[251] 私、高木彬光をちょっとナメておりましたぁ 2002-05-31 (Fri)【5月31日(金)】
▼仕事の途中で立ち寄った古本屋に、高木彬光の春陽文庫の時代ものがズラリと並んでいるのを見つける。値段を見ると一冊200円近辺の値付け。春陽文庫で出ている高木彬光の時代ものは、古本屋やBOOK-OFFでぽつりぽつりと見かけることはあるけど、一旦買い始めるとどうせどれを持っていないのかすぐに判らなくなっちゃうであろうことを危惧して、なかなか買う気が起きなかったものだ。そもそも高木彬光の時代伝奇ものって、いったい何冊あるのか?
でも一度にこれだけまとまった数を見たのは初めて。これだけあるんなら、もしかすると一度に全部揃っちゃうかもしんないなぁ・・・と、荷物になるけど買うことを決意する。買ったのはこんなところだ。
高木彬光『どくろ観音』(春陽文庫、S58)
高木彬光『振袖剣光録』(春陽文庫、S58)
高木彬光『あばれ振袖』(春陽文庫、S58)
高木彬光『続あばれ振袖』(春陽文庫、S58)
高木彬光『長脇差大名』(春陽文庫、S58)
高木彬光『血どくろ組』(春陽文庫、S58)
高木彬光『なりひら盗賊』(春陽文庫、S58)
高木彬光『人肌変化』(春陽文庫、S59)
高木彬光『怪傑修羅王』(春陽文庫、S59)
高木彬光『隠密飛竜剣』(春陽文庫、S59)
高木彬光『魔剣青貝流』(春陽文庫、S59)
高木彬光『江戸の夜叉王』(春陽文庫、S60)
高木彬光『続たつまき街道(上)』(春陽文庫、S60)
高木彬光『続たつまき街道(下)』(春陽文庫、S60)
高木彬光『風雲の旗』(春陽文庫、S61)
ふぅ・・・、15冊かぁ。総額で3,050円だったけど、端数の50円はマケてもらいましたぁ。しかし、これで高木彬光の時代物が全て揃ったとは到底思えない。『続たつまき街道』ってのがあるんなら、少なくともこの他に『たつまき街道』ってのがありそうだし。・・・と、家に帰って一番発行年月日の新しい『風雲の旗』をパラパラとめくっていると、出版広告に春陽文庫で今までに出た高木彬光の出版リストがあることに気づいた。その数を数えてみるとなんと41冊!。がーん! まだ半分にも達していないがな。
これだけインターネットの発達した世の中だ。誰か高木彬光の時代物のリストでも作っていないものなのか・・・と思ってネットで検索してみると、ありましたありました。「懶惰の城」(http://www.dd.iij4u.or.jp/~tau/index.shtml)という高木彬光のファンサイトに高木彬光の時代小説リストが。そこをチェックすると、なんとまぁ春陽文庫だけで45冊も出てるというじゃないの。うひゃあ、私、高木彬光をちょっとナメておりましたぁ。まさか、そんなにもたくさん出てるとは・・・(;_;)。
ちぇっ、ヘタに高木彬光の時代ものなんかに手を出しちゃったことで、これが俺の新たなライフワークになりそうだよなぁ(;_;)。それにしても、いったいどれだけあるんだよ?>俺のライフワーク。どうせまたこのシリーズを蒐めている最中に、少なくとも20冊くらいはダブらせそうだし・・・(;_;)。
▼その他の古本。
ジョン・N・イアヌッツィ『シシリアン・ディフェンス』(リーダースダイジェスト、1972、100円)
ジョン・オブラディ『お〜すとらりあ流 えけちっと』(近代文藝社、1993、100円)
マイクル・ビショップ『樹海伝説』(集英社ワールドSF、1984、1,000円)
『岩見重太郎』(講談社講談名作文庫26、S51、240円)
O・ペンズラー編『魔術ミステリ傑作選』(創元推理文庫、1979、200円)
高木彬光『どくろ観音』(春陽文庫、S58、100円)
ほーらみろ! いきなりダブらせてるじゃねーかよぉ(;_;)!>高木彬光の時代物春陽文庫。
ジョン・オブラディの『お〜すとらりあ流 えけちっと』はユーモアエッセイのようである。レムの『泰平ヨン』が異常な高値を呼んでいるという集英社ワールドSFシリーズ、もしかして『樹海伝説』もそれなりの値段なのかと思って買ってみたが、これは全然たいしたことないみたい。せいぜい2千円てとこか? ちぇっ、こんなもん、ダブらせちまったがな。
全三十巻の講談社講談名作文庫、俺はたぶんそのうちの25〜26巻は持っているはずなのだが、いつもの如く欠番がどれなのかはさっぱり不明だ。確か後ろの方の番手を持ってなかったはずだという記憶を頼りに、26巻目の『岩見重太郎』を買ってみた。『魔術ミステリ傑作選』は当然ダブリ。
中古ビデオでは、マイケル・バー=ゾウハー原作の「エニグマ奇襲指令」(550円)。
マーティン・シーン、ブリジット・フォッセー、サム・ニールらが主演で、監督がヤノット・シュワルツてんだから結構豪華な布陣である。原作も俺にしては珍しく読んでるしな。
▼新刊は少ないぞ。たったこれだけだ。
喜国雅彦『日本一の男の魂(9)』(小学館)
スティーブン・ハンター『最も危険な場所(上・下)』(扶桑社文庫)
フランシーヌ・マシューズ『カットアウト(上・下)』(新潮文庫)
元原作者として多少の関わりもある『日本一の男の魂』(嘘だと思うんなら、第8巻を読んでみろー!)は、新しい刊が出ていたことに一ヶ月近くも気づかなかった本(^^;)。立ち読み防止のためなのか、コミックス本は全てビニールでくるむ新刊本屋の売り方は再考を要すよなぁ。ギャグは相変わらず好調で、ネットやパソ通での「良い喜国さん」しか知らない人はぜひご一読を。この調子なら、俺があえて原作を提供する必要もなそさうである(←何かエラソー)。
『カットアウト』の作者フランシーヌ・マシューズは元CIA職員らしい。アメリカ版五條瑛か?
▼いやぁ、やっぱりカッコ良かったなぁ、「トゥームレイダー」 。ポッテリとした肉感的な唇のアンジェリーナ・ジョリーちゃんは実にハマリ役ですたい。話も単純なところが良いデス。続編の製作も決まったとのことで、まずはめでたしめでたし。
[250] 落語の話からスタートして・・・ 2002-05-27(Mon)【5月27日(月)】
▼小さん逝去の報に刺激されたわけではないが、突如再発した落語熱。このところ毎日のように落語のCDを買ってきては聴く日々である。聴いているのは主に志ん朝、立川藤志楼といったところ。どちらもCDのシリーズを全て揃えたくなるよなぁ。前にも書いたけど、いやぁやっぱり志ん朝はつくづくと良い。生で一度も聴かなかったのが心から悔やまれるところだ。今、東京に住んでいる人は、一度でいいから生で落語を聴いておくべきだよな。でないと、後になって後悔してもその時には遅いぜ。それにしても不思議とBOOK-OFFには落語の中古CDって置いてないんだよね。ちなみに、俺の最も好きな噺は「船徳」「うなぎの幇間」「寝床」だ。もしかして文楽派なんだろうか、俺は?
▼その立川藤志楼こと高田文夫の『毎日が大衆芸能 娯楽・極楽・お道楽』(中公文庫)が面白い。1997年から2001年までの演芸、歌舞伎からプロ野球、プロレスまでも含めた芸能日記なのだが、ちょうど野村前監督がヤクルトから阪神に移籍した頃なので、その時の阪神ファンの熱狂ぶりを今の星野人気に重ね合わせたりすると特に・・・(笑)。
その他に買ってた新刊は。
ポール・アルテ『第四の扉』(早川HPB)
ダン・シモンズ『鋼』(早川書房)
ローレンス・ブロック『殺しのリスト』(二見文庫)
ピーター・ストラウブ『ミスターX(上・下)』(創元文庫)
ナンシー関『耳のこり』(朝日新聞社)
大槻ケンヂ『わたくしだから改』(集英社文庫)
五條瑛『紫蘭』(双葉社)
早見裕司『仮想世界の優しい奇跡』(富士見ミステリー文庫)
ゲッツ板谷『戦力外ポーク』(二見書房)
夢枕獏/谷口ジロー『神々の山嶺(3)』(集英社)
吉田戦車『スカートさん(2)』(幻冬舎)
デイヴィッド・ピース『1980ハンター』(早川HM文庫)
スティーヴ・ハミルトン『狩りの風よ吹け』(早川HM文庫)
ビル・S・バリンジャー『煙の中の肖像』(小学館)
「HMM 7月号」(早川書房)
「HSF 7月号」(早川書房)
ネットで大評判のポール・アルテだが、非本格派の俺としてはやっぱりダン・シモンズの『鋼』、ローレンス・ブロックの『殺しのリスト』、ピーター・ストラウブの『ミスターX』、ビル・S・バリンジャーの『煙の中の肖像』あたりの方が気になる。ストラウブの新刊なんて何年ぶりだい? いや、それを言えば、バリンジャーの新刊なんていつ以来なんだ? ダン・シモンズの『鋼』はなかなかのハードアクションっぷり。いやぁ、男の子ならやっぱりこっちが「買い」でしょう。そういや「ダン・シモンズ」と「男子悶絶」ってどっか似てない? いやいや、落語ファンが思い浮かべるんなら「談志悶絶」か?
元「絶好調」ジュニア班叙情派の早見裕司氏の新刊も出た。この人の本とは不思議と巡り合わせが悪く、『世界線の上で一服』なんて今まで新刊・古本を問わず一度もお目にかかったことがない。同じ叙情派の一人として実に情けない限りだ。
夢枕獏/谷口ジローの『神々の山嶺』は、何となく第二巻を買い逃しているような気がする・・・。
もう一冊、書店では売っていないのでネット注文していた井家上隆幸『ここから始まる量書狂読 1983-1988』(皓星社)も届く。『量書狂読』シリーズの三冊目である。小出版社ならではの注文時の丁寧な応対に感激する。
それと、ちょっと前に買ってたいがらしみきお『Sink(1)』(竹書房)を書き漏らしていることに気づいた。まったくギャグの入らないいがらし作品というのはもしかすると初めてなのではないか? 第一巻には第九話まで収録されており、それ以降はネットで連載中という異色作である。アドレスは「http://www.web-sink.com/read/w_read_t.html」だ。一緒に設営されている掲示板を読むと、「ぼのぼの」でしかいがらしみきおを知らないような主婦な人たちが、いったいこの「Sink」にどのように接するのか興味の湧くところである(笑)。
▼古本関係では、年に一度、栄の丸善で開催される古書市にも顔を出すが、例によって俺の趣味とはかけ離れた黒っぽい固めの本ばかりだったので早々に退散。それ以外に買ってたのは次のようなところである。
「季刊推理文学 S45新春創刊号」(新人物往来社、S45、500円)
ボワロ&ナルスジャック『女魔術師』(創元推理文庫、1961、1,000円)
シェリー夫人『フランケンシュタイン』(角川文庫、1968、400円)
山田風太郎『ラスプーチンが来た』(文藝春秋社、S59、480円)
中島河太郎編『怪奇ミステリー集』(双葉文庫、S60、100円)
I・アシモフ『Dr.アシモフのSFおしゃべりジャーナル』(講談社、1983、1,000円)
田中光二『ぼくはエイリアン』(奇想天外社、1981、100円)
ロアルド・ダール『単独飛行』(早川書房、1989、200円)
唐十郎『戯曲・少女仮面』(角川文庫、S48、50円)
陳舜臣『北京悠々館』(講談社文庫、S51、50円)
クロード・クロッツ『パリ吸血鬼』(早川NV文庫、S58、50円)
ジョージ・ハーディング編『パパとママに殺される』(早川HM文庫、S52、50円)
最初の三冊は、猫又さんで購入。「季刊推理文学」の創刊号がえらく安いので喜んで買うがその理由を訊いてみると、前の店にもずっと置いてあったのだが売れないので半額にしたとのこと。ああ、そうでしたか。その時に気づいてたら、俺、千円でもたぶん買ってたな(笑)。
ボワ&ナルの『女魔術師』は、40年前に出た初版にも関わらず、たった今新刊書店で買ってきたかのようにピカピカの美しさだったので思わず購入。角川文庫の『フランケンシュタイン』は、ボリス・カーロフよりもむしろクリストファー・リーのモンスターに似ている表紙イラストのあまりのチープさにこれも思わず手が出る。風太郎の『ラスプーチン』以下の4冊はたぶん全てダブリだ。
最後の4冊は一冊50円というよりも、実は4冊200円均一。そういや角川文庫版の『戯曲・少女仮面』ってそう見かけないなぁ・・・と思って欲しくなったのだが、残り三冊をどうしようかで長考に入る。すんなりと決まったのは文庫では持っていないはずの『北京悠々館』、そういやこのシリーズ、欲しがっている奴が結構いたっけな・・・と思い出したのが、G・ハーディング編のイギリス・ミステリ傑作選のうちの一冊『パパとママに殺される』。もっともこのシリーズなら一冊漏らさず新刊で買い揃えているのだがな、俺は。もう一冊、濡れ雑巾を絞りきるような苦渋の果てに、こちらもダブリとなる『パリ吸血鬼』でかろうじて4冊とする。
▼ビデオも色々と観たのだが、ほとんど忘れてるなぁ。あ、プロレスドキュメントの「ビヨンド・ザ・マット」をようやく観ましたぁ。「やがて哀しきプロレスラー」ってとこですな。ゲログロ格闘ゾンビバイオレンスSF時代劇ムービー(どんなんや?)の「VERSUS」も観る。「死霊のはらわた」にカンフー風味を加えたような変なテイスト。てっきり主演が京本政樹、ヒロイン役が宇多田ヒカル、敵役のボスが浅野忠信だと思いこみながら観ていたら、三人とも全然違う役者だったのね。いやぁ、ホント、よく似てるわ。
[249] 文庫本初版マニアに物申す 2002-05-18 (Mon)【5月18日(月)】
▼個人的には初版本であるかどうかはほとんど気にならない。
もしも同じような状態の初版本と再版本が同じ値段で古本屋に並んでいれば、そりゃもちろん初版の方を掴むけど、初版の方の状態が悪ければ重版の方を買っちゃうかもしんないもんな。初版に拘らない大きな理由は、俺が「とりあえず持ってりゃいいや派」だからだ。イスラム系シーア派の流れを汲んでいるのだ(嘘)。持ってさえいれば重版だろうが汚れ本だろうが帯欠だろうが何でもいい。そもそも俺が古本を蒐め始めた動機だって、ミステリ好きな友達たちと話していて絶版本の話題になった時に、さりげなく「あ、その本なら持ってる」と言いたいがためだけなのであった(間違っても「読んでる」と言わないところがミソ)。そんな時、誰からも「え? その本って初版?」なんていちいち訊かれやしないもんな。
最近、古本屋でよく話をするのは、たかが文庫で初版だ何だと騒ぐ今の風潮は如何なものか、ということである。だって、ホントにたかが文庫−−それもせいぜい昭和30〜40年代あたりに出版されたもの−−なんだぜ。カバー違いの方がまだしもナンボか価値がありそうな気がする。本来、古本マニアの中でも「初版本マニア」はまた一種独特な人たちなのだ。
ネットオークションでは、角川文庫の横溝あたりが初版だという理由でヘタをすれば元版よりもずっとずっと高い値段で取引されているようなのだが、やっぱりそれは間違っていると思う。もちろんこの世の中に蒐集の対象にならないものなど無い。文庫の初版を蒐めたい人は蒐めればよいのだが、古書的な価値としてはごく普通に考えれば、文庫は元版よりも価値は落ちるに決まっているのだ。角川文庫の横溝あたりは、百円均一で見つけるのがやはり王道でしょう。このあたりを札束で横面ひっぱたくような買い方をするってのは、コレクターとしてみればまるで粋じゃないやね。
そもそも初版本に見い出す価値とは何なのか? 古書的な見地から言えば、文庫のみならず単行本でさえミステリの中でホントに初版を問題にしなくてならないのは、戦前に出版されたごく一部の作品だけなのではないか? ヘタすりゃ何千冊も現存していそうな文庫本に対して、「初版だぜ」と威張ってみてどうする?
