家庭裁判所調査官の仕事

TOPページに戻る

 大きく分けて,「少年事件」「家事事件」「その他の実務」があります。


(お断り)
  それぞれ一言で言えるほどに簡単な仕事ではありませんので,以下はあくまでも「概略」に過ぎないことはご了解ください。

1 少年事件

少年法の規定によって,家庭裁判所で審理を受けることになる事案を「少年事件」と言い習わしております。「少年」という言葉は,少年法に定義された用語ですので,男女を問わずに使われます。
(もう少し詳しい少年の定義は
こちらです)

(1) 調査実務

 家庭裁判所調査官は,送致された事件について非行事実が認定された後,その少年の問題点を探したり,少年の立ち直りなどに最も適した処遇を選択して,最終的に少年の処分を判断する裁判官の判断の元となる資料(少年調査票)を作成します。調査票の作成にあたっては,少年や保護者,そして周囲の人間関係を把握できるような参考となる人々に直接会ったり,書面で照会をするなど,様々な活動をいたします。 これが「調査」で,少年事件を担当する家庭裁判所調査官の最も大きな部分を占める仕事になります。

(なお,老婆心ながら書き加えますが,上に書きましたとおり,調査官の仕事は「非行事実」が確定してから本番となります。事実認定が出来ない事件や,事実に争いのある事件などでは「事実を確定する手続き」には調査官の出る幕はありません。)

(2) 試験観察

 少年審判は,そのほとんどが最終的な結果を少年に伝えて(告知)終了します。その中で,少年法25条の決定をしますと,少年たちは処分が保留されたまま,一旦審理を終えることになります。これを試験観察決定と言い,言ってみれば「何もしない宙ぶらりん」の状態に少年たちをわざと置くわけです。
現在はおおむね3ヶ月ほどを区切り,その中で家庭裁判所に定期的に通わせるなどしながら,少年たちの生活態度を見きわめてまいります。その分,面接の回数もグンと増えますので,調査官としても腰を落ち着けて少年の状況把握をすることが可能となります。
多くの場合,3ヶ月の後半で審判の期日が伝えられ,そこまでの状況を調査官が「試験観察経過報告書」にまとめて裁判官が終局決定を出すことになります。

(3) 講習指導

 処分前後に,家庭裁判所調査官が講師となって,数人から数十人の少年を集め,直接指導を行うものです。多くは交通事件(交通違反の事件を起こした少年の事件のこと)の手続きの中で裁判所での講義形式で行われますが,ボランティア講習や一泊研修(合宿講習)といった形で実施されたり,シンナー(毒劇法違反少年)や覚せい剤に関する講習なども行われています。

一番上に戻る


2 家事事件

家事審判法に規定された,家庭裁判所に申し立てのあった事件を「家事事件」と言います。少年事件とは異なり,適用される法例も種々雑多で,時には日本の法律ではない外国の法令を利用しなければならないこともあります。


(1) 事実の調査

 家事事件においては,調停や審判に必要な事実の調査を家庭裁判所調査官が主に行なうことになっています。例えば,離婚調停では夫婦の歴史を,児童福祉法28条事件(その多くが児童虐待です)では子供たちの苦しみの経過を,就籍事件では戸籍のない人のわずかな記憶を…といった当事者への面接や,あらゆる場所への照会などを駆使して掘り起こしていきます。これらの活動を通じて現れた事実によって,家事審判官や調停委員会は審理を進行し,当事者に解決策を投げかけてまいります。

(2) 期日出席

 家事事件の内,対立する当事者がいる事案では,その多くがまず話し合いによって進行いたします。これが調停ですが,家庭裁判所調査官も調停の場に出席するように命令が出されることがあります。事実の調査と違い,調停の場に直接加わって調停委員さんに助言したり当事者に直接働きかけることで,調停の流れをスムーズにすることが主な目的となります。出席した後は期日出席報告書を出しますが,さほど長いものは求められず,現場での活動がそのまま結果へとつながるダイナミックな仕事です。

