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設計とは?

今、ちゃんとした建築教育がされていないんじゃないか、既存の大学教育では木造の教育は難しいんじゃないかという議論があります。1995年1月17日阪神淡路大震災で多くの木造建築や鉄筋コンクリート、鉄骨造などの建
物が破壊されました。その原因は何だったのか、また震災10年後木造はどう変化したかを考えてみたいと思います。これから家を建てられる方やリフォームされる方にとって参考になればと思います。

私も神戸市灘区に住んでいますので、この強烈な地震に遭いました。突然ドーンという地響きがして目を覚まし、
その後、強烈な揺れを感じ、押入れからかギーギーと鳴る木材の悲鳴が聞こえました。隣の部屋では書斎の本が全部倒れて部屋を埋め尽くしていました。この部屋で寝ていたらと思うと今でもぞっとします。落ち着いて市内
の様子をみると目の前には信じられない光景があり、今までやってきた建築の常識が足元からすくわれたような気がしました。よく見ると同じ地域に建てられながら片方はちゃんと建っているものもあれば、無残に壊れている
建物もある。なぜか?。その時にはわからなかった事が徐々に検証されわかってきました。

■木造について

□木造と他の構造の違い  □木造建築の壊れた原因  □震災10年後木造はどう変化したか  

□構造計算について     □伝統工法は強いのか    □同じお金を掛けても、できた建物は天と地ほど違う

□Eディフェンスとは      □白蟻に強い木、弱い木とは  □国産材の現状  


                              

□木造と他の構造の違い

木造は鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造(S造)などと根本的な違いがあります。
鉄筋コンクリートや鉄骨などは柱や梁の接合部がコンクリートや溶接などで 一体化して壊れないという仮定
で設計されているのに対して、木造は溶接できませんので接合部で壊れる事を意識してつくらないといけませ
ん。柱と梁の仕口をどう接合するか、木と木を継ぐのにどう継いだらいいのか、その事を理解しないで設計し
てはいけないということがあります。それ以外はRC造もS造も木造も構造の考え方は同じだと思います。


在来木造が弱いのではなく仕口や継ぎ手をきちんとつくればちゃんとした建物ができるということになります。
鉄筋コンクリートの建物も弱いものもあれば、鉄骨造の建物でも溶接の不備なものは地震によって壊されてし
まいました。それから屋根は瓦屋根は重いから地震には弱いという誤った考えがマスメディアによって報道さ
れました。屋根が重ければそれなりに壁を増やしたり軸組みの柱や梁などのサイズをあげたり、架構をきち
んとつくっていれば何の問題もなかったんです。結果の現象だけに左右されないようにという意識が必要だと
思います。主原因と副原因があり、主原因は何かを考える事が大切だと思います。



□木造建築の壊れた原因
木造建築の壊れた原因にはいろんな原因があります。直接的な原因や間接的な原因もありました。
例として
・狭小間口で壁が少ないというか無いに等しかった(採光確保の為)
・壁のバランスが悪いため捩れて元にもどれない(偏心)
・1階と2階の壁の量が大きく違っていた(剛性)

筋かいのサイズが一寸(3センチ)以下で地震の力で折れている
・筋かいの端部の接合部が斜め釘打ちだけなので釘が引き抜かれたため脆くくずれた(粘れない)
・屋根の重さに耐えられるような架構になっていなかった
・上からの荷重に対しては”感”や”経験”からつくられているが、地震や台風など横からの力に関しては考
 えられていなかった
結露によって腐っている所、お風呂場の土台なんかは特に注意が必要だし、トユの受け金物がモルタル
 や防水紙を突き破っているのでそこから雨水が浸入し柱などを腐らしていた。

・白蟻や腐朽菌などによって木が腐っていた。今の家は点検できない建物になっているため腐っていても
 わからない状態だった。


一級建築士が設計するのに何故こういうことが起きるのか皆さんは、おわかりにはならないと思いますが、
建築基準法といって建物をつくる時には国の法律があります、そこにはこう書かれていました。「構造耐力
上主要な部分は、建築物に作用する水平力に対して耐えるように、つりあいよく配置すべきものとする」。と
だけ書いてあり具体的につりあいよくなるための詳細は何も決められていなかったのです。あとは設計者の
自己責任ですよ!っていう法律でした。震災後はここが大きく改正されています。