昔、本屋で立ち読みしていたら、俺の横で頭の悪そうな兄ちゃんが彼女らしき頭の悪そうな姉ちゃんに向かって、「このオートモの『AKIRA』なぁ、俺、ショバン(←確かにこう発音した)で持っているんだぜぇ」と威張っていて、内心、「バーカ」と思ったのだが、それと同じ愚を繰り返そうとしてないか、「文庫本初版マニア」の人たちよぉ?
▼忙しい忙しい。ちょっと日記をサボっていたら、あっという間に2週間が過ぎてしまった。その間、出張二回、ゴルフ一回、宴会二回、人知れず地球を破滅から救うこと三度。これだけ忙しいので、涙を呑んでワールドカップの代表選手枠から名前を外してもらったほどである。つーことで先週末にあった古書市もパス。
その代わり、ロードショーでスティーヴン・キング原作の「アトランティスのこころ」を観てきました。もちろん原作を読了するのはまだまだ先の話になりそうなのだが(今の読書ペースからいえば、たぶん2年後)、キングにしては地味な話なので、早く観とかないと不入りですぐにでも打ち切られそうなんでなぁ。
出演している中で知っている俳優はアンソニー・ホプキンス一人のみ。いつ人を喰らい出すかとハラハラしながら観ていたが、結局、最後まで誰も喰わず(当たり前か?)。話の中身は、キングファンだとどうしても「スタンド・バイ・ミー」「ファイアスターター」あたりと比較してしまう。ま、そういう話です。キングの持つ二面が集大成されたようなものなのかなぁ。そういやキング自身、最近、作家としての引退を宣言したという噂を聞いたがホントなんだろか? 書かないではいられない人だと思うんだが・・・。
関係ないけど、今週の「週刊文春」の品田雄吉の映画評はヒドかったね。モーガン・フリーマン主演の「スパイダー」の犯人をいきなりバラしてしまうんだもの。それも、わずか三行の映画評の中でだぜ。観るまでもないってことか? でも品田雄吉の評価は☆二つなんだけどね(笑)。
▼「忙しい忙しい」などと言いながらも、買うべき本は買ってるところがえらいよな、この俺も。
古本は、牧野修『クロックタワー2』(アスペクトノベルス、1997、100円)、アマンダ・クロス『精神分析殺人事件』(三省堂、1996、250円)、スティーブ・オルテン『MEG』(角川書店、1997、100円)、バーナード・テイラー『神の遣わせしもの』(角川書店、1980、100円)、クラーク・アシュトン・スミス『呪われし地』(国書刊行会アーカムハウス叢書、S61、1,100円)、マイクル・クライトン『アンドロメダ病原体』(早川ノベルス、S46、100円)、リチャード・メイスン『溺れゆく者たち』(角川書店、2001、200円)、チャールズ・ホワイテッド『潜入捜査官』(立風書房、1975、100円)、ジョン・ハウレット『タンゴノヴェンバー』(集英社、1977、100円)。
このうちダブリ本は『神の遣わせしもの』と『アンドロメダ病原体』のたった2冊だけ。ただし『アンドロメダ病原体』は、よく見かける映画のスチールカバー版ではなくイラストカバー版の初版本。だからと言って単純に喜んでいられないのは、『精神分析殺人事件』『呪われし地』『タンゴノヴェンバー』の三冊もダブリかもしれないからだ。
新刊は、山田風太郎『怪談部屋』(光文社文庫山田風太郎ミステリー傑作選8)、ビル・プロンジーニ&バリー・N・マルツバーグ『嘲笑う闇夜』(文春文庫)、エドワード・D・ホック『サム・ホーソーンの事件簿(2)』(創元文庫)、芦辺卓『名探偵Z − 不可能推理』(ハルキノベルズ)、池田啓晶『手塚治虫完全解体新書』(集英社)、いしいひさいち『B型平次捕物控』(東京創元社)、「雲遊天下 29号」(ビレッジプレス)。
書店で見かける前まではこんな雑誌が出ていることすら知らなかった「雲遊天下」は、特集が「古本屋稼業」だったのでついつい手に取ってしまう。たぶんもう二度と買うことはないだろう。
中古ビデオも「アラビアのロレンス(上)(下)」(各550円)と「007カジノ・ロワイヤル」(550円)。「カジノ・ロワイヤル」はたぶん既に所有しているはずなのだが、好きな映画なので見つけた嬉しさにホイホイと買う。
▼数年ぶりにノート・パソコンを買い換える。今度のパソコンにはDVDも付いているので、これでやっとDVDでしか観られない映画ソフトも観られるようになったというわけだ。急いでメル・ブルックス監督の「ブレージング・サドル」の中古DVD(1,500円也)を買ってくる。この映画、俺は劇場封切り時に観ているのだが、あまりの不入りにほんの一週間足らずで打ち切られたというシロモノ。俺も記憶にあるのは、キャンプ中のカーボーイたちが車座になって豆のスープを食いながら、代わりばんこに屁を放つシーンくらいだ。DVD化されるまでは、たぶん日本では俺を含めて3人くらいしか観ていなかったはずだ。しかし、買い換えたパソコンは仕事で使うものなので、会社のデスクに置きっぱなし。さぁて、仕事中にどうやって観るかだな。
[248] GWに観た2本のギャングビデオ 2002-05-06 (Mon)【5月6日(月)】
▼GW中に行ったところとやったこと。
ファミレス5回、パチンコ2回、ゴルフの打ちっぱなし2回、スーパー銭湯2回、新刊書店6回、BOOK-OFF1回、レンタルビデオ屋1回、先行ナイトロードショー1回、喫茶店2回、休日出勤1回、古本市1回・・・。GW中ということで新刊入荷のない新刊本屋に何度行っても仕方ないのだけど、習慣で一日一度は覗きに行かないと何となく気持ちが悪い。
▼で、5月3日には開催初日の定例古書市へ。今更、欲しい本なんてあるもんかいっ!
結局、古書市ではトマス・ボスウェル『人生はワールド・シリーズ』(東京書籍アメリカン・コラムニスト全集10、1994、500円)一冊だけを買ったのみ。
その足で二百五十年ぶりくらいに鶴舞古書街をブラブラ散策。名古屋で古本屋を探すとなればまずこの鶴舞古書街の名前が挙がることが多いのだが、ことミステリの古本探しに関してはほとんど無駄足となることが多い。この日も、ダブリとなる「別冊宝島63 ミステリーの友」(宝島社、1987、200円)を悔し紛れに一冊拾っただけで終了。
▼その後に立ち寄った新刊本屋で町山智浩&柳下毅一郎『ファビュラス・バーカーボーイズの映画欠席裁判』(洋泉社)、中場利一『岸和田少年愚連隊 完結編』(本の雑誌社)、尾崎俊介『紙表紙の誘惑』(研究社)、矢作俊彦+藤原カムイ『気分はもう戦争2.1』(角川書店)。
「映画秘宝」でずっと楽しみにしているウエイン町山&ガース柳下の対談映画評がようやく一冊にまとまった。「歯に衣きせぬ」とはまさにこの対談のことで、ミステリ書評でもこの手の命知らずなスタイルでやる者は出てこないもんだろか?
『岸和田少年愚連隊 完結編』も俺の愛読しているシリーズ。いよいよ完結編だとのことだが、完結しちゃっても大丈夫なのか?>中場利一。このシリーズのファンだけにちょっと心配である。
尾崎俊介の『紙表紙の誘惑』は海外ペーパーバックの歴史と研究本。イギリスの老舗ペンギン・ブックスは、創始者がアガサ・クリスティとマローワン夫妻を訪ねた帰り道に汽車に乗ろうとして、駅の売店で大人が読むための面白そうな本を売っていないことから思い付いた・・・なんて逸話を知ってましたか? ポケミスの『九尾の猫』は何故か背表紙が二色に分けられていて、何でこの本だけがこんな装丁になっているのか前々から不思議だったのだが、この理由は分厚いペーパーバックを二巻に見せかけるための姑息な知恵ということも今回、初めて知った事実である。
矢作+大友の『気分はもう戦争』は面白かったよなぁ。あの続編が出たと聞いては黙っていられません。一読、ちょっと構成が破綻している−−と言うか未整理−−のような気がしたのは俺だけ? どうやらこれが第一巻のようなので、「2.2」に期待だ。
それにしても、このGW期間中に昨年の日記を読み返す機会があったのだけど、昨年のGW期間中にも似たようなことしかしていない俺なのであった。ま、生活が首尾一貫している・・・と言えばその通りなんだけど。
▼その他に買ってた本は・・・。
【新刊】
北上次郎『ベストミステリー大全』(晶文社)、ディヴィッド・グレイ『裁きを待つ女』(ソニーマガジンズ・ヴィレッジブックス)、ローリー・キング『バスカーヴィルの謎』(集英社文庫)、唐沢なをき『カスミ伝△2』(講談社)、ジャネット・イヴァノヴィッチ『わしの息子はろくでなし』(扶桑社文庫)、スチュアート・カミンスキー『人間たちの絆』(扶桑社文庫)。
北上次郎の『ベストミステリー大全』に目を通すと、ミステリ評論の世界で故青木雨彦の遺徳を継ぐのは北上次郎その人ではないかと思えてくる。以前、「本の雑誌」の「笹塚日記」で、古本馬鹿買いサイトの面々が北上次郎氏より「なんでああも易々とダブリ本を買えるんだろ?」と指摘されたことがあった。この理由は偏に記憶力が悪いからなのであったのだが、私も本書を読み改めてこう尋ねたい。
「なんでああも読んだ本を易々と忘れてしまうのだろ?」(笑)?
【古本】
S・J・マイケルズ『ヒットラーの相続人』(原書房、1996、100円)、A・J・オード『ポーズする死体』(教養文庫ミステリボックス、1991、100円)、友成純一『宇宙船ヴァニスの歌』(双葉ノベルス、S62、100円)、ピエール・ウーレット『デウスマシーン(上・下)』(ベネッサ・ミステリ・ペーパーバックス、1994、各100円)、『ディケンズ集 エドウィン・ドルードの謎 ほか六編』(講談社世界文学全集、1977、500円)。
最後の『ディケンズ集 エドウィン・ドルードの謎 ほか六編』が「エドウィン・ドルード」の本邦初訳らしい。それ以外の本は全部、ダブリかもしんない。
▼先行ナイトロードショーで観た映画とは、サム・ライミ監督の「スパイダーマン」。先日、「モンスターズ・インク」を一緒に観にいった会社のOL二人組から、「次は『スパイダーマン』を一緒に観ましょうね(はぁと)」と誘われていたモテモテ男の俺なのだが、それまで我慢しきれずに一足先に観てしまう。ま、OL達と一緒に観ても、三人分の映画代を払わされたあげく、晩飯まで奢らされるのがオチなんだもんな。
いやぁ、面白い面白い。ぱちぱちぱち。ウィレム・デフォーってば、やっぱり最高である。特撮も21世紀になるまで待った甲斐があったというもの。惜しむらくは、ヒロイン役のキルスティン・ダンストだ。おっぱいはデカいが、顔ははっきりと既におばさんじゃん。出来ればこの役は俺のご贔屓のジェニファー・ラブ・ヒューイットちゃんか、三歩下がってブリトニー・スピアーズちゃんあたりに演じてもらいたかった・・・って、これは思いっ切り個人の趣味?
▼ビデオも何本か観たが、印象に残っているのは「ロンドン・ドッグス」と「マイアミ・ガイズ 俺たちはギャングだ」の二本。前者がロンドン、後者がマイアミを舞台にしているとはいえ、どちらもジャンルとしてはギャング映画ということになるのか。しかし両者の趣はかなり異なる。
「ロンドン・ドッグス」は、今はイギリス映画がやっぱり旬だなぁと思わせるような出来映え。ロンドンのギャングたちを描いた一編なのだが、ユダヤ系のカラオケ好きなボスだとか性的不能に悩むその手下など、アメリカのギャングものに較べたら、まぁ実にのんびりとした雰囲気。とはいえ、銃撃シーンや拷問シーンなどの派手な場面も多いのだが、全編を覆うユーモア感覚がその凄惨味を消し去っている。とはいえ、ラストシーンだけは苦いんだけどね。
ご贔屓役者のリチャード・ドレイファス主演の「マイアミ・ガイズ」は、言わばギャング版「スペース・カウボーイ」。引退してマイアミで暮らすご老体のギャング仲間4人が昔取った杵柄で南米の麻薬組織相手に大暴れするという、これはもうはっきりと旧き佳きコメディ映画の香りのする一編。往年のハリウッド的な脚本が実に丁寧な作りで実に洒落ている。ドレイファスももちろん良いが、死にかけるとアイデアを思いつくバート・レイノルズが儲け役である。映画としての完成度と面白さではこちらの方が上か?
[247] 古本屋で声を掛けられると困るのですが 2002-04-26 (Thu)【4月26日(金)】
▼実社会でそれなりの社会的地位と責任ある立場のこの俺は、ネット上では原則として覆面であることを通している。だからこそTVの歌番組への出演依頼も断れるものは全て断って、あくまでもライブ中心の音楽活動を続けているわけである。とはいえ、名古屋オフあたりでは平気で素顔を晒しているので純粋な意味での覆面とは言えないが、覆面にしておく理由の一つには、うかつに正体を明かしてしまうと古本屋に出入りしにくくなるなどの支障が生ずる可能性があるからなのである。だって、そうでしょ。なまじ正体を明らかにしたりすると、特定の古本屋の悪口を気楽にこの「購書日記」に書きこんだりできなくなっちゃうからなぁ。ですからこれからもジャーナリストの本分を守りつつ、「未読王」という美しい仮面の下から真実と社会正義を追究していく所存なのです。
ということで、名古屋のほとんどの古本屋では遊び人の金さんという通り名で知られているこの俺なのだが、最近ではたまにしか行かない古本屋に一歩足を踏み入れたとたんに、その店の主人から「日記、読んでますよー」と声を掛けられることもしばしばなのである。そう言う時の店の主人の目は決して笑っていないのが多少の気がかりなのだが、なんで正体がバレたのかと考えてみると、結局この「購書日記」の存在自体にたどり着く。
新刊ならばいざ知らず、数に限りのある古本の場合には、買った古本の書名と購入価格をこと細かに日記に記していれば、「あっ、もしかするとあの時の・・・、アルバイトの女店員に気前よくチップを配り、常に微笑みを絶やさず見ず知らずの赤の他人にも爽やかな印象を与える好青年のあのお客が・・・、もしかして未読王?」と思い当たってしまう古書店主もさぞや多かろう。個人的には古本屋の主人は俺の正体に万一気付いたとしても、できればそっとしておいて欲しいと思うのだが・・・。
もちろん古本屋の親爺のみならず、古本屋で本を物色している最中、背後から「もしかして・・・、未読王さんでは?」と声を掛けられたりするのも困る。声を掛けてきた人物がむさ苦しい男だったりしたら、更に困る。そういう奴に背後からいきなり首を絞められたりナイフで刺されたりしたらもっと困る。
ともあれ、当日記のコンセプトとして買った古本の書名と値段くらいは書かないわけにもいかないからなぁ。いやはや、困った問題である。
▼で、困りながらも今日も書く。買った古本。
城昌幸『死人に口なし』(春陽文庫、1995、300円)
海野十三他『日本探偵小説全集11 名作集1』(創元推理文庫、1996、500円)
D・M・ディヴァイン『こわされた少年』(教養文庫ミステリボックス、1996、100円)
ジェームズ・チャップマン『ジェームズ・ボンドへの招待』(徳間書房、2000、1,450円)
火浦功『遊んでて悪いか!!』(アスペクト ログアウト冒険文庫、1995、100円)
月亭可朝『真面目ちゃうちゃう可朝の話』(鹿砦社、1999、100円)
山前譲編『七人の警部』(廣済堂ノベルス、H10、100円)
ジョン・ボール『原子力潜水艦、北へ』(早川書房、S55、100円)
ルパート・トムソン『ソフト』(角川書店、2000、500円)
ジョン・プレストン『スウィート・ドリーム』(白夜書房、1994、100円)
ここまでは発行年月を見れば分かる通り、古本とは呼べないような新しい本ばかり。この中で確実に持っていないのは、『ジェームズ・ボンドへの招待』『遊んでて悪いか!!』『真面目ちゃうちゃう可朝の話』『ソフト』『スウィート・ドリーム』の5冊で、残りの5冊は何がどうなっているのかさっぱり不明。
ルパート・トムソンの『ソフト』は出版当時あまり評判にならなかったようなのだが、解説に目を通した感じで言うと、もしかするとこれって「ノワール」とは違うのん? 「ノワール」ではないとしても、少なくとも「ミステリ」なのではないのか?
