ここまでテンションノートについて学んできたわけですけれども、テンションノートが加わるとコード構成音が増えてごちゃごちゃして、場合によってはとても汚い音の固まりになってしまいます。そこで、一つの楽器で奏でるコード構成音を省略して減らし、他の楽器に受け渡して演奏する、ということがよくあります。
では、どの音が省略していい音なのかといいますと………まず、基本的なコードの構成音はルート、3度、5度、7度です。そして、その組み合わせ方によってコードの性格が決まってくるわけです。まとめると以下のようになります。
| 第5音 | 第5音:完全5度 | 第5音:増5度 | 第5音:減5度 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 第7音 | なし | 長7度 | 短7度 | なし (長7度) 短7度 | 短7度 | 減7度 | |
| 第3音※2 | 長3度 | ![]() 長三和音(基本形) 明るく素直 | ![]() 大人っぽく渋い響き | ![]() 他のコードに強く移りたがる | ![]() 怖い雰囲気※1 | - | - |
| 短3度 | ![]() 短三和音(基本形) 暗くて寂しげ | ![]() 悲痛な叫び声 | ![]() 穏やかで静か | - | ![]() 空虚な感じ | ![]() オバケ | |
| |||||||
コード別の性格を見てみると、長3度系のコードは明るい&アクティブ、短3度系のコードは暗く静かである、ということが出来ます。つまり、第3音はそのコードの基本的な性格を決める重要な音なのです。
そして第7音。基本的なコードにさらに独自の性格を盛り込み、コードの性格をより強く押し出していくという大事な役割を担っています。
ということはすなわち、コードの構成音で第3音と第7音は重要な役割を担っていて、省略することが出来ない、ということになります。
つまるところ、コードで省略できるのはルートと5度ということになります。「えっ、基準の音を省略できるの?!」と思うかもしれませんが、ルート音に関しては基本的にベースで補うことが出来ますし、たいていのコードは5度が完全5度なので(減5度・増5度の場合は省略できない)、5度を省略してもなんら差し支えがなかったりします。
![]()
9thのコードは通常ルートを省いてしまいます。テンションの全音下をなぜ省くかといいますと、テンションの9度のすぐ下でルートが鳴るともンのすごく不愉快な音になってしまうからです。これは全てのテンションノートと和音構成音の定跡なのですが、テンションのすぐ下で和音構成音が同じ楽器で鳴るとすさまじく汚い!! 試しにCadd9を低いほうからド・レ・ミ・ソの順番で鍵盤を押して同時に鳴らしてみてください。↓
ほぉら気持ち悪い!!
テンションノートを使う場合は、なるべくすぐ下のコード構成音から離して使うのがコツです。ですから、9thを使う場合は、ベースの低いところにルートを任してしまうのが吉です。
9thの理屈と同様、すぐ下に3度を置くとやはり汚くなってしまいますが、3度は省略できないので、その場合は3度を他の楽器に任すか、あるいは転回させて1オクターブ以上離してしまうのがいいでしょう。11th・13thの場合はすぐ上の完全5度と時にかち合うので(特に♯11thはまともに抵触)、その場合は完全5度を省略してしまうのが賢明です。マイナーセブンス・フラットファイブの場合は11thと減5度が半音でかち合ってしまいますから、どちらかをオクターブ上げるか下げるかしておきましょう。
![]()
長調編・第5講、第6講、第7講、及び短調編・第6講で触れたように 、音階構成音のすべてに(第7音を半音下げたり、第3音を半音上げる、場合によっては第3音と第5音を 半音上げることにより)ドミナントセブンスを生成することができます。これをセカンダリー・ ドミナントといいます。このことに関してはすでに何度も取り上げていますが、セカンダリー・ドミナントに関してもテンションを考えることができます。
基本的には通常のドミナントと同じく、様々なテンションを使うことができるのですが、ただやり過ぎるとかなり汚くなります。すべてのテンションが実用的かというとそうではないので、原則として通常のダイアトニックコードのテンションを用いるのが一般的です。(ただし、マイナー系コード由来のII7、III7、VI7、VII7、及び短調のそれらと同等のコードに関しては、11thが使えなくなるので注意。)