我がお気に入りの香港、「香港不敗神話」を持つ香港、そのお隣にあるマカオ。カジノやドッグレース場には行ったことがあったが、競馬場に入ったことがなかった。「アジアの馬券王」を目指す私としては制覇しておかなければならない地である。
以下の文章は「週刊競馬情報」 http://www.tokyonews.net/に私が連載中のコラム「穴場に集う人々」に掲載された文章に加筆、訂正を加えたものです。また文中の情報等については2003年3月の訪問時のものです。
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その1:澳門賽馬會
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マカオというと旅行ガイドブックなんかだと「香港のおまけ」という感じで紹介されていることが多い。日本からマカオに行く場合、ほとんどの人は香港経由で行くことになるだろうからそれもやむを得ないのかもしれない。しかし香港は香港、マカオはマカオ。マカオにはマカオの良さがある・・・のだろうか? 私は毎年最低1回は香港へ行っている。その際に足を伸ばしてマカオへ行ったことはあるが、訪れたことがあるのはカジノとドックレース場だけであった。ところがマカオには競馬場もある。今までなかなか行く機会がなかったのだが、ようやくその機会がやってきた。
マカオにはマカオパタカという通貨があるが香港ドルとほぼ等価であること、またマカオ全域で香港ドルが広く流通していることもあり私も香港で両替した香港ドルをそのまま持ち込んで使っていた。というわけで以下の文章で金額等については香港ドル(HK$)で表記する。1HK$は日本円で約15円。
香港から船でマカオへ向かう。香港の西方約60キロ少々、高速船で1時間ほどの船旅でマカオに到着する。1999年にポルトガルから中国に返還されたマカオ、現在では「中華人民共和国澳門特別行政区」ということになる。位置づけとしては香港と同様だ。ただし香港とマカオを行き来する際にも入出国手続は必要となるのでパスポートは忘れずに。
マカオに到着したはいいが1Rの発走時間が何時だったか忘れてしまった。そういえばマカオ最大のカジノがあるリスボアホテルに場外馬券売場があったはず。そこへ行けばわかるだろう。というわけでバスに乗って一路リスボアホテルへ。
リスボアホテルが見えてきた。そろそろ降りようか? しかし多分ホテルの目の前に止まるんじゃないか。そう思って仕掛け遅らせていると、バスはリスボアホテルから遠ざかってしまった。結局新馬路というにぎやかな通りでバスを降りた。道端の売店で競馬新聞(といっても雑誌タイプだが)を入手し、1Rの発走が午後2時であることを確認した。ちょっと早いけど競馬場へ行ってしまおうか。
マカオの中心部は大陸と陸続きになっているのだが、競馬場は沖合いにあるタイパ島という島にある。島といっても本土とは橋でつながっているのでバスで渡ることが出来る。マカオのバスは正面や側面に経由地が漢字で書かれている。その中で「賽馬會」と書かれたものに乗れば競馬場へ行ける。「賽馬會」とは澳門賽馬會(Macau Jockey Club)、つまりマカオ競馬の主催者のこと。タクシーで行く場合は「賽馬會」と漢字で書いて見せれば行ってくれる、と思う。多分。
入場料20HK$を支払い、2階エアコン席に入る。ゲートをくぐるとすぐ金属探知器のようなものを通らされる。「ピ〜」と反応する。時計か?小銭か?と思っていたが、そんなものはどうでもいいらしい。この探知器、携帯電話を探し出すためのものなのだそうな。で、私は香港で買った携帯電話を持っていたのだが、これにしっかりと反応したようだ。ゲート脇の携帯用ロッカーに預けさせられる。香港やシンガポールでも場内は携帯持ち込み禁止だが、ここまでしっかりとチェックしているところはなかった。
2階席に入る。ガラス張りでエアコン完備のスタンドだが、この日は最高気温が20度にも達しないような涼しい一日であった。スタンド内部はごく普通にプラスチックの椅子があるのだが、椅子席最後部にテーブルがいくつかあって、そこで見ることも出来る。座席は指定されているわけではないので、早く行けばテーブル席を使うことが出来る。私はやや早く行き過ぎてまだ客が10人もいないくらいだったので一番見やすい位置のテーブルを使うことが出来た。内馬場にあるオッズ板の脇に2008年北京オリンピックの広告があるのを見て、ここが中国であることを実感した。
