自然素材の家(T
邸)-WORKS  
                                    △
                                   □
                                   □  YOKOTA  ARCHITECT  OFFICE
□建物概要
・所在地:神戸市垂水区
・用途:個人住宅(T邸)
・敷地面積:103.44u(31.29坪)
・規模:延床面積140.26u(約42坪)
・構造:木造2階建 一部;鉄筋コンクリート造(地下車庫)
・完成:2006年10月中旬

       
                

■完成しました、建て主様の御好意で内覧会が行われ、多くの方に見ていただきました。

建築写真撮影:玉森潤一氏(玉森建築写真店)

           
外観                         玄関(正面の木は中庭です)            階段(昼間)                   階段(夜)夜になると床が光ります




       
キッチンから階段室を見る            和室から中庭を見る              子供室からロフトへ               2階キッチンから中庭を見る

御礼
T邸は2006年10月中旬にめでたく完成いたしました。
このプロジェクトに協力してくださったTさんをはじめ多くの皆さんに心から感謝しています。
早いものでTさんたちご家族も新しいおすまいに入居されて約1ヶ月半になります。思えば毎日のようにT邸の現場にかよっていましたの
で建物が完成して引き渡してしまうと、なんだかさみしい思いがしています。先日、思いがけなくTさんから連絡があり、とても心のこもった
“もてなし”を受けました。特に奥様の手作りの料理は絶品で、とってもおいしくて最高でした。“遊びに来られた方が帰らないのよ!”とか
“このお家はとっても明るくて気持ちがいい”また来られた方からは“一体何階建てなの!”とか、どこにいても”家族の気配が感じる家です”という事でした。私がなによりも驚いたのは建て主のTさんによる“すまい方のうまさと工夫”でした。とてもこの家に満足されているご
様子なのでそれが本当に何よりも嬉しかったです。

T邸の目指した空間
日本のすまいのつくり方の多くは、ただ単に何LDKで部屋をどう分けていくかっていうつくり方ですが、T邸の目指した空間はそうではなくて、空間を立体的に考えそれぞれの気配が伝わるようにつくっています。音楽で言えば”美しい音色が空間全体に響いていく”ように考えています。課題としては三方向を隣地に囲まれた奥に長い敷地の中にどのような光と風を採り入れるかでした。『中庭・ルーフテラス・トップライト』などの配置に工夫を凝らしてこの難題を克服しようと考えました。もうひとつの大きな課題は現代生活に欠かせない自動車のためのスペース、敷地の中に駐車場を確保することが求められました。狭いながらも快適なすまいをどうつくるか、本当に満足のできるすまいをつくるにはどうしたらいいか、T邸はすまい手も設計者も共に頑張った共同作品です。理想を言えば設計から完成まで2年くらいかけて”すまい”を考え、いろんな検討やスタディを重ねていくと、より完成度の高いすまいができると思います。まさに“建築はメッセージ”ですね!。

入居後の手直し部分
入居されて約1.5ヶ月ですが、不備な箇所も見つかりました。

@玄関ドアの不備→初歩的なミスでしたのでとてもはずかしい思いをしました早急に対応します
A子供室の引き戸がレールからはずれやすい→床にドアストップを設置します
Bキッチンのスイッチの位置が悪い→オーダーキッチンの”まく板”に付けたんですが調理の時にあたるそうです
Cルーフテラスの照明の位置が悪い→これについては明石大橋などの夜景を見られる時は照明を消してもらおうと思います

このようにいくら頑張ってやったつもりでもいくつかの不備が出てきます。予想できたこともありますが、お住まいになられてみないと解らない部分もあります。このような場合にも日頃施工者といい関係を築いていたらスムーズに対応してもらえます。

設計者からのメッセージ
建物の引き渡しは終わりましたが、これからT邸がどのように育っていくか楽しみにしています。10年経ったら中庭や正面の木も随分成長
しているでしょうし、玄関までのアプローチも草花が自然な形に溶け込んでいるでしょう、何よりも子供達の成長が楽しみです。この家でご
家族の皆さんが今まで以上に幸せに暮らされ、笑いが耐えることのないお家に育ってくれる事を心から願っています。




建築写真撮影:玉森潤一氏(玉森建築写真店)


主寝室




     
キッチンからリビングを見る





リビングからキッチンを見る(中央は光る床)





ロフト(子供たちの格好の遊び場)




■完成間際の状況です
 
以下の写真は設計者によるものです
     

 
■外観               ■階段室              ■自然光を下階へ      ■リビング             ■玄関



                                                      
プロジェクトチーム
                                           ・設計・監理:渇。田設計事務所 担当;横田佳史
                                           ・施工者:汲「しだ工務店     担当;石田 敦
                                           ・木材コーディネーター:泣Eッズ 担当;能口秀一
                                           ・大工
藤岡泰良
                                           ・大工:上田 認
                                           ・左官:渋谷工芸  担当:渋谷光延
                                           ・電気:葛サ和電商 担当;柳野 勝
                                           ・給排水:増田設備工業   担当;増田隆広
                                           ・ガス設備:伊丹産業設備  担当;近藤吉倫
                                           ・屋根;潟`ーゲル       担当;新井吉広
                                           ・硝子;拠村硝子      担当;中村克之
                                           ・オーダーキッチン:潟vロニ 担当;田代修二

