HKRさんからの頂き物
シェイナ・コード・メイーカス

illustration(c)HKRさん
|
「あんた、何した!」
「ただ寝てるだけだから大丈夫よー。手にしてる小刀で怪我はしてるかもしれないけど、その倒れ方ならたいしたことにはならないでしょ」
(今の……闇(ノース)の奇蹟か)
闇と休息を司るノースに仕える聖師の一部が使うという、人に休息と眠りを与える力だろう。
だが、さっきのは普通の詠唱ではなかった。というか、聞き違いでなければ何やらずいぶん乱雑な古語だったような気がする。いいからあんたらは寝てろっての、といったような。
そんなことを考えていると、女が何かを呟きながら飛び降りてきた。抱き留めるべきかどうか迷ったのは一瞬。
「どいて!」
女の言葉に一歩身体を引けば、すぐ目の前で地面近くで風がふわりと女を持ち上げ軟着陸させていた。
(こいつ、聖師兼任の術師か)
服装からして術師のそれである。術師に対して風当たりのきつい四番街で、ずいぶん堂々としたものだ。それに背丈も、そこそこ高いはずの自分とそう変わらない──いや、踵の高い靴を履いている分、女の方が若干目線が上だった。
そして、口を開いてもずいぶん豪快な女だった。
「いやーうまくいったうまくいった。こうも嵌ると気持ちいいね! あんたの目くらましのおかげで、足元気づかれずに済んだわー」
(#26「光」より)
|