Q.1「健康食品の業者に、ステロイドで奇形児の確率が高くなると言われた」
A.1「影響はない」

A.2「妊婦とステロイド」
A.3「日本医薬品集には」
A.4「悪質な業者」

Q.2「対葉豆ってご存知ですか?」
A.1「必要ない」
A.2「中医学的には」
A.3「数々あった健康茶」

Q.3「瞑眩と本当の悪化は見分ける事ができますか」
A.1「ほとんどがリバウンドと本当の悪化」

お便りを下さった方とご回答頂いた先生方に、あらためてお礼申し上げます。
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Q.1
「健康食品の業者に、ステロイドで奇形児の確率が高くなると言われた」
(99/12/14)

HPじっくり読ませてもらいました。私もステロイドを小さい時から使っています。
症状は今は子供の時よりにひどくは無いのですが、薬はかかせない状態です。顔には軽い薬・体のひどいところは強い薬を(何が軽くて何が強いかは解りませんが・・・)コワイコワイとは知りながら勉強不足でした!
あやはとりさんのHPを読み考えさせられました。

実は1週間前から寝られない日が続いてます。私は今28歳です。
1999年7月に結婚してまだ6ヶ月ですが、これからこどももつくろうかなぁ。と思っていた時・・・1週間くらい前にある健康食品を扱う会によばれ参加した時のお話の中で・・・ステロイドなど長く使っている人は、体の中にもたまっているので(詳しく言うと子宮などにたまるといっていた)あかちゃんなどに影響が出やすい。障害児・奇形児などの確率が高いと言われたのです。

その日から怖くなり、まわりに情報も無いのでどこに聞いていいかもわからず一人寝られない日が続いて、あやはとりさんにメールしました。
全くくだらないことかもしれませんが、もしあやはとりさんにこのことについての情報入手が可能であればなんでも結構ですので教えてください。
私も「ステロイド」についてもっと考えたいと思います。これからの自分を!
とても衝撃的でした。本当に考えさせられました。ありがとうございます。

A.1. Dr.Jのお答え

ステロイドは体内には蓄積しません。
皮膚で吸収しているそばから分解されます。
蓄積するのは皮膚のちょっとした機能異常です。

子孫をつくる機能への影響はほとんどないです。
妊娠中にところどころ塗っても胎児への影響はないです。
膠原病でステロイド飲んでる人でも、病気が安定しているときは妊娠出産します。
総じて健康食品の危険性と大差ないです。 
高い健康食品食べるなら、同じお金で毛ガニとか、うまいものたくさん食べてハッピーになった方がいいです。そうしてください。 

A.2.Dr.Kのお答え

妊婦がステロイドに不安を感じるのも当たり前でしょう。 自らの経験でステロイドの習慣性や長年塗り続けて部位の 皮膚局所の異変を知っているからでしょう。
その疑問にすら まともに答えて貰わず、単にステロイドの塗り方が悪い、 掻きすぎだから、そのうち治る、いやもう一生治らない、 皮膚が色素沈着したり脱出したりするのも掻くからだ、 いや、炎症が続いているからステロイドを塗ってればそのうちに 治る、 という答えしか貰っていないのでしょうから。
そのような薬を妊娠中に塗り続けることに疑問に感じるのは、 母性本能としての当然の反応でしょう。

ステロイドと奇形の問題は、口蓋裂、口唇裂が動物実験でステロイド投与群で有意差があることは20年以上前から確認されていますが、実際に臨床的にはどの程度なら絶対に大丈夫という文献はありませんので、安全性の確認されているステロイドの量は不明です。
つまり、ステロイドの注射や内服でも一般的な臨床レベルでは現在、問題となるような出生時の外観上では奇形が少ないか有意の差が無いように見えるのと、全身投与に較べれば、ステロイド軟膏の方が大丈夫かもしれないとしか言えないと思います。

