図面の必要性

図面ってどうしているんでしょう?。こんな素朴な疑問について考えてみました。
何か物をつくろうとした時、それを人に頼む場合は『こういう物がつくりたい』という事を相手に正確に伝える
必要があります。それから次にそれはいくらかかるの?(金額)、何日で完成するの?(工期)、材料はなにを
使うの?それらの耐久性や品質、安全性は…という順番で予算とのバランスをとりながら進められ、また図面
通りに工事が進められているかどうかは誰が見てくれるの?(監理)というふうになっていきます。
住まい手の要望は多様化しており、人によって様々です。言葉では伝えにくい、例えば伝言ゲームのようにな
ってしまいます。最初いった言葉が、最後の人にはまるっきり変わってしまうでしょう!。

家を実際につくっていくのはいろんな職人さん達なので、その方達にいかに正確に伝えられるかが大切なんで
す。そこで意味をもってくるのが図面や模型です!。つまり図面や摸型がないと職人さん達につくってほしい内
容がなかなか正確に伝わりません。設計においては、いまのところ製図という手法が最も有効な方法です。



『図面は言葉です』

設計者や建築主であるクライアント(依頼主)の意図は図面を通していろんな職人さんや監督さん達に伝わって
いきます。たとえその場に設計者がいなくても図面は言葉をもっていて、いろんな人達につくってほしい内容を
伝えていきます。常にP⇒プラン・D⇒ドウ・C⇒チェック・A⇒アクションしながら図面を作成しています。

『監理について』

図面は言葉を持っていてつくってほしい内容を伝えていきますが問題は正確に伝わるかどうかです。予算を削
られて図面どうりの仕様で出来なくなった場合や、勘違いなどもあります。また図面の見方がわからない人や、
図面を見ない人もいます。工事中に依頼主が設計変更したいという場合もあります。

隣の方から暗くなると苦情がきたり、とにかく現場では予期せぬ事が起きたりするものです。また図面だけでは
表現できない部分もあり仕様書や工程会議で説明したり、工事をスムーズに進めていく為に模型を作って職人
さん達に説明したりもします。図面だけでは依頼主や設計者の意図を正確に伝える事が難しいのです。それを
補う為には
監理が必要となります。


どんな図面が必要なのか(設計図の役割)

では次にどのような図面がいるのか考えてみました。図面はそれぞれ目的をもってつくられています。まず
私達は建築主であるクライアント(依頼主)の要望される家のイメージや具体的な内容をまとめる為に求める
住まいの基本的な大枠を確認する為の図面をつくります
(基本設計図)。大枠がこれでいいという事になれ
ば次に住まい手の要望を、こと細かく施工者に伝え、また工事見積りに対して正確な金額を算出するため
の図面
実施設計図)が必要になってきます。まとめますと家をつくるには基本設計図+実施設計図が必要
という事になります。
これらの図面を完成する為に長く時間をかけて何回も何回も打ち合わせを重ね、求める
家の『夢や形』を図面という言葉や魂をもったメッセージによっていろんな人達に伝えていきます。長く住む為
には必要な時間だと思っています。


図面にはそれぞれ目的があります。
@設計を考える時の図面(構想・エスキース・基本設計)
A工事を行う為に、また工事費を算出する為に必要な図面(実施設計・施工図)
B後日のメンテナンスの為の図面(竣工図)
C観賞用の図面(建築展)

などがありますがこれらは当然表現の密度が違ってきます。またよりわかりやすくプレゼンする方法として模型
をつくり依頼主にご説明していきます。

いろんな可能性を探りながら夢を形に!

私達は家という箱の中で何ができるか、もっと違うつくり方はないのか、部屋と部屋の仕切り方はこれでいいの
か、いろんな可能性を探りながら夢を形にしていき、その中からいろんなアイデアを提案致します。あ
そんな考
え方があったのかとか、夢にも思わなかった豊かな空間の広がりとか、色づかいのセンスなど単に図面を書く作
業ではなく、依頼主のライフスタイルや生活シーンを想像し、様々な事を考えながら図面のなかにメッセージをこ
めていきます。


