その7:大事件


そういえば香港マイルのレース後。レースを終えた各馬が引き上げてくる中、勝ったペリエ鞍上のDOCKSIDERに一頭の芦毛馬が近づいて行く。鞍上は黒い服を着ている。「あれ、あんなシンコウの勝負服みたいなのいたっけ?」と思って見ていると、その芦毛馬の鞍上はムチではなくマイクを持っている。そのマイクはペリエに向けられる。なんと馬に乗ったままで勝利ジョッキーインタビューが始まってしまった。これは日本では間違いなくやらないだろうなぁ。引き上げてきた頃に表彰式のセットがコース上に完成している。結構大きいセットなのだが、レース終わって馬が引き上げてくる本のちょっとの間に組みたててしまうのだから手際がよい。いつ作ったかわからないくらいあっという間に出来てしまった。しかも次のレースの本馬場入場までにはしっかりと片づけられていた。あの手際の良さは感心。

さてその後6Rをハズして迎えた7Rの香港ヴァース。結果はまたしてもペリエ鞍上のボルジアが快勝。この時は周りの香港人や外国人が私の方を振り返るのも気にせず「よしオリビエ差せ!差してみろ!ペリエペリエ!!」ってな感じで大声で叫んだ。ジャパンカップにも来ていたボルジアだがここは全くの人気薄で8番人気。そして2着がこれまた11番人気と人気薄のビンボラ。この馬連が220倍。いやぁ、3点買いで取ってしまいました。あと24倍ついた単勝も。3連単は惜しくも1,2,4着だったけど。
配当も発表されたし、意気揚々と払い戻しに向かう。するとなぜか払い戻しをしてくれない。日本だと配当が発表されたらレースが確定しているが、ここ香港ではそうではないらしい。仕方なくしばらく待っていると確定したらしく窓口の兄ちゃんに手招きされた。兄ちゃんは馬券を機械に通して、配当を払う前に何やら紙を取り出す。そこに何やら記入している。チラリと紙を見てみると、「Large Payment List」みたいなことが書いてある。よくわからんが大きい払い戻しの時は記入するのだろう。気持ちいいねぇ。気持ちいいのはいいけど早く払い戻してくれよ、と思っているとようやく記入を終わったらしく金を数え始める。
1,2,3,・・・おや?また最初から数え始める。1,2,3,・・・しばらく沈黙の後、後ろを向いて誰かを呼んでいる。すると奥から札束を持っておばちゃん登場。払い戻しの現金が足りなかったらしい。おお、窓口の現金がなくなるほど勝ったのか。競馬という禁断の遊戯に手を染めてはや幾年、こんなの初めての経験だよ。その昔、競馬評論家の塩崎利雄氏は阪神競馬場で2400万円の払い戻しを受けた際にやはり窓口の現金がなくなってしまったそうだが、まさか私がそんな経験をすることになるとは。あ、ちなみに私はそんな何百万円も勝ったわけではないけどね。再び数え始めてようやく払い戻しが終了。一気にポケットが分厚くなった。千ドル札でいっぱい。席に戻ってSさん夫妻に御祝儀を配る。実に気持ちいい。もうこの世のパラダイスって感じだ。
残る香港カップをハズし、最終レースは「最終は減量騎手が穴を開ける」という日本にいる時と同じ感覚で減量騎手から買うもカスリもせず。でもいいもん。トータルは大幅プラス計上。飛行機代や宿泊費までを払ってもまだ楽勝で余る。笑顔で夕暮れの沙田競馬場を後にする。余談だが、この日を持ってオリビエ・ペリエを私の中で世界No.1ジョッキーに認定した。以前はランフランコ・デットーリだったのだが、ハイライズに騎乗したジャパンカップでインディジェナスに競り負けてその座に疑問を感じていた時期だったのでこれを機に王座交代した。ありがとうペリエ。もしお会いする機会があったらラーメンくらいおごります(笑)。

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