検討と結論
1)値下げ後の車種別交通量と料金収入
2)国・千葉県の財政負担額
3)費用対効果比
4)フレームワーク一覧表評価法を使った環境・公平性など包括的検討、結論
5)最後に、社会実験の目指すもの、アンケート自由回答の紹介
<巻末資料>
巻末資料1〜12
アンケートの集計結果=資料:「千葉県トラック事業者におけるアクアライン利用意向に関するアンケート調査・集計結果報告書」
アンケート用紙
1 報告書の要約
1)アンケートの目的と集計結果要約
開業6年たった東京湾アクアライン(以下アクアラインと略す)の有効利用は政府、産業、納税者にとって緊急な課題となっている。
アクアライン800円実現化100万人署名推進協議会(以下推進協議会と略す)は「値下げすればアクアラインの交通量は乗用車19000台、トラック11000台と大きく増加し、経済、環境、レジャーへの波及効果は大きい。来年の春に@800円値下げ社会実験を実施してほしい」と提言している。
アクアラインの現行料金と推進協議会が提案している料金 単位:円
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区分
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通常料金
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ETC実験料金(期間:平成17年3月まで)
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800円実現化100万人署名推進協議会が提案している料金
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軽
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2400
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1860
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600
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普通車
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3000
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2320
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800
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中型車
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3600
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2780
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1500
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大型車
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4950
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3830
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2000
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特大車
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8250
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6380
|
3000
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これに対し千葉県庁では総論賛成の立場をとりつつも、「値下げしても特に中型車、大型車等はほとんど増えない。負担は月1億円にのぼり実験はできない。」という見解である。
すなわち両者の意見の相違は中型車、大型車等にあり、その多くのウェートを占めるトラックの台数に関して大きな違いがあることが分かった。しかし、トラックの交通量予測は科学技術を駆使しても容易でない。それならば、直接トラック業者へ緊急アンケート調査を行うことが有効と考え実施した。値下げによるトラックの台数増加率は4.8倍と求められた。(参照・次ページ・アンケート集計結果の要約)
2)国、地方、千葉県の財政負担額(社会実験を1ヶ月行うとした場合)
アンケート、モデル、弾性値による分析結果を比較考量して以下のように推計した。
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A 値下げ後の料金減収額
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2億2,650万円
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巻末資料9参照
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B 国の負担額
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1億5,100万円
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A×2/3
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C 地方の負担額
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7,550万円
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A×1/3
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D 千葉県の負担額
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3,524万円
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C×15.56/33.33(出資率按分)
