
というわけで、コード進行の本編に入っていこうと思います。前回ダイアトニックコードの話をしましたが、実際のところ、そのなかでも特に大事なものが3つあります。前回話した、「トニック」のI、「サブドミナント」のIV、そして「ドミナント」のV。これら3つ…上のCメジャーキーで言えば、C、F、Gのコード…が、コード進行の基本を形作ります。極端なことを言ってしまえば、「コード進行」という物語はこの3人さえいればそれなりに話が進んでいくと言えます。
![]()
では、具体的にどう進めるかといいますと……、非常に簡単。I→IV→V、この順番で並べればいいんです。つまり、CメジャーキーならC→F→G、コレを延々と繰り返すだけなんですね〜、ハイ〜。で、VからまたIに戻って…というパターンで攻めていくと、こういうわけです。あれこれゴテゴテ並べる必要はないんです。
つまり、
→
→
(→
)という形。『Ainsel』物語の超序盤の主役3人ですね。それだけでいいんです。
つまり、ハ長調における、2小節、もしくは4小節(場合によっては8小節)の流れにおいて、
などのようなパターンにすることが出来ます。最初の2つはどんどん進んでいくタイプ、後ろの2つは立ち止らずに場面が変化するタイプであるといえるでしょう。
曲の「段落」に相当する部分の終わり方(言うなれば句読点、または起承転結の「結」)に相当するのが終止形(Cadence)なのですが、その終止形は3種類だけなので、ここで暗記してしまいましょう。
終止形のパターンは3つで、
また、トニックからはサブドミナント・ドミナントのどちらへも進むことができますので、これを用いると、3コードだけでも十分に曲が作れてしまうことになります。難しく考える必要は全くないのです。
ちなみに、Vはドミナント・セブンスにすればかなり積極的なアプローチになりますが、Vの三和音のままならスッキリした印象を与えることになります。ちなみに、このようなV→Iという終止形を「ドミナント・モーション」もしくは「トニックへの完全終止」といいます(その逆、I→Vという流れのことを「半終止」といいます)。
もちろん、単純には単純なりの良さがあるわけですし、またそのシンプルな響きが逆に力強さや心地よい響きになったりもします。が、やっぱりあんまり同じのばっかりだと飽きられますし、「何とかの一つ覚え」と思われてしまうので、ちょっとこのパターンにアレンジを加えてみましょう。
アレンジといっても難しいことはありません。要するにこのコードを並び替えればいいのですから。T→SD→Dは最も安定した形なのですが、それを敢えて崩すことで面白みを生み出そうってのがコンセプトです。
また、ちょっとだけ変なアレンジを施すと、こんなのもできます。
頭のIがいつも付くわけではありませんが、通常IVに進むIがVに進み、そしてVに進むはずのIVがIに向かうパターンです。このように、IVからIに進んでパターン終了という形のことを、「サブドミナント終止」、もしくは賛美歌に多く見られることから「アーメン終止」と呼びます。
このパターンの特長はV→Iのパターンほど強い進行ではなく、静かに一つのパターンをこなし、そしてさりげない形で次に入るという点です。曲の関係上、あまり強い響きを持たせたくない場合などに使うと効果的でしょう。なお、VからIVに進むときに必ず音楽的に切れます。その辺に注意してください。
ちなみに、このパターンをIから始めたもの(I・V→IV)は、「1/2の助走」のAメロ前半やサビ前半(Key:D)に使われています。
何も曲の頭はトニックでないと駄目ってことはありません。いきなり変なの(あんまり変なのだと引くけど…)から始めても一向に差し支えありません。特にサブドミナントから始めるこの進行は、物語で言えば一気に「起承転結」の承から始まるようなもので、その結果として音楽の世界に一気に引きずり込まれるかのような、そんな感じを受けます。
一度サブドミナント終止をやっておいて、そのあとでおもむろにV→Iという流れの、不思議なコード進行。静かな終わりの後の動きのある終わりで、曲自体にメリハリがつき、よりアクティブな響きになる形です。
ちなみに、I→IV→I→Vのパターンにおいては、たまに本来のトニック、及びサブドミナントの四和音形(Imaj7、及びIVmaj7)ではなく全てドミナント・セブンスの形(つまりI7→IV7→I7→V7)という形になることがあります。このようなコード進行はブルースや、それを受け継いだロック曲に見られるのですが、この話すると非常に厄介なのでここでは割愛します。
