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東洋医学でアトピー性皮膚炎の治療に取り組んでいらっしゃるKさんというお医者さんからメールを頂きました。
その中から、ステロイドと腎に関する部分を抜粋して、御許可を得て掲載させて頂きました。
大変、詳しい説明をして頂いて、恐縮です。この場でもう一度お礼申し上げます。
抜粋・改行・下線付けは、私アヤハトリが行いました。
1998/11/2
from:Dr.K
アトピー、喘息には、ステロイドをまず、最初に使用すれば、かなりの確率で難治化しるようです。
結局、この経験から、漢方に転向しました。
学会での発表をみるにつけ、ステロイドでコントロールができないくらい大量に外用、点滴で投与し続けた挙句、免疫抑制剤の点滴でコントロールして
いると講演している先生もおられますが、どうでしょう。
最初にステロイドに手を出さなければ、そんなことにならずに済んだとどうしても思えてしまいます。
この大学の先生は漢方も用いたけれど、よくならないと言っていましたが、東洋医学的弁証が全然なく、白虎加人参湯をなんとなく用いたというものでした。
こんな状態まで行って弁証もなく、そもそもこの時期にこの薬では効かなくて当たり前です。
1998
/11/02
from:アヤハトリ
>結局、アトピー、喘息には、ステロイドをまず、最初に使用すれば、
>かなりの確率で難治化しるようです。
正直言って、この問題はもう10年以上前から議論はあるのに、どうしていまだにスッキリしないのだろうかと思います。
ステロイドを使用する事で難治化する事は、まだ充分な証拠が無いのでしょうか。
このような事は、他の人の経験を聞いても、そういう傾向が透けて見えるのですが、いまだに否定する医者も多いようですね。
というより、否定する医者の方が主流でしょうか。
そういう医者は、「最初に」ステロイドを使用して悪化させない事が、後の難治化を防ぐのだと言います。ステロイドを「最初に」使用するべきか否か。
これからの人は迷うでしょうね。小さなお子さんなどで、ステロイドを使う前から重症となっているような場合、塗らずに頑張るというのも大変でしょう。
そこで漢方薬の登場となるのでしょうが、これがまた、たまにしか効かない。
Kさんに言わせれば、使い方が間違っているのでしょうが。
正しい漢方を処方するのはそれほど難しいのでしょうか。
私もリバウンド時、半年以上漢方を服用していましたが、心持ち効いたかな?という程度でした。
漢方は難しいですね。
>白虎加人参湯をなんとなく用いたというものでした。
>この時期にこの薬では効かなくて当たり前です。
これは、どの辺が間違っていたのでしょうか。
素人に一から説明するのは、無理かも知れませんが。
注:白虎加人参湯(ビャッコカニンジントウ)
「セッコウ・チモ・カンゾウ・ニンジン・コウベイ
比較的体力がある人で、急性症では激しい口渇や発汗、身体的灼熱感などを伴って高熱を発する場合に用いる。
慢性症では、口渇、局所的灼熱感、のぼせ、発疹、皮膚掻痒感、時として尿量の増加、発汗などを呈する場合に用いる。」(治療マニュアル1998、医学書院より)
アトピー性皮膚炎で
よく使われる漢方薬の一つ。
1998/11/8
from:Dr.K
>ステロイドを使用する事で難治化する事は、まだ充分な証拠が無いのでしょうか。
十分あると思います。
一見、成人発症タイプに見える成人型アトピーも全員乳児から思春期にかけて、大量のステロイド使用の既往のある人です。
つまり、遠隔リバンドという考え方があります。
一方、当院でステロイドを全く、使用せずに来院して治療した人は、数カ月以内に治癒し、その後、発症することは、ありません。
このステロイドの既往の無い人にステロイドは絶対に出しません。
馬鹿みたいに簡単に治ります。
しかし、このような例は、乳児の一部でその他の年齢の人はステロイドでどうしようもなくなり、来院する人が多く、既にリバンドを伴っており、難治性です。
>
このような事は、何人もの他の人の経験を聞いても
