夜10時過ぎ、香港国際空港に到着。ここからは機場快綫(エアポートエクスプレス)を利用すれば香港の中心部までは20分少々。ここから市内に行く時に、八達通(オクトパスカード)と呼ばれる一種のプリペイドカードを買っておくと後が楽になる。日本でいうイオカードなどのプリペイドカードみたいなものだ。香港の地下鉄、九広鉄道という列車(沙田競馬場に行くのに利用する)、機場快綫、そして一部のバスに乗車でき小銭の必要がないという便利なもの。日本のプリペイドカードとの違いは、地下鉄は割引料金で乗車できるということと財布から出す必要がないということ。財布ごと改札機に近づければ改札が開く。香港の人は財布をかばんに入れたまま改札に近づけて(改札機の上にかばんを置く形になる)通っている。これは日本にもぜひ導入していただきたい。150ドルで売っているのだが、もし余れば最後は空港などで残額を手数料無しで払い戻してもらえるので使い切らなくても損はしない。まさに至れり尽くせりだ。ドルで払い戻されるので日本円に両替するには小額となってしまうが、このくらいの金額なら免税店で使ってしまえばいいし。最近の香港のガイドブックにはおそらくこのカードのことは記載されていると思うので、それを参考にして購入しておくと良いだろう。
途中機場快綫から市内中心部への無料バスが時間が遅すぎてなくなっている等のハプニングはあったが、無事に繁華街である尖沙咀に到着。さて、これからホテル探しだ。何しろ私はパックツアー嫌い。特に市内観光等と称して連れ回されるのが大嫌いなので、飛行機のチケットだけ取ってあとは自力で何とかするつもりだったのだ。で、尖沙咀に到着して真っ先に向かったのは重慶大厦(チョンキンマンション)と呼ばれるビル。ここ、彌敦道に面した便利な場所にあってビルの中は安宿がびっしりと詰まっている。金城武の映画でロケを行ったことで有名らしい。いや、私は映画のことはよく知らんけど。また、沢木耕太郎の「深夜特急」で香港の宿として出てくる安宿もこの重慶大厦の中にある。香港で安宿といえばまずこの重慶大厦。ビルの中は中近東系の人やインド系の人が多く、そういう人たち用の料理店などもあるので何やらスパイシーな香りがする。
安宿が多くて便利なこの重慶大厦だが、実はここ治安は決して良くない。かつて香港で治安が悪い場所といえばなんといっても九龍城砦が有名だったが、九龍城砦が取り壊された現在では香港でも1,2を争う治安の悪さといわれている。ビル内では売春や麻薬密売が行われていたり、それに関連してか殺人事件もあったりする。もちろん普通に宿泊するだけならそうそう巻き込まれることもないだろうが、その点だけは年頭において行動するほうが無難だろう。さて、重慶大厦(チョンキンマンション)の安宿だが、まず安宿と言ってもどのくらいなのかお伝えしておかねばなるまい。前提として、香港のホテルは高いというこをと先に知っておいてもらう必要がある。香港のホテルははっきり言って東京より高い。しかも基本的にシングルというものがないから、一人で泊まろうとしてもツインかダブルになる。比較的安いホテルでも1泊ツインで600ドルはする。ちょっと小奇麗なところなら軽く1000ドルを超える。ペニンシュラやマンダリンオリエンタルなどの超高級ホテルだと3000ドルから5000ドルくらいする。そんな中、重慶大厦の安宿だと私が泊まったところで1泊200ドル。約3000円弱。一応シャワー付き、トイレ付きの部屋でこの値段だ。シャワーはちょっと長めに使っていると水になっちゃうけど。もっと安いところだとトイレシャワー共同で120ドルとかいう部屋もある。ドミトリーなら80ドルなんてところもある。
そんな安宿にチェックインした。宿のおばちゃんは片言の英語ができるので、それで何とか会話をする。もちろん私の英語も片言だ。そんな英語で3泊したいことと今は香港ドルを持っていないことを伝える。こういう所ではカードが使えないから現金払いなのだが、空港で両替するとレートが悪いので必要最小限しか両替してなかったのだ。幸いニコニコしながら明日持ってきてくれればいいと言ってくれた。その後、オッサンの案内で部屋へ。ドアを開けて最初に目に入ったのは巨大なゴキブリ。これ、本当にデカい。暖かいから育ちがいいのか知らんが全長10cm近くあった。日本のゴキブリよりも色は茶色っぽい。こういう安宿にはゴキブリはいるとは聞いていたので驚きより先に「本当にいるんだぁ」という感動に近いもののほうが先立った。驚いたのはむしろその後。宿のオッサン、そのゴキブリを手掴みにしてしまった。いとも簡単に手でつかまれてしまうゴキブリ、体がデカいせいか動きが鈍いようだ。しかもそのオッサン、ゴキブリを手に掴んだまま「ここがエアコンのスイッチだ」「これがシャワーのスイッチだ」と部屋の説明を始める。私はそんな説明より左手に掴まれたままのゴキブリが気になって気になって。結局そのオッサンはゴキブリを手に掴んだまま出ていってしまった。その日はとりあえずシャワーを浴びてそのまま寝る。