また、最近気になることですが、ステロイド外用剤の副作用を副腎のみに限局して矮小化しているお話されているお方もおられますが、一般レベルの医者の間でもかなり前から、免疫、内分泌、免疫のトライアングルについての話題がのぼるの時代です。
局所の炎症のインターロイキンの増減とCRH(副腎−下垂体−視床下部のホルモン)との関係やインターロイキンと大脳辺縁系のCRH RECEPTOR経由による自律神経への作用などです。
何も脳への伝達経路はホルモンだけでは無く、インターロイキンなどの免疫物質や神経末端からの刺戟を介して中枢神経に指令が伝わり、それが全身へ影響を及ぼします。
つまり、ステロイドで一見の全身のホルモンが動かない状態でも既に免疫、自律神経、内分泌系は影響を受けています。つまり、副腎抑制がまだ無ければ、全身への影響は軽微であるとは必ずしも言いきることができないはずです。

それと他院で膠原病でステロイド服用中に出産した女性も来院してますが、子供は生後すぐからひどい喘息でした。当然何回も入院するほどでしたが、うちに来院して漢方で子供は数カ月で発作はなくなりました。(経胎盤的に胎児の免疫系にも作用しているのでしょうか。)
更に膠原病のお母さんも半年でステロイド不要になられています。(それなら何のために最初からステロイドだったの?とそのお母さんは言っています。)

ひょっとすれば、アトピーと同様に膠原病ですらステロイドは 不要かもしれないと思います。 膠原病だからステロイドでないと死ぬというのは、頭を傾げてしまいます。
確かに放置すれば、死に至ることも否定しえませんが、漢方で治してもアトピーと同程度の難易度に過ぎず、難しいけど治るという手応えを感じます。
反対に、アトピーと同様に膠原病もステロイドで難治化しているだけではないのかと感じています。
自然治癒しそうな膠原病の患者にもステロイドで難治性になった為患者の分母が大きくなったので膠原病の死亡率は減ったように見えていますが、怪しいように思います。

ステロイドを微量でも乳児期、胎児期に浴びれば、永久的に免疫系の機能が変わるという論文も見られるし、最近はトランスジェンダーの問題にも胎生期のある時期に極微量ホルモンの関与が解明されつつあります。
これをホルモンシャワー説と言います。(インターネットで調べると何個か論文が出てきます。)
ステロイド自身は代謝されて体内から消えても影響が残ることがよくわかる例です。だから、ステロイドは直ぐに体内から無くなるから影響はないとは言えず、ステロイドは消えても影響が残る可能性があります。
リバンド現象なども、そのわかりやすい最たるものでしょう。
はっきり言えることは、妊婦における胎児の将来への影響も考慮するとステロイドの安全量は内服、外用共不明ということです。

A.3.木村漢方薬局さんのお答え

ステロイドの副作用ですが、1999年度の日本医薬品集には、

内服の場合:
動物実験で催奇形作用が報告されており、また新生児に副腎不全を起こす事があるので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にだけ投与する。

外用の場合:
妊婦に対する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人に対しては大量又は長期にわたる広範囲の使用を避ける。
とあります。いずれにしても安全性は確立してないようです。

しかし実際の臨床では、妊婦さんでもステロイドは使われており、処方された医師の監督下で使用される事が多いです。
問題なのはステロイドを使用する事ではなく、いかにステロイドを切っていくかという事です。
これが非常に難しく膠原病のような場合西洋医学ではステロイドを切るという考え方はまず出てこないでしょう。現代医学の限界が来ているのだと思います。

A.4.私のお返事

安全性の確認されているステロイドの量は不明」というのは正確な表現に違いありませんが、ステロイド内服している人と、長期とはいえおそらく中程度のステロイド外用剤を所々塗っているだけのこの方が、同様に心配するのは実際的ではないと思います。
「治療薬マニュアル」のデルモベート(strongestのステロイド外用剤)の項には「妊婦:回避。動物で催奇形性」とあります。
ですが、ベトネベート(strongのステロイド外用剤)の項では「妊婦:大量又は長期・広範囲の使用回避(未確立)」の注意はありますが、「催奇形性」の言葉は見えません。

車を開発製造している人間が「交通事故の死亡者数なんかよく知らないなあ。排気ガスも身体に悪いらしいけど、いいんじゃない適当で。」等と言っていたら無責任の極みでしょう。
しかし、近所の買い物の時に乗るだけの一般人が「明日、私は交通事故で死んでしまうかもしれない。」と毎日夜も眠れないほど考えるのは、妥当ではないと思います。
車に乗るのをやめても、歩いていく方法や電車の乗り方を知っている人はいいですが、とんでもない所に迷い込んで遭難する人もいます。

