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Day-13''' Itermezzo

既に夜も更けたルルンの酒場を後にし、冒険者一行はそれぞれの行く先へと帰っていった。アンジェラの率いる一団も、「冒険者の宿」への道を歩みはじめる。真夜中ということもあって、昼は五月蝿いほどの人並みがあるリルガミンの町も、今はゴーストタウンのように人がなく、耳が痛くなるほどの静寂の中にある。
そんな中を歩く一団の靴音のうちのひとつが止まる。

「あの…すいません、先に帰ってもらえます?」
歩みを止めてそう言ったのはジュディだった。
「こんな夜中に、ですか? 危ないことは止めた方がいい。少なくとも、良いことなど何も無いはずです」
ヴァラールが至極まっとうな理屈を述べる。
「……すいません。どうしても、魔道に挑む前に会っておきたい人が、いるんです」
頑なな表情を浮かべ、頭を下げるジュディの様子に、アンジェラとジバリアが少々渋い顔をする。

「……別に、いいんじゃない? ジュディだって君主の端くれだし、
 危険な目に遭ったからといってむざむざやられるほど弱くないわけだし」
勝手にしろ、といわんばかりの口調でエリトアが促す。
「ふむ、ワシも同意するぞい。今度は今までになく危険じゃろうしな。
 その前に息抜きをしてもよかろうし、何よりジュディにも会いたい人の一人ぐらい、おっても不思議はなかろうのぅ?」
エリトアの傍に立つバリボーが、ひげをこすりつつ言う。
年長者二人があっさり認めたからには、ほかの3人も同意せざるを得ない。
「仕方ないわね。じゃ、明日から3日ほど、自由行動ってことにしましょう。
 その間に、やるべきことがある人は済ませておくこと。いい、ジュディ…?」
「ありがとうございます!」
さらに深く頭を下げ、ジュディは夜の通りをひた走る。眠る商店街を抜け、その一角へと進む。そして、ある店の前で止まる。そこは、夜中だというのにまだ明かりが灯っている。その明かりに照らされた扉には、こう書いてある:

* CAROL in the FOREST *

以前、見たときとかわらないたたずまいだ。その扉を、ジュディはゆっくりと押し開ける。中にいた人影がジュディを見やり、そして挨拶をする。
「いらっしゃいませ……いいえ、おかえりなさい、ジュディ」
「ご無沙汰しております、姉さん。ご機嫌いかがですか?」

 

 

Day-14' 慎重な第2パーティーの探索

「あっちは手が早いわね、いよいよ動き出したみたい。」
エレベーターの目の前にいたアンジェラが、メンバーに気合を入れるかのような勢いのある声で話した。
「さて……わしらじゃが、とにかく鍛錬あるのみ。
 おぬしら高レベルの者の足手まといにならぬよう、
 わしも気合を入れなおすかの。」
バリボーの一言に対し、ヴァラールが言葉を返す。
「バリボーさん、それは私たちも同じことです。
 まだまだ私たちも未熟、というところです。
 もう一度2階・3階の未探索エリアを確認して、
 その上でエレベーターも使えるようにしなければ
 話になりませんから。」
「そうね、あっちのパーティーに先を越されるのも
 何となくしっくり来ないし。がんばらないと。」
アンジェラが喝を入れると、一同表情が真剣になり、今度こそ無事に探索してみせる、という意気込みが感じられた。

所は変わって地下。相変わらず灯りの炎はゆらゆらと動き、それが一層の緊張感とパーティーの身震いを誘う。エバイストから聞いた通り、赤い玉の入手、タロスとの戦いがあり、いよいよエレベーターへと足がかかったところだが……ここでジバリアが、
「もう少し……この辺りで修行しませんか?
 私たちは呪文の数が足りないという弱点を…」
だが、エリトアがその言葉を遮る。
「そう思うのは当然かもしれないわね。
 でも、修行なら5階以降でやったほうが楽よ。
 少なくとも、エレベーターという武器を手に入れた以上、
 これを有効活用するのが一番いいわ。」
ジュディも同じ意見だったようで、
「レベルの格差、という点では私たちよりも、
 むしろあちらの悪パーティーのほうが酷いですし、
 4階までの探索はあちらに任せてもいいと思いますよ。」
と言葉を継ぎ足す。
「……なんだか怖いです……」
ジバリアが臆病そうにつぶやくが、そんなに弱いパーティーではないということは、メンバーのリーダー格であるアンジェラが一番よく知っている。従兄のジャーニーがそれを証明してくれている、というのもあるだろう。

