風の入れかた

光のとり方

空間を響かす 


■WORKS-高徳町の家(リモデル)

 □建物概要
  所在地:神戸市灘区
  用途:住宅
  設計、監理期間:2003年12月〜2004年7月
  規模:リモデル面積110.77u(増築部分12.12u)
  構造:木造2階建

  

△ 

 
 YOKOTA  ARCHITECT  OFFICE
 

  



外観(Bifore) リモデル前


外観(After) リモデル後



外観(After) リモデル後
光のあたりかたや見る角度に
よって表情が違って見えます。

■出会い

家の事で相談したいが何処に頼んでいいかわからない。
思案された結果、
神戸市住まいの安心支援センター(すまいるネット)に相談に行かれたそうです。
そこからの紹介というご縁で設計のお仕事をさせていただく事になりました。

■クライアント(依頼主)からの御要望

お爺ちゃん、お婆ちゃんと一緒に暮らせる家にしたい
既設の家の耐震診断をしてまだ使える家なのか、それとも新築しないと駄目なのか判断してほしい
家の中でほっとする部分がほしい
1階の和室は子供の頃からの思い出があるのでそのままにしたい
バスルームが狭いので広くしたい

■計画のポイント(設計者に与えられた課題)
□気持ちのいい家をつくる(丈夫な家+使いやすい家+美しい家


 計画する前に既設建物の構造面や新建材(化学物質やアスベストの有無)など安全性を実施検証する。
 構造については床下換気口や畳などをめくって床下等の状況を見たり、各階の天井点検口から梁や壁の状況等をひととおり
 調査しました。壁があっても耐震壁として機能しないものや、基礎が外周部しか立ち上がっていなかったり、水周りの土台が
 腐蝕していたりある程度予想していたとおりでした。もちろん全ての箇所が目視出来るわけではありませんので工事をしながら
 その状況に応じて判断しながら進めていく事になります。
 新建材は除去し、無垢材などの自然素材を多用していく事になりました。


□工事中の室内の様子    
外壁のバラ板からの自然光が
なんとも美しく感じられます。

   

  
 □耐震補強
 
 既存の土壁を一部切抜き
 HD(ホールダウン)金物を設置.
 更 にこの壁に
構造用合板で補強します。    

  
 □耐震補強
 HD(ホールダウン)金物を設置して
 地震の時などに柱が引き抜かれない
 ようにしています。
                 

□調査の結果
 ・
調査の結果は今の家を補強する事でまだ充分使えると判断した。
 
・現在の法規制に合わせて検討した結果、1階部分の梁間方向、桁行方向とも耐力壁が極端に不足している。
 ・2階はやたらと壁が多い。
 ・2階の床が南方向に少し傾いている。

 ・
浴室部分など土台が腐っている部分は部材を取り替える。
 ・目視で見えない部分はその都度クライアントと話し合いながら作業をすすめる。
 ・この建物の印象としては上からの荷重に対しては考えているが、地震等の横からの力に関してはほとんど考えられ
  ていない建物でした。
 
□構造計画
 
・まず基本として壁量は建築基準法で決められた値の1.5倍をとる(梁間方向、桁行方向とも)→阪神淡路大震災で
  壊れなかった建物は1.5倍の安全率を確保していたものが多かったという報告から。
 ・ある部分に力が集中しない建物をつくる→力を分散させて、それぞれの部分にある程度均等に負担させる。
  大きな力が集中して掛かると破壊力になるのでそれを避けるため。
 ・柱や梁、壁や床、土台や基礎など、力をまんべんなく地面までうまく流していくという構造計画とする。

□構造補強
 ・
空間に支障がないところで1階の梁間方向、桁行方向とも壁を増やす。そこを筋違いと構造用合板で補強する。
 ・
建物のコーナーなどはホールダウン金物で補強し、地震や台風などで柱が引き抜かれるのを防ぐ。
 ・
基礎の立ち上がりが外周部しかないので中間に基礎をつくる。
 
・壁の位置は1/4分割法によりバランスよく配置していく。

□使いやすく開放的なプランとするには(庭を活かす)
 各部屋は小さな部屋ごとに壁や建具で仕切られており、薄暗く物に溢れた空間でした。
 ご家族にはいろいろな事情があり慣れ親しんだ空間を極端に変えることなく
 LDKや浴室、洗面、トイレなどを使いやすくする事、また将来の事も考えながら、
 それらを限られた予算の中でどこまで出来るかが課題でした。
 提案としてキッチン(K)⇒ダイニング(D)⇒リビング(L)⇒庭(G)の空間が連続して広がり使いやすい事
 お爺ちゃん、お婆ちゃんの部屋から水周り(特にトイレ)が近い事。それから何処にいても家族の気配がわかるようにする事
 気持ちがいい回遊できるプランを考える事なども課題として考える。

□居心地のいい場所をつくる
 毎日、庭を見ながら食事ができたらいいですね、ここでビール飲んだらおいしいだろうな等と想像しながら居心地のいい場所を考える。
 ご家族がくつろげる場所とはどのような空間をつくればいいのかも一緒に打ち合わせしながら考える。


□オーダーキッチン
@使いやすい事
A掃除がしやすい事
B長持ちする事
Cデザインがいい事
などを考えて作ってもらい
ました。金物は狂いの少
ないドイツのハーフレーを
使っています。 

