item3
item2

Wire in the Blood 4
Wounded Surgeon(邦題:ナイトメア)
 Photo Gallery

cap026


 10年前にトニーが初めて警察の依頼でプロファイルをし逮捕に至ったレイプ犯、ジェイソン・エグリーの仮釈放の審理が行われる。被害者のトレイシー・ブラッドショーは一命は取り留めたものの事件以来いまだに昏睡状態が続いていた。刑務所内で4年間に渡って受けたカウンセリングの効果によってエグリーは自分の犯した罪を心から反省している様子を見せるが、トニーはエグリーは更正したふりをしているだけで内面は何も変わっていないと主張し、仮釈放に反対する。しかしトニーの意見は聞き入れられず、審議委員たちはエグリーの仮釈放を決定した。


 3週間後、ボーイスカウトの少年が森で女性の死体を発見する。全裸でタイツを顔に被せられ、肌には口紅で“アバズレ、娼婦”と書かれていた。身元が特定できる荷物もなかったが、身体的特徴から被害者はリンダ・ウェステッドと判明。彼女は前夜ナイトクラブから姿を消したまま帰宅せず、両親が捜索願いを出していた。
 女性を連れ去る状況や方法がかつて
エグリーの事件と酷似していたことから、トニーは仮釈放になったエグリーが新たな獲物を求めて事件を起こしたと断言する。しかしナイトクラブの監視カメラは壊されていて何も証拠は映っていない。さらにエグリーのカウンセラーが事件当夜エグリーに呼び出され彼の部屋にいたことを証言、その時の会話を録音したテープもあり、エグリーには完璧なアリバイがあった。

 アレックスはトレイシー事件の捜査に当たったヨークシャー警察から当時の捜査資料を取り寄せ、リンダの事件との共通点を探そうとする。トニーのプロファイルの様子を記録したビデオを見たアレックスは、トニーがエグリーに自白させるような誘導的な尋問をしていたことに気付いた。また、当時ヨークシャー警察はエグリーが自白をしたために証拠のDNAを調べていなかったことがわかり、再捜査の名目でエグリーにDNAサンプルの提供を求める。その結果、トレイシー事件の証拠のDNAとエグリーのものは一致しなかった。

 エグリーの再取材をしているジャーナリストのジェシカ・パイパーは彼が心理学者によって自白を強要させられたという記事を書き、それが新聞の一面に掲載されたことでトニーは窮地に立たされろ。そしてアレックスもまたトニーとはもう一緒に働くことができないという決断を下さなければならなかった。

 アレックスに休暇を取ることをすすめられたトニーは、ブラッドフィールドで開催される母校の同窓会に出席することにする。そこでかつての同級生カレン・バーマンに再会。彼女はトニーが初めてトレイシー事件でプロファイルをしたときからずっと彼のキャリアに注目し続けていたと言う。翌日トニーはそれをアレックスに話すが、ストーカーまがいのカレンの執着ぶりを不審に思ったアレックスは彼女のことを調べるようポーラに言う。するとカレンがトレイシー事件の目撃者の一人だったことが判明、また彼女は12年前に夫の不倫相手を轢き殺そうとしたことで逮捕歴があった。その時彼女は相手の家や車にも落書きを残していて、今回のリンダの事件と共通点があると気付いたアレックスはカレンを連行し尋問することにする。

 エグリーに関する記事を全国紙に売り込みたいと考えているジェシカ・パイパーは彼のカウンセラーの元を訪れる。そこで彼女は今回の事件の被害者であるリンダが喫煙をやめるためにそこでカウンセリングを受けていたことを知る。ひょっとしたらリンダとエグリーは面識があったのではないか? そのことをトニーに伝えようとするが、電話の途中で彼女は何者かに襲われてしまった……。

 カレンは結局事件との関連の証拠が何も見つからず釈放された。しかしその後トニーはホテルのバスルームで自殺を図った彼女を発見する。
 旧友の自殺や冤罪の疑惑で深く傷付いたトニーに追い打ちをかけるかのように、時折襲ってくる頭痛と幻覚、言語障害。トニーは腫瘍の再発、そして癌の影に怯え、激しい不安に陥っていく。


* * *


++感想++

 心理学は使い方を間違えると大変危険なものだ。結局ヒル先生は正しかったわけだけど、シリーズ1のラストでもプロファイルは万能ではなく時には経験を積んだ刑事の勘には勝てないことが描かれていたように、今回のテーマはまさにプロファイルの意味を問うものだったと思います。
 キャロルが去ったことに始まり、目の前の命を救えなかったことや世間が心理学者が冤罪を生んだと騒ぎ立てたこと、さらには腫瘍の再発。そして何よりアレックスがキャロルほどヒル先生を必要としなかったことで、自分の存在の意味を見失ってしまったヒル先生。そこで見るようになったこんな夢。ヒル先生はこんなふうにアレックスに話しました。

「夢を見るんだ。階段をあがって屋上に立っている。そこから下を見ると、信じてあと一歩踏み出せという声が聞こえてくる。おかしなことに、それが君の声なんだ」

 その夢がシリーズ最後のシーンにつながってきます。最後にアレックスが言った「あなたが必要なの」という言葉、これこそがヒル先生にとって一番必要なものだったんですね。

 WITB には隠された哲学があり、脚本家をはじめとした作り手が本当に伝えようとしているものを読み取れるかどうかで、このドラマの面白さは俄然違ってくる。それは「事件が起きて、捜査をして、解決」というストーリーの上っ面だけを見ていては絶対に気付くことができないし、ひとつのエピソードだけ見ても、違う順番で見てもたぶん駄目。シリーズのすべての出来事がこのラストのためにあり、アレックスの一言でそれらを昇華させるという形は、ロブソンが「今までのシリーズで最高の出来」と語っているように本当に素晴らしいラストだったと思います。
 

<< Back