12時半に1Rがスタート予定なのに、12時半になってもパドックに馬が登場すらしていないということは既に書いた。プログラムによれば最終レースの発走は17時。なのに、最終Rが終わって時計を見たら16時半前だった。ではプログラムに書かれている発走時間っていったい何なんだ?この辺の感覚がアジアらしくていい。
結局、ただの一度も払戻に並ぶことなく私のサイゴン競馬は幕を閉じた。
「馬券が売り切れる」という衝撃的な事態は、私にとってあまりにも大きなカルチャーショックだった。初めて香港競馬に行った時、ゲートが開くまで馬券が買えるということに感心したりした。タイの首都バンコクではゲート入り始まってから最後の馬が入り終わるまで10分以上かかるのに南国の空気を感じたりした。しかし今回に比べれば驚きという点では比較にならない。金があっても馬券が買えなければどうしようもない。しかも、それならそれでおとなしくしておけばいいのについつい人気の裏目とか抜け目とか買ってしまったりしてしっかり外したし、人気が割れてすぐには売り切れなかったレースでは思い通りの馬券が買えたのだが、そういう時もしっかり外してしまった。競馬に負けたとは思わない。7R中3つは予想としては的中していたのだし。しかし、何というか、ベトナムの競馬には負けなかったがベトナム人に負けたという感じだ。単に馬券で金を失ったのとはまた違う敗北感。もちろん金も失っているのだが。
サイゴンの夜。カフェの前の通りは途切れることなくバイクが走っている。ホンダのスーパーカブが右に左に走りまわっている。そのバイクの群れを見ながら、負け犬は一人寂しくサイゴンビールを飲みながら考えた。 日本の競馬に慣れ親しんだ感覚から言えば、買いたい馬券も買えない、低配当のレースばかり、そんな競馬が楽しいか?という気もする。しかし、サイゴンの人たちは楽しそうだった。南国の太陽の下、楽しそうに馬券を買い、笑顔でレースを見ている。他に遊べる娯楽が少ないからといえばそうなのかもしれない。でも、サイゴンの人たちが楽しいのであればそれでいいじゃないか。なお余談ながら、ベトナムではフランス資本を導入して首都ハノイにサラブレッドが走る競馬場を建設予定とのことだ。完成したらまた行ってみようか。今度は馬券売り切れなければいいんだけどなぁ。
ちなみにこの後はサイゴン市内をブラブラしたり、ベトナム戦争時に民族解放戦線が作った地下トンネルを見に行ってAK47ライフルを撃ったりした。カフェのミンさんとバイクをチャーターして1日10US$。少なくともボラれたという値段ではない。最初に日本人からの手紙なんて見せられたときにはどんな怪しいやつだと警戒したが、真っ当に商売しているいい人だった。ミンさん、疑ってごめん。でもあのニホンカラノテガミは逆効果だと思うんだけど・・・。