買った本の中で一つ困ったものは、ジョン・プレストンの『スウィート・ドリーム』。どうやらアレックス・ケインという名の私立探偵が活躍するハードボイルドらしいのだが、登場してくる主要な人物のほとんどがゲイ。出版元が白夜書房ということもあって、ジョセフ・ハンセンのデイヴ・ブランドステッターものよりもかなりハードな描写が満載のような気がする。読んでないけど。これがシリーズ第一巻のようなのだが、二巻以降も出版されているんだろか? 読む気ないけど。
次は多少は古めの古本。
マックス・エールリッヒ『リーインカーネーション』(早川ノヴェルス、1977、1,200円)
古賀正義『誤訳の世界はワンダーランド[推理小説誤訳のミステリー]』(ぎょうせい、1988、700円)
ポール・ブローダー『スタントマン』(角川文庫、S46、400円)
パトリック・デニス『メイムおばさん』(角川文庫、S49、400円)
J・B・ビッグ『最後の谷』(角川文庫、S46、400円)
エドモンド・ハミルトン『危機をよぶ赤い太陽』(早川SF文庫、1981、350円)
『リーインカーネーション』は持ってるような気もしなくはないが現時点では確認できず。『誤訳の世界はワンダーランド』で誤訳の見本として俎上に乗せられているのは、主としてクリスティの諸邦訳作品。クリスティの翻訳担当者といえば、結構名だたる人が多いというのに・・・。
『スタントマン』以下の角川文庫三冊は「変な角川翻訳文庫」の一群。この中で嬉しいのは『スタントマン』だな、やっぱり。今回、古本屋で見かけるまではこんな本が出ていたことをまったく知らなかったのと同時に、解説を読むとどうやら広義のミステリっぽいような気もする。残りの2冊はどちらも映画関連本。ルシール・ボール主演の「メイムおばさん」は記憶にあるけど、オマー・シャリフ主演の「最後の谷」というのはまったく記憶にない。17世紀のドイツ30年戦争を舞台にした歴史ものだそうだ。
▼新刊。ゴールデンウィーク前のせいか、面白そうなところが堰を切ったように・・・。
みうらじゅん『脳内天国』(コアマガジン)
みうらじゅん『青春ノイローゼ』(双葉文庫)
中島らも『あの娘は石ころ』(双葉文庫)
マシュー・プラントン『殺し屋とポストマン』(早川NV文庫)
オットー・ペンズラー編『殺さずにはいられない(1)(2)』(早川HM文庫)
フランク・フロスト『フランクリンを盗め』(早川HM文庫)
牧野修『傀儡后』(早川書房Jコレクション)
探偵小説研究会『本格ミステリ これがベストだ!2002』(創元文庫)
ミネット・ウォルターズ『囁く谺』(創元文庫)
コリン・ホルト・ソウヤー『氷の女王が死んだ』(創元文庫)
ピーター・デイヴィッド『スパイダーマン』(角川文庫)
爆笑問題『爆笑問題の日本原論 世界激動編』(幻冬舎)
爆笑問題+おおひなたごう『バクマン!』(幻冬舎)
「ミステリマガジン6月号」(早川書房)
「SFマガジン6月号」(早川書房)
中崎タツヤ『じみへん しぼり汁(生)』(小学館)
スティーヴン・キング『アトランティスのこころ(上)(下)』(新潮文庫)
とりあえず、みうらじゅんの『脳内天国』と爆笑問題の2冊だけは読んだな(^^;)。あ、『じみへん』の最新刊も読みました。『脳内天国』の中の、コレクターの心情を如実に表した一言−−「99は0に等しく、100以外は意味がない」−−は気に入りました。中崎タツヤはどんどんとギャグマンガの遠い地平へと向かっているなぁ。行き着く先に待っているのは「無常」である。「悟り」の世界である。
今回買った新刊では、まだ一頁も開いてない中にも面白そうなところが目白押しなのだが、やはり何と言ってもキングの『アトランティスのこころ』でしょう。作者キングと訳者白石朗のタッグ・チームといえば、現段階で考え得るエンターテインメント界最強のコンビである。
この本、単行本と文庫の同時発売で話題を呼んだが、前夜にパチンコで大勝した俺は当然のごとく単行本を買うつもりだったのだが、最初に入った新刊本屋に文庫しか置いてなかったためについつい文庫を買ってしまったのは、新潮社にとって悔やんでも悔やみきれない不幸な偶然の為せる技であろう。しかしもっと可哀想なのは『アトランティスのこころ』以外の俺に買われた本であるわけで、『アトランティスのこころ』を俺が読み終えるまでは手にとってすら貰えないわけだからな。
▼久々にCDを買う。
ブライアン・ウィルソン「Live At The Roxy Theater 」、エルトン・ジョン「One Night Only 」、ノラ・ジョーンズ「Come Away With Me」。ブライアン・ウィルソンの「Live At The Roxy Theater 」は二枚組のライブアルバム。ブライアン・ウイルスンのファンの一人としては音質の荒さやブライアンの声のカスレなんて些細なことはどうでもよくて、ただひたすらブライアン・ウィルソンがライブで歌っていてくれるという「事実」のみが嬉しい。ノラ・ジョーンズはCDショップで一曲試聴しただけで購入を即決するが、いわゆる「癒し系」のジャズ・ボーカリスト。
▼ビデオで「ザ・ミッション 非情の掟」。一部で異様に評判の良いこの映画(小林信彦まで誉めてたもんなぁ)、アクションものとして確かになかなかの佳品であった。しかし、香港黒社会のボスを守るために召集された5人組のリーダーを演じているのが果たして宍戸錠なのか北方謙三なのか、香港映画に詳しくない俺には最後まで分からなかった。いや、ホントなんだってば。小林亜星も出てるしな。
[246] 久々に収穫多い古書市 2002-04-20 (Sat)【4月20日(土)】
▼休日ながらも諸処の用事と用事の重なった今日、その僅かな合間をぬって鶴舞の古書会館で開かれている定例古書市に駆けつける。本日は開催中日である。
まずは一階の百円均一コーナーで、新書版の河野典生『殺意という名の家畜』(光風社書店、S45)を手に取る。元版も文庫ももちろん持っているが、この版にお目に掛かるのは初めてなので購入。津山紘一『屋根屋狂躁曲』(集英社、1983)、チャールズ・ボーモント『夜の旅その他の旅』(早川書房異色作家短編集、S44)の2冊も百円均一で。函付元版の『夜の旅その他の旅』はダブリとなるのだが、残念ながら月報は失われている・・・って、たかだか百円でそれはさすがに欲張り過ぎか?
メイン会場のある二階に上がり、最初に目に留まったのが高木彬光『刺青殺人事件』(岩谷書店、S28)。言わずとしれた高木彬光の処女出版作である。売値は4,000円。悩むところだが、他に買う本が何にも無い場合に備えてとりあえずキープしておくことにする。
同じ高木彬光の『死神の座』(講談社書下し推理小説4、S35)は函激痛という状態ではあるが300円という安さに負けて購入。
山中峯太郎『肚で行く』(偕成社、S14)の300円も安い。俺が買ったのは昭和14年6月15日刊行の第四版なのだが、奥付けには今まで版を重ねる毎の部数までが几帳面に全て記載してある。それによると同年4月20日に出版された初版の発行部数が3500部、続く第二版が3000部、第三版3500部、そしてこの第四版が3000部だとのこと。これじゃ出版社も著者への印税をごまかすわけにはいかないよなぁ(笑)。
「宝石 S30/8月号」(岩谷書店、250円)の特集は「怪奇科学特集」。久々に250円なんて値段の「宝石」を見かけたのでついつい嬉しくなって購入してしまう。目次にはF・ブラウンやヴァン・ヴォクトなどのSF作家の名前が連なる。ところで、本号で「270枚一挙掲載!」と銘打って掲載されている「ミセス・カミングス殺人事件」の作者の松原安里なる新進女流推理作家は、その後どこに消えたのだろうか?
エラリー・クイーン『ギリシャ棺の謎』(創元推理文庫、1959、300円)、同『ローマ帽子の謎』(創元推理文庫、1960、400円)を買った理由は偏にこの二冊が初版だったから。ちなみに『ギリシャ』はまだカバ無しの白帯、『ローマ』の方はカバー付きである。少なくとも文庫に関しては初版だからという理由で買うような嗜好はないつもりなのだが、なかなかの趣きのある『ローマ帽子』のカバーイラストに惹かれてつい手にとってしまう。
もう一冊、D・ハメット『探偵コンチネンタル・オプ』(六興キャンドルブック、S32、300円)。これもダブリ本だが、300円という値段の六興キャンドルをそのまま見過ごせるような奴の親の顔が見たいわい。
アンソニー・ハイド『チャイナレイク再び』(文藝春秋、1995、200円)も200円ならば・・・。でもこれはダブリ臭い。
今回の古書市も出かけるまではまったく期待していなかったのにも関わらず、最近の古書市にしては珍しくそれなりの買い物が出来たように思う。古本仲間のぽかぽかさんの日記(http://www5b.biglobe.ne.jp/~pocapoca/diary.htm)を読むと、どうやら俺の方が一足早く古書市会場に行ってたようだし(^_^)。
で、結局、キープしておいた『刺青殺人事件』は、他の本と一緒にそのままうっかりとレジに出してしまう。まぁ、他の本が安かったからいいか。
▼その帰り道、新刊書店で中島らも『空のオルゴール』(新潮社)、逢坂剛『アリゾナ無宿』(新潮社)、ハーラン・コーベン『ウイニング・ラン』(早川HM文庫)、スティーブン・グリーンリーフ『最終章』(早川HPB)、高田文夫責任編集「笑芸人 6号」(白夜書房)をむさぼり買い。今号から隔月刊となった「笑芸人」の特集は昨年物故した古今亭志ん朝。執筆陣の志ん朝に対する思い出を読むにつれて、もっとしっかり聴いときゃ良かったよなぁ・・・と、今になってつくづく思う。なにせ「志ん朝逝去」は昨年の個人的な十大ニュースのトップ項目だもんなぁ。「9.11NY同時テロ」なんて、俺の中ではせいぜい三位だ。
▼映画館で「モンスターズ・インク」を観る。もともとは「ロード・オブ・ザ・リング」を観に行くつもりで会社の女の子二人を誘って映画館に向かったのだが、「ロード・オブ・ザ・リング」の上映時間はたっぷり2時間半もありやがるんだよね。「こんなの最後まで観てたら、終電が無くなるぅ!」と泣き喚く女の子二人。そこまでして観るような映画でもないと判断して、急遽、時間的にちょうど良い「モンスターズ・インク」に変更する。
いやぁ面白い面白い。細かいギャグもなかなかのものだし、何よりも今やアメリカでも日本でも優秀な映画人ほどアニメの世界に流れているのじゃないかと思うほど脚本がきっちり練られている。CGの技術も「トイ・ストーリー」の頃と較べて格段に進歩しているのが、素人の俺でさえ分かる。雪山に倒れた主人公のモンスターの体毛が風雪になびくシーンの細かい技術など観ていて溜息が出るほどので出来映えある。エンド・ロールが流れる中、NG集が映るのも洒落た演出。「アニメなのに何故NG集が・・・?」と思う人は本編を観ること。舞台の一つとなる寿司バーの店名が何故だかハリーハウゼンというのは、モンスターマニアへの心配りか?
俺は字幕版で観たのだが、主役を張る二匹のモンスターの声をアテレコしていたのは、熊ちゃんタイプがジョン・グッドマン、目玉の親爺タイプがビリー・クリスタルという布陣。吹き替え版のホンジャマカ/石塚・爆笑問題/田中というコンビもなかなか合っているような気もする。ビデオになったら、吹き替え版も観てみようかな。
▼で、レンタルビデオで借りたのが「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」。うっひゃあ、これまたホラー映画ファン必見の面白さ!
1920年代、ドイツ表現主義の代表作として「カリガリ博士」とともに今も名高い「吸血鬼ノスフェラトゥ」。実は俺も観たことはない(つーか、今更観る気もしない)のだが、吸血鬼ノスフェラトゥ自体はホラー映画を扱った評論集などには必ずスチール写真が嫌と言うほど載っているので、知らない人はまずいないと思う。
で、もしもこのノスフェラトゥを演じた主演俳優(マックス・シュレック)が実は本物の吸血鬼だったら・・・というまるでドリフターズのコントのような設定で大まじめに撮られた作品なのであるが、主役二人(監督のムルナウ=ジョン・マルコヴィッチと吸血鬼シュレック役=ウィレム・デフォー)の怪演でまぁ魅せること魅せること。特にウィレム・デフォーときたら、俺にとってはつい先日観たばかりの「アニマル・ファクトリー」に続いての禿頭役(笑)。まぁそんなことはどうでもいいが、W・デフォーって「処刑人」の踊るオカマの刑事役だとか加速度的に変な方向に向かって行こうとしてるよな。次はサム・ライミの「スパイダーマン」の敵役だしなぁ。まぁその方が面白いんだけどさ(笑)。
それにしても、実在の俳優であるマックス・シュレックの遺族がこの映画を観たら、告訴したくならないもんだろうか? なにしろご先祖様が本物の吸血鬼だと言われてるんだぜ(笑)。
▼ここで報告したかどうかは忘れたが、早川MP文庫はもう出ないらしいぞ。「ミステリアス・プレス自体が本国でもう本を出さなくなったから」という理由らしい。
[245] 第一回名駅古書即売会 2002-04-17 (Wed)【4月17日(水)】
▼本日は第一回目となる名駅古書即売会の開催初日。とりあえず会社の昼休み時間中に駆けつけてみる。うちの会社からだと昼休みの一時間では到底往復できるような場所じゃないんだけど、そこはそれ、人間、何事も根性だ。
会場となる「テルミナ広場」の広さは、定例古書市の開かれる名古屋古書会館の二階と同じくらいのものか? こんなところまで足を伸ばすことは滅多にない俺にとっては、普段、このスペースが何に使われているのかさっぱり分からん。
場所柄もあってか、会場はそれなりの賑わいである。古書市の世話役らしい古本屋の親爺連中の見慣れた顔もポツリポツリと目につく。あんた、こんなところでウロウロしてないで、たまには店を少しは片づけたらどうやと言いたくなる気持ちを必死に抑える。
で、限られた時間の中で買ったのはこんなところだ。
坪井正利『ウエスタン・マニア』(KKベストセラーズ、S52、700円)
深野有『ペーパーバックス読書学』(トパーズプレス、1981、700円)
安藤鶴夫『わたしの寄席』(雪華社、S41、700円)
竹本健治『ウロボロスの基礎論』(講談社、H7、500円)
うひゃあ、ミステリは何となく買った『ウロボロスの基礎論』たった一冊だけかい!!