スタンド内を散歩する。マカオといえばかつて岡部幸雄がマカオダービーを制したことは有名な話であろう。が、場内には特にそれを示すようなものはなかった。このまま岡部の偉業は忘れ去られてしまうのか? マカオの馬券親父に「日本の岡部ってオッサンが、『イージーイージー』とか言いながらここでダービー勝ったの覚えてるか?」なんて聞いてみたかったが、いかんせん広東語は喋れないのでコミュニケーションが成り立たない。残念ながら断念した。
1Rの発走は午後2時なのだが、まだ時間がある。とりあえず腹ごしらえだ。スタンド2階席には売店があり、そこで食事も売っている。豚のスペアリブ炒めご飯を食す。1ドリンクつきで30HK$とお手ごろな値段。量はかなりの大盛り。香港でもそうだが、このあたりの庶民的な店では全体的に1人前の量が日本より多いような気がする。食っても食っても減らない。
この日のレースは全部で12レース、メインレースは6Rに組まれている芝千二のG1・董事杯(Directors' Cup)。馬場は芝とダートがあり、1周1800mくらいか。直線は400mほどある平坦コース。その他の特徴としては2角あたりに引き込み線があるがダートコースも引き込んでいるので芝コースがそのダートの引き込み線を横切る形になる。ここマカオも他のアジア系諸国の競馬と同様短い距離の競馬が多いのでここを通るレースはそれほど多くないとはいえ、通る場合は気にする馬は気にしてしまうだろう。
そろそろ1Rの発走が近づいてきた。馬券を買わなくちゃ。馬券は香港とほぼ同様。単勝、複勝、馬連、ワイド、三連単などなど。ただ、三連複がないのは大きな違いか。マークカードも香港とほぼ同様で、香港競馬に慣れている私としては違和感がない。香港競馬と相性抜群の私はこの時点でもう勝ったも同然の気分(笑)。
1Rがいよいよ発走。ここマカオでは短距離戦が多い。この日もほとんどのレースは千、千二、千四で行われていた。また、マカオでは香港とほぼ同様のブックレットタイプの情報誌が売られているので情報の入手も比較的容易。広東語で記述されているのでコメントなど細かいところではわからないことも多々あるが、必要最小限の情報は入手できる。私の場合は香港で慣れているというせいもあるけど、漢字と数字で書かれているものなので想像を働かせれば大体のことはわかる。
4Rまで終了した時点で的中なし。展開を読もうと必死に考えるのだが、どうも各馬のキャラが読み切れない。というより、「逃げ」にこだわるタイプがかなり少ない。「何がなんでもハナ主張」という馬がほとんど見当たらないのだ。だから「逃げ・先行・差し・追込」という分類はなかなか難しい。「前の方・後ろの方」くらいの分類しか出来ない。とはいえ、少なくとも私が今まで訪問した国の競馬場では日本ほど徹底して逃げにこだわる馬や毎度毎度の後方待機というわかりやすい馬が多い国もないような気がする。私は「馬」そのものに関しては素人同然だが、もしかしたら育成や調教の方法によって何らかの影響があるものなのだろうか。
続く5Rでようやくマカオ競馬初的中。馬連で53倍。前々に行きそうな馬が少なかったので前残りを考えて馬券買ったら大正解。いい感じになってきた。そして6RはいよいよメインレースのG1・董事杯(Director's Cup)。しかしG1と言っても、あまり他のレースと変わらない感じ。いや、もちろん出走馬のレベルとかは全然違うのだろうけど、G1だからといってレース前に特別なセレモニーなどがあったりするわけではないということ。大型ビジョンには何か出ていたような気もするけど・・・。ちなみに5Rで浮いた私はこのG1で玉砕した(笑)。よりによって大荒れだったんだよね。
さらにその後も負けつづけ、10Rまで終了した。前半で多少勝ってしまうとその後の投資額も多めになるし、結局後半で勝たないと勝って帰れないってことだ。「勝ち逃げ」すればいいんだろうけど、それはどうも勝負師として潔くない(笑)って気もするし。そもそも海外まで行って多少稼いだからってとっとと帰るってのもなんか寂しいし。ってなわけでガンガン勝負したら見事にやられた。
しかし11R、押さえではあったが72倍の馬連を的中。これで何とか持ち直した。そして最終の12Rで事件が起こる
11Rで好配当馬券を的中させてさぁオーラス、という場面。最終の12R、芝の1000m。先行できそうな8番の馬を軸にして馬連を買っていた。ゲート開いて、こちらも前々に行きそうだと目をつけていた12番の馬が行きっぷりよく先行する。いい感じ。ところが、肝心の軸馬が見当たらない。2番手につけた2番は私が買っていない馬。8番の馬はどこへ行ったのだ?