そして、前のパーティーが降りたように、ついにエレベーターに差し掛かり、手順を踏んで地下に降り立とう……ということになり、早速地下5階へと足を運んだ一行であるが、5階の空気は4階までとは一味違う。異様な雰囲気なのだ。人間らしい人間がいなさそうな、そんな雰囲気を漂わせている。ここで生きていける人間はよほど精神力が強いか、浅ましいことを考えている連中か、それぐらいしかありえない、と察することが出来る。もちろんエレベーターは8,11,14,17のボタンが作動しないため、5階で降りるしかない。
5階のモンスターといっても、ご大層な連中はあまり襲ってこない。エリトアとヴァラールのおかげで先頭はずいぶん楽に進み、あっさりと地下6階への階段を見つけ出すことに成功した。

 一向は前のパーティーが行った手順と同じように、地下6階へと足を伸ばした。
 そこへ、早速の洗礼がやってきた。

5(5) Shades
3(3) Dragon Puppies
6(6) Necromancers

 ジュディは前列に走り出し愛用の剣を鞘から滑らせながら思考をめぐらせた、この場合ディスペルの有効なシェイドは放置し、ブレスの厄介な仔竜を狙うべきだ。射線上に存在していた一匹のシェイドは左手の鉄の大盾で思いっきりシールドバッシュしてはじきとばす。骨の無いようなぐにゃりとした感触が気持ち悪い。
 ネクロマンサーたちはもともとの計画では呪文で前衛を牽制するつもりだったろうが、最初の第一撃を撃とうと前に出た一人が術を放つ隙もなしに胸にエルトアの魔法をぶち当てられて人間松明にされるのを見てしまってはおびえが先にたって攻撃どころではなくなっていた。

 その間にジバリアは猫人の脚力、跳躍力でシェイドのZOCを無視してするすると先に進み竜とエンゲージしていた。
 仔竜とは言え、竜は竜。すでに普通の人間成人男性の二倍ほど、ただしそれは背丈がという意味合いで。その前にいるジバリアはいつにも増して小柄で、見ようによっては頼りなくも見えた。
「GRuuuuuu……」
 竜は、威嚇音を上げながら首をもたげ、シルエットの丈はさらに高くなり、LOMILWAの灯りでも届かない高みから目だけがらんらんと輝く。そしてこの動作がブレスの準備でもあることは冒険者ならば当然知っている知識である。
 当然ジバリアもそのことは重々承知、竜が折りたたんだ首を伸ばしはじめるのと同時にゆっくりと腰をおろし中腰に構え、ふくらはぎ(この表現は解剖学的見地で言えば正しくはない。人間で言えばかかとから土踏まずに相当するのだ。しかし、この際どうでも良いことである。)の筋肉にの流れを集約する。そして、竜の顎の筋肉がぴくり、動くのを感知するや筋肉バネと先ほどのの力でもって大きな跳躍を行う。
 天井に届くほど跳びあがりながら空中で三回半回転すると、落下にあわせてかかと落としを竜の眉間に叩き込む。その衝撃で瘴気を吐くべく開かれた竜の顎は閉じられてしまい、ブレスは変な風に拡散して護衛のシェイドを直撃することとなった。
 しかし、ジバリアの攻撃はここで止まらない。竜の目の下の出っ張りに足を下ろすと、額に怒涛の連打を叩き込む。いくら、竜の頭蓋が厚いとはいえこれだけの攻撃をもらっては悪くて即死、良くても脳震盪で朦朧として戦力としてはカウントされないだろう。