第一回目ということで、古書市としての体裁は為していても古書市の「性格」が固まってくるのはまだまだ先のことかなぁ。言い方は悪いが、今はまだ店に置いておいてもなかなか売れない本をとりあえず持って来ましたあという色合いが強いように思える。
その帰途、もののついでに寄った古本屋の百円均一棚で、テリイ・サザーン/メイスン・ホッフェンバーグ『キャンディ』(早川ノヴェルス、S40)を拾う。この『キャンディ』、角川文庫で読んだ人も多いだろうが(俺もそうだ)、早川ノヴェルス版は訳者が何と言っても稲葉明雄の上に、お上から発禁喰らったという曰く付きの版である。となれば、やはりこの早川ノヴェルズ版で持っていたいやね。あとは、すっごくキュートでセクシーだったエヴァ・アウリン主演のビデオも欲しいよなぁ。
それにしても最近は、古書市よりも古書市帰りに立ち寄った古本屋でのヒット率が高いというう変なジンクスが出来上がってきたようである。
会社着2時。やはり何事も根性だけでは如何ともし難かったようだ。
▼新刊。
ロバート・B・パーカー『湖水に消える』(早川書房)
片山まさゆき『牌賊!オカルティ(4)』(竹書房)
大槻ケンヂ『リンダリンダラバーソール』(メディアファクトリー)
鮎川哲也監修/芦辺拓編『少年探偵王』(光文社文庫)
マイケル・ボンド『パンプルムースの犬』(創元文庫)
いしいひさいち『文豪春秋』(創元文庫)
小林信彦『物情騒然。』(文藝春秋)
土屋賢二『紅茶を注文する方法』(文藝春秋)
唐沢俊一『ウラグラ』(アスペクト)
唐沢俊一『電網倶楽部』(講談社)
「本の雑誌 5月号」(本の雑誌社)
小林信彦の『物情騒然。』のタイトルの最後にひっそりと付けられた「。」とは何か? こういう細かいところで今更、世間におもねってどうする(笑)?
いしいひさいちの『文豪春秋』は、相変わらず天才のみが為し得る仕事。
▼レンタルビデオで「零の箱式−ラーメンズ ヨリヌキ初期作品集」。多摩美出身の片桐仁&小林賢太郎のインテリ・コンビによるコント集である。
ふむふむ、想像以上に面白いではないの。今回観たビデオはラーメンズの二人だけのコントではなく三人ほどの客演も入ったものだったので「ちょっと高尚なジョビジョバ」という感じか。
ラーメンズのコントは「爆笑オンエアバトル」と「笑点」でそれぞれ一度観ただけだったのだが、やはりこうやってある程度の長さのコント(というよりも、かなり演劇的だが)をまとめて観た方が格段に良い。特に「笑点」ではすべっていた記憶があるが、まぁあれは客層も違うしな。特に感心したのは、片桐仁が一人で髪の毛振り乱して延々と熱演し続ける「たかしと父ちゃん」。これだけでも観る価値はある。
▼映画館で「ブラックホーク・ダウン」を鑑賞。1993年、内乱続くアフリカはソマリアの地で戦われた米軍vsソマリア民兵の市街戦をドキュメンタリー・タッチで描く戦争映画である。
いやぁ、リドリー・スコット監督ったら作りましたねぇ、いくら実話が原作だとはいえまったくドラマ性の無い戦争映画を・・・(笑)。何せ2時間25分の上映時間中、約2時間が戦闘シーンという煽り文句は伊達じゃないやね。いや、俺としてはなまじヘタなドラマを入れるよりは(実例:「バールハーバー」)、こちらの方がよっぽど良いんだけど。映画の中で「ソマリア民兵は射撃がヘタ」という台詞も出てくるのだが、それにしても、ソマリア兵の射撃技術はいくら何でもヘタ過ぎ(笑)。敵弾のビュンビュン飛んでくる中を平気でくわえ煙草で歩いてるんだもんなぁ。この戦闘でのアメリカ兵の死者二十数名に対してソマリア側の死者は千人を超えるというのだが、いくら米軍と民兵では火器のレベルが異なるとはいえ、白兵戦になったらそんな差などは吹っ飛んでしまうように思えるのだが。ソマリア兵はいっそのこと、弓矢と槍で戦った方が命中率がよかったかもな。
[244] 旦那、出物がありやすぜ 2002-04-11 (Thu)【4月11日(木)】
▼古本屋から「ちょっとした出物が出ましたぜ」という電話を貰い、会社帰りにいそいそと店に向かう。自分で言うのも何だが、古本屋からこういう電話の一つも貰えるようにならないと一人前の古本者たぁ呼べないやね。とはいえ、古本屋からむやみやたらと電話も貰うのもまた困りもので、中には「先日、目録で注文された本の代金がまだ振り込まれてないようですが・・・」なんて催促電話もあるから要注意である。
この電話を掛けてきたのは、先月、「スペオペを買う」というタイトルで紹介した古本屋である。今まで同様、ほとんどが早川のSF文庫なのだが、今回がついに最後の処分となるらしい。元の持ち主は先日八十何歳かで逝去されたお爺さんとのことで、置き場に困った家族が何度かに分けて処分しに来ていたようだ。亡くなった時に八十何歳のお爺さんとはいえ、このあたりの本が新刊として出ていた昭和40年代後半から50年代前半に掛けては五十代から六十代なので、当時としてもスペオペファンとしてはおそらく最高齢に近いはずだ。「スペオペファンの爺さん」ってのは何かホノボノとしていていいよね。それはともあれ、これよりも古い本は家族が全てきれいさっぱり捨てちゃったというから実に豪儀な話である(;_;)。
で、俺が抜いた後で市に出すという有り難い申し出を受けて、まだ誰も手を触れていない純白な処女雪のような本の束の中から俺が選び出したのはこんなところだ。
ロバート・E・ハワード『魔境惑星アルムリック』(早川SF文庫、S47)
エドワード・E・スミス『火星航路SOS』(早川SF文庫、S50)
アンソニィ・ギルモア他『太陽系無宿』(早川SF文庫、S47)
レイ・カミングス『月面の盗賊』(早川SF文庫、S51)
ニール・R・ジョーンズ『二重太陽系死の呼び声』(早川SF文庫、S47)
エドモンド・ハミルトン『挑戦!嵐の海底都市』(早川SF文庫、S46)
エドモンド・ハミルトン『透明惑星危機一髪!』(早川SF文庫、S46)
エドモンド・ハミルトン『恐怖の宇宙帝王』(早川SF文庫、S49)
エドモンド・ハミルトン『魔法の月の血闘』(早川SF文庫、S49)
エドモンド・ハミルトン『人工進化の秘密!』(早川SF文庫、S53)
エドモンド・ハミルトン『惑星タラスト救出せよ!』(早川SF文庫、S53)
エドモンド・ハミルトン『異次元侵攻軍迫る!』(早川SF文庫、S56)
C・L・ムーア『暗黒神のくちづけ』(早川SF文庫、S49)
C・L・ムーア『新世界の黎明』(早川SF文庫、S50)
キース・ローマー『銀河のさすらいびと』(早川SF文庫、S49)
A・E・ヴァン・ヴォクト『宇宙嵐のかなた』(早川SF文庫、S45)
A・E・ヴァン・ヴォクト『地球最後の砦』(早川SF文庫、S46)
ウィーン&ウルフマン『驚異のスパイダーマン』(早川JR文庫、S55)
ディヴィッド・ホイテカー『時空大血闘!』(早川SF文庫、S55)
テランス・ティックス『オートン軍団の襲来!』(早川SF文庫、S55)
マルカム・ハルク『戦慄!地底モンスター』(早川SF文庫、S55)
ヘンリー・ジェイムズ『ゴースト・ストーリー』(角川文庫、S47)
蒲松齢『完訳 聊斎志異 第一巻』(角川文庫、S44)
眉村卓『還らざる城』(旺文社文庫、1983)
島田一男『午前零時の出獄』(春陽文庫、S28)
宇井無愁『底抜け現ナマ作戦』(春陽文庫、S44)
横溝正史『神変稲妻車』(サンポウノベルス、S43)
山田風太郎『天保忍法帖』(ホリデー新書、S44)
橘外男『神の地は汚された』(河出新書、S31)
大谷羊太郎『殺意の演奏』(講談社、S45)
早川SF文庫では、作者の名前からしていかにもスペオペスペオペしたところを買っているのがよくお分かりのことだと思う。ニール・R・ジョーンズのジェイムスン教授ものは確かこれで完集のはず。『時空大血闘!』以下の三冊は「ドクター・フー」ものである。じゃハミルトンのキャプテン・フューチャーはどうなのよ? これで全部揃ったんだろうか? うひゃあ、今更、調べる気にもならんわい。
島田一男『午前零時の出獄』は旧装丁の春陽文庫。元パラ付きの美本である。『底抜け現ナマ作戦』の宇井無愁は、本の惹句によれば「『新青年』の人気作家」だったそうなのだが、実際のところはどうなのか。ともあれ今回買った本の中で一番の拾いものは橘外男『神の地は汚された』なのだろうが、生憎、これはミステリ系統の小説ではないようだ。
で、この中で自信を持ってダブリ本だと言い切れる自信があるのは、ヘンリー・ジェイムズ『ゴースト・ストーリー』と山田風太郎『天保忍法帖』の二冊だけ。この30冊で支払った総額は7,500円。平均すれば一冊250円なので、早川SF文庫を基準として考えればちょっと高いが、橘外男が250円で買えたと考えれば安い買い物である。
・・・それにしてもこの俺が、今更、スペオペを読むなんてことがあるんだろうか?
▼その他の古本屋で買ったのは二冊。広瀬正『T型フォード殺人事件』(講談社、S47、100円)と桂三枝『桂三枝落語大全集4 父さんがビデオカメラを買った日』(レオ企画、S60、100円)。『T型フォード殺人事件』はダブリ。『桂三枝落語大全集4 父さんがビデオカメラを買った日』はたぶんダブリではないと思うが、正確なところは不明。
▼新刊。
トマス・H・クック『神の街の殺人』(文春文庫)
松尾スズキ『ぬるーい地獄の歩き方』(文春文庫)
黒田研二『嘘つきパズル 究極の名探偵★登場』(白泉社My文庫)
日下三蔵編『鮎川哲也名作選』(河出文庫本格ミステリコレクション)
日下三蔵編『水谷準編』(ちくま文庫怪奇探偵小説名作選3)
浅草キッド『発掘』(rockin' on)
松本人志・島田紳助『松本紳助』(ワニブックス)
お笑い芸人の書いた本を一度に三冊もまとめ買いしてしまう。え? 浅草キッド『発掘』と『松本紳助』の二冊だけじゃないのかって? あなた、黒田研二を忘れているでしょうが。
書店で見かけるたびに買おうかどうしようか迷っていた『松本紳助』もとうとう購入。TVの「松本紳助」は、おそらく4〜5回程度しか視ていないはずである。実際、毎回欠かさず視ているTV番組は、最近ではTBSの「ガチンコ!」くらいしかない俺だ。
▼レンタルビデオで観たビデオは三本。
「アニマル・ファクトリー」、「ミラクル・ショー ハロルド・スミスに何が起こったか?」、「アラクニッド」。
怪優スティーブ・ブシェミが製作・監督・出演まで勤めたエドワード・バンカー原作の「アニマル・ファクトリー」は、もちろん原作本も買ってあるがもしかすると原作もこの映画と同じくらいつまらないんだろうか? だったら買うことはなかったな。主演のウィレム・デフォーも、せっかく丸坊主になってまで出演する価値がなかったな。
80年代を舞台にした「ミラクル・ショー ハロルド・スミスに何が起こったか?」は、コメディの割には笑えるところがあまりにも少ないが、80年代の聞き慣れたポップスをBGMとした映画自体はそんなには悪くない(良くもないけど)。何よりも主演の青年を演じたマイケル・リッジの可愛さで保っているような感じだ。
「アラクニッド」は宇宙から来た強いんだか弱いんだかよく分からない巨大蜘蛛を退治する話。特にこれといった見所のない映画で、まぁ、金を払ってまでして観るシロモノではないわな、これは。
[243] 東京横浜食べある記 2002-04-05 (Fri)【4月5日(金)】
▼社用で上京。
この数日前に学生時代の友人であるM下から「俺もついにインターネットを始めたので、練習のためにメール友達になってくれぇ」という趣旨のメールが届く。
メール友達になることはきっぱりと断る。俺も、人のメールの練習台になるほど暇ではないのだ。「上京することがあったら、ぜひ家に寄ってくれ」という言葉もあっさりと聞き流す。何せこいつが住んでいるのは東京駅からも新宿からも一時間以上も掛かるような田舎の新興住宅地のだ。田舎嫌いの俺がわざわざ行くことなんて、まず無かろう。
しかし、世の中とはどう転ぶか分からないもの。M下とメールのやりとりした数日後、急な用件で東京まで出張しなくてはならなくなった。用件自体は2時間も掛からずに終わるものなので、あとはフリーの身である。しかも翌日は土曜日。だったら一泊して遊ばない手はない。あわててM下の家に電話して、その夜の宿泊先としてキープしておくことにする。
▼目的の用件を終えて東京営業所に立ち寄る。嘘だと思われるかもしれないが、うちの会社の東京営業所の所在地は神田駿河台下。ついでに言えば、東京に住んでいた頃の俺の勤務先は御茶ノ水だ。どちらも古本のメッカである神田神保町とは目と鼻の距離にある。しかし御茶ノ水に勤務していた頃は、神保町に古本探しに行くことはほとんど無かったもんなぁ。店の閉まる時間が結構早いし、昼に行けば2時間や3時間はすぐ経ってしまうので当時は自制していたんだと思う。あの頃が、俺の人生の中で一番真面目だった頃だったかも分からんなぁ。
東京営業所で雑談した後、神保町へと繰り出す。めぼしい店を数軒回るが買いたい本は皆無。あ、しまった、羊頭書房を覗いてくるのを忘れてたぁ! 結局、古本新刊ともに一冊も買うことなく神保町をあとにする。
▼夕刻、いるか@大家、おおみと新宿紀伊国屋書店前で待ち合わせ。田舎者かぁ?>わしら。
三人が集まりどこの店に行くかというあてもなく歩き出すと、ビラ配りの兄ちゃんに誘われるがまま、一軒の中華点心レストランへと入る。ますます田舎者かぁ(;_;)?>わしら。しかしどうやらおおみはこの店を知っていたようで、「この店、色々とイベントがあったり店の設備が凝っていて面白いのよぉ」と言う。いったい何がどう面白いのかというと・・・男子トイレの便器が、用を足している間、ずっと上下し続けるのである。こういうのが面白いというおおみの感覚が分からない・・・と言う以上に、おおみがこの店の男子トイレの設備に関して何でそんなに詳しいのかその方が謎だ。
俺から男子トイレの話を聞いたいるか@大家もその後トイレに行き、「女子トイレはそんなことなかったぁ」と不満げに言うが、縦であれ横であれ、女子トイレの便器が動いたりしたら落ち着いて用を足すどころの騒ぎではなかろうに。
三人の会話の内容は、三人ともにパソコン通信歴がそれなりに長いため、知人やネットの噂話や悪口に始まり、最近読んだ本から観たビデオ、ペイオフ対策と日銀の量的緩和策の諸問題(嘘)に至るまで、それなりに話題は尽きることがない。
そうやって話しているといきなり店内の照明が消え、代わりにブラックライトが怪しく点滅してお待ちかねのチークタイムの始まりである、店内に耳を劈くような異様な騒音が鳴り響くと同時にいったい何が始まるのかと固唾を呑む我々三人。しかし・・・結局、何も起こらないまま照明が元へと戻る。いったい何だったのか、あれは? しかもこれが一度ならず定期的に繰り返されるので、落ち着いて会話も食事もしていられない。もしかして、客に対する単なる嫌がらせなのかぁ?
