Synchronicity

注・これはクリーガンではありません

 ある事件の捜査で容疑者の自宅を捜索した際、トニーは容疑者に頭を殴られる。たいした怪我ではなかったが念のため病院で検査を受けると、彼の脳の写真には腫瘍とみられる影が映っていた……。

 IT企業に勤務する女性が出勤時に駐車場で狙撃された。犯人がいたとみられる木にはトランプのカードが残されていた。
 その後、ガソリンスタンドで若い男性が向かいのアパートから狙撃され、現場には同じようにカードが置かれていた。

 トニーは脳のMRI検査を受ける。手の震えや頭痛、言語障害などの症状が出始めていた彼は脳腫瘍に冒されていることがわかる。専門医によれば、腫瘍は進行が早く放っておけば余命は3か月、また危険が伴う脳の手術はたとえ成功しても完治の可能性は4〜50%程度だと言われる。

 学校の教師が校庭で狙撃される。現場の木にはやはりカードが残されていた。一連の事件は同一犯によるものだが犠牲者の間にはつながりがなく、無差別な事件と見えない狙撃犯の影に街は恐怖に陥る。そんな中、警察に犯人から7万ポンドを要求する電話がかかってくる。犯人の指示どおり市場のゴミ箱に金を置き周囲を警官たちが見張るが、その間に別の場所でスーパーマーケットの店員が狙撃される事件が起きてしまう。
 警察の責任を追及するマスコミの矢面に立たされるキャロル。解決のめどが立たず先の見えない捜査に警官たちの士気も下がる。犠牲者たちが狙われた必然性が見えずプロファイルも役に立たない、おまけに病気がどんどん進行し死と向き合うことになったトニーはふと教会に足を運ぶが、そこでも悲劇は起きてしまった。


++ヒル先生に注目++

 注目っていうか、もうこのエピはほんとに狙撃事件なんかどうでもよくって(いいのか?)脳腫瘍に冒されたヒル先生の死との対峙こそがメインストーリーです。

ヒル先生、かなりボロボロになってます(泣)

 病気が進んで、架空の思い出を話し始めてしまいます。どんどん崩壊していく自分の精神状態にこんな言葉をもらすヒル先生。

“I miss me...”

このセリフに私は心を撃ち抜かれてしまいましたーー。

 ついにはクリーガンでさえできなかったことまで……

 うああぁヒル先生〜〜やめてくださいっ!

 それにしてもこのクライマックスシーンを堂々と次回予告に出しちゃうのってどうなんでしょう(苦笑)

 野球帽姿も見せてくれますよ♪ 似合うかどうかは別として(笑)めずらしいので思わず載せてしまいます。

 こんなシーンもありました。

 現場に残されていたカードの匂いを嗅いでみます。
 
騎馬警官フレイザーみたい(笑)


++その他の人々++

 なつかしのペニー・バージェスが再登場。前回に続いてまたしても勝手に事件をひっかきまわします。ついにヒル先生もキレた!

 前はブロンドでしたが今回は髪をブルネットにしています。こっちの方が彼女には似合うと思うけど、ペニー・バージェスというキャラクターには前のブロンドの方が合ってるかも。どっちが本物?(笑)

 そして、その彼女に情報を漏らしてキャロルの逆鱗に触れたケヴィン。今回はさすがに同じ過ちは犯さなかったものの、違うところでまたやっちゃった!

 なななんと、仕事中に酒を飲んでいた! 警官にあるまじき行為。ポーラがさんざん注意してるにもかかわらず、ついにキャロルに見つかり「帰れ!」と怒鳴られます。

 ケヴィン…今回はマジで最悪だよ。

 最近はすごく頑張ってるなと感心していただけにがっかりだな〜(苦笑)


++みどころ++

 映像が実に美しいです。それだけでも一見の価値あり。このように逆光をいかした場面が多いんですが、その他にも銃声で鳥がパーッと飛んでいく時の空の青さとビルの壁の色のコントラストも素晴らしい。WITBは他のドラマとくらべて映像がずばぬけてきれいだと常々思っていたけど、このエピは中でもシリーズ最高といっていいかもしれません。風景そのものが美しい「バーナビー警部」とはまた違って、なんてことのない野っ原でさえ幻想的な場所に変えてしまうWITBの映像マジック。映画ではなくテレビでこのクォリティの高さを表現できるのはまさにイギリスドラマならではの醍醐味でもありますね。
 またところどころで使われる巨樹も、その形そのものが美しくて画になるものばかり。シリーズ1第2話“Shadow's Rising”での見渡す限り深い緑一色の風景や海辺の隠れ家もすごいと思ったけど、このドラマのロケーションマネージャーは本当に素晴らしい仕事をしてるなと感心します。

 前回(第3話)は落ち葉や紅葉などいかにも秋でしたが、今回は初冬って感じで空気も冷たそうです。キャロルの息も白くなってました。
 日本では冬といえば突き抜けるような青空ですけど(関東限定?)ノーザンブリア地方は季節に関わらず低い雲が広がってるんですねー。


++感想++

 人は自らの運命を選べるのか? 今回のテーマはまさにそれ。一見無差別に見える狙撃事件も被害者は選ばれるべくして選ばれたのか、それとも偶然から犠牲になっただけなのか。ここで思い出すのはまさしく「捜査官クリーガン」最終話の犯人リンが残した言葉“Why me?”なんだよね。(まあプロデューサー同じだしな……笑)
 なぜ自分だけがこんな辛い目に遭わなければならないのか、これは偶然の運命? それとも自分の選択による必然? 死の恐怖に怯えるヒル先生と過去のトラウマから逃れられず葛藤するクリーガンの姿がぴったり重なって見えてしまいました。
 しかし脳腫瘍によって自分の死と向き合わなければならなくなったヒル先生は、その答えを見出せずついには引き金を引いてしまいました。クリーガンでさえできなかったことをしてしまったヒル先生というのは、きっとクリーガン以上にもろい内面の持ち主だったってことなんですよね。「傷付いた人を癒したくて心理学者になった」というヒル先生だけど、じゃあその彼が傷付いた時その心は誰が癒すの?って考えると、
なぜ私には貞子のようにテレビのあっち側へ行く能力がないんだろう!とこの時ほどもどかしく思ったことはありませんでした。(心を癒すのは無理でも、テレビから私が出てくればビックリして一瞬でも脳腫瘍のことを忘れることができるかもしれないし。笑)
 そしてやはり私はトニー・ヒル先生が愛しくて仕方がないのだということを改めて実感しました。

「人が必然性を信じたがらないのは自らの選択の責任を取ることを恐れているからだ」
とヒル先生は言いました。

 でもね、ヒル先生。あなたとの出会いはたしかに私が自分で選んできたことの積み重ねの結果ではあるけれど、やっぱりそれは何かに導かれてそうしてきたのだと信じたい。だってそこに至るまでには自分の選択だけではどうにもならない偶然の積み重ねもあったんだもの。
“すべての出来事はロブソンと出会うために”
……こう思うのはちょっと行き過ぎでしょうか?(笑)


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