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3)結論・・・値下げによる料金減収額を大きく上回る経済効果(渋滞緩和により33億円/月、費用対効果比14.6、)、及び環境面では8千トン/月のCO2削減効果、その他サービス産業の売上増、国・自治体等の税収増が発生すると予測されるので「社会実験を早期に実施することが望ましい」と判定された。
4)アンケート集計結果の要約
@ 料金値下げによる利用台数の変化
・
「既にアクアラインを利用している」事業者は、通行料金が下がった場合、主に大型車、特大型車による利用台数が増えると回答している。これは千葉県内のトラック事業者がロットの大きい素材型産業の貨物を大型・特大型車両で輸送することが多いためと思われる。
・
「現在は利用していないが、料金が下がれば利用する」という事業者は、主に中型以下の車両での利用が増えると回答している。これはアクアライン通行料金が下がった場合、神奈川県内の配送業務を獲得しようとする事業者が多く、かつ配送業務は比較的サイズが小さい車両で行われるためと思われる。
・ アンケートの回答をまとめた値下げ後のトラックの利用増加率

A 事故防止
・
アクアラインの活用によりドライバーの疲労軽減とそれによる事故防止が期待できるとする事業所は非常に多かった。
B アクアラインへのアクセス道路料金
・
館山自動車道などアクアラインまでのアクセス道路通行料金の高さを指摘する意見も多かった。社会実験においては、そのようなアクセス道路料金を同時に下げることも検討すべきだと思われる。
C 今後の課題
・
同じトラックでも軽トラックについては、いわゆる赤帽という形態での利用が中心であり、可能ならさらに赤帽関連の組合などへの調査を行うことが望ましい。
<報告書本文>
なお、ピンク色の用語は注を付けて本文中で解説し、ブルー字の用語は巻末に資料を付した。
2 アクアラインの現状と課題整理
平成9年12月に完成した東京湾アクアライン(以下アクアラインと略す)は1兆4500億円の巨費を投じて建設され、千葉県の半島性解消や経済の活性化、海上バイパス機能によって首都圏幹線道路の交通渋滞の解消、並びに自動車排気ガスに含まれるCO2など有害物質の減少効果などが期待される「夢の架け橋」であったが、開通後の通行量は予想の1/3以下に留まり、アクアラインが本来持っている機能を十分発揮していない。
政府も開業2年目に普通車を@4000円から@3000円に値下げし、さらに平成14年7月からはETC装着車に限って同@2300円に値下げしている。
表1 アクアラインの料金とアクアライン800円実現化100万人署名推進協議会(以下推進協議会と略す)が提案している料金 単位:円
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区分
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通常料金
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ETC実験料金(期間:平成17年3月まで)
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推進協議会が提案している料金
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軽
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2400
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1860
|
600
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普通車
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3000
|
2320
|
800
|
|
中型車
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3600
|
2780
|
1500
|
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大型車
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4950
|
3830
|
2000
|
|
特大車
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8250
|
6380
|
3000
|
しかし、この程度の値下げではまだまだ利用者の割高感は解消されず、利用の増加に繋がっているとはいえない。以下に、開通後の料金と通行量の推移を示す。
表2 開通後の料金と通行量の推移 単位は台/日
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平成9年度
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平成10年度
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平成11年度
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平成12年度
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平成13年度
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平成14年度
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平成15年度
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一日当たり総台数
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14300
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10600
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9600
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11300
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13300
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13700
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14100
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メモ
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普通車4000円など
