氷上杉の家(
S邸)-WORKS  
                                   
                                   □

                                   □  YOKOTA  ARCHITECT  OFFICE
□建物概要
・所在地:神戸市灘区
・用途:住宅
・敷地面積:127.86u(38.67坪)
・規模:延床面積116.45u(35.22坪)
・構造:木造2階建
                                     
・完成:2004年12月(着工から約5ヶ月)                       
家はどんな素材でも建てられると思いますが、自然素材を使うとなればある覚悟が必要になります。
人と同じように木も生きている素材です。傷もつけば、乾燥によって隙間があくこともあります。
少し肩の力を抜きながら、気にしすぎず、大らかな気持ちで木とつきあっていただければと思います。
長く住む事を考えると木や土、紙など、人と一緒に呼吸する自然素材に囲まれた家は何よりもほっとします。
また、古くなるとなんともいえない風情や味わいが出てきます。
人が家を育て、家が人を育てる。家族みんなが幸せになる。そんな家になる事を期待しています。

□consept

・自然素材で気持ちのいい家をつくる。
・自然と家族が集まってくるようなリビングをつくる

・自然光が十分に入る空間をつくる。  
・敷地が持っている魅力を活かす。
・風通しのいい家をつくる。
            
      
■外観           ■内部階段        ■和室(障子を閉めた様子)        ■和室(障子を開けたところ
2004/12/15
完成しました
光は影があって生きる。空間の奥に光をとると暗い部分と明るい部分の全体がその美しい表情を醸し出してくれます。
和室と中庭が連続し、見上げると六甲山が四季折々の表情で楽しませてくれます。又、寝転んだとき爽やかな風が感じられるように
窓を低くし、茶室の要素も取り入れています。障子は土佐和紙。畳は九州産で下地はダニがつきにくい炭化コルクを採用しました。
外装は有孔折板として自然光を複雑に透過・拡散させる素材とし、光と影の効果が工業的素材の質感と干渉し、ランドスケープと建築が
境界なく連続する新たな風景を形成しています。
      
■玄関への通路       ■内部階段           ■2階のリビング        ■2階のリビング
□玄関までのアプローチ
玄関は人を暖かく迎える場所、前面道路から可能な限り距離をとり、屋外カーポートからの動線もスムーズにして
います。
は枕木と枕木の間に土を入れ、野草を植えて気持ちのいい空間を意図しています。

□内部階段

玄関を入ると、まず吹き抜けの階段が目に入ります。気持ちのいい木の息遣いが伝わり、広がりのあるリビングへと通されるまでに、
どのような空間が迎えてくれるのか心が弾みます。上部に天窓があるので明るい空間になっています。


□リビング
2階は間仕切りを最小限に抑え、リビングは家族の団欒の場所としてオープンな空間に仕立てています。
冷暖房は効率を考え、建具で調整する事を考えています。自然素材に囲まれたリビングは古美ていく事を期待しています。

      
■2階のデッキ      ■外観           ■無垢材の野地板             ■登り梁
□デッキ
デッキは1階に光と風を確保する為に床用のグレーチングを採用しています。

□外観の様子
台風に備え、足場用のシートを巻きつけています。
建物の表情が確認できます。

□製材所に行く
2004/10/14(木)
玄関の式台を選ぶ為、兵庫県氷上郡の製材所(オギモクさん)まで行ってきました。
たくさんの材料から耳付きのいいと思う物を選べました。現場に設置されるのが楽しみです。
車でわざわざ付き合ってくれた山本社長様に感謝。


   
模型を作る
いろんな角度から建物を見たり見られたりの関係や日照や通風などのチェックをする為に模型をつくります。
部屋を暗くして模型屋根の天窓から小型の懐中電灯で照らし2階吹き抜けから1階の玄関ホールに光が届く事などを
確認しています。これらは隣に建物が建った時の事を考えての事です。
   
■模型:南西面         ■模型:鳥瞰          ■模型:南面         ■模型:西面

工事の様子
                         
■外壁の下地    ■内部の様子            ■屋根の断熱材          ■音楽室の防音工事

2004/9/8(水)〜10/14
□外壁の下地を施工中です。                    
今年は台風が多いので大工さんは養生が大変です。                      
外壁は通気工法にして断熱効果を高めています。

□屋根の断熱材です。                            
夏は屋根の下の暑い空気が外に抜けるように断熱材の上に空気層をつくっています。

□音楽室の防音工事                                                      

音は空気と振動によって伝わるので壁は間柱をスリットで切り離して音を外に伝えにくくしています。
壁、天井は石膏ボードを二重貼とし、厚さ100ミリの断熱材を三層にして詰めています。
窓は二重サッシ、換気は第一種換気で空調換気扇としています。
完成後、音の実験をしましたが外からはほとんど聞こえませんでした。やった!!。
木造住宅での防音対策に快く協力してくださったKさんに感謝!。

