フローリングの床で
ぼーっとTVに見入って
違和感を感じた
いつもの冬と何か違う
一人暮らしの部屋で
ひざを抱えている僕には
何かが足りない
冬といえば
「そうだ こたつとみかん」
あったかい格好
マフラーで仕上げて街へ出た
肌を刺す空気の冷たさに
いやがおうにも期待は高まる
電器屋さんで迷った末に
一番安いこたつを買って
デパートで迷った末に
ちょっとだけ良い布団を買って
スーパーで迷わずに
Mサイズのみかんを買って
準備は万端
わくわくしながらこたつに入って
甘い果実に舌鼓
懐かしいぬくもり
懐かしい甘み
だけどやっぱり何か足らない
なんだろう なんだろう
まだぬくもりが足りない
まだ甘みが足りない
仰向けに寝転がって
白い天井を見つめていたら
わかってしまった
足りないものが何なのか
電話の受話器を手に取った
手が覚えてる電話番号
ピポパポピポピピポポ
懐かしい声に涙腺がゆるんだ
「うん、別に何の用でもないんだけどね」