□基本設計図


配置図・平面図・立面図・断面図・仕上表・面積表などです
「構想」段階での計画案を、具体的に様々な基本設計図書にまとめて行くのが「基本設計」です。図面を描く過程
で、建物の構造形式、設備機器、仕上げ材料等の耐久性、品質などの性能を予算とのバランスを考えながら検討
していき概算工事費の算出をしながらお互いが意見交換を繰り返し、まとめながら提案説明致します。また設計お
よび工事のスケジュールなど大枠をきめながら次の段階へと進みます。基本設計図は設計意図の詳細や工事見
積もりを行う為の図面ではありません。求める住まいの基本的な大枠を確認する為の図面です。


□配置図

敷地の中に建物がどう配置されているかという図面です。
道路との関係、方位、日当たり、門、塀、テラス等の外構や造園計画も盛りこん
でおくと敷地全体の状況をつかむ事が出来ます。近隣との関わり方も考えておき
たいものです。1階平面図と兼ねる場合もあります。

□平面図





一般的には間取り図なんて言われていますね。
みなさんは広告なんかで見慣れているでしょう。建物を各階で水平に切断して真
上から見た状態と考えて下さい。部屋と部屋がどう繋がっているか生活動線はス
ムーズか、各部屋の広さとか予想される家具はうまく収納できるか。

また家族の集まる部分とプライベートな部分とのゾーン分けや居間や食堂の広さ
やライフスタイルが家族にあっているかどうか等、住まいの利便性や機能性、生活
への提案などがこの図面によく表れます。ここでは立体的な縦の方向の事も考え
ておきましょう。

□立面図

建物を東西南北から見た外観図です。
建物の高さ、屋根の形、窓などの開口部の位置や大きさ、外観の仕上げ材料等
がわかります。

建物の外観上のモチーフやイメージはこの図面に一番よく表現されています。
街並に対する顔ともなる部分ですから、慎重に計画しています。
法規的な高さ制限や道路斜線、北側斜線、採光斜線制限なども検討します。

□断面図



建物を垂直に切断して横から見た図面で、いわば縦方向の間取り図です。
各階の高さ、各室の天井高、軒や庇の高さ、吹き抜け部分の状態などを表現し
ています。

断面図は室内の空間の雰囲気を最もよく表した図面で、断面をデザインするこ
とによって空間はより豊かになるといえます。

□仕上表 外部仕上表と内部仕上表に分かれます。
外部仕上表には屋根、外壁、開口部、ポーチ、テラスの床などの表面仕上げや
下地の材料が描かれています。また内部仕上表には各室の床、壁、天井の仕
上げや下地材料が一覧表にまとめられています。

建築材料の種類はきわめて多く、専門的な用語も多いです。ここで大切な事は
健康に配慮した材料を使う事が大切です。また換気を考え空気の流れをデザイ
ンする事が求められます。

□面積表 建築物の面積は外壁の中心線で囲われた部分とするのが一般的です。                
各階の床面積・延べ床面積・建築面積・建蔽率・容積率などを一覧表にしたも
のです。

床面積や建築面積の算定の仕方には様々な規則がありまして、またその地域
の建蔽率や容積率の規定を満たしていなければなりません。


□工事費
   概算書
構造、設備、仕上げを検討しコストプランニング(予算の配分)をして概算工事費
を出していきます。



以上が基本設計図です。この段階では特に時間をとってお互いが充分に意見を交換し、住まい手の意向や要望を
どんな細かな事でも伝えて行く事が大切です。要望リストや簡単なメモ書きでもいいのです。ここで設計の大きな枠
が決まります。そして次に進みます。


□実施設計図
実施設計図は住まい手の要望を施工者に伝えると共に工事見積りに対して正確な金額を算出するためにも 必要な
図面です。また実施設計図は契約書に添付されます。お互いが、この図面の内容で契約しますという証拠になるわ
けです。この図面には住まい手の要望や夢がいっぱい詰まっています



基本設計についての承認を得て実施設計に入ります。その内容には大きくは次のような設計図に分かれます。

○意匠図
⇒基本設計図のほかに建物の詳細を表現した図面です。
       矩計図・階段や浴室、キッチンなどの詳細図、室内の状態を表した展開図、建具表、天井伏図、外構図
       等があります。

○構造図(構造計算書)⇒建物の大切な骨組みの部分です。
       基礎や床、軸組み、屋根等の構造の状態を表した伏図、軸組図、部材リスト、詳細図などRC造や造の
       場合には鉄筋や鉄骨などの詳細を示した図面です。


○設備図⇒給水や排水、衛生陶器、ガス配管の状態や機器類の仕様等が表された衛生設備図。
       電気の配線やコンセント、照明器具、テレビや電話などの内容が表示されている電気設備図。冷暖房
       や換気の設備等を表した空調設備図などです。