二人のベテランの大工さんにより丁寧に工事が進んで行きます。
工務店さんや大工さんとの打ち合わせ、水道屋さん電気屋さん鍛冶屋さんとの細かい打ち合わせなどにより
いい建物になる為の調整をしていきます。毎週水曜日午後3時から工程会議を現場でしています。間違いや勘違い
のないようにそれぞれの職種が集まって確認していきます。完成間近になると毎日のように現場に行く事になります

                                             
 
 
■建て方(1階)            ■建て方(2階)
2004/8/29(日)
□建て方
台風の影響もなく無事に建て方が完了しました。
山で約60年かかって育った杉が乾燥され大工さんの見事な加工によって1本1本組まれていきます。
朝8:30から始まり午後5時頃最後の登り梁が定位置におさめられた時は感動し思わず拍手しました。
たくさんの柱や梁たちが力を合わせて、その重さを負担し地盤に伝えていきます。


構造材:兵庫県氷上スギ
 
  
■地業工事              ■基礎配筋               ■基礎完了
2004/8/16
□基礎の準備(地業)
土を掘り床下からの湿気を防ぐ為に防湿フイルムを前面に敷いています。捨てコンクリートを打ってその上
に墨だしといって建物の位置に墨を打っています。

2004/8/23
□基礎の配筋
基礎の鉄筋が出来ました次に型枠といってコンクリートを打つための囲いをつくっていきます。
□基礎
基礎のコンクリートがきれいに打ち上がりました。
 
  
■手加工前の定規づくり       ■兵庫県氷上スギの表情      ■手加工された登り梁
2004/8/11
□手加工前の定規づくり
 
登り梁などは機械では加工できない為、大工さんが定規をつくって加工していきます。
2004/8/11
□氷上スギ材料検査

含水率、割れ、曲がり、サイズ、赤身の割合などを見ます。
2004/8/17
□手加工

大工さんによって1本づつ手加工された木材です。
電気ノコギリでの作業よりもノミで削っていく作業はおもったより大変でした(兵庫運河の作業場で少しやってみました)
なんでも自分でやってみてはじめてわかりますね。大工さんご苦労様。
  
スウェーデン式サウディング       ■標準貫入試験
2004/3/25
□地盤調査

地盤の耐力を調べるために地盤調査をしました。スウェーデン式サウディングという簡易な調査と標準貫入試験
という方法等があります。河川敷きで石が多い為、今回は標準貫入試験を行いました。

2004/4/5〜4/12
□基礎の決定
一般的には建物の重さ以上に地盤の耐力があれば家は沈下しませんが現実はそう単純なものではありません。
標準貫入試験の結果により基礎の形式を決めていきます。基礎の根入れ深さを変えながらベタ基礎で設計しています。

□建物の重量
建物は1本1本の柱によってその重さを支えています。柱が負担する割合は複雑で同じ重さを負担している
わけではありませんので、ある程度均一にして地盤に伝える必要があります。
   
2004/6/24
□地鎮祭
  
地鎮祭とは家を建てる前にその土地を清め工事の無事を祈り一家の末永い繁栄を祈願します。
施主、設計者、施工者が鍬・鎌・鋤で力を合わせる事を誓う儀式でもあります。
エイ!エイ!エイ!と掛け声をあげますが、これはその家が栄(エイ)える事を願っての事です。
      



町の密集した所で家をつくる事の難しさ。
内部空間の広がりを演出するために周辺環境を読みながら透明ガラスを多用したところ、近隣の方から苦情がきました。
借景を活かすのも町では難しい事を痛感しました。



完成後

完成してから1ヶ月位たってクライアントさんから電話が掛かってきました。

@室内のインターホンの位置を変えてほしい
A:配線が露出になりますが、それが我慢できるなら・・ということで位置を変える事になりました。
こういうことにならないように十分打ち合わせをしたつもりでしたが・・ま
こういうこともあるか・・・。

A音楽室のエアコンの蓋(木製格子)が締まりにくくなったので治してほしい。

A:空間を一体で見せる為にエアコンの前面に木製のルーバーでデザインしましたが、時間の経過と共に反ってきたり
冷暖房の熱で歪んできたようです。すぐお尋ねしてみたところ少し反っていました。工務店さんにお願いして調整して
もらいました。こういうところは自然素材でいいか合板のほうがいいか迷うところです。



□玄関の強化ガラスの庇に鳥の糞がいっぱい付いていたので雑布で掃除していたら、上からスズメが糞を落としてきます。
よく見るとその真上にはテレビアンテナが付いていて、それが止まり木になっているようです。これはまったく予想もしてい
ませんでした。事情を工務店さんにお話したところ嫌な顔ひとつせずアンテナの位置を変えてくれました。社長さんに感謝。


■完成後6ヶ月

早いもので完成から6ヶ月経ちました。玄関アプローチの枕木と枕木の間には植物が植えられ家を育ててくれているという
感じがしました。来客や音楽教室の父兄さんからの評判も上々らしいです。それよりもクライアントさんご自身に喜んでいた
だいている事を実感できたのがなによりでした。1年後、また2年後にはどのような姿に育っているか楽しみにしています。