薬の事典でも一度見てみてください。ステロイドに限らずズラズラと大変な副作用が並んでいます。「妊婦への安全性が確立していない」と書かれている薬は多いです。
コワイと言うなら全ての薬はコワイ面があるでしょう。

私が注意すべきだと思うのは、自分の使っている薬について何も知らない事、知らないが故に不必要な薬を使い続けてしまう事、過去の失敗例を無視する事、同じ失敗を繰り返す事、知らないが故に失敗している事に気がつかない事です。

推奨するわけではありませんが、妊娠中に外用剤を塗っていて元気な赤ちゃんを産んだ人はたくさんいます。
外用剤を塗っていた人間に障害児や奇形児が多いという統計はどこにもないはずです。(ですから、現在ステロイドを使わないアトピー性皮膚炎治療を求める声が大きくなっていますが、別に催奇形性が理由ではありません。)
そのような誤解を故意に与えて健康食品を売り込む業者は、悪質です。

ステロイドの安全性の議論と、その健康食品が効果があるかどうかは無関係です。
「……の可能性がある」と書かれた事を「……である」と誤読しないよう、また、ここの話を読んだ事が、わけのわからない健康食品を買う事に直結しないようお願いします。

*参考 http://home.att.ne.jp/sea/pill-110/edc.htm#
  (環境ヘルモンとしての医薬品 ページ下段「副腎皮質ホルモン」)

 

Q.2
「対葉豆ってご存知ですか?」 (99/12/13 )

「対葉豆」というお茶を試されたことはありませんか?
もう2年くらいになるんですけど、はじめの頃は効果があったのですが、最近これといって効果はなく、今は普通のお茶代わりとして飲んでいます。
やたら、そこの会社から、注文の電話がかかってくるし、この前、「週刊朝日」で、プロトピックの記事と、民間療法でアトピーが悪くなったという記事が載っていまして、その民間療法のなかに、対葉豆の写真も載っていました。
もし、対葉豆のことで、何かご存知でしたら、教えてください。よろしくお願いします。

A.1.Dr.Jのお答え

健康食品の業者に病名、住所や連絡先を知られてしまったのは失敗でしたね。
あなたの名前は「健康食品を買うような人」の名簿にリストアップされ、たびたび様々な健康食品の通信販売、訪問販売の対象になるかもしれません。
たとえば、一つの会社がつぶれたときに、借金のカタに顧客リストが流出することだって考えられます。 「対葉豆」がなくてもアトピー性皮膚炎の治療はできます。

あなたには「対葉豆」は必要ありませんが、業者にはあなたが必要なのです。

あなたのサイフの中身に興味を持たずに治療しているのは、保険診療の医師だけです。それはタバコと同じ、全国一律の料金だからです。
それ以外のものの本質を理解するのであれば、まずお金の流れの分析から始めた方がいいでしょう。 

A.2.木村漢方薬局さんのお答え

対葉豆はインドネシアに広く分布するマメ科の植物で、中医学的には止痒剤(痒み止め)の範疇に入ると考えられます。
薬草の大辞典である中薬大辞典には和名としてハネセンナの名前で収載されています。
対葉豆がアトピーに良いという広告が全国展開されてから、爆発的に有名になりました。健康食品販売業者の広告は、いかにも全ての人に良いみたいな書き方があり困ったものです。

中医学では対葉豆と同じような働きを持つ薬草が沢山あります。
例えば、地膚子、白セン皮、露蜂房、苦参等、まだまだ有ります。
だからと言ってこれのみを使用してもアトピーが治らないのは、わかり切った事です。
痒みを起こしている根本原因を考えずにただ漠然とアトピーにいいからと使用しても、結局はみなさんが思っているほどの効果が出なければ、効かないとして忘れさられてしまうのです。

漢方薬も同じく、効いた人や効かない人がいるのは、体質的な問題ではなく、漢方薬を出す人の力量によるのです。
対葉豆や痒み止めの薬草を使用しなくても、根本の悪い所を治していけばアトピーは治るものだという認識があります。
薬草は全て使い方が有り、使い方が間違っていれば当然副作用や、悪化がみられるわけです。この使い方をまとめて医学にしたものが中医学(中国医学)です。