                 


□リモデルした本箱
食器棚として使うことに
なりました。

                
                   

□庭と一体でつくる
ダイニングルームからは毎日
庭を見ながら食事ができます。
ビールがおいしくいただけそう
ですね。

                






□風景を切り取る
面格子の隙間から六甲山が見
えます。2階の北窓は隣家から
の視界に入り開かずの窓でした

格子を設けた事で窓を開けられ
るようになりました。

□風通しをよくする


□小窓
床のすぐ上に小窓を作り風通し
をよくしています。
寝転んだときも気持ちよさそう。                    

  

□2階のウッドデッキ
物干し場に使ったり、観葉植物を
楽しんだりバーべキューなども
できます
                      



□2階のウッドデッキ
ネコ土台をつけて風通しをよくし
腐りにくくしています

仕上げはドイツの植物塗料
オスモカラーです
。                    

□洗面所
鏡が閉じた状態です。
鏡の下は洗面化粧台です。
内部はランドリー収納です。




□洗面所
鏡を開けたところは収納
です。ドライヤー、電気
カミソリ、歯ブラシセット等
も収納出来ます。
竣工間際にクライアントに
よって、ある工夫がされて
いました。

 
                   

□木製の面格子
アルミとは違った味わい
や表情があります。




□建材を選ぶ
 私の場合、建材を選ぶ時の基準として
 @古くなった時に美しくなるもの
 Aシックハウスのない安全な材料
 B掃除のやりがいがある材料
 というふうに選ぶようにしています。
 シックハウスのない自然素材を使い、壁・天井の仕上げは珪藻土とし、床は国産のスギ(厚さ30mm)を多用しています。
 スギや珪藻土は湿気の多い夏は湿気を吸い、乾燥する冬は湿気を放出してくれます。
 夏の高温多湿、冬の低音乾燥という日本の気候風土には吸放湿性のある材料を使うのがBESTだと考えます。
 年をとって転んだりすると骨が折れやすくなってきます。お爺ちゃん、お婆ちゃんにとってスギは柔らかくて歩いても疲れにくい
 床材のひとつです。




■主な仕上                  
■主な設備        ■施工:山本工務店
外壁:白漆喰塗り                 エアコン         ■家具:コモド・ピーアイシー
屋根:ガルバリウム鋼板竪ハゼ葺                    ■ガス工事:宮村ガス設備
内部床:スギ無垢材厚30オスモカラー                 

内部壁:珪藻土(エコク
ン)
内部天井:珪藻土(エコク
ン)

□完成後
完成して約1ヶ月になりますのでどんな様子か電話してみました。
@使いにくいところはありますか?
Aなにか不都合なところはありますか?等お聞きしました。

おかげでとても快適に使っていますとの事でした。特によかったところは回遊できることと脱衣室とキッチンの壁に扇風機を付け
た事(これは奥様のアイデア)

欲を言えば食堂があと2帖広かったらもっとよかったとの事でした。図面にはテーブルや椅子、ソファー等の位置は破線で記入し
ていますが、実際はそれにテレビがあって見る位置が近すぎるんではないかと思います。

□完成して約6ヵ月後
完成して6ヶ月になりました。その後の様子を伺ってきました。

@使いにくい所はありますか?
私達にはいいんだけど、お婆ちゃんにとって洗面化粧台の床からの高さが3cm程、高かった。
A:それはお困りでしょうから改善しましょうか!(幅木の部分を3cm切って)と提案しました
が、
それでは他の人が使いにくい?。ご家族もそれぞれ身長が違うので誰に合わせて作ればいいか、もっと話し合っておけばよか
った。設計者の私がお聞きしておくべきでした。まだまだ私も未熟です。床の破材の杉板(3cm)を台にされていました。洗面所は
突き当たりなので、けつまずく事はないそうですが・・。

A夜中に、お婆ちゃんやお爺ちゃんがトイレに行かれた時、トイレの照明が朝までつきっ放しなので遅れスイッチ(自動消灯)にす
ればよかった。

A:今からでも出来ないか電気屋さんに聞いてみようと思います。

Bトイレの手摺にカビがつく
トイレの手摺は「手触りがよく、滑りにくくて、握りやすい」という素材にしましたが。材質は木です。手を洗ったタオルがいつも湿気
ていて、それが手摺に当たっていてカビがつくそうです。

A:植物性の塗料でコーティングしてみようと思います。

C外部の木製格子からマツヤニが出ている。
米松の木製格子からヤニが出ていて、それが白く光っています。建物の外部は雨水をはじく意味で天然のヤニを持った松材をよく
使いますがヤニのひどい場合は1年経ってから落とす場合もあります。1年後の様子でどうするか判断しようということになりました。

完成して久しぶりに訪ねましたが、住まい方にいろんな工夫をされていました。
庭を自分たちで作ったり。目が見えにくいお婆ちゃんが自分のタオルだとわかる為にタオルに洗濯バサミを挟んだり。クライアント
さんからも多くの事を学びました。いいところと、そうでないところを色々検証してくださって、それを私に伝えてくれる事に感謝して
います。

              

                                   
                                                      YOKOTA Architect Office
                                                                   〒657-0011
                                                                     神戸市灘区鶴甲4-1-7-103
                                                              T/078-821-9751
                                                                            F/078-821-9726

                                                        mail: sna16772@nifty.com