□震災10年後木造はどう変化したか 
「壁は単に、つりあいよく」から「4分割法」といって具体的に壁のバランスが明示され、また偏心率といって
耐震壁の偏りが0.3以下ならOKとなり、壁は構造用合板や筋違いで固められ、柱頭、柱脚は金物で固定さ
れた建物が主流になっっています。一方では、まだまだ少数派ですが
伝統工法に拘り、構造用合板や筋
違いなどを使わずに、構造用胴縁、差し鴨居、構造用長押や土壁で頑張っている所もあります。但し、その
場合は
*限界耐力計算という計算方法で安全を証明する必要があります。

力の流れの理想として
屋根や床の重量が2階柱や胴差し、更に1階柱を経由して、基礎から地面へと、如何に最短距離で無理な
くスムーズに地面まで伝える事ができる建物をつくれるかがポイントになります。


*限界耐力計算って何?
地震で建物が壊れるかどうかの判定法の一つ。
地震動が与えられたら、建物がどれだけ変形するかを簡易な計算で推定できるというやり方です。

(想定した地震でどれだけ建物が傾くか、どれだけ被害を受けるかを計算によって判定します)


□白蟻に強い木、弱い木とは
・白蟻に強い樹種:ヒノキ、ヒバ、クリ、スギの赤身の部分
白蟻に弱い樹種:ホワイトウッドスギの白太の部分

白蟻は大きく分けて、ヤマトシロアリとイエシロアリがいます。湿気を好み、暗いところが好きだと言われて
います。但し、白蟻は食べるものが無くなったら、どんな樹種のものでも食べるので御用心。また、アメリカ
カンザイシロアリといって、コンクリートでもガリガリ食べる怖いのがいます。

白蟻は目が退化し、ぶつかったものはすべて噛むという習性があるそうです。


□構造計算について
構造計算によって法適合が証明される事は大事なことですが、たとえ構造計算で証明されたからといって
も、その建物が地震や台風などで壊れないとは限りません。きちんとした構造計画ができているかどうかが
重要なポイントになります。じゃあ、きちんとした構造計画とはどういう構造計画なのか・・・、それは一箇所
に荷重を集中させないで、柱や壁に水平力をうまく分散させる構造計画をする事だと思います。

1本の柱に荷重を集中させて、その柱が壊れたら、建物全体が倒壊するような構造はよくないからです。こ
れらは、あたりまえの事ですが、結構こういう建物が多いのも事実です。例えば1階のコンクリートの柱が4
本だと、その内の1本が地震で壊れてしまったら、建物全体が倒壊します。柱は少なくとも6本にするか、た
とえ4本でも安全率を十分に考えたものとしたいですね。

品質確保法では
等級1→建築基準法をクリヤーしているというレベル
等級2→建築基準法の1.25倍の性能で建物をつくるというレベル
等級3→建築基準法の1.5倍の性能で建物をつくるというレベル


これらの等級のうち、どれを選ぶかは自由ですが、できる事なら等級3を選びたいところです。
何故なら、阪神大震災の時に等級3の建物は、ほとんど倒壊していないからです。
建築基準法をクリヤーしているというレベルは、国の最低の基準を満たしているだけで、決して安全とは言
えないレベルだと思います。国の最低の基準を守るためじゃなく、”クライアントの命を守り、クライアントの
財産を守る”ためにしっかりした建物をつくるのもまた、設計者の使命です。その為には日頃の勉強の積
み重ねが大事だと思います。

阪神大震災の時、この建物が何故潰れなかったの?・・・。という建物もありました。それは建物の問題で
はなく、地盤がよかった事が幸いしていました。建物はその構造だけでなく、地盤に密接に関係しています。
断っておきたいのは、地盤が良ければ、建物はどうでもいいと言う意味では決してありませんので誤解の
ないようにお願いします。地盤が悪ければ、地盤改良や杭を打ったりします。地盤がいい所は基礎工事は
安くなります。地盤調査方法として木造の場合はSS式(スウエーデン式サウディング試験)というやり方があ
ります。