 その間にジュディも、もう一匹の竜の前に到達。燐光を反射して冷血動物の巨体がヌラリと輝く。
 大っきな足は大きくなるあかしというそうだが、そんなことその足に踏み潰されそうになっている時には意味が無いものである。
 しかし、こちらも冒険者である。足を上げて下ろす間に足と胴の間に入り込み踏み付けを交わすと同時に装甲の薄い腹側へ入り込み、最後の一歩で迷宮の湿っぽい床を踏みしめると同時に剣を閃かせざっくりと振り上げる。
 さすが名にしおうダマスカス鋼。優美に曲がった細身の刀身がバターのように竜の腹を割いて行く。竜の痛みと憤怒、驚愕がない交ぜになった怒号が響くがアドレナリンで鈍くなった(もしくは、戦闘に最適化されて不要な情報をシャットアウトした)ジュディの耳には届かない。
 しかし攻撃はここで終らずそこから振り上げた剣とそれに添えた腕を反すと、ずばり切り下ろしながら引き抜く。
 竜の叫びが断末魔にかわり、ぶしゅうぅとケミカルな刺激臭――いわゆる“ブレス袋”を切ってしまったのだろう。しかし濃縮して吐き出されない限りさほど危険ではない。――つづいて内臓からの腐臭に、そしてなによりドラゴンの血の臭い、ヒューマノイドよりずっと濃いそれが広がる。
 しかしジュディは標的の死を確認する暇もなしに、返す刀を振るう。竜の影に隠れて忍び寄らんとしていたシェイドに気付き、振り払ったのだがいかんせん先ほどの竜退治で力を消耗しすぎたかぬるりとした表皮でとまり、シェイドの肉(もっとも、あの化け物に肉があるかどうかといった博物学的な問題についてジュディは皆目知らなかったし、そもそも知りたいとさえ思ったこともなかったな)を貫くことは叶わなかった。

 これはしくじったか?と思ったジュディが次に感じたのは、ネガティブエナジーのおぞ気ではなく清清しく暖かな風であった。視線を返すと残りのシェイドが霧散して行くのが見える。ラウルフがまだ光をまとった手をかざしたままでぎこちなく口角を上げる――おそらく微笑んでいるつもりなのだろう――。ヴァラールのディスペルだ。

 ようやく余裕のできたジュディが残りの竜に視線をめぐらせると、足元をちょこまかとしながら斧を叩き込むドワーフと、後方援護のレンジャーからの矢を喰らって地味に力尽きるところだった。こうなればこれで勝利は決まったようなものだ。

 前衛をやられて浮き足立つネクロマンサーたちは早くも及び腰になって、いつ逃げ出すかを思案している風だったが、ジュディたちが追い込みをかけるまでもなくエリトアの呪文で半分が焼肉になる。MAHALITO《大なる炎》だ。生き残りも完全に戦意喪失して闘争を試みる。この際、重石になるばかりの杖や魔道書・宝箱は邪魔なだけ、手放して逃げ出そうとするが、魔法系職業の悲しさすぐに追いつかれて経験値に変換されることになった。合掌。

「本気で注意してかからないと、命の保障はありませんね。」
ジュディが血をふき取った剣を鞘に収めると、そうつぶやく。とはいえ、今回の戦いの功労者は彼女よりもむしろジバリアだろう。子どものドラゴンとはいえ強敵であることに違いはない。それを己の拳一つで地に沈めたというのは驚嘆に値する。相変わらずおどおどしているが、それでもジバリアには自信がついたはずだろう。
「いけませんね、ドレイン持ちの敵とは……。
 ここからは油断していると、強くなるより先に
 逆に生命力を吸われてしまいますので、
 不死のモンスターが放つ瘴気には十分お気を付けを。」
「確かにヴァラール殿が心配するのもわかるぞ。
 もっとも、僧侶呪文の使い手が多いわしらの前には
 やつらもかすんで見えるがの、わっはっは!!」
「…って言ってるけど、ディスペルがようやく使えるようになった
 バリボーさんがいってもあまり説得力がない気が…。」
「む、そ、それはそうだが……」
バリボーにエリトアがちょっと意地悪く突っ込んでいる姿を見て、アンジェラはこの一連の冒険はきっと大丈夫だろう、そう確信していた。
皆の結束力が高まっている…。

