株式会社アプレイザル
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第2部 1000円に値下げした場合の経済・環境評価

1.望ましい料金(シナリオ)の検討と分析に使ったコンピュータ・マクロ経済モデル
この問題を研究しているボランテイアグループ「アクアライン通行料金研究会 (岩波初美代表、ホームページhttp://www.netb.co.jp/aqua/)」では定例会や利害関係者へのヒアリング、 公開討論会などを開いて「今の料金では使いたくても使えないが1000円程度に値下げすればもっと利用するし、 暮らしや経済活性化に貢献出来るはずだ」と多くの人が考えていることを知り(研究会パンフレット参照)、 (株)アプレイザル社へこのシナリオの影響評価を依頼した。当社ではミープラン東京80KM圏モデルを使って客観的・定量的に評価した。

 
2.分析結果の概要
モデルがはじいたOD数(どこからどこへ人や物が移動しているか)、路線別の車種別交通量・速度のデータを比較し計算した。

1)アクアラインと東京湾を取り巻く幹線道路の交通量の変化
は現在の13、300台/日と発表されているが値下げ後はモデルのシミュレーションでは25、000台/日程度に上昇すると予想される。値下げによって乗用車・トラックの交通量は増加、バスはやや減少。
 
東京湾アクアラインの料金と通行台数
2)10の幹線道路の交通量と速度の変化
同様に
他の分析区間を推計すると下表のようにまとめることができる。
区間の交通量が分かれば道路タイプごとのQV式で区間速度を自動計算するが、このときトラックの台数を2.5倍し乗用車台数へ換算してLOAD(=道路への負荷量)を求める。

乗用車換算台数(Load)と速度の変化
2000年 Tan Y3000 Y1000 交通量 24時間
Load Load増減 速度 速度変化
アクアライン Y3000 16,962 80.0
Y1000 38,006 21,044 79.2 -0.7
京葉道路 Y3000 62,842 40.0
千葉市東部 Y1000 58,200 -4,642 41.0 1.0
首都高湾岸線 Y3000 108,589 75.8
川崎市付近 Y1000 107,730 -859 76.2 0.4
(京葉道路)    Y3000 224,891 50.0
江戸川区付近 Y1000 222,605 -2,286 50.0 0.0
千葉街道 Y3000 133,262 12.1
市川橋付近 Y1000 132,181 -1,081 12.5 0.4
首都高湾岸線 Y3000 175,435 56.7
浦安市付近 Y1000 174,951 -484 57.3 0.6
千葉街道 Y3000 106,707 16.5
稲毛市付近 Y1000 99,307 -7,400 18.3 1.8
一般国道16号          Y3000 58,218 30.4
市原市付近 Y1000 59,356 1,138 30.5 0.1
館山自動車道 Y3000 6,749 80.0
袖ヶ浦市付近 Y1000 4,778 -1,971 80.0 0.0
首都高横羽線 Y3000 143,440 41.7
川崎市付近 Y1000 144,426 986 40.7 -1.0

なお、ミープランモデルの理論やメカニズム、及び経済効果の計算法は当ホームページの都市総合分析モデルの項/解説と費用対効果分析の実践、及び、
著書:「社会資本整備の費用効果分析法」東洋経済新報社、「よくわかる不動産・不良債権・PFIの投資分析」東洋経済新報社などをご覧ください)
3)社会的に関心が高まっている排気ガス量は6.4%〜9.7%減少する
CO2,NOx、PM(黒鉛等の微粒子状物質)総排出量については各々6.4%、9.7%、8.7%減少させる。
道路区間の速度と有毒排気ガス排出量の関係は環境庁作成のデータを使用した。(巻末に掲載した)
4)自然に車が湧いてくる・誘発交通
交通が便利になると自然に車が沸いてくるやっかいな誘発交通は今回のシナリオでは9160移動/日発生する。しかし直近の年次で見る限りアクアラインの利用増加は首都圏全体の車の平均移動距離を短縮し(=アクアラインを利用する車は従来よりも移動距離が20−30KM短くなる)、他の主要な道路の速度を向上させている。
5)その他の経済波及効果=土地利用への影響
通勤・買い物など人の移動のコスト、トラックなどの物流コストが低下し、地域間交流が活発化する。これによって土地利用の高度化や雇用数の増加、地域経済の活性化=税収増加が期待される。
値下げによって東京湾周辺の土地利用・産業雇用が変わると再び誘発交通は発生しよう。今後はさらに詳細な研究が望まれる。

 
3 効果一覧(効果は1日あたりを表示した)・・・フレームワーク一覧評価

分析結果は英国運輸省が採用している最新の「フレームワーク評価法」にならい一覧表で表示した。
項目 効果・損失など
経済効果
1) 燃料の節約効果 2190万円(参照表3)
2) 時間短縮の効果 8880万円(参照表4)