12番−2番の体制のまま4角を回る。ここで12番の馬が一気に後続を突き放してほぼ勝利は確定。で、2番手グループは混戦となったが残り1ハロンあたりで2番の馬がまだ粘っている。終わった・・・。がっくりとうなだれる私。
「ま、それほどじゃないけど浮いたからよしとするか」と自分を納得させつつ、12番は結構人気ない馬だったので果たしていくらつけたんだろうと着順掲示板を見てみた。すると、そこに表示されていた着順は、
はぁ?8って何だろう。何かの間違いだろうか?間違いであろうがなんであろうが、この掲示板通り確定してくれれば私の馬券は本線で的中である。自分の都合のよい方向に間違えてくれるなら問題ない。とにかく、早く確定してくれ。
レースVTRが流れたので見てみた。先に書いたようなレース内容で、行った行ったの結末かと思いきや、ゴール直線でとんでもないことが起きていた。私がうな垂れている間に、4角を後方で回った8番の馬がものすごい脚で2着に届いていたのだ。その昔、ランディバーンという馬が阪神で条件戦を勝った時にとてつもない脚を使ったことがあったが、そんな感じの差し脚だった。もっともランディバーンの場合、実際の上がりは36秒そこそこだったと思うが・・・。他の馬が止まっていたためにとんでもない脚に見えたということなんだけど。
とても長く感じた時間が過ぎ、確定。何はともあれ的中である。配当は、馬連で340倍。興奮のあまりスキップしながら(笑)払い戻しへ向かった。払戻窓口では「大額交易紀録(Large Amount Transration List)」というものに記入された。大口払戻リストみたいなものか。別に私の名前が残るわけではないし身分証明の提示を求められるわけでもないが、気分はいい。どんどん書いてくれ。ポケットの中は大量の香港ドルでパンパンになった。
戦いは終わった。競馬場の外に出ると、無料バスが出発するところだった。金ならある(笑)んだからタクシーでもなんでも乗ればいいのだが、目の前に止まっていたのでついつい無料バスに乗ってしまった。バスに乗ってから、このバスの行き先はどこなんだろうと気になった。バスは競馬場のあるタイパ島から橋を渡ってマカオ本土へ向かった。本土に入ってほどなくしてバスが止まる。客が全員降りる。ここが終点らしい。さてここはどこだろう、なんか見覚えがあるような・・・リスボアホテルの前だった。負け犬からさらにむしり取ろうという魂胆だろうか? いや、私は負け犬じゃないけどな。
せっかくなので誘いに乗る。カジノへレッツゴー。しかしあまりの混雑に歩き回ることすらままならない。スロットマシンで軽くやられたところで早々に見切りをつける。こういうのを「金持ち喧嘩せず」っていうの? 違うか。
マカオでしこたま稼いで香港へ戻って来た。稼いだ香港ドルを財布に入れたら財布が閉じられなくなった(!)くらい稼いだので気分は最高である。なにしろ50倍、70倍、そして最終では340倍の馬券を的中しているんだから気分いいのも当然か。
夜も遅くなっていたのですぐに寝て、翌日の香港競馬開催に備える。
金がある日の目覚めは清々しい。まずは財布を開いて大量の香港ドルを見て、前日の勝ちを再確認する(笑)。 紅茶と、クロワッサン2つとオレンジジュース。これだけで160HK$もする。160HK$といえば私が泊まっていた宿の1泊分よりも高い。さすがペニンシュラである。紅茶もクロワッサンもおいしいからよかったけどね。ここペニンシュラで紅茶というと有名な「アフタヌーンティー」があるけど、有名なだけあって混雑している。しかもガイドブック片手の日本人が多く、あちこちでフラッシュ炊いて写真撮っているのは閉口する。