スノーボードの手引

道具編 ボードの詳細

手引のページは初心者対象にまとめましたが、本ページは滑走経験者でないと理解できない内容もあることを御了承願います。

1.寸法の名称

 寸法はボードを選ぶ際の最も重要な要素です。 図1.1に寸法図を示します。LやBsなどの量記号は、図示のため作成者がつけました。

図1.1ボード寸法図
図1.1 ボード寸法図

全長L ボードの長さ
ボードの長さは、自分の身長を基準に決めます。一般に、自分とボードを並べて、ボードの先端がアゴから鼻の間に位置するものを選ぶという説があり、標準体型の方や初心者の方は目安にすると良いでしょう。

スタンス幅Bs 足を開いた幅、またはバインディング間の長さ
自分の身長と共に、ボードの長さを決める目安になります。設定を変えると、ボードの剛性の利き方に影響します。

ウエスト幅Bw ボードの幅、または最もくびれた部分の幅
アルペンボードの幅は高速での切り返し動作に対応するため、フリースタイルボードより細く設計されています。

サイドカーブ半径Rs 側部くびれの大きさを示す円弧半径
サイドカット半径とも言い、主にターン動作に影響します。サイドカーブ半径が小さいボードは、ターン性能が良く、比較的容易に回れます。逆に大きいボードは、雪面への食いつきが弱いので、積極的な荷重と高い滑走技術が必要となります。

有効エッジ長Le カーブ時に、エッジが雪面に接している長さ
滑走時、特にターン動作の時に、エッジが雪面に接している長さを言います。滑走スタイルが確立している上級者は、自分に合ったエッジ角度や有効エッジ長に調整します。図1.1では、便宜上赤い線で表しました。

ランニング長Lr 滑走時、雪面に接しているソールの長手方向の長さ
ノーズ(長)Ln 軸足のバインディングから先端まで、またはその長さ
テール(長)Lt 利き足のバインディングから先端まで、またはその長さ
ノーズ幅Bn ノーズの最大幅
テール幅Bt テールの最大幅


2.ソール(滑走面)

エッジ
 エッジはソールの両端にある金属製の部分です。「エッジを効かす」と言うほど、ボードを操作するための要の部分です。図2.1にボードの断面を示します。
 金属製のため錆びが発生しますので、こまめに錆びを落としましょう。しかし、錆びを落とすことは単なるお手入れ程度の事ですので、角度調整が必要です。工場出荷時はそのほとんどがソール側から90度の角度で削られています。技術や滑走スタイルにより調整方法は異なりますが、基本的にはノーズ,テール両方の3〜7cmをサンドペーパーで丸めます。
 エッジの性能はボードの操作性だけでなく、安全性も左右するので、初心者の方にも調整をすることをおすすめします。

図2.1 ボードの断面

図2.1 ボードの断面

コンケーブとコンベックス
 ソール(滑走面)の状態には、凹状に湾曲している“コンケーブ”と、凸状に湾曲している“コンベックス”があり、図2.1に示します。尚、分かりやすいようデフォルメをしました。本来ソールは平坦なのが普通ですが、工場出荷時はコンケーブかコンベックスのいずれかの状態になっており、メーカーやロットなどにより微妙に違うと言われます。
 ソールは滑走や酸化によって傷みます。細かい傷や凹凸を無くしソールを平坦にする作業がチューンナップです。チューンナップには特殊な技能を必要とするので、プロに任せるのが無難です。アルペンや、フリーなどの滑走スタイルによって意図的にコンケーブ,コンベックスの状態に加工することもあるそうですが、職業ボーダーで無い限り必要はないでしょう。