> そういう傾向が透けて見えるのですが、いまだに否定する医者も多いようですね。
>
というより、否定する医者の方が主流でしょうか。
> そういう医者は、「最初に」ステロイドを使用して悪化させない事が、
>
後の難治化を防ぐのだと言います。
全くの出鱈目です。
まず、使用するから、アトピー+ステロイド皮膚炎になり得るのです。
偶々、治るように見えるのは、ステロイドの副作用が出る前に症状が軽く治まっているに過ぎません。
つまり、過敏性体質が強く様々なものに反応する人の場合、結局、ステロイド皮膚症を併発するくらい使用するようになります。
そもそも、全く、使用せずに治せば良いだけです。
後からわざわざステロイド皮膚症+アトピーというより困難な状態になって治すより易しいことは素人目にも明らかですよねえ。
だってリバンドがひどい場合は患者さんの苦痛もひどく、結局、泣く泣く、以前その患者さんが長期に使用していたものを徐々に薄めるしか手はありません。
でも、これも体質的に治療を併用しない限りもた、ステロイド依存生活に続けざるを得なくなり、どこまで、ステロイドの効果なのか、絶えず見極める必要があり、根気が要ります。
ステロイド容認側に立って考えると、もし、最初の軽いうちに使用したとしましょう。
結局、だんだん、効かず、ステロイドが切れる毎に範囲が拡がり、より強いものにシフトせざるを得ない場合、果たして、どうすれば、止めれるのでしょうか?
また、塗り始めの時、どの人が最初から依存症になる人が解りますか?
また、そうなった場合、どうするのでしょうか?
容認派は、原因を考えると言いますが、まず、ステロイドの前に原因追求があってしかるべきはずです。
皮膚の症状をマスクして、どうして原因追求できるのでしょうか?
私はアレルゲンの検査も結果を見ているに過ぎないと考えます。
まず、過敏性があって結果、様々なものに反応している、ただ、それを調べたに過ぎない。
つまり、過敏性体質になった原因を探るべきです。
乳幼児の場合は、消化管アレルギーの関与が最早、常識ですよね。
つまり、消化能力がより未発達な場合は、蛋白を十分分解できず、その結果、身体が、異物と認識し、抗体を生じ、食物主体のアレルギー症状として、アトピーがでている場合が殆どです。
なんのことはない消化能力を高めれば、この時期のアトピーは、すぐに治ります。
東洋医学ではこの状態を簡単に言えば、脾虚であり、それを患者さんに合わして治療したということです。
いや、こんな小難しい理論のある前より東洋医学では子供は幼脾稚腎といい消化機能の未発達や、内分泌、骨、腎機能の未発達があると言っています。
成人も本当は、そんなに難しくありませんが、大部分の人は、長年のステロイド使用で様々に体質が修飾されているので、その場合は、弁証も難しくなります。
>ステロイドを「最初に」使用するべきか否か。
先程、申しましたように、全経過を通じてステロイド未使用者の治療は、極めて平易です。
しかし、ステロイドを塗って1晩で真っ白ていうのと較べると駄目です。
でも、1、2ヶ月で完治します。
一方、ステロイドを塗っている人の多くは、その頃も1晩で奇麗になる治療に感動しているだけで、本当は治っていないということすら気付けないでしょう。
>そこで漢方薬の登場となるのでしょうが、これがまた、たまにしか効かない。
>
私もリバウンド時、半年以上漢方を服用していましたが、心持ち効いたかな?
> という程度でした。
20年も塗っていたものの清算がそんなに早く済むでしょうか?
これは、リバンド極期ですから、あくまで見かけで判断するならば、ステロイド減量を組み合わすしかないでしょう。
8ヶ月もすれば、リバンドがひどくて、ステロイドから、離れなくなり結局、皮膚科に戻ると書かれているものが、ありました。そのくらい、長期に渡り、ひつこいくらい、ステロイドの亡霊に追われる訳です。
当院でもステロイドをもう1ヶ月も止めているのにこんなに悪くなったという人がいますが、リバンドは、そんな生易しいものでありません。
どうしてステロイドを20年も使用していたことには、寛大で我々はこんなに評価が厳しいのでしょうか?