(3) 経済調査

 (1)で説明しました調査の中に,あまり人間関係とは関係のない目的をもったものがあります。その一つが経済調査,すなわち当事者の経済面に焦点を当てて事実を調査するものです。経済調査を受命した調査官は各当事者から家計収支の報告やら,課税証明書などの書類を提出してもらい,主に電卓と鉛筆?を駆使して慰謝料や相続財産と言ったもの達の計算をいたします。これも家庭裁判所調査官の事実の調査になります。(なお,婚姻費用や養育費に関しては,最近一定の収入に関する資料があれば,総合的に算出が可能な「養育費・婚姻費用算定表」が作られ,裁判所だけでなく,一般の方も手に入れられるようになりました。ご参考までに)

(4) 履行確保

 これも(3)同様,人間関係からはやや離れた調査となるものです。調停にせよ,審判にせよ,何らかの理由で当事者間の金銭のやりとりなどを約束しながら,実現させない,簡単に申せば「約束を守らない人に守らせる」ための活動です。夜討ち朝駆けとまでは言いませんが,ある程度腰を落ち着けて対応しまして,義務者から何らかの言い訳や,約束の履行を引き出します。喧嘩腰で来られることも少なくない,家庭裁判所調査官の大変な役割の一つです。


(5) 後見監督

 これも(3)と同じく,事実の調査とは質が違うものです。今,世間でも話題になっているのでお聞きになったこともあるかと思いますが,成年後見制度と言う家庭裁判所の仕事があります。この中で,社会的な能力に支障の生じた人に変わってそれらを行う「後見人など」と呼ばれる当事者の方々の活動を監督し,時には解任を進言したり,注意を促したりする活動が主なものです。とかく財産,お金の問題は苦手な家庭裁判所調査官,なかなかに難しい仕事の一つです。

ページの先頭に戻る


 3 その他の実務

ここまでにあげて参りましたものは,言ってみれば家庭裁判所調査官の表舞台での活動です。と言うわけで,当然これらとは質のすっかり違う,家裁実務の裏方を支える場所にも調査官は配置されています。そのいくつかをご説明しましょう。


(1) 庶務事務

 これもすべての家庭裁判所でしているものではありません。いわゆる「裁判所を動かすための事務」の一部を家庭裁判所調査官が官職はそのままで担っているものです。庁によっては実際の調査官実務の部分を極端に少なくし,他の実務を行う調査官が実務に全力投球できるように環境を整えることを職務の中心とさせることもあります。企画事務や,外部機関との折衝などなど,地味ではありますが,その効果は調査官全体に及ぶ大事なものです。

(2) 事務官実務

 (1)が家庭裁判所自体の事務を担当するのに対し,かなり以前から最高裁判所や高等裁判所にも家庭裁判所調査官が配置されるようになっています。この場合,官職は一旦「裁判所事務官」となり,調査官としての実務には全く携わらなくなります。他職種の中にいて,調査官のことを良く知る者として,調査官世界の底上げを図るという,まさしく「縁の下の力持ち」と言う仕事です。

(3) 裁判所職員総合研修所教官

 皆さんが合格なさり,晴れて調査官補として採用されますと,各地の採用庁に所属しつつ,2年間は研修所の研修生として実務能力の向上を図るわけですが,その研修所の教官も大部分は実務を離れて皆さんのお相手をする職務を遂行する家庭裁判所調査官なのです。(大部分と申し上げたのは,裁判官の教官もいるからです)教官のみなさんは,実務での経験や研究の成果を生かし,研修生や研修所で研究を行う実務研究員の皆さんの力が今以上につくよう,優しくも厳しい指導をしてくれることでしょう。

※以上の3つは,家庭裁判所調査官になる時にこう言った場所への勤務を選べるものではなく,定期的な異動によって配置がなされます。

先頭に戻る

最初のページに戻る