外周を一回りした一行は、北東のエリアを探索し始めた。それはマックスたちの探索しているエリアとは対角に相当するエリアである。エレベーターからは最も遠いエリアだが、逆に遠いところに重要な施設があるもので、中に入ると、まるで何かの研究が行われているかのように薬品がずらりと並んでいる。
「…何かしら?」
アンジェラが手にとって見ると、よくわからない記号のようなものでラベリングされており、何が何やらサッパリ分からない。ある程度薬品知識を持っているアンジェラですらこれだ、他のメンバーは全くわからない。だが、奥の扉を調べたエリトアが言う。
「ここから先に行くには、どうやらその薬品をいじるしかなさそうね。
 試しに鍵開けしてみたけれども……無理だわ。
 元々鍵があったんだろうけれども、錆びちゃっているし
 その薬で溶かすしかなさそうね。」
「溶かすって……どれがどれだかサッパリわからないし…」
「匂いで判断するとかはどうでしょうか?」
「匂いって言われても、ねぇ……この面子で一番鼻が利きそうなのは…
 ヴァラールさん!!!
アンジェラとジバリアとエリトアの一連の相談の結果、不運にも匂いをかぐ羽目になってしまったヴァラールは困惑を隠せない。
「に、匂いって……私は薬品知識にはそんなに明るくありませんし…」
「その匂いの違いさえわかればいいのよ。
 どんな匂いかかいで、そのタイプを分析してもらえば
 それでいいの。大丈夫、判定は私がするから。」
「……仕方がありませんね……。
 ただ、私の鼻は一度曲がると元に戻るまで
 相当時間が……」
「そのあたりはこれ、鼻洗浄用の水で。」
「ま、待ってください、それでは拷問ではありませんか?!?!」
「とにかく、やって頂戴、ヴァラールさん。
 帰ったらおいしいご馳走おごるから。」
「……やれやれ…仕方ありませんね…約束ですよ。」

「うわっ、タマネギの腐ったような匂い!!」
「ひえっ、小便の匂い!!」
「何ですかこれは! 鼻を突くような…」
「げほっ?! こ、これはのどに来る……」
「茶色いガスなんて明らかに毒じゃありませんか!!」

ヴァラールが散々死ぬかもしれないと思って匂いを判別し、ようやく使う薬品が決まった。金属の判断はアンジェラが行った結果、どうやら鉛らしいという結論に至り、使用する薬品はΗΧλと書かれたものになった。
「こ、このあとはちょっと戦闘は勘弁させてください……」
哀願するような目でヴァラールが言うが、そんなのは全く耳に入っているはずもなく、淡々と鍵穴に液体が注がれていく。シューッ、という音を立てて煙が広がり、徐々に鍵穴がきれいになっていき、白い粉を残して溶けてなくなっていく。全て溶けると、奥に何かあるのが見えてくる。どうやら敵の集団らしい。慎重にドアを開け、戦闘に突入する!