■意匠図

 
□仕様書 図面に表しにくい事を文章等で表わしています。
(材料の仕様や性能など


□建築概要
付近見取図


□仕上表 基本設計図参照
□配置図 基本設計図参照
□各階平面図 基本設計図参照
□各立面図 基本設計図参照
□断面図 基本設計図参照


□平面詳細図 平面図をより細かく描いたのが平面詳細図です。
柱の位置、扉の開き勝手など住まい方の機能に関する事や窓、出入り口に寸法を
ミリ単位で記入します。美しく機能的でそして住まい手と設計者の思い描いている
個性的な住まいを実現する為に、必要な事の大部分がこの図面で表現されています。

□部分詳細図 建物の一部を詳細に表したもの

□矩計図 矩計図(かなばかりず)は断面図の詳細図で、高さの基準になる図面です。
構造部材の断面に下地、仕上げを描き室内の各部分の高さを記入しています。
また、屋根、軒先の納まりや、基礎部分のつくり方を指示します。

□展開図 展開図は部屋の内部を立面的に見た図面です。
扉、窓、作りつけ家具が描かれているので、仕上がった時の部屋の様子がわかり
ます。スイッチや、額、壁際の家具配置などを検討するのにも役立ちます。

□天井伏図 部屋の天井の形状、材料などがわかります。
埋め込み照明なども表現されています。


□建具表 建具には鋼製建具と木製建具表があります。
建具の寸法、形状、仕上げ、開閉方向、使用金物、鍵、錠、網戸や雨戸の有無に
ついて描かれています。建具や金物のデザインは住まい全体のイメージに大きく
関係してきます。設計者も神経を使うところです。木製建具も内容については同じ
です。

□階段詳細図 階段のけ上げ、踏み面を描きます。
上がり下りしやすい階段か勾配はどのくらいか、手摺は左右どちらについているの
か建築基準法では住宅の階段は有効幅750以上、け上げ230以下踏み面150以上
となっています。これは角度にして56.9度に相当します。住まい手にとってどの程度
の、け上げ、踏み面が上り下りしやすいか、考えておいたほうがいいと思います。
目安は45度以下が理想です。


□外構図 門や塀、駐車場などや植栽、雨水排水の関係の事が描かれています。
敷地は建物の一部と考えて設計していきます。

□確認申請図書 建築主は各自冶体または検査機関へ建築確認申請その他関連法規の申請を
行わなくてはなりません。これは計画建物の合法性を図面上で、各自冶体又は検査
機関で確認してもらい建築の許可を得る行為です。各申請は建築主の代理として建
築士が行います。


■構造図 住まいの骨組みに関する図面です。
材料の種類や程度、強度を正しく発揮する為の工法や金物の種類と使用方法などに
ついて描かれています。建物の構造によって内容は違いますが考え方は同じです。

□構造計算書 建物が安全かどうか構造エンジニアによって解析したものです。

■電気設備図 配置図、弱電設備系統図、電灯コンセント各階平面図、太陽発電設備図、盤結線図
照明器具姿図、コンセント、スイッチを始め電話やインターホンの位置、個数を指示し
ます。

冷暖房機器、電子レンジなど電気量の大きい器具は、専用の回路にしておきます。
また照明計画は機能的な面以上に建物のイメージや住み心地に決定的な影響力を
持っています。全体を照らすか、部分を照らすか、器具を見せるか隠すか、蛍光灯か
白熱灯か、壁につけるか天井につけるか等など設計者にとって神経を使うところです。


■機械設備図
(給排水衛生)
(空調換気)

台所、浴室、トイレで使う水とお湯、それから換気扇、また各部屋の冷暖房に関する
図面です。器具の種類や色彩、取り付け方法、配管材料とそのルートなどを指示しま
す。神経を使ってつくった所に無神経に変な器具が見えてはつや消しです。機能を確
保すると同時に美しく仕上がるよう全ての面に気を配った設計図をつくります。

***これ以外にもスケッチや打ち合わせ議事録などがあります。
建物の構造によってもこれとは違う種類の図面もあります。このように住まい手の思いのこもった家をつくるには多くの図面
が必要です。そこには設計者のデザイン力や高度なセンスが要求されます。設計料が安いと思っていたら基本設計図しか
なかったりという場合もあります。家をつくる場合には是非このような図面が必要だという事を知っておいてください。