と言っても中医学も万能ではありません。
時間もかかるし、本人の努力も必要です。こういった全ての条件がそろってこそ初めて完治が望めるのです。
長々と書いてしまいました。最後に私がいつも思っている事があります。一人でも多くの人がアトピーの苦しみから開放されることを。

A.3.私のお返事

残念ながら、対葉豆を自分で試した事もないし、詳しい事は知りません。
使っている人の声をネット上でチラホラと見ている限りでは、今まで数々あったアトピーに効くというふれ込みの健康茶と、さほど変わりないよう思います。
対葉豆の写真が使われたのは、最近出たものだからで、特別に害があるわけではないでしょう。
やたらと電話が掛かってくるのは、悪質業者っぽいですが。
値段が高過ぎる、広告が誇大というのは、誉められた事ではありませんが、他の多くの健康食品も同じです。
良くも悪くも大した効果がないのも皆同じでしょう。
その大したことのない健康食品を使用し著しく悪化したと、センセーショナルに週刊誌に書かれたり、大学病院に駆け込んでそれ見た事かみたいに学会発表されてしまうのはどうしてでしょう。
次のような場合が考えられると思います。

●健康食品には大した効果はないので、元々重症の人、リバウンド中の人の悪化をとどめる事が出来ない。
●どんなものでも合わない人、悪化する人も当然いるでしょうが、販売員の「好転反応なので、頑張って続けて下さい。」の言葉に騙されて、悪化に気づいた時に止めればすぐ治ったであろうに無理に使用を続けてこじらせてしまう。
(飲むものより、塗るものの方がかぶれて悪化するケースが多いように思います。)
●悪化した時に無知な販売員に相談したために、感染症であるのに見逃す。(感染症は急速に悪化し重症になる場合があります。)
●通常の量なら無害であっても、むやみに長期大量に使用したために害が生じる。

いずれにしても、その商品自体が大変な毒というケースは極めて稀でしょう。
ないわけではありませんが。
対葉豆の場合はマメ科であるそうなので、マメ科のものにアレルギーがある人は、注意が必要かもしれません。

それより私が面白いなと思ったのは、
「はじめの頃は効果があったのですが、最近これといって効果はなく、」
という部分です。
私も幾つかの健康食品や入浴剤で同じ経験をしました。
その幾つかというのは、互いに全然共通点のないものです。最初は効き目があるように思えたのに、その後は効かなくなるので不思議です。
新しい物を試すワクワクした気持ちが効くのでしょうか。それとも、新しい栄養や成分が、何か身体に刺激を与えて効果が出るのでしょうか。
何故でしょうね?

  

Q.3
「瞑眩と本当の悪化は見分けることができますか」
(99/11/13)

健康食品の使用で悪化すると、その販売業者は「それは瞑眩(あるいは好転反応。治る前に一時的に悪化する事。)だから、使用を続けてください。」と言う事が、しばしばあります。
瞑眩と本当の悪化は、見分ける方法が何かあるのでしょうか。

A.1.木村漢方薬局さんのお答え

瞑眩という言葉が独り歩きしているようです。
瞑眩は、漢方薬を服用後、悪心、めまい、胸苦しさ等を起こした後急激に病状が回復する病態を言いますが、一般的な悪化とは区別されています。実際には私は瞑眩を経験した事はありません。
つまり、アトピー等が悪化した場合リバウンドによる場合と本当の悪化による物がほとんどなのです。

よく漢方家がこれは瞑眩ですよと気軽にこの言葉を使用しますが、ほとんどが悪化によるものなのです。
だから、瞑眩と悪化の区別というよりも、瞑眩を起こす位漢方薬をうまく使用できる先生は(私を含め)ほとんどいないのではないでしょうか。
瞑眩という言葉は悪化をカモフラージュする逃げの言葉のようになっています。

ただ、体表に近い所の病態を一時的に発散させる目的で漢方薬を使用する場合、一時的に悪化する事を前提に使用する場合があります。
これは悪化や瞑眩ではなく、こちらが意識的に起こす病態なので、心配する必要はありません。
私がこの状態にする場合本人さんに必ずこうなる事を説明してから飲んでもらいます。
瞑眩という言葉ばかり使用する所は注意が必要でしょう。
(木村漢方薬局さんのhphttp://www2.starcat.ne.jp/~kkpha/


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