リバンドで醜い状態を1年我慢しても良いですが、このような状態の人に言いたいのはどうして、そんなに簡単に長時間で変わった体質が治るのか考えて戴きたく思います。
結果、ステロイドのせめて減量するのに要する時間の間、半年から1年は見かけを重視するならステロイドを泣く泣く併用せざるを得ないと思います。
しかし、我々にはこの半年から1年のステロイドの使用の猶予すら与えてくれない人が多く、漢方を飲むと安心するのか、すぐにステロイドを止めてリバンドを起こし、こんなに治ってないと怒られます。
それなら、最初に塗らない状態で来て戴いたらと本当にいつも思います。
もちろん、ステロイドを用いる場合も以前に使用していたものが判明すれば、それを10とし、また塗っていた回数も直近の1年程度の回数を10とし、それから減量します。
リバンドを出さずに治すためには、せいぜい、最初は強さ、回数ともどう頑張っても、6割くらいからスタートし、半年から1年で0にするようにします。
見かけ判断されるなら、我々にもせめてこの程度の猶予は与えて欲しいのが切なる思いです。
1年でステロイドを離脱できれば、一生塗るより余程良いと思いますが。
もちろん、一切、塗りたく無い人も結構ですし、実際おられますが、リバンドは漢方と言えどもすぐには、消せないことを納得して欲しいと考えます。
>>白虎加人参湯をなんとなく用いたいうものでした。
>
これは、どの辺が間違っていたのでしょうか。
ステロイドは純陽の品ですので、特に腎が弱り、塗っている最中は腎虚火旺になり、止めると腎陽虚に次第になります。
更に大量に使用していれば、腎両虚で陰陽失調になります。
この状態に元来の体質が関係します。
女性の場合はこの段階で手足の冷え、朝の目蓋の浮腫や、生理痛の悪化、場合によっては偏頭痛、便秘を併発するようになっています。
一方、白虎加人参湯ですが、清熱生津、益気となりますが、これでは補腎作用がなく、また、生津により、滲出液が増える恐れがあります。
この時期ではとてもこの薬で単純に清熱できる訳がありません。
もう、すでに、ステロイドで皮膚はズタズタですから、とても一気に生津できないでしょう。
まず、血液の流れ、それも、戻す方から回復させるより手はありません。
それと補腎と、元来の体質でしょう。
1998/11/
from:アヤハトリ
>20年も塗っていたものの清算がそんなに早く済むでしょうか?
いや、ごもっとも、ごもっとも。
私自身、リバウンドを墳火山に喩えていながら、漢方ってあんまり効かないとか言ってしまう。
すみませんね。
マスコミで何度も「ステロイドは良い薬」というのを読んでいると、ステロイドを長期使用していた事も大した事ではないような気がしてくるのです。
白虎加人参湯のこと、詳しく答えて下さってありがとうございます。
興味深く読みました。
読みましたが理解は多分出来てません。すみません。(~_~;)
素人には、もう少しやさしく書いて頂かないと…。
98/12/02
from:Dr.K
腎について
「腎」は五臓の1臓器に過ぎませんが、ステロイドと最も関係ある臓器ですのでこれからはじめましょう。
「腎」とは、何ぞやから始めましょう。
「腎」の定義は2000年以上前の解剖学がまだ、発達していない時にできました。
つまり、我々が今、腎臓と呼んでいる臓器は、この時の概念の機能の一部を行っている臓器に腎臓と命名したものであり、それが切り離されて一人歩きしたものです。
つまり、東洋医学の「腎」という概念が間違っているのではなく、後に西洋医学的上概念(=機能)の一部を行っている臓器を腎臓に命名したために混乱が生じていることをまず御理解賜りたいと思います。