3.基本特性

曲げ剛性(フレックス),ねじり剛性(トーション)
・剛性について
 道具編の「必要なもの」では、剛性を“硬さ”と記述しましたが、正確にはボードを曲げたりねじったりした時の、“反発する力”を言います。“強い,弱い”という表現が正しいのでしょうが、“硬い,軟らかい”でも良いと思います。
 選定時は、ボード全体の剛性と共に、ノーズやテールなど部分的な剛性も確認しましょう。
・剛性がおよぼす影響
 滑走時、曲げとねじりの片方が単独で発生する事は少ないので、本ページではフレックス,トーションをまとめて“剛性”と呼びます。剛性が強い(硬い)場合の影響例を表2.1に示します。強さに絶対的な基準を決められませんので、自分のボードを基準(0)としてください。剛性が弱い(軟らかい)場合は単純に逆と考えて良いでしょう。

表2.1 剛性が強い場合の影響例
滑走状態 剛性が働く部分 影響
ターン開始 ノーズ ターンのきっかけがつかみにくい
回転 主にボード中央 強い荷重が必要(但し、サイドカーブ半径も影響する)
ターン後半 テール ドリフトしにくい
高速滑走 ボード全体 ブレにくく、安定感がある

・ほどほどの硬さ
 自分のボードを基準にするよう述べましたが、例えばノーズ部剛性が極端に弱い板に乗っている方が、ターン開始のきっかけがつかみづらいのでさらに軟らかい板にすればいいと言う訳ではありません。具体性に欠ける表現で恐縮ですが、剛性にも“ほどほど”があり、その一線を発見するのが重要だと思います。

重量
・絶対重量と体感重量
 ボードの重量には絶対重量と体感重量の2種類があります。絶対重量は、単純にボードの重さを言い、重力のみで決まります。体感重量は名前の通りボーダーが滑走時に体で感じる重さの事で、ボード自体の重量配分と、遠心力,慣性,斜面の状況などで変化します。体感重量はフリースタイルでは回転動作時、アルペンでは高速滑走時の安定性を左右します。しかし、体感重量を正確に算出するのは難しいので、個人の好みで基準を決め良否判定するしかありません。物理の得意な方は模擬計算をしてみても面白いでしょう。
・アルペンボードと重量
 アルペンボードは高速での安定性を確保するため、同じ長さのフリースタイルボードより重い傾向があります。逆にフリースタイルボードは軽量化が重視され、その技術には感心します。
 極端に大きかったり小さかったりするボードを選ばない限り、ボードの重さはあまり気にする必要は無いと思います。体格に合ったボードなら、重量の誤差は技術と筋力で補えます。


  

4.ボード選びの指針

寸法の計算
 身長を基に、ボード全長とスタンス幅を求める算出フォームです。サンプルが少ないため、おおまかな計算ですので、目安の一つ程度としてください。

身長を入力する欄 cm  

計算結果
身長に合ったボードの長さは cm 〜 cmの間です
身長に合ったスタンス幅は cm 〜 cmの間です

確認する項目
 カタログデータや現物で確認をしておくと良い項目を挙げました。初めて買うボードは、特に難しく選ぶ必要はないと思います。
 ・全長
  アゴから鼻の間までの長さで決めて良いでしょう。
 ・サイドカーブ半径
  同じ長さのボードでも種類によって値が異なります。初心者には小さいものが良いでしょう。
 ・剛性
  現物で確かめます。初心者向けは弱めのものです。


5.まとめ

 以上、ボードについて少し詳しく述べましたが、ボーダー自身の体力,筋力,運動能力などにより選び方は複雑に変わってきます。逆に、スキルアップのために、あえて扱いにくいボードを選ぶという方法もあります。
 初めてのボードを選ぶ時は、ブランドや意匠だけで決めて良いでしょう。滑走経験を積んだら、カービングやトリック等の“自分のやりたい事”や高速での安定感等、“今乗っているボードに足りない事”を明確にすれば理想のボードが見つけられると思います。


お願い

このページは独学で作成しましたので、信頼性に乏しいかと思いますが、何卒お許し下さい。ショップオーナーの方や、メーカーR&D部門の方からのご意見,ご指導を頂けたら大変嬉しく思います。

初版:2000年11月10日


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