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岡山県西粟倉村の”木の家モデルハウス設計業務”指名型プロポーザルに参加しました
(平成20年11月17日)
プロポーザルとは設計案を選定するのではなく、あくまで設計を担当する「人」の選定を行うものです

目的
西粟倉村で約50年育ててきたスギやヒノキを使ってモデルハウスを建設し、村内製材業者及び大工の
技術と、すぐれた設計とが合わさる事によって、村の木の家をブランド化したい・・というのが主な目的
でした

プロポーザルで求められた課題
Q1.今回のモデルハウス設計における構想(コンセプト)についての具体的提案

Q2.村とその森林の恵みを生かした良質で安心な木の家づくりによって、豊かなライフスタイルを実現する
ためには、どのような家づくりが良いと考えるか

Q3.良い家とは何か、そしてその設計・建設のプロセスはどのようなものであるべきだと考えるか、特に設
計者として、村内の職人(林業、製材、大工等)と、住宅設計・建設のどの段階でどのように連携してい
きたいと考えるか

Q4.あなたがモデルハウスの設計者となることで、村とそこに関わる人々の未来はどのように変わり得るか
以上の項目について提案書の提出を求められました

→課題に対しての意図が理解できるものと、わかりにくいものがあるので、提案書をつくるのに戸惑いました。


求められた課題に対して私達が提案した”木の家モデルハウス提案書

 敷地から見た360度のパノラマ写真(住まいの何処からどのような風景が見えるか参考にします)
 <初めて現場を案内された時に撮影しました>


Q1.今回のモデルハウス設計における構想(コンセプト)についての具体的提案

美しい山々に囲まれた地に、木や天然素材を多用し、外部は周辺の環境に調和するしつらえを整え内部
は村で50年間育った木を現しで見せる本当に気持ちのいい温かみのある”光と風の家”を提案したいと
考えています。

□光と風が行き渡る空間
家族が集まるリビングや居室などは光や風が通る気持ちのいい空間とする
またリビングの延長としてウッドデッキを設けて広がりを持たす
□地元の木を多用し、構造材を現しとする
地元の木を現しで見せる。木目の表情や木肌の柔らかさで温かみのある住まいとする
□家族の気配が感じられる空間
内部空間の一部は吹抜けを設けて家族の気配が感じられる空間とする
可能な限り空間は仕切らないで考える、また子供の成長に合わせて将来は仕切る事が出来るよう
考えておく
□眺望を楽しむ
周辺の山や風景の広がりが感じられる住まいを考える
□地域の気候を考える
地域の気候を学び、冬の寒さや積雪の状況、夏の暑さを考えた計画とする
□自然素材を多用する
出来た時が最高ではなく、自然素材を多用し、時間と共に味わいが感じられる住まいとする
□周辺の環境を活かす
敷地が持っている魅力や、そこにしかないものを探し出してプラスに働かせる
□緑のアプローチ
玄関までのアプローチは野草が茂る森の小道のような演出をする
□楽しさ
家づくりの楽しさはなんといっても”冒険する空間”をつくることだと考えます
できれば面白い気持ちのいい空間をつくりたいと思います

Q2.村とその森林の恵みを生かした良質で安心な木の家づくりによって、豊かなライフスタイルを実現するため
には、どのような家づくりが良いと考えるか

→質問の意図がよくわかりませんが、あえて以下のように提案致しました・・・
地元の木を使って、周辺の環境に調和した魅力的な家づくりを地元の職人さん達と力を合わせてつくってい
く事はとても大事なことですが、それと合わせて村をより魅力的にするためには”ここに住みたい”と思って
もらえるような強いメッセージが必要だと考えます

単に自然素材でつくる家づくりだけでなく、街には無いもの、ここなら出来る事、ここでないと出来ない事など
をセットでつくれないかと考えています

今、食の安全が脅かされています、街では貸し農園を利用して野菜を育てている人はたくさんいると聞いて
います、そこで敷地の一部に畑をつくり、将来は売却を視野に入れ”畑付きモデル住宅”として売り出すのも
ひとつの案だと考えます、白菜や大根はどのように植え育てたらいいか地元の方による農業体験や授業など
もあったらいいですね

それから地元にはどのような職人がいるか紹介するコーナーがあるといいですね、そこから新しい出会いが始
まるかもしれません

また畑が必要でない方は庭や趣味のコーナーにしてもいいと思います
川沿いにバーベキューコーナーを設けて仲間と一緒に飲み食いしながら話せたりする場を設けるなど楽しい人生
を送るための場づくりが出来ればと考えています