たかだか3つだけ並べて…だと思うなかれ、これらは全て響きが違っています。実際に自分でMIDI打ち込んだり楽器弾いてみたりして確認してみましょう。この辺の話は言葉で言うより耳で聞いたほうが早いですから。音楽理論に限れば、「百聞は一見に如かず」ではなく「百見は一聞に如かず」ですから。
![]()
通常3和音を使う、と書きましたが、実際は4和音を使わないわけではありません。要所要所で使っていけば、よりバリエーションが広がることになります。
I、IV、V、おのおのの4和音形は以下のとおりになり、これらを組み合わせたパターンが当然存在します。
| I | I (ストレートで分かりやすい) Imaj7 (大人っぽくて格好いい) I6 (華やかだけど寂しげ)) |
|---|---|
| IV | IV (ホンワカした感じ) IVmaj7 (ホンワカした感じに落ち着きが追加) IV6 (穏やかに響き渡る。暖かさ倍化) IV69 (派手さここに極まる。やりすぎ) |
| V | V (無理なく主役をサポート) V7 (ヒーローの如く颯爽と現れる超強力コード) [V6 (滅多に使わない)] |
これらの組み合わせ総数は20通りを越えますが、実際によく使うのはそのうちのせいぜい6通り程度に過ぎません。とはいえ、場面によってはその「滅多に使わない」側の進行が見事にマッチする場合もありますので、飽きてきたときに意表をつく目的で検討してみてもいいでしょうね。
![]()
意外かもしれませんが、本文中で紹介した「1/2の助走」をはじめ、TMの曲にもこれらのパターンが数多く見られます。私が知っている範囲で書き出してみれば…
<注>
| 曲名 | 箇所 | パターン (実際のコード進行) | キー |
|---|---|---|---|
| 1974 | イントロ前半・ (エンディング) | E|E/G♯|A|B (同じパターンがエンディングでは A|A|D|E) | E (A) |
| Aメロ | G|C・D|G・C|C・D・G | G | |
| Rainbow Rainbow | サビ | C・D|G|C・D|G | G (A♭) |
| Your Song | サビ・間奏 | B♭|E♭・F|B♭|E♭・F | B♭ |
| Dragon the Festival | サビ・Aメロ | B♭|E♭・F|B♭|E♭・F | B♭ |
| Passenger | イントロ後半・サビ | F|B♭・C|F|B♭・C | F |
| You can Dance | サビ | F・F/A|B♭・C|F・F/A|B♭・C | F |
| All-right All-night | サビ | A|D/F♯・E/G♯|A|D/F♯・E/G♯ A|D/F♯・E/G♯|Bm・C♯m|D・E (エンディングでは B♭|E♭/G・F/A|B♭|E♭/G・F/A B♭|E♭/G・F/A|Cm・Dm|E♭・F) | A (B♭) |
| Human System | サビ | G・A|D|G・A|D| | D |
| This Night | サビ | G・A|D|G・A|D| | D |
| Come on Everybody | Bメロ前半 | D・G|A7sus4・A7|D・G|A7sus4・A7| (A7sus4→A7でV7扱い) | D |
| Just One Victory | サビ | E・F♯|B|E・F♯|B| (4回目のサビからエンディングでは F・G|C|F・G|C) | B (C) |
| Still Love Her | イントロとAメロ・サビ | A|Dadd9・E|A|Dadd9・E| B♭|E♭add9・F|B♭|E♭add9・F | A (B♭) |
| Time to Count Down | サビ | D|G・A|D|G・A|D|G・A|D|G・A | D (E♭) |
| Wild Heaven | Aメロ | E|E|B/F♯|B/F♯ E/G♯|E/G♯・F♯/A♯|B|B| E|E・F♯/E|F♯/B・B|B E|E・F♯|F♯・B|F♯ | B |
とりあえずコード進行の超究極至高対決的基本パターンはコレにてお終い。次回は、その他のダイアトニックコード(IIm、IIIm、VIm)で味付けする方法を伝授しますよん♪