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普通車3000円などへ値下げ
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7月よりETC車に限り値下げ実験
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ETC値下げは平成17年3月まで
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表3 平成13年度〜15年度の車種別通行台数 単位 台/日
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軽
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普通車
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中型車
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大型車
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特大車
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障害者
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回数券
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合計
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平成13年度
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580
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10720
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590
|
510
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190
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230
|
460
|
13280
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平成14年度
|
630
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11050
|
610
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680
|
190
|
240
|
320
|
13720
|
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平成15年度
|
690
4.9%
|
11280
79.3%
|
660
4.7%
|
920
6.5%
|
180
1.3%
|
240
1.7%
|
160
1.1%
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14130
(100%)
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なお、往復4車線のアクアライン(高速道路)では一日当たり4−6万台が適正な通行量といえ、現状は利用率が非常に低いと言えよう。
・アクアラインは世界一高い高速道路
この原因が高い料金にあることは明らかである。余談となるが、先進国の高速道路、イギリスのモーターウェイ、ドイツのアウトバーン、アメリカのハイウェイは何キロ走っても皆0円である。先進国で主要な高速道路を有料としているのは日本とイタリアだけといわれ、そのイタリアでは高速道路の料金は概ねキロ当たり7円である。これに対し日本はキロ当たり28円〜30円で、イタリアより4倍ほど高いことがわかる。
全長約15キロメートルのアクアラインに日本の平均キロ当たり料金を乗じてみると、
15キロ×平均料金@30円/キロ+初乗り加算150円=600円
日本の高い料金制度のもとでも、アクアラインの料金は600円が相場なのである。3000円ということは、東名高速や中央高速ならば100km走れるし、キロ当たり200円となり、アクアラインは世界一高い高速道路と言える。
また、平均的な家計の月収、及び月の交通費を考えてみれば、その異常な高さは誰にもわかる。関東圏の平均一世帯の所得は月額45万円程度、統計的に交通費はそのうちの13%、金額にして約6万円程度と言われ、それぞれの家庭は通勤、通学、買い物、レジャーなどに最適に配分して使っている。アクアラインの往復6000円は毎月の交通費の10%に相当し、中間所得層の人々にとっては使えないのである。
「せっかく作った目の前のアクアラインが高い通行料金のために使いたくても使えない」という理不尽に対して、ドライバー、市民から思い切った値下げを求める運動が広がっている。
岩波初美氏が起したアクアライン通行料金研究会では「単に、値下げせよと唱えるだけではなく、科学的な裏打ちが重要」と考え、都市総合分析モデル(ミープラン)を使った経済・環境評価を潟Aプレイザルへ依頼し、その分析結果をカラー印刷したパンフレット(巻末資料・1)にまとめて出版し、値下げの必要性を市民へ訴えた。あるときは駅や街頭でビラをまき、また木更津市の上総アカデミアパークなどで公聴会を開いたので、次第に商工会議所、不動産業、運輸業などの支持を集めるようになった。
岩波氏の運動は、アクアライン800円実現化100万人署名推進協議会(以下推進協議会と略す):平井譲二会長(ホームページ:http://www.aqua800.com/)に引き継がれ、署名は平成16年10月現在44万人以上を集め、また千葉県全域(唯一千葉市を除く)の市町村長が協賛して誓願署名を千葉県知事に提出するまでに発展している。(ちなみに、千葉県で最大の論点になっている三番瀬保護の署名は33万人と言われているので、値下げへの関心の高さが知れよう)また、国土交通省石原大臣、堂本千葉県知事、石原東京都知事にも請願したところ、快諾を受けた。(運動の詳細、市長の請願署名は巻末資料2参照)。
推進協議会の意見を要約すると「出来るだけ早い時期に普通乗用車@800円などの値下げ「社会実験(注1)」をおこない、結果が良ければ恒久的な政策とすべき。」というものである。
注1・・「社会実験」とは国土交通省が推薦している政策で正式には「地域における課題解決型社会実験」という。高速道路などを値下げし渋滞解消や地域経済へどのような影響が起きるか等をテストする場合、その費用の1/3を地方が負担すれば、国が費用の2/3を補助するという制度。いわゆる道路特定財源の一般財源化の一環で、本年度は115億円が予算化されている。