▼その後、喫茶店に場所を移して終電の時間を気にしながら雑談を続け、解散。
帰る方向が同じ方面のいるか@大家と電車に乗り、帰宅の途につく。しかし、呑んだワインが悪かったのか、それともあの店のわけの分からないイベントとBGMが悪かったのか、いるか@大家の降りる駅の一駅前でいきなり猛烈な吐き気が襲ってくる。
扉が開くなり「悪いっ! 俺、急に気分が悪くなったから、一旦、この駅で降りるわ」と息も絶え絶えになりながらプラットフォームに倒れ込むようにして電車から降りると、いるか@大家は閉まる扉の向こうで「じゃねー。またねー」と手を振るばかり。
「ちょっと、あたしの部屋で休んでいったら?」と言えとまでは俺は頼まん。普通、背中の一つもさすってやろうとは思わんかぁ(-_-;)凸? それが人の道とちゃうんかぁい(-_-;)凸?!
その後、俺がM下のマンションに着くまでの出来事に関しては多くを語りたくない。襲い来る猛烈な吐き気と闘いつつ朦朧とした意識のままで見知らぬ駅のプラットフォームを何度も何度も行き来して、終電も無くなり折からの猛吹雪に行く手を遮られながら、途中、山賊やインディアン、タリバン兵、人喰い狼の群などに襲われつつ、どうやってM下のマンションまでたどり着いたかを詳しく記せば、今年度の冒険小説大賞が確実に俺のものになってしまうことだろう。
▼M下と会うのは、何と9年ぶりにもなるとのこと。昔は渋谷や六本木の町を、それ徹夜麻雀だ、それ徹夜バックギャモンだ、それ徹夜ポーカーだと毎晩のようにツルんで歩いていたものだなのだが。あの頃は何をやるにしても徹夜だったよなぁ、ホントに。
そのM下も今では妻一人、子一人の家族持ちである。もっとも、その妻であるM貴子も俺やM下と同じクラブに籍を置いていた旧知の仲なので、俺としては何の気兼ねも必要ないわい。わっはっはっ。(←泊めてもらった俺の言う言葉じゃないかも(^^;)?)
しかし一粒種の坊やとは初対面である。この坊や、「シックス・センス」や「A.I.」のオスメント少年にそっくり。早速、「アイ・シー・ザ・デッド・ピープル」という台詞を教え込んでやる。これから、宴会の持ちネタにでもしなさいね。
「そうかぁ、もう9年も会ってなかったっけ? で、坊やは何歳になった?」と尋ねると、妻M貴子が「もう九つ。未読王さんと最期に会ってからちょうど十ヶ月後にこの子が産まれました」とポッと顔を赤らめながら言う。
そんな記憶はまるで無いのだが、そう言われてみると、何だか目元から鼻筋にかけて俺に似ているような気もしなくもないな。
その後、M下のパソコンでもYAHOO!GAMESのバックギャモンが出来るように設定してやったり、NIFTYに入ってチャットを体験させてやったり(チャットに入ると、つい先ほどまで一緒だったいるか@大家もおおみもいたのは、いっそ情けないわい(笑))して、就寝3時。
▼翌日は、M下一家の三人に加えて、昨夜のチャットで誘ったいるか@大家も参加して、新横浜のラーメン博物館を見学。昭和30年代の日活映画のセットのようなラーメン博物館の内部はもうものすごい人出である。食べたいラーメン屋は一時間半待ちの行列。
しかし行列よりも驚いたのは、TV番組で俺が唯一欠かさずに観ている「ガチンコ!ラーメン道」の佐野実師自らがラーメン博物館の中の調理場に立ってラーメン作っていたのを見たこと! いやぁ、普段にもまして不機嫌そうでした(笑)>生佐野実師。
せっかくここまでやって来たんだから、せめて三杯は喰い回りたかったのだが、結局は普通盛り一杯と小盛り一杯の二杯止まりで我慢する。
ということで新横浜駅からそのまま新幹線車上の人となり、一泊二日の関東行もこれで終了。
それにしてもこれでは「購書日記」にならんわなぁ。何せ東京・横浜にいた二日間に買ったのは「小松左京マガジン第五号」(角川春樹寺務所)一冊のみだもんなぁ。
これではいかんと、名古屋駅に到着するや否や駅前の本屋に飛び込んで呉智英『マンガ狂につける薬21』(メディアファクトリー)、勢古浩爾『まれに見るバカ』(洋泉社 新書y)の二冊を買って、ホッと一息つく。
▼東京行きの前に買ってた古本はこんなところ。
ジム・ギャリソン『ウォルナット計画』(新潮社、1977、100円)
坂口安吾『投手殺人事件』(東方社、S30カバ欠、2,000円)
三笑亭夢楽『いたずらの名人』(筑摩書林、S51、50円)
クライド・フィップス『シャレード'79』(サンリオ、1978、500円)
坂口安吾の『投手殺人事件』は、カバ欠な点が痛いが2千円ならばまぁ「買い」だろう。
あとは中古ビデオでウィリアム・パウエルがファイロ・ヴァンスに扮した「ケンネル殺人事件」(980円)。たぶん一生観ないと思うけど。
[242] 女主人の古本屋 2002-04-02 (Tue)【4月2日(火)】
▼一般に古本屋の主人といえば、生きているんだか死んでいるだか判らないような猫を懐に抱きながら、苦虫でも噛み潰したような顔で帳場から眼鏡越しに客を睥睨している頑固親爺のような印象が強いが、最近ではさすがにそんなステロタイプな親爺も減ってきた。逆にここ数年で一気に増えてきたのが、作務衣姿で顎髭か何かを生やして、つい昨日までマリファナ吸ってましたぁ〜!というようなサブカル系親爺である。これに反して、意外に少ないのが女主人の古本屋。俺の知ってる限りでは、主人が女性の古本屋は名古屋でも2軒くらいしかない。
この中で特に一軒、このところ俺が贔屓にしている店がある。昨年、店のご主人が亡くなってその跡目を奥さんが継いだ店である。古本の知識もあまり無いということで最初は店を続けるか廃業するかで悩んだようなのだが、ご主人の遺志を継ぐことをついに決意して、苦労の末、今では市にも一人で出かけるようになり、古本屋商売の面白さや醍醐味も少しずつ分かってきたようである。俺も生前のご主人には懇意にしてもらったこともあり、出来るだけ応援していきたいと思っている。
それはそれとして、「未亡人のやってる古本屋」と聞くだけで何となく通いたくなるのもまた人情である(笑)。「急逝した主人に代わり古本屋を継いだ女主人の涙と笑いの細腕繁盛記」なぁんて、いかにもテレビドラマ的な設定だよなぁ。で、そういう店には必ず「その女主人を陰になり日向になって助ける謎のブルジョア紳士」ってのがいるんだけど、それが俺の役どころだ。このブルジョア紳士は満州事変の時に、石炭か何かで一山当てたんだよなぁ。・・・って、時代設定はいったい何時の話なんだよぉ(;_;)?>このドラマ。
元々純文学系の古書に強かったこの店、前のご主人の時はこれからミステリ・SF系にも力を注いでいきたいということで、この俺も時に相談に乗ったりもしていたのだが、今の女主人になってからはミステリは苦手ということでだんだんと店置きのミステリの冊数が減ってきているのが難点である。なかなかうまくいかないものだ。
とはいえ応援すると言った限りは、店に寄れば何か買わざるを得ない。で、その古本屋で買ったのが「彷書月刊 第2号」(弘隆社、1985/10月号、500円)。現在の「彷書月刊」に較べたらペラペラの薄さ(表紙・裏表紙込みで40頁)なのだが、特集は「探偵小説」。渡辺啓助の回想記(啓助翁も当時、若干八十四歳である。わ、若いっ!)や西原和海による夢野久作の父・杉山茂丸の手になる翻案探偵小説(原作はオップンハイム)解説、縄田一郎の「若さま侍捕物手帖」紹介等々、読み物もなかなか結構なものだが、「彷書月刊」の目玉である目録広告にやはり目がいく。
本文の特集が「探偵小説」ということなのでその関係の出品もそれなりにあるのだが、値段的にはやはり現在とは隔世の感がある。例を挙げれば、大正年間発行の「新青年」が一律一冊2,000円だとか、甲賀三郎『羅馬の酒器』(1942)4,000円、松本泰『倫敦の薔薇』(昭15)4,500円、小栗虫太郎『海螺斎沿海州先占記』(昭17)8,000円等々、もしも今、この値段で目録に出たならば間違いなく注文を入れたくなるようなものばかり。今の相場なら少なくともこの値段の5倍から10倍はするだろう。1985年といえばつい先日のことだ。その頃に買っておけよなぁ・・・と、つくづく思う。もっとも今から10年も経てば、また「10年前に買っとけよなぁ」と思うのが古本なのだが。
▼その他の古本買いも、ほぼ二〜三ヶ月に一度の割合で定期的に訪れる沈滞期なのか、たいして買いたいものに行き当たらない。ディヴィッド・J・スカル『ハリウッド・ゴシック ドラキュラの世紀』(国書刊行会、1997、2,200円)、ロジャー・エンジェル『シーズン・チケット』(東京書籍アメリカンコラムニスト全集6、1992、100円)、『スター・ウォーズ ジェダイの復讐』(ソノラマ文庫、S58、100円)、ギリアン・スコット『推定殺人』(教養文庫ミステリボックス、1992、100円)、バーナード・コーンウェル『ロセンデール家の嵐』(早川書房、1991、100円)とミステリ以外の本や安物買いに終始する日々。
▼新刊もジョン・ソール『妖香』(ソニーマガジンズ・ヴィレッジブックス)とクラフト・エヴィング商會『らくだこぶ書房 21世紀古書目録』(筑摩書房)の二冊のみ。しかしこの『らくだこぶ書房 21世紀古書目録』に関しては、ちょっと特筆しといた方がいいかも。何故ならばこの本、大矢博子のインターネット書店「なま楽」で買ってやったのだ! え〜い、恐れ入ったかいっ!
先日のオフで大矢博子に会った際にも、オフの最中に男子トイレ脇の薄暗い場所に呼び出されて、「おうおうっ、てめぇ、新刊を山ほど買っているくせに、あたしの『なま楽』には一度も注文を入れたこと無いんだってなぁ。おうおうおうっ、一度、ヤキを入れてやろうかぁ?」と胸ぐら掴まれて凄まれたのだが、その時にも頑として首を縦に振らなかった俺である。その時の俺の姿は、無法で巨大な暴力に決して屈せず言論と出版の自由を守り抜いた、まさに「ペンは剣よりも強し」という言葉をそのまま体現化したものだと言えよう。違うか?
しかしこの『らくだこぶ書房 21世紀古書目録』、大矢博子の隠し日記で出版されたことを知ったのだが、ホントに出版されたかどうかすら心許なくなるくらい、現物を書店で見かけたことが一度として無かった本なのである。で、切羽詰まって仕方なく「なま楽」に注文を入れたというわけだ。決して大矢博子の圧力に屈したわけではないので、そこんとこよろしく。
[241] 小ネタ集 2002-03-30 (Sat)【3月30日(土)】
▼このところ、たいして書くべきことも見あたらないので「小ネタ集」でも。
▼ここしばらく観たビデオについて書いていないが、その理由は、買い溜めしてある分を再読ならぬ再視聴しているということと同時に、レンタルビデオは観る端からどんどん内容を忘れてしまうからだ。とほほほ。その中で唯一憶えているのは「アイアン・ジャイアント」が評判通りに面白かった・・・ということくらいか。
劇場で観た映画は「エネミー・ライン」。ジーン・ハックマン、オーウェン・ウイルスン主演でボスニア紛争を舞台とした現代戦争ものである。それにしても、オーウェン・ウィルスンという若い俳優の、一度骨折して無理矢理くっつけたような鼻の形は何とかならんものか? このウィルスンという役者は「アルマゲドン」や「シャンハイ・ヌーン」あたりに出ていたそうだけど、その時にはまるで記憶にない鼻である。20分以上にも及ぶ大迫力の空中戦や大金を投じた特殊効果シーンよりも役者の鼻の形の方が気になるんだから困ったものである。
▼中古ビデオを三巻ほど購入。
「黄昏のチャイナタウン」(750円)、「オースチン・パワーズ」(750円)、「ペーパーバック殺人事件」(550円)。最初の2本は有名作なので説明は省くが、最後の「ペーパーバック殺人事件」だけには若干注釈を入れておこう。原題は「Murder by the Book」といい、ハードボイルド作家とその作家の書く小説の主人公である探偵が協力して殺人事件を解決するという、幻想味と推理とコメディの入り混じった一千九百八十六年製作の隠れた傑作である。って、まだ観てないんだけどさぁ。
▼新刊は、意図的ではないんだけど、なんとなくマンガ強化週間となる。
唐沢なをき『八戒の大冒険 2002 REMIX』(エンターブレイン)
唐沢なをき『鉄鋼無敵科學大魔號改』(講談社)
吉田戦車『象の怒り』(エンターブレイン)
夢枕獏『キマイラ昇月変』(ソノラマ文庫)
マイク・ネルソン『史上最高のおバカ映画はこれだ』(産業編集センター)
大沢在昌『新宿鮫 風化水脈』(カッパノベルス)
「SFマガジン 5月号」(早川書房)
「ミステリマガジン 5月号」(早川書房)
マイク・ネルソン『史上最高のおバカ映画はこれだ』の翻訳はフザケすぎ。
『新宿鮫 風化水脈』は単行本で持っているのにも関わらず、勘違いして買ってしまった。こういうことが無いようにちゃんと読んどけよな、ったく。しかしこの「鮫シリーズ」は、最初に接したのがカッパノベルスだっただけに単行本では何となく読む気がしないんだよなぁ。
▼で、本日は二日目の定例古本市に赴く。
掘り出し物がまったく出そうもないという予感そのままに、結局、買ったのは手塚治虫『手塚治虫 漫画の奥義』(講談社手塚治漫画全集別巻9、1997、400円)一冊のみ。講談社手塚治漫画全集の古本購入価格上限は300円までと決めているのだが、別巻だけは別。これも、別巻と聞くと反射的に「将来のキキメかぁ?」と思う古本者の性(さが)なのであろうか。
しかしわざわざ出かけていった古本市で買った本よりも、その帰りにたまたま立ち寄った古本屋で30円で見つけたM・L・ストークス『レーサー』(角川文庫、S44)の方が有り難い点が情けない。
いや、もっと情けないのは、定例古本市のネタを「小ネタ集」なんてタイトルにまとめて入れなくてはならない点か・・・?