最初、西洋医学の解剖名が日本に無く、東洋医学の五臓六臂の名前を適当に当てはめたのは杉田玄白で、書物は皆さんお馴染みの解体新書でした。
では、「腎」とは何でしょうか。
金匱要略の素問に説明されています。
腎の功能としては
1.蔵精、発育生殖を主る。:
精とは人体生命活動の物質基礎であり、臓腑の化生する後天の精(生後、消化呼吸によって得られるエネルギー及び栄養)と生育繁殖の基本的物質即ち先天の精(両親から受け継いだ体質及びエネルギー、身体)を包括する。
2.水を主る。:
体内の水液の輸布と調節は、肺、脾、腎などと(東洋医学では水の吸収
する脾=消化器、呼吸によって特に吸気によって陰圧で静脈系から血液循環を助け同時に酸素交換した後に、新鮮な血液を心臓を経て、全身に再び還流させ又、同時に呼吸によって呼気に水蒸気を排出している肺、尿の生成、再吸収で尿量を調節している腎)などとの共同により完成する。
但し、腎陽による推動を必須とする。
3.命門の火を主る。:
命門とは腎臓生理功能の発源地を指す。
先天と後天の精がその営養を全身の各組識器官に与えて、こう生後代(生を次の代に広げる)の働きを発揮するためには、命門の動力に頼ることが必須である。
又、腎の華は髪である。
つまり、腎の程度が髪の毛で理解できるということです。
例えば、乳児期に髪の毛が少ない子供とか、若年性の白髪や、中高年期のはげている人は、腎気が少ないと考えます。
腎は耳と二陰 (肛門、尿器)に開窮する。
例えば、夜尿症、尿頻数(尿の回数が多い)、尿不利(尿が遠い)、尿失禁、便失禁、下痢をしやすい、耳鳴、耳が遠いなどの人も腎にトラブルがあると考えます。
身体との関係では、骨を主り、生髄通脳する:
腎は精を蔵し、精は髄を生じ、髄を養う。
髄は骨を養う、骨は能髄を蔵し、髄は脳に通ずる。
腎精強ければ、則ち骨、髄、脳の機能正常にして強健である。
これは、例えば乳幼児の時に虫歯が多かった、歩き始めが遅いとか、走ったらすぐこけたとか、口葉が遅いとか、成人になってからは腰痛持ちの人、ストレスですぐノイローゼになる人とか、又、老人になってからは痴呆が早くなる人とかです。
次に五行の考え方からの他の臓器との関係
肺と腎:
肺は粛降を主り、水通を通調する。
腎は水の輸布(運び撒き散らす)と調節を主る。
故に人体水液の代謝功能は肺、腎両臓との間に密接な関係を持ち、特に呼吸功能は腎気の協助を必要とする。
西洋医学的は死を目前とした人で、息も絶え絶えになっている人に“腎陽”の機能を外から投与されている。
つまりエピネフリン(交感神経刺激薬)やステロイドである。
これで一時に救命している。
腎と肝:
肝と腎二臓関係は主要な点は相互滋養の関係である。
肝臓血
(肝は血を蔵す)腎蔵精(腎は精を蔵す)、肝血は腎精滋養に頼り、腎は肝血を得てその精を充す。
このように、肝腎二者の間には相互資性(相互に生を資ける)、相互為用(相互に利用しあう)の関係があり、それ故に“肝腎同源”である。
西洋医学的に考えると消化器から養分の多い門脈が還流する肝は、化学工場として腎は内分泌系として、血液に生命維持に必要な養分、ホルモンを供給している。
又、肝も腎もお互いにこの血液で養われている。
脾と腎:
脾は後天の本、腎は先天の本。
腎精は脾の運化した水穀之精微によって充養し、脾の運化功能は腎陽の推動に頼ることにより、正常に保持される。
これが、“先天促後天、後天滋先天”という関係である。
また、脾と腎は水液代謝の面で相互強調し、これにより人体中の水液の正常運化が維持されることになる。
