フェリーターミナルからタクシーに乗って、運転手に「リスボア」と行き先を告げる。もちろん目的はカジノ。マカオにはいくつかカジノがあるのだがその中でも最大のものがリスボアホテルのカジノ。どのカジノに行っていいかわからなければとりあえずここへ行くのが正解だろう。ものの10分もかからないでリスボアに到着する。
マカオのカジノは気取ったところではないので、服装は普段着でOK。入り口には「男性は正装してお入りください」と日本語でも書かれていたりするが、スーツを持って行ったりする必要はない。さすがに短パンにサンダルとかだと断られるかもしれないが。そして入場したらまずはチップに両替。マカオにはパタカという通貨があるのだが、香港ドルが通用するので香港ドルをチップにしてもらう。ちなみに街中も全部香港ドルが通用する。食堂だろうがタクシーだろうが香港ドルでの支払でOK。ただしお釣り、特に小銭はマカオパタカで返ってくることがある。これは香港に戻ったら全く使えないので、マカオで使ってしまおう。
まずは場内の様子を見物。カジノというとなんかカッコイイお兄さんや金髪をなびかせた美人のねーちゃんがディーラーをやっているというイメージがあるかもしれない。しかしそんなイメージはここマカオに関しては速攻で捨て去った方がいい。そんなカッコイイものではない。ディーラーはなんか頼りなさそうなオッサンか、やたら化粧の濃いおばちゃん。イメージとしては野村沙知代阪神監督夫人。
沢木耕太郎の「深夜特急」にはマカオのカジノの様子、客とディーラーの駆け引きの様子などが詳しく書かれている。私も今回の旅行に際して読んでみたのだが、はっきり言って駆け引きをしている様子など全くうかがえない。単に「お仕事」としてサイコロ振ったりカード配ったりしているとしか思えない。穴場のおばちゃんが無感情に馬券を寄越すのと同じである。そりゃまぁ仕事には違いないからいちいち感情込めてもいられないだろうけど。
ラスベガスだとブラックジャックやルーレットが思い浮かぶが、マカオでは脇役。メインは何といってもバカラと大小。バカラは単純なトランプゲームで、これがマカオでは一番人気。日本でもよく闇カジノが摘発されるとバカラやってますね。大小はサイコロ3個を振って、出た目が10以下になるか11以上になるかを賭けるゲーム。その他に3つのサイコロの目の合計に賭けたりいろいろとあるのはルーレットと同様。今回はこの大小で勝負した。
大小の台には日本人は少なく、韓国および台湾からの観光客が多かった。もちろん一番多いのは香港人だが。そして、賭場のぴりぴりした雰囲気というのはあまりなくて、どちらかといえば観光客がお遊びで張っている感じ。その割には台湾の人とか結構高額を張り付けているのだが。ただ私がいた台が安いレートの台なので、もっと高いレートのところに行けば雰囲気も違うのだろうが。ちゃんと高レート専用フロアとかもあるのだが、いかんせん私の財力及び小汚いその格好では侵入を許さないような雰囲気なので入れなかった。
大小で勝負する。単純なサイコロ賭博だ。大と小どちらが出るかは確率的には五分五分。だからどちらに張っても理論的には50%の確率で的中する。ここで、たとえばルーレットならディーラーが次にどの目を出そうとしているかを読む心理戦があるのだろうが、先週書いたようにマカオのディーラーのおばちゃん連中はそこまでしているとは思えん。いかにも事務的にサイコロを振り、いかにも事務的にオープンし、銭を回収し配当を支払っているとしか思えない。だから頼りになるのは己の勝負勘のみである。台には直近数十回の大または小の出目が表示されている。参考資料はそれしかない。もちろん自分でウォッチしてもっと詳細な出目を記録してもかまわないが。
「小小大小大大大大小小大小・・・・」実際には縦10×横4くらいで表示されているのだが、とにかく最近の出目がある。交互に出る場合もあれば目が偏る場合もある。その辺の流れをいかに読むかが問題。とりあえずパラパラと張ってみる。この日は結構勝負勘が冴えていた。「大も3回続いたしそろそろ小だな」「ここのところこまめに大小が入れ替わりだからここは小の連続はないな」なんていう勘が嵌まった。徐々にチップを増やし1000ドル近くを稼ぐ。ここまで1時間近くだっただろうか。チップの増え方が横ばいになってきたこともあり、ここらでちょっと台を離れて休憩。とりあえず外に出て一服。香港から船で1時間だから距離としてはそんなに離れていないのだが、旧イギリス領の香港と違ってここマカオはポルトガル領。ただしこの一週間後には中国に返還されたが。南欧風の街並みのせいだろうか、日差しが眩しく感じる。香港ほど高層ビルは建っていない。古くからの街並みが残っている。リスボアの周囲はどちらかといえば再開発されているからそれほどでもないのだが。
再びカジノの中へ。大小に戻る前にちょっと軽くスロットマシーンなど。マカオのスロットは2HK$のコインを投入し、払戻も現金が出てくる。実にわかりやすい。場内には専用の両替所もあり、札を出すと洗面器の小さいのみたいな容器に2HK$がいっぱい入れられて出てくる。数百ドルを両替していざスロットへ。手持ちのコインが徐々に減って行く中で数分経過。若い姉ちゃんが寄ってくる。寄ってくるだけならいいが、腕を組んで胸を押しつけてきたりする。結構大きい。押しつけられること自体は私も男だから嫌いではないが、なにしろ勝負の最中だから話を聞いている余裕はない。ちなみにこれ、私がカッコイイ顔立ちをしているとかモテモテ君だとかそういうことではない。リスボアのカジノの中には昼でも夜でも常に数十人の売春婦がたむろして客引きをしているのである。リスボアのカジノは円形のフロアで真ん中にバカラの台、周囲の廊下に大小やスロットが配置されているのだが、この周囲の廊下にいっぱい立っている。歩いていると誘いの視線を投げかけてくるし、スロットをやっていればこうやって実力で(?)仕事を獲得しようとする。大小やバカラの台にいる時は寄ってこないが。多分それが暗黙のルールなのだろう。
お姉ちゃんのお色気作戦にも負けずにスロットを続けたがついに手持ちのコインが底を突いた。再び大小の台に戻る。しかしどうやら完全に流れが私から離れて行ったようで、負けを重ねる。気がつけば序盤で稼いだチップを使い果たし、さらにかなり使い込んでしまった。トホホ。逃げ出すようにリスボアを後にする。再び船に乗って香港に戻る。