 
                    

出会い
建築主
のTさんご夫婦は地域の工務店や工務店と同伴された設計事務所にプランを依頼されたそうですが、なかなか
自分達の思うような気に入ったものが計画されず、ある大手のハウスメーカーに相談されていました。これでやっ
と夢が叶うと思われたそうですが、それもうまくいかず
困っておられました。そんな時、ある方からTさんを紹介され、Tさん
”新しいすまいに対する夢”などをヒアリングしながらラフプランをご提案したところ、とても喜んでいただき
設計の依頼をしていただける事になりました。


      
 
□屋上からの自然光               □トップライトの自然光
 

ヒアリングの時の印象
一般的に建築主の方にヒアリングした時、殆どの方は何LDKとか、例えば主寝室が10帖で子供部屋が6帖でキッチンは
リビングは・・という具合に話される事が多いんですが、Tさんの場合はそうではなくて
”光と風の家”を自然素材
でつくってほしい・・・というご要望でした。これはある意味であなたの建築に対する考えをそのまま目に見える形
で提示してください、と。言われている・・・これでは下手な案は出せない・・。自分へのプレッシャーが押し寄せ
てくる。また建築主は納得いく家をつくるには自分たちはなるべく細かく口を挟まないほうがよいという事も知って
おられた。今の私(設計者)が持っている力を最大限に振り絞って如何に”気持ちがいいすまい”を提案できるか・
・何故か心地よいプレッシャーを感じていた。


子供達のスケッチ

子供たちに自分たちの家のスケッチを描いてもらいました。
  
            
ぼくたちの部屋                   ぼくたちの家

こんなだったらいいなあ!
左のスケッチの上には”天井は高め”と書かれている。

私たちの事務所では独自の”ヒアリングシート”を作っていて、そこに家に対する夢や具体的なご要望を書いていただくようにしています。建築主の方はこれに記入していただく事で、自分たちの求める家のイメージを設計者に伝わるようにしています。また具体的なご要望がなくても会話の中からくみとっていきますので大丈夫です。

どんな家にしたいですか(家に対する夢)
・自然素材でつくりたい
・手入れがしやすく、光、風をとりこみ気持ちのいい空間がほしい
・長く住んでも飽きのこない家にしたい
・シンプルな収納で統一したい(見えない収納にしたい)
・部屋にはなるべく家具を置かないようにしたい

 
何か不安な事はありますか?
・予算内で希望が叶いますか?。

垂水という地名
 敷地は神戸市垂水区・・「垂水」というのは「垂れ水」−「滝」ということで、東垂水から塩屋へ続く道路の北側に、水の滴りが絶えること
がなかった、昭和になっても駒捨の滝、琵琶の滝、恩地の滝、白滝があったとされています。今では跡形もありませんが、この滝が地名
の由来になったものと推測されます。万葉集にも「石ばしる 垂水の上の さわらびの 萌えいずる春に なりにけるかも」の歌にも垂水の
地名が表現されています。
私が知らなかった歴史が刻み込まれていた。


垂水区の花→ゼラニウム(花言葉・・・・・決心)
ゼラニウムは南アフリカを原産とするペラルゴニウム属の仲間で、日本に渡来したのは江戸時代です。葉の形がアオイに似ているため、
テンジクアオイの和名がつけられました。花の色はよく見かける真紅色のほか、白・ピンク・サーモンピンク・ローズと豊富で、春から秋ま
で楽しめます。日本では鉢植えで親しまれていますが、ヨーロッパではベランダや窓辺を華やかに飾り、観光の名所になっているところ
もあります。


ゼラニウム

計画について
敷地はJR垂水駅から北へ緩やかな斜面で登っており、まだかまだかと思って少し休憩しようかと思っていたらたどり
着いたという距離感ではないかと思う。時間にして約15分の位置にある。敷地の南側5Mの前面道路は東西に伸びてい
る。敷地の周辺は南面を除いて建物が接近しており、南面以外の外部は閉鎖的でありながら、内部を開放的にする事
で隣家とのプライバシーを考慮した。間口に対して奥行きが極端に深い形となっている為、中庭を設けてその部分を
開放的にする事、また敷地の北側は建築主のお兄さんご家族の家であり、仲良く行き来されているとの事、そこで路
地のような道をつくって子供も大人も安心して歩けるように、野草の植えられた小道をスムーズに兄弟の交流が出来
るように、そして毎日ここに帰ってくる事が楽しみになるように・・そんなシーンを想像しながらとても雰囲気のあ
る小道があればと思った。緑が心の栄養になるように、中庭と森のような小道、生活の中心となるリビング、それに
屋上の展望デッキやトップライトからの自然光を 
”光のスポットライト”のように、光よ1階まで届け!!・・と
期待した。これによって光と風通しのよい空間を確保できるのではと考えた。敷地と前面道路は約1.4m程度の高低差
があり、内部はより広さを感じていただくためにスキップフロアー(半階ずつ床がある)とした。リビングは開放的
に、個室は最低限のプライバシーを確保しながら楽しく飽きのこない”光と風の家”の実現を主題とした。