西洋医学的に考えると、胎内で作られた消化器が、消化器ホルモン、神経伝達物質等によりコントロールを腎で受け、又腎自身も当然、消化器から吸収される栄養によって養われていることから理解できる。
更にわかりやすく考えると、下垂体が出産時、急激破壊されてしまうsheehan症候群では、つまり消化器が内分泌系のコントロールを受けなくなると下痢が止まらなくなり、又栄養失調になると内分泌も抑制されて、新旧代謝が低下します。
そして最后には、“本”つまり、身体がやせ細ります。(腎と関係ある腑としては、膀胱があります。)
腎と心:
心は上にあって陽に属し、腎は下に在って陰に属し、この心腎二者の間には陰陽升降平衡協調の関係がある。
心は神志・思維を主り、腎は蔵精を主り生髄通脳(骨髄、脊髄を生じて脳に通ずる。)、二者協調して人の思維、神志、精神を維持する。
西洋医学的に考えると、内分泌系は精神状態に多大な影響を与えているのは、容易に理解できます。
又、心不全になって全身浮腫がおきると、腎機能も次第に低下していくので理解できます。
心→神は現在医学ではピンときませんが、心不全になって結果的に血液循環が低下すると、100%グリコーゲンにのみ栄養補給を与っている脳は、著しく機能低下がおこり、無欲様の症状になることからも理解できます。
心自身は腎の調節する水分量で結果的にポンプ機能を調節されたり、腎から放出されるACE、副腎皮質から分泌される鉱質ステロイド、副腎髄質より分泌されるカテーコラミン(アドレナリン、ノルアドレナリン)で、血圧のコントロールを受けている。
以上が腎全体の機能です。
次に腎は、腎精と腎陰と腎陽に分けて考えます。
図式化して考えると腎精が根で腎陰と腎陽がお互い、腎精の上に生育しています。
つまり陰陽互根です。(図1↓)

それぞれを西洋医学にそれぞれを見ると、腎精とは視床下部〜下垂体〜副腎、胸腺、リンパ節、腎臓、精巣、卵巣、脾臓、肝臓の網内系、甲状腺自身と生まれた時の身体全体と機能と考えます。
腎陽は免疫系、内分泌系、、脾臓や肝臓の網内系、自律神経系のホルモンやサイトカインを分泌することによる結果としての機能と考え、腎陰は体内の体液量、骨、脳髄自身と考えます。
又、腎は生后発育してと書かれています。
女は二七(二×七=十四)で月経が始まり、男は二八(二×八=十六)で腎気が盛んになり、天葵が至り、精気が溢れ、陰陽が和してる子供を持つことができるとあります。
これと同時に免疫系もこの頃からピークを迎えます。
簡単に言えば、内分泌系、免疫系等に十代後半から四十代後半までピークを維持します。(図2↓)

腎陰と腎陽は、つまり陰と陽は昼と夜、太陽と月、女と男のようにバランスが取れて身体のバランスも取れると考えます。
更に腎系は足少陰腎系という系格で、身体に腎気を循環させています。
以上を踏まえて、東洋医学でいう腎の病気の入り口に立ったことになります。
漢方薬は個々の生薬に帰経(つまり、五臓のどこに作用するか)と薬性(寒温、湿燥、滋養利水、駆・血、気剤)を考え組み合わすのです。
ここまで来れば、ワンパターンで白虎加人参湯、柴胡清肝湯、温清飲、消風散、黄連解毒湯等を投与している、いいかげんさが理解できます。
つまり、最早、これは漢方でも東洋医学ではありません。西洋医学の薬を胃が悪いからと言って、出たらめに消化器の薬を飲んでみたというのと変わりません。
次にステロイドと腎との関係です。
今まで見てきた通りステロイドは腎陽の一部に過ぎませんが、ステロイドは“純陽”つまり“腎陽”と定義することができます。
だから、外から腎陽の一部であるステロイドを投与すると(図3)、結果的に体内の腎陽は衰え、長期投与すれば腎陽の根である腎精自身は衰えます。(図4)