□国産材の現状
現在の国産材の使用率は20%(2008年度で18.4%)に満たない状況だと言われています。80%以上は海外
からの木です。また世界で流通している材木の3分の1は日本に輸入されているのです。木材の中で、建設
用やインテリアや製品などに使われている量は40%程度、つまり60%程度は紙や燃やす燃料などに使われ
ているそうです。


国産材・・・産地は*森林認証されている
外材・・・・・ホワイトウッド・レッドウッド→白蟻の餌だと言われ、これを使う事は犯罪行為だと言う人もいます。


*森林認証とは
適正に管理された森林から産出した木材などに認証マークを付ける事によって持続可能な森林の利用と保
護を図ろうとする制度です。木材を伐採するだけでなく、伐採したら苗木を植える事が必要になります。


国産材が売れなくなった理由
@価格の問題
A品質の問題
B乾燥の問題
などがあげられます

今までは日本の林業は、等級にこだわってきました。等級は柱は1等材とか特1等材とか、かどは角・・・とか
見た目を重視してきました。節のある木はよくないとされ、銘木にこだわっていました。そのほうが高く売れる
からです。等級は強度や乾燥の事は言っていません。所定の寸法さへあれば柱や梁に使っていました。柱
に向いている木、梁に向いている木があるのに、そこには手を入れていなかったのです。今までは強度も含
水率も、とり組んでこなかった。これからの時代は強度も含水率にも取り組まないと売れなくなります。


品質にこだわり、乾燥も葉枯らし乾燥や、中音乾燥にこだわり、価格もリーズナブルな製材所を3年間にわた
って探してきました。同じ赤身のスギといっても製材所によっては、天と地の違いがあります。ここだったら推
薦するよ!って言える所で調達したいですね。



□伝統工法は強いのか
柱の下には礎石、柱と柱は地固めで固定され、柱と梁の接合部は、込み栓で止められ、梁の継ぎ手は応力
の集中しない所で”追っかけ太栓”で継がれ、差し鴨居で架構は鳥居型、壁は土壁、しっかりした軸組が組ま
れ、長い伝統と歴史があり、大工棟梁の技術や知恵の詰った建物を伝統工法と言います。

伝統工法は、筋違いや構造用合板で固めた現代工法とは違って初期剛性は低いですが、粘りがあります。
地震や台風にも粘りがあるので少々傾いても容易に倒壊しません。但し構造材は、自然乾燥材に限られま
す。(値段は人口乾燥に比べると高い)。高温乾燥材だと内部割れを起こすので長ホゾ込み栓は使えないの
です。伝統工法でやれる職人が、現在は少なく、限られているので、
*プレカットでやるのとは違い、手作業
なので加工費は上がります。

伝統工法のいいところは一気に倒壊しないで粘る事だと申しましたが、地震などで家が傾いた場合は、後で
傾いたところを修理する事になります。


*プレカットとは
機械で木材を加工すること。



□同じお金を掛けても、できた建物は天と地ほど違う
まったく同じ建物でも、頼む設計者や工務店によって全く違う建物になります。構造材は何処の製材所の材
料を使ったか(品質)、大工さんの技術や知恵などで建物は違ってきます。


工事費の安い所を探すのも一つのやり方ですが、”信頼できて、ここに任せたら安心”と言う所を探す事
がより大切だと思っています。設計者がどう考えて、どういうつくり方をして、職人さん達と二人三脚で建築
をつくっているか、その過程を見に来てほしいですね。


□Eディフェンスとは
兵庫県三木市にある三木総合防災公園にある震動破壊実験を行うことができる世界最大の耐震実験施設。
戸建て住宅や、鉄筋コンクリート造4階建て程度の建物の震動破壊実験を行う事ができる施設です。
いままでわからなかった建物の耐震性がこの研究施設ができたことによって今後、いろんな事が解明されて
行くと思います。何度か実験体をセットしに行かせてもらいました。お蔭でとても勉強になりました。

Eディフェンス