1 The Guardian (1)
4 Conjulers (4)
4 LVL 4 Fighters(4)

「ぬぅっ、小癪な!!」
ガーディアンの重みのある一撃をその身に受けたバリボー。歳には勝てないのか、やや押され気味である。そこにカンジャラーたちのMELITOが襲い掛かってくるのだからたまったものではない。先ほどまで散々試し嗅ぎをさせられたヴァラールは半分意識が飛んでいるので、仕返しにMAHALITOというわけにはいかないらしい。代わりにエリトアのMOLITOが炸裂する。幸いなことにこれで十分な威力を発揮したらしく、ガーディアン以外はこれで倒せたようだ。
 ところがそのガーディアンが問題で、ジュディやジバリアの攻撃すらなかなか通じない。少しずつ鎧を削ってはいるのだが、肝心の肉体にダメージを与えることができないのだ。
「…ぬぅぅん!!!」
ついにバリボーがその怪力を前に出してガーディアンを一本背負いで壁に叩きつけた。さすがにこれではガーディアンもなんともしがたくなってくる。そこにジバリアの鋭いパンチがヒットし、とうとうガーディアンの鎧と兜を叩き壊した!!
「あ、あなた……ライネスさん?!」
その表情は驚くべきことにヒューマたちのパーティーにいたライネスそのものだった。
「ライネス? そんなやつは知らんな。
 それより、油断してると怪我するぜ……」
そういうと、ライネスそっくりのガーディアンはジバリアにボディブローを一発お見舞いしようとしたが…
「お若いの、まだ戦士としては甘い。」
バリボーがその斧をしっかりと防いでいた。
「ちっ……こんなはずでは……」
そういうと、ガーディアンは倒れていった。もう、見ることも、聞くことも、話すことも動くこともできない。
「……ということは、ライネスさんってこのガーディアンの
 コピー、っていうことになるのかしらね?
 確か何か特殊な方法で呼び出したらしいから…」
「そんなところじゃないかしら?
 まあ、いずれにしてもこちらのパーティーは
 順風満帆のようだしね。」
アンジェラとエリトアが状況を話し合っている中、やっとマトモになったヴァラールが思わぬものを発見した。
「何ですかね、この鍵…?」
そういうと、彼の手には青銅でできた鍵が握られていた。どうやらさっきの連中が持っていたものらしい。
「ふーん、どこで使うのかわかりませんけれども、
 取っておいて損はなさそうですね。」
ジバリアの言葉に一同同意したのか、一行は地下5階空、新たに見つけた地下6階への階段を下り、6階の探索を始めた。
 細かい部屋を往復しているうちに、一行はあることに気が付いた。点在する足跡だ。この足跡は間違いなくマックスたちだ。しかもこのあたりでは魔法を使った形跡が全くない。つまり、ここがいわゆる「魔法の効かない空間」だということがわかる。しらみつぶしに5階・6階を探索し終わってはいても、ここだけは入るべきではないということに気づいた一行は、今後どうするかを話し合うことにし、いったん地上に引き返すことにした。

「何にも収穫ありませんでしたねぇ……」
疲れきったジバリアがテーブルの上に突っ伏してつぶやいた。
「確かに疲れただけね……7階への階段は見つけたけど。
 あっちのパーティーに遅れは取りたくないわね。」
「またそんなに敵視して……いけませんよ、
 私たちはあの方たちのおかげでこうして助かっているのですから。」
アンジェラの意地の悪い言葉を、ジュディが諭す。
(ずいぶん大人っぽくなって……いい感じじゃない?)
エリトアが思っていることは誰にも伝わってない。ジュディがずいぶんロードとしての自覚を持ち始めていることに好感を示したエリトアだが、やはりまだ未熟な面は否定できない。それでも、アレだけ落ち込んでた人間がこうも変われるというのはどうしたものだろうか。
「そういえばヴァラール殿にご馳走する件は……?」
「あ……」
ヴァラールを実験台にしたアンジェラたち女性軍(ジュディを除く)は思いっきり忘れていたようで、あわてて自分の財布の中をのぞく始末。酷い話である。
「本当に勘弁してくださいよ……もうこりごりです。」
ヴァラールでなくてもそう言いたくなるようなことをされたのだから仕方がないところ。覚悟を決めて、女性軍全員が高級料理を全額支払うことになった(今度はジュディも支払いに参加)。

「とりあえずマップを書かないと話にならないわね。」
改めてエリトアがマップを広げ、5階・6階がどうなっているかを確認する。とてつもなく広いエリアをよく歩き回ったものだ、と改めて自分たちがやってきたことに感嘆する一行だったが、そうしてばかりもいられない。次の行き先はどこにするかまだ決まっていないのだ。

 夜まで会議は続く……。