推進協議会の請願に対して石原国土交通省大臣もこの制度を活用したらどうかと助言してくれている。
推進協議会や世論の提言を受けて、地元千葉県県土整備部道路課高速道路室(主幹:佐久間泰俊氏)は「@800円社会実験が行われた場合の千葉県の資金負担金額、並びに値下げ後の予想通行量報告書・・巻末資料3 」を提出した。
今年9月30日に県庁の高速道路室(主幹佐久間氏他2名)とアクアライン800円実現化100万人署名推進協議会(平井会長ほか4名)が会見し、お互いの予測値(事前評価)について意見交換した。
双方の意見、及びその根拠を要約すると以下のようになる。(なお、英国運輸省などで使われているフレームワーク一覧表評価の手法を使って簡潔に解説してゆきたい)
1)表4 千葉県県土整備部の予測
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分析結果の概要
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値下げしても普通車等20000台、中型車・大型車等は1500台などの増加に限られる。千葉県の負担は一ヶ月で1億円に達するので、厳しい財政のなかでは実施できない。
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その根拠
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「東京湾アクアライン利用促進社会実験実行委員会:一橋大学教授杉山武彦会長」が発行した報告書の第四章・・・巻末資料4に記載されているETC車値下げの実験結果から得られた弾性値0.4(注2)を適用して推計している。
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評価手法の妥当性・メリット
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弾性値0.4については、実証的で信頼性が高い。
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手法の限界・デメリット
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しかし、ETC実験からもとめた弾性値0.4は適用できる価格帯が狭く、本件評価へ適用することは困難が伴う。後記A 弾性値0.4を本件評価へ適用することの困難性・・注5参照。
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注2・・・弾性値0.4とは価格を1単位下げたとき、需要(台数)は0.4増加する傾向をいう。
料金弾性値0.4の算出方法・・・調査対象はETC車のうち実験直前の登録台数28万台に限定し、実験前(平成14年6月の利用台数)と実験一年後の平成15年6月のアクアライン利用回数を比較して、値下げによる台数増加率を10%、弾性値0.4を求めている。
2)表5 アクアライン800円実現化100万人署名推進協議会の予測
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項目
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概要(経済効果は普通車換算で@1000円の場合の値)
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分析結果の概要
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値下げすれば、乗用車19000台、トラック10000台と大きく増える(注3・料金と通行台数の関係)。これに伴い、京葉道路、首都高速湾岸線など10の幹線道路(注4・図表7位置図)で渋滞が緩和され(巻末資料5)、渋滞緩和にともなう経済効果は年間404億円、Co2の削減効果は年間9万5000トンに達する(計算法は巻末資料6)。
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分析の根拠
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ミープラン東京圏モデルによる分析値から推定した。
(ホームページ・アクアラインの経済環境評価欄参照http://homepage2.nifty.com/appraisal/ )
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手法の妥当性・メリット
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分析に使ったミープランは英国運輸省が正式採用しているように分析精度が高く、政府と国民の合意形成のために作られている。土地利用・交通相互作用の整合的取り扱いについての理論的ロジックが明快で、それらの複雑な市場均衡プロセスを近代経済学の一般均衡理論、レオンチェフの産業連関表分析、ロジット式(巻末資料7)などを統合し、操作可能な高いレベルでモデル化している。
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手法の限界・デメリット
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しかし、トラック関しては、貨物発生のメカニズム、起点・終点分析(ODという)、運転手の時間価値など煮詰められていない部分も少なくないので慎重を期した取り扱いが望まれている。
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注3・・図表6 ミープラン・モデルによる料金と通行台数の関係

注4・・図表7 今回分析した道路区間(延長距離178KM)と位置図
分析路線の区間・・・東京湾アクアラインとそれをとりまく主要10幹線道路区間のみ。その詳細は以下のとおり。
@京葉道路西側・市川IC〜宮野木J約16Km、
A京葉道路東側・宮野木J〜千葉南IC約14Km、
B国道14号・秋葉原〜市川橋約14Km、
C国道14号・市川橋〜千葉市役所前約22Km、
D首都高速湾岸線・葛西IC〜湾岸市川約15Km 、
E東関東自動車道の一部・湾岸市川IC〜宮野木J約15Km、
F館山自動車道・千葉南IC〜木更津J25Km、
G国道16号線・千葉市役所前〜木更津約28Km、
H首都高速湾岸線・浮島J〜葛西IC約17Km、
I首都高速横羽線の一部・浮島J〜大黒埠頭約12Km)
<道路区間位置図>

3)
両者の予測評価の差は主にトラックの台数の違い
以上の通り、県とアクアライン800円実現化100万人署名推進協議会の予測値を検証してゆくと、乗用車の予測についてはおおむね差異はないが、中型車や大型車などに大きな開きがあることが分かった。中型以上の車両とは主にトラックとバスだが、推進協議会では特にトラックの台数が大きく増加すると推計していた。すなわち、千葉県庁と推進協議会の予測は、トラックの台数に関して違っていることになるのである。