又腎はバランスを取ろうとするので腎陰も衰えてきます。
しかし、ステロイドを与え続けると、一部腎陽を外来的に補っているので外見的には徐々に腎陰虚つまりステロイドを塗布していないところが乾燥し、熱を持ちやすくなっていきます。
この状態が徐々に範囲が拡がっている状態です。
更に、一時的にステロイドを止めると腎陰が急に外からの腎陽が補給されなくなるので、過剰になり、湿疹部から浸出液が出るようになります。
又湿があると熱を持つので湿熱になり、発赤もひどくなります。(これは服の一部分を水にぬらし着しているとその部分が熱を持つので理解できます。)
更に長期にステロイドを与えると腎精自身にも委縮が進行し、腎陰、腎陽とも衰えてきます(図5)。
こうなると、ステロイドを止めなくても、外来性のステロイド、腎陽それも一部だけで、更に腎陰がなくなってきますが、肝腎同源で肝陽上亢で顔面にアトピーが発症します。
(体液が減って、体内に虚火という熱を持ちさらに火を鎮める腎陰がなくなって、火を上に昇るつまり、顔面紅潮と皮疹です。)
大体のこの状態で東洋医学の門をたたく人が多いですが、もうかなり悪化しています。
どう考えてもすぐに治癒しないことがわかると思います。
又、この時期にステロイドを急に止めると突然外来性で一部補っていた腎陽が大幅に身体とって減ったことになり、背中にもものすごい寒気がします。
場合によっては、下痢したり尿が出なくなって、浮腫んだりします。
更に腎精も衰えているので腎陽と腎陰のバランスが悪く陰陽失調になり、熱くなったり、寒くなったり、全身はカサカサなのに顔は熱を持ちほてり、浸出液も多量に出ます。
この状態がリバンドです。(図6)

我々はこの状態で、ステロイドを止めました、だからもう副作用は出ないんだから、1週間で、1ヶ月で良くしてくれと言われます。
20年もステロイドを塗ったのだから1〜2年の時間と腎精を立てなおす時間3ヶ月〜1年はステロイドと減量に時間を要すことはこれで理解できると思います。

ステロイドを塗ってない患者を治せない漢方医はダメでしょう。(何才でもほぼ全員治ります。)
しかし、ステロイド依存症の人をステロイドを止めたんだからすぐに治せと言われるのは言いがかりでしょう。
車に置き換えるとクラッチをつないだまま、無理やり、牽引車で引っぱり、エンジン(腎)が焼き切れた状態です。
エンジン(腎)を治そうとしているのに皮膚科医はすぐに動かないから、そのまま牽引しなければいけないと言っている状態です。
患者さんもこのまま走り続けることを(見かけを良好に維持したまま治せ。)強く望みます。
結局、一時停止して(一時大幅な陰陽失調をおこしながらも腎精から治すか)か、牽引しながら(例え、腎陽の一部しか補えないステロイドを一時的に併用しながら腎精を立て直すか)エンジンを治すしかありません。
これが、リバンドで1〜2年がまんしながら治すか、ステロイド漸減しながら治すかの違いではないでしょうか。
非常に残念なことは軽症のうちには、アトピー患者は殆ど来院せず、大部分がステロイド依存症の患者しか来院しないことです。
又、リバンド症状が殆ど我々の治療中に出現しているのは、患者さんがステロイドを急に中止することですが、それでも一定の時間を載けば治しますが、すぐに治すのは無理です。
ここまで読めば、リバンドはステロイドを全く投与していない人には生じないことが判ります。
だって我々の治療は本治であり、ステロイドのように何回も治ったように見えてその都度感謝されることは無く、治療している方も息が詰まりますが、正しい治療の場合は、たった一度の治った状態=治癒ですから当然ですよね。