それからモデルルームの内部に使用した西粟倉村のスギやヒノキやマツに名札を付けて地元の木をアピールで
きたらいいなと思います

例えばここは水を使うところだから水に強い赤身の多い木を使っていますとか、押入れの中棚は節が抜けた経済
的なスギを使って通風を良くしていますとか、現しの梁などは外壁の方に赤身を配して耐久性を考えていますとか
キャプションを付けてメッセージを伝える事も大事だと考えています。


Q3.良い家とは何か、そしてその設計・建設のプロセスはどのようなものであるべきだと考えるか、特に設計者として
村内の職人(林業、製材、大工等)と、住宅設計・建設のどの段階でどのように連携していきたいと考えるか

『良い家とは何か』っていうのはなかなか難しい事です
私はやっぱり住んでみて自分が納得いく家が一番いいんではないかと思います
客観的なことかも知れませんが、やっぱりそれが一番いい家だと思いますね

それと周辺の自然環境との調和や町並みをつくる事、家は個人の財産だけど村の財産でもあるという意識
を大切にしています

それから、本当はお施主さんに建てている所を見てほしいですね
自分の現場を実際見てもらったり、事務所に来てもらったり、どういうつくり方や考え方をしているのか真剣に
見てほしいと思っています(将来購入する方の為に完成までの写真を撮っておく)

設計者として村内の職人さん(林業、製材、大工さんなど)は住まいづくりにとってとても大事にしなくてはい
けない人達ばかりです

林業家の方には今まで大事に育てていただいた木を使わせていただくことの感謝と地元の木の特徴を学び
たいと思っています

製材所の方には木目の美しい赤身勝ちでしっかりと乾燥された木をお願いしたい事と、できれば気配りにも
参加させてもらいたいと考えています

住まいの良し悪しを決めるには特に大工さんの技量が大切です。着工前にお会いして、柱と梁の接合方法
や継ぎ手の方法、また設計の意図などを理解してもらえるように説明し、お互いに話し合いながらつくっていく
環境づくりに協力して頂きたいとお願いしたいです

このように住まいは、いろんな人達の協力があって出来ていきます、将来の販売を視野に入れ、住むために
どうしたらいいかをまず考え現場に行って職人さんたちに伝えて二人三脚でやっていくことが大事だと考えて
います

建築士は大工さんから見れば煙たい存在かもしれませんし、特に初めての大工さんの場合、最初はなかなか
モノを言ってくれない場合もあります

現場では職人さん達が力を発揮しやすい環境をつくり、楽しく働ける職場にしていくのも大事な建築士の役割
だと考えます

お互いの信頼関係さえ出来れば80%成功したようなものだと思います。


Q4.あなたがモデルハウスの設計者となることで、村とそこに関わる人々の未来はどのように変わり得るか
→質問の意図がよくわかりませんでしたが、あえて以下のように返答致しました
地元の職人さん達とモデルハウスをつくっていく中で、私達設計と職人さん、役場の方、それから設計や工事
を通じてたくさんの人達との信頼関係や協力関係ができたらいいなと考えています

そして西粟倉村の方達との新たな交流が始まり、地元周辺はもちろん神戸、大阪など阪神間をはじめ全国に
向けて西粟倉村の木材を利用してほしいと思います

残念ながらわが国の木造住宅の殆どは外国からの輸入木材が使われています(国産材自給率は20%以下)。
ウッドマイレージといって輸送コストやCO2の問題なども環境の面から今後は考えていく必要があります。
外国のCO
2を貯めた木材を大型船で更にCO2を放出して輸送を行っているとも言えます。

木材のトレサビリティ(産地証明)を実行し、さらにSGEC(森林認証)材も提供できる体制を整える必要があります。
そうなる事で木材の強度や十分な乾燥がされた品質のいい製品が供給される事になります。
できるだけ日本の住宅は日本の木でつくってほしいと思います。

各都道府県の建築士会をはじめ、木構造を勉強している建築士や学生、それから設計仲間などにも呼びかけ
西粟倉村森林資源活用のお手伝いの真似事でも出来たらいいと思います

また伐採ツアー・植林ツアーなども企画していただいて西粟倉村の木材のPRをしてほしいと思います
それとその時期に合わせて地元の野菜や果物などの特産物も販売してもらえるようなコーナーがあればいい
ですね

街には無い森林資源、観光資源、自然の恵みを生かし、アピールのお手伝いが出来て西粟倉村が益々活性化
し『町と村の協力関係』の架け橋になれれば嬉しいですね。

以上です。


結果は落選でしたが、せめて採用された方が、これらの問いに対してどのような考え方を示されたのかオープン
にしてほしかったというのが素直な感想です (負け犬の遠吠え)。