4)
トラック交通量予測の技術的困難性
トラックの通行台数予測を正確に行うことが出来れば解決できるが、実は技術的に大変難しいことがわかった。その概要は以下の通り。
A 弾性値0.4を本件評価へ適用することの困難性・・・注5
@財の特性(平均費用低減型供給曲線)から本件への適用は困難
もともと英語のelasticity(弾性)は「ゴムのように柔軟に変る」という意味である。経済学の式やグラフで略されたEは特に説明が無ければ「可変」を意味することが多い。
また、高速道路のような公共財(pablic goods)は平均費用低減型の供給曲線を持つという特性がある。やさしく言えば料金を安くすれば、より沢山使われるようになるということである。つまり、カーブは放物線のようになることが多い。
このような状況の中で、千葉県庁ではわが国の伝統的な予測法とはいえ弾性値0.4(=需要の傾き)を固定して、全ての価格帯に適用して予測値を求めているが、経済学では常識となった「E=可変・エラスチック」である弾性値(傾き)を「F=固定・フィックス」して使おうとするところに論理の矛盾があると思われる。
下表のように、ミープランモデルによる分析値グラフと重ねて比較すると大きな開差が生じることが良く分かる。
図表8 モデルによる分析値と弾性値0.4を固定し適用した場合の差
[普通車換算@3000円―2000円のグラフの角度(=弾性値=傾きなど意味は同じ)を固定して破線で延長し、モデルの分析値(実線)との差を比較した]

A弾性値は車種別、価格帯別に異るので一律適用は望ましくない
上記都市総合分析モデルの分析では、一般的に乗用車やトラックは料金が下がれば通行台数は増加するが、上記グラフを見てもその傾き(=弾性値、あるいは変動率)は車種別、価格帯別にそれぞれ異なるので、一律に弾性値0.4を適用することは望ましくないのである。
例えば、トラックは採算を重視するので、採算に合う料金にまで下がれば急激に利用を増加させるが、しかし、それまでは利用を控える傾向がある。急激に利用を増やす価格帯は普通車換算料金で@1000円前後と知れる。
乗用車は1000円〜0円の間で需要が急増する。
路線バスはアクアラインの通行料金が下がると、反対に台数は減少する傾向が見られる。利用者はより安くなった乗用車へ交通手段を転換するからである。
B ミープラン総合モデルにおけるトラック移動など物流評価の課題
しかし、英国運輸省、世界銀行が採用し、世界的にも高い評価水準にある都市総合分析ミープラン・モデルにおいてもトラックの予測評価は大変難しいことがわかった。理由は以下のようなことである。
@ 遠距離貨物は、トラック、航空機や鉄道、船などを併用するので非常に複雑。
A わが国では、四段階推計理論(巻末資料8)の第一段階の貨物発生メカニズムが十分研究され、解明されているとは言えない。
B 経路の選択は主に燃料費、時間コスト、事故のコスト、車の減価償却などから行われるが、トラック運転手の時間コストを@2500円/時にするか、@2000円/時にするか、あるいは帰路を@800〜@600円/時にするなど前提条件を変えると結果は大きく変動してしまう。(わが国では評価のガイドラインが整備されていない。)
写真:貨物輸送・・・わが国の全国内輸送量の91%をトラック輸送が占めている。
6 トラック事業者への緊急アンケート調査とその有効性
以上の検討を通して、最新モデルを使ってもトラックの通行量予測は大変難しく、また、ETCの実験結果から求めた弾性値0.4を適用する分析法は財の特性などから適さないことがわかった。
それゆえ、差異が大きいトラック通行台数について、世間一般が納得する手法によるデータの検証が必要になっている。我々はトラック事業者へアンケート調査を行い、直接現場の意見を聞くことが有効であろうと判定した。
なぜなら、回答してくれるであろう運転管理者は厳しい原価計算にもとづき、最も経済的で、早く、事故が少ない経路の選択を日日行っているプロフェッショナルであり、回答は信頼性が高いと予想されるからである。
緊急アンケートの集計結果を要約すると以下のようになる。(詳しくは「アンケートの集計結果報告書」参照)
表9 アンケート分析結果の概要
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項目
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要約
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分析結果の概要
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アンケート結果から求めた増加率はトラックの車種別に2.1〜8.5倍(注6)となった。特に千葉県は素材・装置産業が多いので、これらを輸送する大型・特大型車の伸びが大きい。
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手法の妥当性・メリット
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回答は主にプロの運行管理者からなされている。彼らは燃料費、ドライバーの賃金、疲労や事故費用、及び代替する他の高速道路料金との比較からアクアラインを使うか、使わないかを割り出しているので、回答の信頼性は高い。
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手法の限界・デメリット
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回収期間が1週間程度と短く、また車種別にアクアライン利用回数を予測させるなど、やや回答に労力を要する質問形式だったため有効回答数が188(回答率約23%)とやや少ない。
また、アンケート調査一般における問題点としては、「回答と実際の行動が必ずしも一致するとは限らない」こともある。
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アンケート結果より求めたトラックの車種別通行台数
値下げ後の予想台数は、現状の交通量にアンケートで求めた車種別の増加率を乗じて以下の通り求めた。 単位:(台/日)
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トラック車種
|
軽
|
小型
|
中型
|
大型
|
特大型
|
全体
|
|
A現状(平成15年)での交通量
|
119
|
1960
|
504
|
565
|
144
|
3292
|
|
B増加率(注6)
|
2.1
|
2.3
|
5.8
|
4.7
|
8.5
|
|
|
C値下げ後の予想台数 A×B=C
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250
|
4509
|
2923
|
2658
|
| |