まず、今回私が行った街について。1975年のベトナム戦争終了後に改称されて、現在この街の名称はホーチミンシティということになっている。しかし、行ってみてわかったのだが現地の人はこの街のことをサイゴンと呼ぶし、看板や何やらの表記も「HO CHI MINH CITY」というものはほとんどなく「SAIGON」「西貢」ばかりであった。なので私もこの街のことをサイゴンと表記させていただく。サイゴンは、ベトナムの首都ではない。ベトナム社会主義共和国の首都はハノイ(河内)。しかしサイゴンはベトナム最大の都市である。
ベトナム航空でサイゴンのタンソンニャット空港に到着。まずはイミグレーションに向かう。どこの国でも大なり小なりその傾向はあるが、イミグレの職員ってどうして「この世に面白いことなんて何もありません」みたいな表情をしているのだろうか。それにしてもここベトナムのイミグレ職員の目付きは鋭い。鋭いというか恐い。こっちはちゃんとビザも取得しているしやましいことは何もないのだが、あの目線で睨まれるとどうも気が引ける。それなのに、若い女性がパスポートを出したときは満面の笑顔。わかりやすい反応。
荷物を受け取り、小額の両替を済ませてからタクシーを捕まえて市内のファングーラオ通りへ。ここは安いホテルが多くあるツーリストエリアで、バンコクのカオサン通りみたいなものである。こういうエリアはあまり好きではないのだが、サイゴンでは安いホテルというとここになるようだ。1泊9USドルのホテルを見つけてチェックインした。9US$という値段のわりにはきれいな部屋で、エアコンもTVもお湯の出るシャワーもちゃんとある。さらに朝食まで付くという。ただ、窓がなかった。
ひとまずコーヒーでも飲もうかとホテルを出た。ホテルのすぐ近くに一軒のカフェがあった。コンデンスミルクが大量に入った南国風の甘いアイスコーヒー「カフェスアダー」を飲んでいると、店のオヤジが寄ってきた。このオヤジ、このカフェを経営するとともに観光ガイドもやっているらしい。今までに案内した日本人との写真を見せられたり、その日本人からの手紙を読まされたりした。こういう日本語の手紙を持っている奴ってどうも信用ならん気がするのだが・・・。とりあえずカフェスアダーの料金は5000ドン。メニューに書いてある通りだった。
翌朝、両替でもするかと外へ出た。遠くにシティバンクの看板が見える。私はシティバンクに口座を持っているので、あそこへ行けば金がおろせるのではないか。しかし歩いていくには遠いなぁと思っていると、バイクタクシーの兄ちゃんに声をかけられた。
「どこ行くんだ?」
「シティバンクまで行くんだよ」
「今日は日曜だから休み」
あ、そうなの?ATMくらいは使えんのか?と思ったが、ここは作戦変更。
「両替したいんだよ」
「じゃあ両替所まで行こう」
ってなわけで両替して再びホテルに戻ったのだが、このバイクタクシーの兄ちゃんがとんでもない料金を請求して来た。40万ドン。相場がいくらか知らんけど、10分かそこらで4千円ってことはないだろう。ふざけんなコラ。頭にきたので一銭も払わず立ち去ろうとするが、腕を掴んで離さない。仕方なく10万ドンで手を打ったが、怒りは収まらない。事前にいくらかかるか確認しなかったのは私のミスなんだけど。
競馬に行く前にカフェスアダーでも飲もうと、昨夜行ったカフェにもう一度行ってみた。 昨夜のオヤジは朝から働いていた。「今日はどこ行くんだ?」と聞かれたが、競馬に行くということを説明するのに苦労する。理解してもらうまでに約5分。フートゥー競馬場はサイゴン市内中心部からだとバスでも行けるようだが、結局このミンさんというオヤジに連れて行ってもらうことにした。とりあえずこのオヤジが信頼できるか試してみよう。
ところが、競馬が何時から開催されるのかわからない。とりあえず競馬場に行って聞いてみようということになった。ミンさんのバイクに2人乗りして走ること10分少々、競馬場に到着。競馬は12時半からだという。この時点でまだ11時前、まだまだ時間がある。どうしようかと思ったが、ミンさんが近くに寺があるので案内してやるという。どうせすることもないので行くことにした。
覚林寺という寺、サイゴン最古の寺らしい。拝観料とか取られないのは嬉しい。とりあえず競馬の必勝祈願をする。その後、七重の塔があったので登った。エレベーターなんて便利なものはない。最上階からはサイゴン市内が一望できる。まだ高層建築が少ないサイゴンだけに結構遠くまで見える。
ちょうどいい時間になったし、そろそろ競馬場へ。ミンさんは競馬が終わったころに迎えに来るというので、とりあえずここまでの案内料として2US$を支払った。朝のバイクタクシーの10万ドンと比較すればずいぶん安い。このくらいが相場なのだろうか。とりあえず、ぼったくるという感じではなかった。これは信頼して大丈夫なのかもしれない。
競馬場の入場料は1000ドン。プログラムが2000ドン。合わせて3000ドンを支払って場内へ。場内は結構活気があり、早くから多くの客が訪れていた。妙に子供が多い。プログラムによれば1Rの発走は12時半とのことだったのだが、12時半になっても発走しないどころかパドックにすら馬がいない。のんびりした南国風感覚で行われているようだ。さらに10分ほどして、ようやくパドックに馬が登場。おや?何か厩務員がデカいぞ??いや、そうではない。厩務員がデカいのではなく、馬が小さいのだ。サラブレッドより一回り小さい馬たちがパドックを周回している。そして騎手が登場・・・これまた小さい。小さいというか、子供ではないか。日本の感覚でいうと中学生か高校生くらいだろう。プログラムを見た時に36kgとか29kgという表記があって、斤量にしては数字が小さすぎるよなぁと思っていたのだがどうやらその数字は斤量で間違いなかったようだ。小さな馬に小さな騎手。さて、どんな競馬が行われるんだろう。