1)+2)=11070万円
1日あたり 11070万円(参考:年間約404億円)
環境への影響 / 排気ガス排出量の減少 (金銭換算しないで、固有の単位で表示した)
1) CO2(地球の温暖化や異常気象などの原因と懸念されている) 現状・・・・総排出量4,080Ton(年間1,489,200Ton
)
値下げ後・・総排出量3,818Ton(年間1,393,500Ton)

総排出量の減少262Ton(年間95,700Ton)(6.4%改善)
2) NOx(雨と混じり硝酸へ変化=酸性雨、健康などへの影響が懸念されている) 現状・・・・総排出量16,656Kg(年間6,079Ton)

値下げ後・・総排出量15,034Kg(年間5,487Ton)

総排出量の減少 1,622Kg(年間592Ton)(9.7%改善)
3) PM(Particulate Matter黒鉛等の微粒子状物質=喘息など呼吸器系疾病の原因と懸念されている) 現状・・・・総排出量1,989Kg(年間725Ton)

値下げ後・・総排出量1,815Kg(年間662Ton)

総排出量の減少 174Kg(年間63Ton)(8.7%改善)
4) その他、水質汚染、土壌汚染、振動、騒音、景観への影響 今回は調査しなかった

誘発交通の発生=OD総数、交通手段別の増減
乗用車・トラックの移動の増加・・・・・13,900トリップ
鉄道移動数の減少・・・・・・・・・・・・・・4,800トリップ
総OD=移動数の増加・・・・・・・・・・・・9,100トリップ
用地収用の見込み、進捗状況
用地収用は不要
実施時期 意思決定できれば、直ぐに実行可能
建設費などの費用(投資額) 建設費はゼロ。
料金の変更に伴う料金看板、道路標識変更などの費用、
ユーザーへのお知らせ広告費など・・・投資額は限りなく小さい
 
4 まとめ
今回の分析結果からもアクアラインを1000円程度に値下げする提案は京浜・京葉地域の交通渋滞解消・環境を大きく改善することができ、道路公団の減収を大きく上回る社会的な利益が発生することが分かった。
また、交通費・移動時間・移動距離の短縮効果は通勤や買い物など人の移動やトラックなど物流コストの低減となって地域産業・経済へ大きなプラス効果を与えよう。
同時に、人の健康や地球の持続可能な成長を損なっている排気ガスに含まれる有毒ガス量を大幅に減らし、
人々の暮らしの質(クオリテイ オブ ライフ)を高めよう。

このように関東圏の交通渋滞解消、土地利用への影響、地球規模の持続可能な成長(サステナブル・グロウス)の視点からもアクアラインを1000円程度へ値下げする提案は採用する妥当性が高いと判定される。

 



5.参考資料


1) 今回分析した道路区間地図と明細(延長距離178KM

分析路線の区間・・東京湾アクアラインとそれをとりまく主要10幹線道路区間のみ。その詳細は以下のとおり。
(別紙1・位置図参照・・・(1)京葉道路西側・市川IC〜宮野木J約16Km、A京葉道路東側・宮野木J〜千葉南IC約14Km、 B国道14号・秋葉原〜市川橋約14Km、C国道14号・市川橋〜千葉市役所前約22Km、D首都高速湾岸線・葛西IC〜湾岸市川約15Km 、(6)東関東自動車道の一部・湾岸市川IC〜宮野木J約15Km、(7)館山自動車道・千葉南IC〜木更津J25Km、 (8)国道16号線・千葉市役所前〜木更津約28Km、(9)首都高速湾岸線・浮島J〜葛西IC約17Km、(10)首都高速横羽線の一部・浮島J〜大黒埠頭約12Km)
位置図


今回分析した主要道路の位置図

2)速度と排気ガス排出量の関係式
平成6年に環境庁が作成したデータから作成





車種区分別の排出係数(平成6年)
CO2 単位:g/台・km
速度区分
km/h 小型乗用車 大型貨物車
4Km 687.757 1162.200
8Km 427.341 780.504
13Km 308.117 604.595
20Km 240.848 503.672
33Km 197.549 436.495
50Km 173.384 398.381
70Km 161.088 381.158
渋滞などで 速度が落ちると増加する
車種区分別の排出係数(平成6年)
NOX 単位:g/台・km
速度区分
km/h 小型乗用車 大型貨物車
4Km 0.749 10.521
8Km 0.463 6.903
13Km 0.323 5.199
20Km 0.251 4.178
33Km 0.209 3.389
50Km 0.199 2.947
70Km 0.236 2.654
車種区分別の排出係数
PM 単位:g/台・km
速度区分
km/h 小型乗用車 大型貨物車
4Km 0.049 1.125
8Km 0.030 0.777
13Km 0.021 0.615
20Km 0.016 0.521
33Km 0.015 0.463
50Km 0.016 0.443
70Km 0.021 0.457


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