パン食って紅茶飲んでいるところを写真に撮って何が楽しいのか知らんけど・・・。それに比べて朝のペニンシュラは落ち着きがある。アフタヌーンティーと違って並ぶ必要もない。それと、香港という街はとにかくエネルギッシュなので、ともすればやかましい。ちょっと歩けばすぐに「ロレックス、ニセモノニセモノ」と声をかけられるし(笑)。その都会の喧騒から逃れて落ち着いた雰囲気の中で優雅なひとときを過ごせると思えばこの値段でも払う価値はある。ま、金なら持ってるもんね(<こればっかり)。
沙田競馬場へ向かう。今日は重賞もない日なのだが、それでも大勢の客が馬場帖で降りる。この街の競馬熱は、世界No.1の馬券売上を誇る日本をも超えているのではないかと思う。前にも書いたが人口700万人ほどの街で馬券売上が1兆円を超えているので、一人当たりで考えれば日本をはるかに上回っているしね。
香港の競馬場では、現地在住ではない短期滞在旅行者はパスポートを持って行って50HK$を支払うと「会員席」という香港賽馬会会員用の席に入れてもらえる。ゴール板正面付近のいい場所だ。なのでいつも会員席で見ていたのだが、今回は一旦会員席に入ってから一般席を散歩してみた。ちなみに一般席の入場料は10HK$。
一般席へ行って気がついたのだが、穴場の数が少ない。圧倒的に少ない。ただ、フロアのあちこちに機械が大量に並んでいる。これが馬券購入用の機械なんだろうなぁと思って見てみたのだが、機械のどこにも現金を入れる場所がない。そのかわり、カードを差し込む穴がある。どうやら競馬場で使える電子マネーみたいなカードがあって、それを使って馬券が買えるらしい。広東語で書かれている説明を適当に読んだだけなので細かいことはよくわからないが、おそらく銀行口座からそのカードに入金して、馬券購入分が自動的に引き落とされ、的中した場合は自動的に残高が増えるようになっているのだろう。現金を見ないと勝った気がしない私としてはあまりありがたくないシステムではあるが。香港の人はその辺はあまりこだわりがないようだ。
で、今回私の買った馬券にまったく触れなかったのは、負けたからである。まぁ、前日マカオでしこたま稼いだのでさらに一発狙いに行ったためなので仕方ないんだけど。負けたったって前日の勝ちに比べれば痛くもかゆくもない程度だしね。次に行ったときはきっちり取り返してやるけど。ま、まともに打てば香港で負けるわけがないだろ。< 根拠のない自信
※2003年より、香港国際空港からマカオへ直接行く高速船が就航してます。
空港の入国手続きの手前にカウンターがあるのでそこでチケットを購入。
一度香港へ入国してしまうとこの船は使えないようです。
窓口へ馬券を買いに行くが、香港ドル用の窓口とマカオパタカ用の窓口が分かれているので香港ドルを持っている私は香港ドル用窓口へ行く。といってもほとんどの窓口は香港ドル用になっていて、マカオパタカ用の窓口は2階には2つしかなかった。そのくらい香港ドルが一般的に流通している。
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3 2
とりあえず、朝食を食べよう。いつもなら宿の近くで新聞でも読みながら粥か飲茶を朝食にするのだが、勝者の朝がいつもと同じではちょっと芸がない。何せ金ならあるんだから。なので、同じく宿の近くではあるが、アジアでも最高級ホテルの一つに数えられる半島酒店、英語名で言うとペニンシュラホテルで優雅に朝食を食べることにした。
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