          
設計者の仕事とは

依頼者にとってどんな家が気持ちいいのか、それを読み、解き、形にするのが設計の仕事。
設計とは”夢を売る商売”であり、そこに”物語をつくっていく”のが仕事
設計は”すまい手や設計者”のメッセージ
設計者も設計する事を楽しまなければ決して気持ちいいものは生まれない。
 
□設計者として最もうれしい時

・建築が完成して依頼主のうれしそうな顔を見る時
・建築が出来てそこに人が入って、いい生活が行われているのを見る時
・一家の楽しそうな生活が感じられた時

  
監理がはじまりました

建築士法では『監理とは』現場が設計図の通りに行われているかどうかを確認していく作業・・・とありますが、それだけではなく、図面
では納まらない部分もあり、それを、より丈夫に、より美しく、より快適にと納まるように考えたり、完成度の高いものにしていくために行
う現場での仕事です。T邸ではA2サイズで約80枚の図面をつくっています。これらの図面や設計の意図が、すべて施工者に理解されて
いるわけではないので設計者が現場でいろいろな説明をしていく事になります。大工さんが勘違いをしていたりする場合もあり、今の段
階では1週間に少なくとも2回は現場に行って監理をしています。
図面があるからといって現場でその通りに施工されるとは限りませんし、すべての”設計図を理解して下さい”というのも無理な話なの
でしっかり監理しなくてはなりません。今までの大工さんの経験からこれでずっとやってきているんだという場合もあり、監理という仕事
が行われてはじめて設計の意図が繁栄されることになります。
”設計”と同様に”監理”も大切な仕事です。10枚程度の図面では思った
家はできないのです。又図面が揃っていても適切な監理が行われないと、こんなはずではなかった・・という事になります。60年〜80年
持たす家をつくるのは大変です。



■構造見学会
建築主様のご好意により2006年5月27日(土)・28日(日) 構造見学会を行いました。柱や梁は兵庫県産材を使っています。
神戸新聞などで掲載していただいたお蔭で多くの方に見ていただく事が出来ました。来てくださった方どうもありがとうございました。
それから二日間とも私たちスタッフに建築主Tさんの奥様が弁当をつくって下さいました。とてもおいしかった。ありがとうございました。


□見学会の様子
一般の方16組
建築関係の方10組来てくださいました。


■建て方
                    
まる二日間かけて棟が上がりました。石田さん大工さんご苦労様!。
この後、建築主と一緒にみんなでお祝いの乾杯をしました。


立ち木販売システム
                    
木の家をつくっていくと何故かはまってくる・・なぜだろう?。
大地が育んだ木や土は、とても美しい。そしてその木が柱となり、梁となって骨組みをつくり、架構となって空間をつくっていく。
その力強さや美しさは工業製品にはとても真似することができない。柱や梁を化粧で見せたい場合、その品質、木材の乾燥具合が問題
になってくる。乾燥材はどうすれば手に入れられるのか、以前は品質のチェック機能を果たしていた材木業者も、単なる流通業者になって
しまって、私たちが必要とする乾燥材が既存の流通の外にある現実で私たちは乾燥材を手に入れるために木材コーディネーターのお世
話で直接林業家から建築主が木材を購入するという、
木材直接購入方法を必要にせまられてはじめる事になった。今回は建築主が直接、山の立ち木を選んで柱の構造材にしていく立ち木直接購入システムを利用した。山の斜面は急勾配で歩きにくく当日は雪が降ってきて
いい雰囲気のもとで木を選ぶ事ができた。

■製材された木材
                     
建築主が山に立っている木を選                         ■木は十分乾燥していないとカビが
 んだものが見事な柱になりました
。                     はえたり、暴れたりします。
                                                これは木の含水率を測っている
                                               ところです。

       
           
                   
兵庫県日高町の栃尾商店製材所                  ■プレカット加工(機械加工)の入念な
                                     
チェックをしています。
山で伐採された木はここで製材され                        
ました。                                        今回の架構はスキップフロアーなので

2006/3月ー山肌にはまだ雪が残っ                        特に気合を入れて取り組みました。
ていました
。                               ここを間違えると大工さんが組み立て
栃尾さんが昼食に、わんこ蕎麦をご                         られなくなります

馳走してくれました