▼産まれて初めて、古書目録価格三万五千円なんて古本に応募してしまう。何せ過去に俺が古本一冊に払った最高価格は一万二千円なんだぞ。自己記録、一気に更新〜\(^o^)/ ・・・なぁんて喜んでいる場合ではない。
「パチンコでちょっと頑張れば三万五千円くらい何とでも・・・」とついつい思ってしまったのがいけないんだよなぁ。こういう「ギャンブルで勝てば・・・」と考えるのが、自己破産の第一歩なのに・・・。購入申し込みの葉書をポストに投函した瞬間に我に返って後悔の念が沸々と湧いてくる。それ以来、外れろぉ、頼むから抽選に外れてしまえぇと祈り続ける日々。で、俺がいったい何を注文してしまったのかは、万が一、俺の祈りが天に通じなかった場合に発表することにする(;_;)。
[240] 「黄昏という名の劇場」サイン会便乗オフレポ 2002-03-23 (Sat)【3月23日(土)】
▼さて、今日は俺のプロデュース(自称)した「『黄昏という名の劇場』発売記念太田忠司サイン会」(長いので「『黄昏』サイン会」と略記)と「『黄昏という名の劇場』発売記念太田忠司サイン会in丸善名古屋栄店便乗オフ」(これまた長いので「便乗オフ」と略記」)の開催当日である。とはいえ、(自称)プロデューサーの俺が開催の前々日まで肝心のサイン会の開催時間を間違えていたというんだから、太田さんやサイン会場となる丸善の関係者の皆さんもあんまり俺一人を頼りにされても困るのだが(゚-゚)b。
早朝6時に昇る朝日とともに目覚め、花冷えの中、斎戒沐浴し近所の神社仏閣に詣でた後に家を出る。オフの日はいつもこうなのだ。こうでもしとかないと、大矢博子の吐き出す邪気に負けるかもしれないのである。
しかし、オフ会場に向かうにはあまりに時間も早いため、とりあえず接待ゴルフに行くことにする。
調子はまずまず。最終18番、距離558ydsパー5のロングホールでセカンドのクリーク越えが狙い通りにうまくいき、結果はバーディで仕上がり。これでようやく今日のスコアはネットで136だぁ。・・・って、いったいどんなゴルフしたんだよぉ(;_;)!>俺。
▼ゴルフ場を出て、サイン会会場となる栄町の丸善へと急ぐ。総合プロデューサー(自称)の俺がその場にいなくては『黄昏』サイン会の成功は到底おぼつかない。しかし既に普通に運転していてはとても間に合いそうもない時間である。しかしそこは得意のヒール&トゥ走法とコーナリング技術を駆使して中央自動車道をブッチギり、もうあと僅か数分で栄丸善に到着・・・というところになって大矢博子から俺の携帯に電話が入る。常に安全運転を心掛け小学生たちの模範となっている俺としては、運転しながら携帯に出るわけにもいかない。路肩に愛車を停車して、仕方なく電話に出る。
「ねぇねぇ、・・・今、どんなパンツ履いてんのよ?」と、いきなり下品なジョークをかます大矢である。「今、どこにいるのよ。もう少しで太田さんのサイン会が終わりそうだってのにさぁ」
どこって・・・。もう少しで丸善に着くよ。
「急ぎなさいよ。ホントにサイン会、終わっちゃうわよ。だいたいあたしって時間にルーズな奴は大っ嫌いなのよ。それで思い出したんだけどさぁ、昔、集会に遅れてきたメンバーの一人がどんな目に遭ったか聞きたくない?」
それがどんな「集会」だったのかも含めて、一切聞きたくない。
「いや、そんなこと言わずに聞いてよぉ。あれは、そうね。もう四半世紀ほど昔のことなんだけどね。いや、どうせだったら私のこれまでの生い立ちも含めて、まず大東亜戦争末期の時代から話を始めるかぁ・・・」
▼結局、『黄昏』サイン会にほぼ30分遅刻。何故、遅刻したのかについての言い訳は一切言いたくない。
しかし『黄昏』サイン会は総合プロデューサー(自称)の俺がその場にいないにも関わらず成功裏に終了したのは誠に喜ばしいことである。逆に言えばもしも俺がその場にいた時の大成功を想像すると空恐ろしくなるほどなのであるが。
『黄昏』サイン会の重責を果たした太田忠司さんを始めとしてすでに皆、書籍売り場脇の喫茶店でくつろいでいる様子。今回、太田さんがサインをしている後ろで心ばかりの餞(はなむけ)になればと踊るつもりだったらしいくろけんこと黒田研二のセクシーダンスの出番はどうやら最後まで無かった模様。いらんわい、そんな餞(はなむけ)。
オフの集合時間まではまだ一時間半もある。とりあえず急いで売り場を回って本を買うことにする。
ジム・トンプスン『死ぬほどいい女』(扶桑社)
山岸真編『90年代SF傑作選(上・下)』(早川SF文庫)
『GIALLO No.7』(光文社)
イアン・ランキン『滝』(早川HPB)
ジョン・コラビント『著者略歴』(早川書房)
笠井潔『探偵小説論序説』(光文社)
菊地秀行『幽幻街』(新潮社)
ジム・ブラウン『デスゲーム 24/7』(早川NV文庫)
ロバート・ラドラム/ゲイル・リンズ『冥界からの殺戮者』(角川文庫)
ディヴィッド・K・ハードフォード『ヴェトナム戦場の殺人』(扶桑社文庫)
これだけ買えば、いくら丸善の店長だって文句は言うまい。これで少しはサイン会の元だって取れたはずだ。え? 肝心の『黄昏という名の劇場』を買ってないだって? そういう人は2月24日の俺の日記を見て下さいな。
▼今回の「便乗オフ」の参加者は総勢20名。久々の大人数オフである。念のために言うが「便所オフ」じゃないかんな、「便乗オフ」だかんな(-_-;)凸。オフの告知にあれほどしつこく「会場スペースの問題もあり、突発参加はご遠慮下さい」と書いておいたのにも関わらず、突発参加してきたのがcoin、はっしー、あきらの三人組である。女子大生の時ならばまだいざ知らず、今でもまだそういうワガママが通ると思っているのが世の中をナメている証拠である(-_-;)>この三人。しかし、「もしも女の子の突発参加が出た場合には、参加を遠慮してもらう場合もあり得る」という条件付きで今回のオフ参加を許可された1941のことをみんな決して忘れていなかったのである。
「なっ、なっ、なんでみんな黙ったままで俺の顔を見てるんだよぉ・・・?」と1941。
その時、丸善のI女史が「オフの席を人数分何とか確保できましたぁ」とその場に駆け込んで来なかったら、1941の姿は永遠に我々の眼前から消え去っていたことと思う。
さすがに20名という大人数のオフともなると、参加者の名前を憶えるのも大変である。しかも、参加受付の段階では新規参加者のほとんどが男性だと思いこんでいたので、尚更、憶える気にもなりゃしない。しかし、集合場所に集まってきた参加者の多くが女性−−なおかつ名古屋オフの常連女性メンバーよりもずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと(くどいか?)若い女性たちだったのにはさすがの俺も驚きの念を隠せませんでした。だったら、太田さんの掲示板でもうちょっと真面目にオフ告知しとけよな>俺。第一印象、めちゃ悪いじゃないの(;_;)。
さらにその上、くろけんが終始恨めしげな目で俺の方を見ている。理由を聞くと、涙ぐみながら「王様って、ひっ、ひどいっ! 馬鹿馬鹿馬鹿ぁ!」。いきなり何なんだよ、俺がくろけんを妊娠させた上でボロ雑巾のように捨てたわけでもないだろうに。
更に理由を問うと、どうやら参加締切を過ぎた後で「今度のオフに参加したかったのですが、もう締切なんですね」と掲示板に書き込んだ方に対して、俺がにべもなく「残念でしたぁ。また今度」と返答したことに対して、くろけんは泣きながら非難しているらしい。
「だってしょうがないだろ、受付過ぎてたんだもーん」と俺。「それにどうせ男だったしさぁ」。
「ち、ち、ち、違うんですぅ〜(;_;)」とくろけん。
「何が違うんだよっ。そりゃ確かに太田さんのサイン会の時間は間違えてたけど、それ以外のことで俺が間違えたなんてことは、俺の人生を通じて過去にただの一度もないぞっ」
「あの人、実は女の子だったんですぅ〜(;_;)。オフで一度会ったことがあるんだけど、すげぇ可愛い女の子だったんですぅ(;_;)」
・・・げっ!? だって完全に男名前だったぞっ(;_;)! なっ、何でそういう肝心なことを早くメールして来ないっ(;_;)?>くろけん。俺なんて、どうせ男だと思いこんでいたから、2〜3日、レスも付けずにほったらかしていたんだぞ。メールしてくる暇は、充分にあったはずだぁぁぁ!
「だって、だってぇ〜(;_;)。えぐえぐえぐ」
「え〜いっ! そもそもこういう緊急時に使わなくて、何のための1941なんだよっ! こういう時のための予備オフ要員じゃないかよぉ!」
「えぐえぐえぐ。みっ、未読王さんの馬鹿ぁ(;_;)!」
「くっ、くろけんの馬鹿ぁ(;_;)!」
つーことで、次回は安心して参加するように(゚-゚)b>A野一さん。
▼オフの会場は丸善のスタッフに予約してもらった店。
大半がオフ初体験である上に、目の前に憧れのナマ太田がいるという太田忠司ファンの緊張を少しでも解きほぐそうと、オフの開会の辞で「この中の何人かは未だにこの私が狩野俊介くんのモデルだと思いこんでいる人もいるかもしれませんが、この場で改めてきっぱりと否定しておきます」とギャグをかますも不発。せっかく用意してきたギャグなんだから、笑えよな少しは(-_-;)。お愛想笑いでいいんだからさぁ(-_-;)。
狭い店内では、太田忠司ファンの皆さんを中心としたテーブルと未読王ファンの皆さんを中心としたテーブルの二手に別れる。太田さん側のテーブルは太田忠司さんを中心に置いて瞳をキラキラさせた若者たちが熱心に推理小説談義を繰り広げ、かたや未読王側のテーブルはアルコールでどんよりと濁った眼をした連中が、「優香は可愛いか可愛くないか」というテーマでつかみ合いの喧嘩をしている。中に鼻血までたら〜りと流している奴もいるが、これは数日前に崖から車ごとダイブしたcoinである。オフにはせめて鼻血くらい拭いて来いよな。
▼場は二次会へと移り参加人数も減ったので、今度は若者グループと化物グループが一つのテーブルに。「あたしたちはいつでも太田さんと話せる機会があるんだから、太田忠司ファンはこういう時は太田さんのそばにいないと駄目よぉ」と口から出る言葉とは裏腹に、真っ先に席の中心に陣取る大矢博子。いつの間にかその場にあった座布団を全て自分の尻の下に敷き、太いキセルをくゆらせて鼻の穴からプハーッと煙を吐いている。・・・って、おのれは牢名主かぁいっ(-_-;)凸!
それからは、どんな話題にも参加してくる大矢博子。別に大矢博子の話を聞くためにわざわざこのオフに参加したわけではない太田忠司ファンの心情を思って「頼むから、ちょっとだけでいいから黙っててくれよぉ」と言うと、顔を真っ赤にして息を止める大矢である。これから海に潜れと言ってるわけでもなし、何か勘違いしとりゃせんか?
「ぷっ、ぷっ、ぷっはぁぁぁ!・・・・・もういい?」
もういいも何も、まだ、たった3秒しか経っとらんわぁい(-_-;)凸!
▼ま、色々ありましたが、つつがなくオフは終了。果たしてご満足戴けましたでしょうか?>オフ初参加の皆さん。特に東京・大坂から駆けつけてこられた太田忠司ファンの皆さん。ファンというものはこうでなければなりません。太田忠司さんが一度でも「横浜アリーナは遠いからWWFの試合は見に行かな〜い」なんて言ったことがあったか? 色々と御世話になった丸善の店長と担当のI内さんも有り難うございました。今度は一般参加者として是非、オフに参加して下さい。
いつものように、当然だろという顔をした大矢博子といつみを車で送らせられる俺(;_;)。オフの楽しさが、いつもこれで帳消しである(;_;)。次回は、名古屋オフに車で参加される名古屋東部在住の方、誰でもいいから急募(;_;)!
▼ということで、オフレポは終了。
さすがに疲れたので、翌日は近所のスーパー銭湯にマッサージを受けにいき、そこで丸善の店長と偶然出会うのはまた別の話である。
[239] 休日は古本屋廻りで 2002-03-21 (Thu)【3月21日(木)】
▼さて春分の日で今日は休日。天気も良いし、思い立って古書店地図帳とカーナビを頼りにO市の古本屋を廻ってみることにする。
都合十数軒の古本屋を回って半分が本日休業、3軒が廃業もしくは所在不明。結局、本探しができたのは、偶然、店の前を通りかかったBOOK-OFFを含めてわずかに3軒のみ。どうやら木曜休みの店が多いようなのだ>O市の古本屋。・・・早く言えよな(-_-;)。
で、買った本も結城昌治『結城昌治ショートショート全集』(六興出版、S53、400円)とM・R・ラインハート『螺旋階段』(早川HM文庫、S56、100円)の2冊だけ。せっかくの休日をまるっと半日費やした結果がこれかいっ(-_-;)。ラインハートの『螺旋階段』は以前、ヤフー・オークションあたりではたかがミステリ文庫であってもとんでもない高値を呼んでいるという噂をどこかで耳にしたような気がするのでついつい買ってみたが、もしかしたら記憶違いかもしれない。でもいいや、百円だし。
この機会にこの場を借りて言っておくが、古本素人の皆さんは我々が普段、いとも易々と珍しい古本を入手していると思っているかもしれないが、実際にはせいぜいこんな確率なのだ。いつも古本屋を4〜5軒廻って買う本が一冊あればまだ良い方なのである。古本初心者のうちはまだいいよなぁ。古本屋を一軒覗けば、買いたい本の一冊や二冊は必ず見つかるもんだしな。彩古さんやよしだ まさしさんや石井春生さんやkashiba@猟奇の達人さん達が、何も古本の幸運の星の下に産まれてきたわけじゃない。みんなそれぞれに古本蒐めには人知れず苦労を重ねてきているはずだし、その苦労は年を重ねるごとに、なみ大抵なものじゃなくなっているはずなのだ。しかもハードルは跳ぶごとに高くなっていくのだ。みんな、表では言わないだけで古本を蒐めることと引き換えにそれ相応の犠牲も払っているはずなのである。
だから、せめて買った本くらい威張らせてくれよぉぉぉ(;_;)!
▼その帰り道、古本まゆも覗いてみる。
古本まゆのご主人はいたく嬉しそうである。それもそのはず、先日行われた名古屋の大市で古本まゆさんがかなりの大物を釣り上げたとの噂を余所の古本屋で聞きつけて、早速、私もその本を拝みにやってきたというわけなのである。さぁ、その本の名は大阪圭吉の『人間燈台』。大阪圭吉の数少ない著作の中でも特にレアな、満州で出版された二冊中の一冊である。値段もさすがにそれなりの額で、俺の手の届く金額範囲では勿論無い。実物を目にするのは俺も今回が初めてで、入手はおろか、俺にはたぶん今後二度と見ることも無いであろうホンマモンの「お宝本」「ヴィンテージ本」である。しかし、なまじ手が届きそうな古本でないだけに、かえって心安らかに眺めることも出来るというもの。いやぁ、眼福眼福。
結局、古本まゆでは角田喜久雄『霧に棲む鬼』(文藝図書出版社、S27、4,000円)、長沼弘毅『シャーロック・ホームズの対決』(文藝春秋、S42、500円)、横溝正史『真説金田一耕助』(角川文庫、S54、30円)の三冊を購入。全然蒐める気のない角田喜久雄の『霧に棲む鬼』を大枚4千円もはたいて買ってしまった理由は、これが初出単行本の上、素晴らしく美本だったという理由の他に、おそらく『人間燈台』の値段を見て頭の中で貨幣価値判断基準が馬鹿になっていたんだと思う。
長沼弘毅のホームズ本は、恥ずかしながらおそらく一冊持ってない。しかし、毎度のことで恐縮だが、それが何か分からないのよ。いや、調べる気にさえなればどれが無いのかすぐ分かるはずなのだが、それほど必死になるほどの本でもないしなぁ。
しかし、これが一冊500円ともなれば別である。何でこんなに安いのかといえば、表紙カバーに若干難ありのせいなのだが、私ゃこの程度の傷は全然気にならない。このあたりが古本に関してプロの見識と矜持を持つご主人と「多少珍しかったら、安いけりゃ何でも買ってやれぃ!」的な俺のような古本アマチュアの違いだろう。
しかし、角川文庫の『真説金田一耕助』が帯付きで30円とはいくら何でも安すぎ・・・(笑)。古本屋によって、ネットで1,500円とか2,000円という値段を付けて売っているのも異常だけど・・・。『人間燈台』が30円ならナンボでも買うんだけどなぁ(←当然か(^^;))。
[238] 開店前の古本屋再訪 2002-03-18 (Mon)【3月18日(月)】
▼そろそろ本の整理に目星が付いた頃かと新規開店準備中の古本屋を再び覗いてみる。良かったぁ、まだ開店してなかったぁ。開店どころか、店内は先週この店に来た時とまったく変わっていない状態に見える。うむ、これならば正式な開店はまだまだ先だな。
しかし、棚のあちこちには既に本が抜かれた形跡も見受けられる。おそらくどこからか開店の噂を聞きつけた嗅覚の鋭い古本マニアが、人として生きていく上での最低限のルールすら守らずに、開店前の古本屋から欲しい本を引っこ抜いていった跡に違いない。許せんよなぁ、こういったモラルのカケラも無い失敬な連中たちは。
深く深く溜息をつきながら、店主に「結構、既に本が抜かれてますねぇ?」と訊ねると、「それ、あなたがこの前来た時に抜いていったとこです」との返事。あちゃちゃちゃ・・・(^^;)。
▼で、前回の落ち穂拾い的に、欲しい本を買い求める。
エドモンド・ハミルトン『挑戦!嵐の海底都市』(早川SF文庫、S46)
エドモンド・ハミルトン『惑星タラスト救出せよ!』(早川SF文庫、S53)
エドモンド・ハミルトン『人工進化の秘密!』(早川SF文庫、S53)
マイケル・ケニアン『アイルランドで殺せ』(角川文庫、S45)
J・ドレー/J・カリエール/P・ジャルタン『ボルサリーノ』(立風書房、1975)
ロベール・メルル『マドラプールに消えた』(早川書房、S57)
ハンス・H・キルスト『将軍たちの夜』(早川ノヴェルス、S40)
デイヴィッド・ラヴァリイ『原潜911浮上せず』(早川ノヴェルス、S50)
ジョルジュ・シムノン『メグレと妻を寝取られた男』(河出書房メグレ警視シリーズ22、奥付欠)
「BOOKMAN #13 特集;これが決闘文学だ!」(トパーズプレス、S60)
「BOOKMAN #24 特集;世の中、マンガ」(トパーズプレス、H1)
「BOOKMAN #26 特集;秘密のベストセラー」(トパーズプレス、H1)
Cornell Woolrich『The Bride Wore BLACK』(POCKET BOOKS、1945)
「MARX BROTHERS FESTIVAL」(ヘラルドエンタープライズ、S60)
エドモンド・ハミルトンの三冊は全て「キャプテンフューチャー」もの。そろそろ自分が何を買ってないのか、頭を整理しないとな。マイケル・ケニアンの『アイルランドで殺せ』は持っているような気がしたが、とりあえず買ってみた。後書きを読むと何とまぁユーモアスパイ小説らしい。うひゃあ、そういうもんだったとは全然知らなかったぁ! ・・・なんてことでこんなに驚いているところを見ると、持っていないのか、もしくは持っていても後書きすら読んでないのかのどっちかだな>俺。『ボルサリーノ』はアラン・ドロン主演のギャング映画の原作(もしくはノヴェライズ)。これは確か、映画を観てるはず。ロベール・メルル『マドラプールに消えた』は、前夜たまたまチャットで『イルカの日』の話題が出たため。普通小説も書いているメルルだが、これはサスペンスもののようだ。いったいどの号が手元に欠けているのかまるで判然としない「BOOKMAN」三冊は、瀬戸川猛資人気でもう少し値が付くようになっても良いのではないか? Woolrichの『The Bride Wore BLACK』は美本の上、表紙がなかなか格好良かったので前回来店した時から目を付けていた一冊。
相変わらず値段はまだ付けられていないか、付いていたとしても他の古本屋の値段だったりでアテにはならない。一冊ずつ「これ、いくらくらいですかねぇ?」「いくらなら買います?」と店主と相談しながらのお買い物。これもまたなかなか風情があるのよ。
今までのところで合計金額3,000円。で、最後の「MARX BROTHERS FESTIVAL」だけは以前この場にあった別の古本屋からの委託販売ということで500円也。この「MARX BROTHERS FESTIVAL」は昭和60年にマルクス兄弟の傑作4本がリバイバル上映された時のパンフレット。小林信彦は当然のことながら、信じられないほどに豪華なメンバーが執筆者として名前を連ねている。
▼この店の店主と俺はほぼ同年輩ということもあり、ほとんど同じ本を読み、ほとんど同じ映画を観てきているので話が実に合う。しかしその反面、双方ともにそろそろ記憶力に翳りを感じる年頃であることもまた事実。話をしていて、二人とも頭では分かっていることに対してなかなか固有名詞が出てこない。こんな具合だ。
店主「そういや昔、角川文庫であの人の南海ものの本が何とかいう題名で出てましたけど・・・」
俺「え〜と、誰でしたかね、それは?」
店主「ほらほらほら、あの『ジキル博士』の」
俺「あー、はいはいはい。ほら、あの人でしょ、あの人? イギリス人の」
店主「そうそうそう、イギリス人の。あのほら、え〜と、『宝島』とかも書いた」
俺「『自殺クラブ』なんかも書いてた・・・」
店主「そうそうそう。書いてた書いてた」
俺「ああ、えとえと、名前何だっけかな。え〜と、なんとかソンとか言わなかったっけ?」
店主「そうそうそう。なんとかソン。・・・ウイリアムソン? 違うなこりゃ」
俺「ほらほらほら、イギリス人で髭なんか生やしちゃってて、もうだいぶ前に死んじゃってる人! え〜と、えとえとえと、ロバートソン? う〜ん、これも何だか違うっぽいなぁ。ああ、思い出せん〜っ!!」
・・・ロバート・ルイス・スチーブンスンですな、これは。いや、今なら思い出せるんだ。
ことほど左様に、こんな常識レベルのことが何で思い出せないのかと思えるような人名やタイトルをどうしても思い出せなくなるのよ。まったく、鈴木宗夫じゃなくてこの俺自身に「ど忘れ禁止法」を適用して貰いたいくらいだ。いや、そこの鼻で嗤っている貴方。ホントに他人ごとじゃないってば。現にこの前も「ほらほらほらほら、イギリス人のおばちゃんの作家で・・・、ミステリをいっぱい書いてて・・・、ほらほら、探偵がベルギー人で・・・、ほらほらほら、爵位なんかもらっちゃって『デイム』なんて称号が付いててさぁ。・・・・あっ、アガサ・クリステイだぁ!」なんてことがホントにあるんだからぁ(;_;)。
▼新刊は次のようなところ。
小林賢太郎『小林賢太郎戯曲集』(幻冬舎)、ガイ・バード『穴』(アーティストハウス)、小倉孝誠『推理小説の源流』(淡交社)、リチャード・マシスン『ある日どこかで』(創元文庫)、戸梶圭太『アウトリミット』(徳間書店)、磯田和一『書斎曼陀羅 本と闘う人々(1)(2)』(東京創元社)、福光必勝『アガサ・クリスティの英国』(近代文芸社)、日下三蔵編『渡辺啓助集』(ちくま文庫怪奇探偵小説名作集2)、山田風太郎『達磨峠の事件』(光文社文庫山田風太郎ミステリー傑作選10)、山田風太郎『人間魔界図巻』(海竜社)、ジェフリー・ディーヴァー『死の教訓(上・下)』(講談社文庫)、ルディ・ラッカー『フリーウェア』(早川SF文庫)。
『小林賢太郎戯曲集』とはまた思いっきり堅っ苦しい題名だが、中味はラーメンズのコント集。ラーメンズのコントはTVで二・三度しか観たとこはないが、さして印象には残っていない。何だか一部のマスコミや知識人層に異様にウケの良いコンビのようである。最初の一編を読んで、あまりにも青臭い不条理劇のような展開に「あちゃー」と思うが、あとはまぁそこそこといったレベル。もちろん、「読む」と「観る」では全然印象も異なるので、今度、近所のレンタルビデオ屋でラーメンズのコントビデオを借りて観なくてはな。
他人の家を訪れた時には、まず一番にその家の本棚にどんな本が並んでいるかをチェックするという人には、磯田和一『書斎曼陀羅 本と闘う人々(1)(2)』がお奨め。と同時に本の収納に対する様々なヒントもこの本の中にある。しかし、蔵書家にとって本の収納問題のポイントはただ一つだ。要は金に糸目さえ付けなけりゃ、本の収納なんて何とかなるものなのである。前にも書いたかもしれないが、六畳一間の壁面沿いにびっしりと本棚を備え付ければ、少なくともその一部屋に5千冊は収納できるそうである。であれば、そういう部屋を四つか五つ造れば、問題は簡単に解決できるはずなのである。もちろん、金に糸目を付けなければ・・・の話なのではあるが。
しかしこの本を読んで実に意外だったのは、上下二巻のこの本の中に紹介されている蔵書家の中で、床に本を積み上げている人がほとんどいないこと(部屋の床自体が本で出来ているという一名は除外(笑))。床積みはおろか、本棚に二段重ね、場合によっては三段重ねしている人ですらほとんどいない。
ホ、ホントかよぉ(;_;)・・・? みんな、いい暮らししてやがんなぁ(;_;)。以前、何人かのミステリファンと話していて、「今、考えられる理想の読書環境」という話になった時に、せめて所有している全ての蔵書の背表紙が見えるように本棚に並べてみたいという意見で一致したことがあるが、こんなのはごくささやかな庶民の夢に過ぎないのかぁ(;_;)?
福光必勝『アガサ・クリスティの英国』は2000年刊行の本。毎日、欠かさず新刊本屋に通っていても、まだこうしてまったく知らない新刊に巡り会うんだから、新刊の世界もまだまだ奥が深い。
日下三蔵編『渡辺啓助集』は、中味も見ずに買った後で後悔した一冊。だって渡辺啓助の絶版本の中で最も入手の容易な『地獄横町』一冊持っていれば、それで事が足りてしまう本なんだもん。
その点、同じ日下三蔵編でも山田風太郎『達磨峠の事件』になると、収録された多くの短編が単行本未収録であることがまず喜ばしい。表題作であり風太郎の処女作として名高い「達磨峠の事件」自体、以前は読むことすら容易ではなかった一編だしな。
その点、同じ山田風太郎でも風太郎の著述から採った箴言集である『人間魔界図巻』となると、これまた何のために一冊にしたのか大いに疑問。別に忍法帖から人生の処世訓を学ばなくっても・・・(笑)。こんな本を買うのは、よぼととうの立った風太郎マニアだけだぜ。
ジェフリー・ディーヴァー『死の教訓(上・下)』は、ディーヴァー人気ブレイク直前の一冊。ディーヴァー・ファンならばこの本の前にまず早川HM文庫でブレイク前にひっそりと出された『汚れた街のシンデレラ』と『死を誘うロケ地』をぜひ見つけて欲しいものである。俺も『ボーン・コレクター』を読んでぶったまげてあわてて探した二冊なのだが、いざ探すとなったら案外容易なことではないのよ。
[237] 抜け駆けっ! 2002-03-12 (Tue)【3月12日(火)】
▼会社帰りに新規開店の古本屋に駆けつける。いや、正確に言えば新規開店準備中の古本屋なのだが。
新規開店準備中の古本屋は、いつ来ても実に清々しいなぁ。まったく店の中にいるだけで心が洗われるようである。喩えてみれば、まるで鮎釣り解禁前の人気のない釣り場を訪れて、丸々と太った鮎を思うがままに釣り上げるような、もしくは透明人間化して女湯に忍び込むような、そんな開放感でいっぱいだ。
店主とともにゆっくりと店内を回りながら、値段すらまだ付けられてない未整理の古本を一冊一冊吟味しながら歩く。古本者にとってはまさに至福の時である。いっそのこと、このままずっと開店しなければいいのに・・・と思えるほどである。
で、開店前の古本屋で買ったのはこんなところ。
トマス・ハインド『犠牲はいつも処女』(講談社、1974)
チャールズ・E・メイン『同位元素人間』(久保書店QT-SF、S43)
中島河太郎編『怪奇傑作選 血染めの怨霊』(BIG BIRD NOVELS、1976)
日影丈吉『地獄時計』(徳間書店、1987)
ディヴィッド・キング『大脱獄』(早川ノベルズ、S46)
チェスター・ハイムズ『聖者が街にやってくる』(角川書店、1975)
チェスター・ハイムズ『黒い肉体』(浪速書房、S42)
小泉喜美子『ミステリーは私の香水』(文化出版局、1980)
CARTER DICKSON『NINE AND DEATH MAKES TEN』(POCKET BOOKS、1945)
PHILIP MacDONALD『WARRANT FOR X』(POCKET BOOKS、1945)
FRANCES&RICHARD LOCKRIDGE『MURDER OUT OF TURN』(POCKET BOOKS、1947)
正式オープン前ということもあり、今日はこのくらいで勘弁してやることにする。
トマス・ハインド『犠牲はいつも処女』は、おおっ、『サンドラー迷路』の作者がこんな本を!と喜んで買うが、あっちはノエル・ハインドだった。まるで富士見ロマン文庫のようなタイトルではあるが、中味はアメリカ西海岸を舞台に、ヒッピー、麻薬、アナーキストなどが入り乱れる高級スパイ小説だとのこと。「高級スパイ小説」の「高級」ってのが何だかよく分からんが、ともあれこんな本は存在すら知らなかったものである。
河太郎編の『怪奇傑作選 血染めの怨霊』はタイトル通り、怪奇短編アンソロジー。収録短編には、高太郎、外男、蜻一、香山滋、鷲尾三郎、三橋一夫といったレアな名前が並ぶ。
ディヴィッド・キングの『大脱獄』は早川ノベルス定番の映画ノベライズもの。とはいえスティーブ・マックゥイーンの例の映画の方ではなくて(あちらは「大脱走」)、この『大脱獄』はカーク・ダグラス/ヘンリー・フォンダ主演のウエスタンのようだ。映画自体は未見であるが、インターネットで検索してみると、ウォーレン・オーツありたも出ているようで、これならむしろ映画の方が観たい。
チェスター・ハイムズの『聖者が街にやってくる』は、角川から出た「棺桶エド&墓掘りジョーンズ」シリーズ中、文庫化されてない一冊。そのチェスター・ハイムズで俺が長年探し続けている本が植草甚一訳の『ピンク・トゥ』(河出書房・人間の文学)なのである。チェスター・ハイムズが若き日にポルノ出版で有名なオリンピア・プレスから出版したことで知られるこの『ピンク・トゥ』であるのだが、今回、どうやらその別題版を見つけてしまったようだ。『黒い肉体』がそれである。訳者は何と清水正二郎(笑)。本のどこにも原著タイトルや翻訳権に類する記載がないのだが、訳者あとがきにチラッと「ピンク・トゥ」という言葉が出てくるのである。しかし、植草版『ピンク・トゥ』もこのシミショー版『黒い肉体』も、同じ1970年に出版されているのが妙と言えば妙。
ペーパーバック三冊は行きがけの駄賃といったところ。CARTER DICKSONの『NINE AND DEATH MAKES TEN』は言わずと知れた『九人と死人で十人だ』である。ちなみに、今までに俺が接した中で最も秀逸なミステリ題名パロディは『区民と市民で住民だ』なのだが、残念ながら国書で復刊された際の『九人と死で十人だ』というタイトルではこの面白みは半減する。PHILIP MacDONALDの『WARRANT FOR X』はもちろん『Xに対する逮捕状』なのだが、浪速書房版を持っていない理由での意趣返し買い。それにしても『ピンク・トゥ』を出してみたり『Xに対する逮捕状』を出したりする傍らで、世界秘密文学選書や世界発禁文学選書を出していたんだから、浪速書房という出版社もなかなか隅に置けない出版社である。
値段がまだ付いてない本がほとんどなので、一冊ずつ店主と相談しながら、これだけ買って4,200円。ま、開店祝いである。(まだ開店してないけど)
▼新刊は唐沢俊一・唐沢なをき『唐沢商会のマニア蔵』(スタジオDNA)、別冊宝島編集部編『鑑定!お宝「マンガ古書」』(宝島文庫)、「新映画秘宝vol.4 スタークラッシュ 大宇宙映画放浪編」(大洋図書)、「SF Japan VOL.4」(徳間書店)。まさか『神狩り』に続編が書かれる日が来るとはね。あ〜、長生きはするもんだ。なまんだぶなまんだぶ。
[236] 百円がいっぱい 2002-03-09 (Sut)【3月9日(土)】
▼ディヴィッド・メイスン『暗殺阻止(上・下)』(早川書房、1997)、ピーター・ディキンソン『エヴァが目ざめる時』(徳間書店、1994)、エド・マクベイン『命ある限り』(徳間ノベルズ、1977)、ジョルジュ・シムノン『メグレと消えた死体』(河出書房新社メグレ警視シリーズ14、S57)、「鮮烈!血まみれホラー」(バンダイ、1986)、渡辺浩弐『2000年のゲームキッズ2 夢ビデオ』(ASPECT、1997)、渡辺浩弐『2000年のゲームキッズ3 バーチャルアイドルクラブ』(ASPECT、1998)、マリオ・プーツォ『ザ・シシリアン』(早川書房、S60)、ロバート・ラドラム『オスターマンの週末』(角川書店、1975)、A・クリスティ/F・W・クロフツ他『ザ・スクープ』(中央公論社、S59)、ジョルジュ・シムノン『ベティー』(読売新聞社、1992)、ペネロピー・エヴァンズ『最後の娘』(創元推理文庫、1997)、ジェイムズ・キャロル『マドンナ・レッド』(三笠書房、1979)。
え〜と、これがいったい何なのかと言えば、ここ数日間に訪れた何カ所かのBOOK-OFFの百円均一棚の中から拾ってきた本たちだ。BOOK-OFFの百円均一本の中から涙に濡れた瞳で俺を見上げて、か細い声でみゅうみゅうと鳴いていた本たちだ。抱え上げると俺の掌の中で小さく身体を震わせながら、それでも少しは安心したかのように柔らかい身体を俺の手にこすりつけてきた本たちだ。たとえこの中の何冊かが確実にダブリ本だとしても、そうまでされては家に連れて帰らないわけにはいくまい?
▼その他に買っている古本。A・E・W・メイスン『四枚の羽根』(小学館地球人ライブラリー、1997、200円)、小島貞二『快楽亭ブラック 文明開化のイギリス人落語家』(国際情報社、S59、600円)、泡坂妻夫『生者と死者』(新潮文庫、H6、100円)、谷岡ヤスジ『ヤスジのギャグパンチ』(コミック社、S53、30円)、ポール・ウィラー『ダブル・ジャック』(早川ノベルス、S55、500円)、エドモンド・ハミルトン『星間パトロール 銀河大戦』(早川SF文庫、S46、200円)、エドモンド・ハミルトン『魔法の月の血闘』(早川SF文庫、S49、300円)、A・E・ヴァン・ヴォクト『地球最後の砦』(早川SF文庫、S46、300円)、。
A・E・W・メイスンの『四枚の羽根』は新刊発売時に買っていないはずはないのだが、もしかすると新刊で発売されたことに気付かなかったということもある。その安心料としてなら200円は安い。泡坂妻夫『生者と死者』は例の「消える短編小説」入りのやつ。これまた新刊発売時に二冊買って所有しているのだが、袋とじの頁を破るのがもったいなくて未だに長編部分は未読。今回、ようやく袋とじ部分が開かれた本をゲットしたので、これでようやく長編も読めるようになったというわけである。最後の早川SF文庫三冊は、前回報告済みのスペオペ文庫まとめ買いの補遺のようなもの(但し、買ったのは別の古本屋)。それにしても、この俺が古本で早川SF文庫を買い漁るような日がまさか来るとはね。俺も落ちぶれたもんだぜ。ヴォクトの『地球最後の砦』は小説の出来はどうあれ、訳者が浅倉久志・伊藤典夫というビッグネーム二人なのに驚いて購入を決定。浅倉久志が伊藤典夫とこのヴォクトを訳すにあたり、当時から遅筆で知られる伊藤典夫の校正作業の進捗状況を案じて、「ヴォクト(僕と)典夫と校正で」と言ったと伝えられるのは、ほとんど誰も知らない当時の逸話である。いや、これのいったいどこが面白いのか、別に誰かに分かってもらおうなどとは思わないんだけどね。
中古ビデオでは「キートンの探偵額入門」(550円)。この映画、実はホームズもののパロディでもある。そういや今度、日本でも某アイドル女性グループを主演に、ホームズもののパロディが映画化されるらしいな? 題して「シャーロック・モー娘。の冒険」。いや、こんなことを書いて誰かに面白がってもらいたいなどとはホントに決して思ってないんだけどね。
▼新刊は、轟夕起夫『映画あばれ火祭り』(河出書房新社)、鯨統一郎『タイムスリップ森鴎外』(講談社ノベルズ)、クリストファー・クック『終わりのないブルース』(ソニーマガジンズ・ビレッジブックス)、ドロシイ・セイヤーズ『箱の中の書類』(早川HPB)、鳥飼否宇『昆虫探偵』(世界文化社)、菊地秀行『妖魔男爵<妖魔城2>』(カッパノベルス)、夢枕獏『獅子の門 朱雀編』(カッパノベルス)、ジョー・R・ランズデイル『テキサスナイトランダーズ』(文春文庫)。
『映画あばれ火祭り』の著者である轟夕起夫の名前を見て、一目でこれが往年の映画スターである轟夕起子から取ったものだと判る者は果たしてどのくらいいるんだろうか? ま、いいけどね。今までにも妖怪や幽霊、恐竜、ネズミ、猫、犬、猿、雉、桃太郎など人間でないものが名探偵役をつとめた例は枚挙にいとまがないが、探偵が昆虫というのは初めてのケースではなかろうか? 鳥飼否宇の『昆虫探偵』で主役を張るのはクマンバチである。夢枕獏の『獅子の門 朱雀編』は14年ぶりの続刊。読みはじめたら多少なりとも前作以前のことを思い出すかと思いながら読み進めていったが、読み終えた今となっても前作までのストーリーはおろかそもそも誰が主人公なのかすら分からない始末。こんな馬鹿は俺一人かと思っていたが、よしだ まさしの日記を読むと「こんな馬鹿」はどうやら俺一人ではないようだ。日本初紹介長編の『罪深き誘惑のマンボ』(正確にはその前に『バットマン サンダーバードの恐怖』があるが)の後、次の本まで一年以上間が空いてファンをヤモキキさせたランズデイルもこのところ毎月のように新刊が刊行されて、今年はどうやらランズデイルの当たり年のようである。さすがにこれだけ立て続けに出るとは思わなかったな。
▼観たビデオは、「ダンジョン&ドラゴン」、「キャストアウェイ」、「ベティ・サイズモア」の三本。「ダン&ドラ」は、時間潰しに観るつもりならば止めはしない。悪役のジェレミー・アイアンズは、どうしてそこまで・・・? 何か身内に不幸でもあったのか? ・・・と思えるほどに臭い芝居だし、王女役のソーラ・バーチはちっとも王女に見えないが、そもそも俳優達の演技を期待して観るタイプの映画ではないんだよな、これは。
ロバート・ゼメキス監督、トム・ハンクス、ヘレン・ハント出演の「キャストアウェイ」は一言で言えば「現代版ロビンソン・クルーソー」なのだが、ロビンソン・クルーソーのテーマが「文明社会から空間的に隔絶された現代人が如何にして生き残るか」だったのに対して、この「キャストアウェイ」のテーマは「文明社会から時間的に隔絶された現代人が如何にして生き残るか」であるように思える。それにしても「パールハーバー」といい、この「キャストアウェイ」といい、やはり女の方が確実に逞しいよなぁ。
モーガン・フリーマン、レニー・ゼルウィガー主演の「ベティ・サイズモア」は久々にハリウッドの作る小品的な佳品である。レニー・ゼルウィガーの可愛さは、ありゃ天性のものだね。映画内でも「ケ・セラ・セラ」がテーマ音楽のようにして使われるが、まさにドリス・デイの再来といった趣きである。こうなったらレニー・ゼルウィガーにもう一度会うために「ブリジット・ジョーンズの日記」も観なくてはな・・・と思いました。
[235] 再びスペオペを買う 2002-03-04 (Mon)【3月4日(月)】
▼皆さんは「スペオペを買う」と題された2月26日の私の日記をまだ憶えておいでだろうか?
あの古本屋を再訪してきましたぁ。え〜と、何のために・・・だって? もちろんもう一度スペオペを買うためです。実は前回の折りに「同じお客さんが今度の日曜にもう一箱分、SFの文庫を売りに来てくれるそうです」との情報を店主から得ていたわけである。もちろん前述の日記の段階では、たとえ口が裂けようがそんな美味しい話はおくびにも漏らすようなことはいたしません。ええ、漏らすもんですか。何でわざわざライヴァルを増やすような真似をしなきゃあかんねん?
で、今回、新たな入荷物件の中から拾い上げたのは・・・。
エドモンド・ハミルトン『謎の宇宙船強奪団』(早川SF文庫、S47)
同『宇宙囚人船の反乱』(早川SF文庫、S48)
同『彗星王の陰謀』(早川SF文庫、S53)
同『ラジウム怪盗団現わる!』(早川SF文庫、S57)
同『小惑星要塞を粉砕せよ!』(早川SF文庫、S57)
ニール・R・ジョーンズ『放浪惑星骸骨の洞窟』(早川SF文庫、S48)
同『惑星ゾルの女王』(早川SF文庫、S49)
同『双子惑星恐怖の遠心宇宙船』(早川SF文庫、S52)
ケネス・ロブスン『ブロンズの男』(早川SF文庫、S50)
C・L・ムーア『異次元の女王』(早川SF文庫、S47)
ヘンリー・カットナー&C・L・ムーア『たそがれの地球の砦』(早川SF文庫、S51)
ジョン・ブラナー『次元侵略者』(早川SF文庫、S51)
ジョン・ブラナー『幻影への脱出』(早川SF文庫、S51)
ジェリイ・ソール『異次元への冒険』(早川SF文庫、S45)
アイザック・アシモフ『天狼星の侵略』(角川文庫、S51)
アンガス・マクヴィガー『冥王星の謎』(角川文庫、S51)
リチャード・スターク『カジノ島壊滅作戦』(角川文庫、S51)
ベン・ベンスン『燃える導火線』(創元推理文庫、S51)
前回、買い漏らしたキャプテン・フューチャーの残党がまだ何冊か混じってないかなぁ・・・と期待していたのだが、これが大当たり。それどころか、前回には影も形もなかったジェイムスン教授ものが一挙に三冊も拾えたのが収穫か? スペオペじゃないジョン・ブラナーはもしかするとダブリかも。ミステリファンならば悪党パーカーものの『カジノ島壊滅作戦』が珍しいと言う者もいるかもしれないが、生憎俺にとってはただのダブリ本だ。
上記以外に、店にあった樫原一郎『黒い路線』(東京文芸社、S36)とロビン・ヘムリー『食べ放題』(白水社、1989)も購入。
▼前回同様、店との約束で買値は明かせないのだが、前回よりは値段も若干高めの設定。多少は学習したのかも。それでもまだ市価の4〜5分の一程度の感覚なんだけどさ。
この古本屋は夫婦二人でやっているこぢんまりとした店である。歴史分野や社会科学系に強く、ご主人自らミステリやSFにはまるで疎いと言う店である。
帰り際に、段ボールの中の早川のターザン文庫を指さして言う。「ご主人、これはあんまり安く売らない方がいいですよ」
「へっ? どうしてですかい?」と問うご主人。
「だって、余所の店では一冊千円から千五百円で売ったりしているから」
俺の答を聞いた途端、へなへなと腰が砕けるご主人。帳場横の柱に掴まりながら「せ、せ、せ、千円から千五百円で・・・?」
「そうですよ」と俺。「ターザンだけじゃなくて、この段ボールの中にある文庫なら余所の店ならば少なくとも一冊五百円程度は付けますよ」
「ふ、ふわぁい・・・。ちょっ、ちょっと待って下さいっ! 今、奥からかみさんを呼びますから、すみませんがもう一度同じことを言って下さい。お〜い! てぇへんだてぇへんだぁ!」
【ここから先は落語仕立てでお送りいたします】
おかみさん(店の奥から顔を出しながら)「どうしたんだい? 騒々しいねぇ。あ、お客さん、毎度どうも」
ご主人「ほっ、ほら旦那、もう一度、今仰ったことをこいつにも聞かせてやっておくんなさい。ほらほら、お前も今からこちらの旦那の仰ることを、よぉく耳の穴をほじって聞いておくんだぞ。びっくりして座り小便して馬鹿になるんじゃねぇぞ」
旦那「あ〜、おかみさん、この段ボールの中味なんだがね・・・」
おかみさん「あっ、すみませんねぇ。旦那さんにまでご迷惑お掛けして。いえね、常日頃、このあたしがこんなクズみたいな文庫本は仕入れちゃいけないよって言ってたてぇのに、この人ったらあたしがいない隙についつい買い取りしちゃったらしいんですよ。この人ては人が良いもんだから、ほんとは商売に向いてないんです。すみませんねぇ、通るのにお邪魔でしたでしょ? 今、片づけさせますから」
ご主人「おうおうおうっ、五月蠅ぇやい。この旦那のお話を黙って聞けてぇんだよっ!」
おかみさん「何だよ、この商売ベタのスットコドッコイ!」
ご主人ご主人「黙ってろってんだぃ、このゴウツク婆ぁ!」
旦那「まぁまぁまぁ、お二人とも・・・。いえね奥さん、この文庫なんですがね」
おかみさん「はいはい。一冊五文くらいなら売れますでしょうか?」
旦那「いや、一冊五百両くらいで売れます」
おかみさん「・・・いっ、いっ、いっ、一冊五百両? それが段ボールに2杯? ・・・うっ、う〜ん」
ご主人「あっ、いけねぇ。びっくりして目を回しやがった。ほら、水を飲め水を」
おかみさん「う〜ん、ご、五百両というと・・・、日本のお金で・・・?」
ご主人「あたぼうよぉ。日本のどこにペソとかクルゼイロで本を売る古本屋があるってぇんだよ!」
旦那「それどころか、このターザン文庫ですけどね」
ご主人「ほら、旦那から話を聞く前にこの柱にしっかりと掴まっとけ。俺もさっきまで掴まってたんだから」
おかみさん「お、お前さん、こっ、こうかい?」
旦那「これなら一冊千両くらいでも買いたいって客が来るかもしれません」
おかみさん「せっ、せっ、せっ、千両!? う〜ん、うちの人はホントに商売が上手だよぉ」
ご主人「何言ってやんでぇべらぼうめぇ。へへん。どうでぇ、よぉく分かったかぁ」
おかみさん「でも、半鐘はいけないよ。オジャンになるから」
旦那「あ、これ以上書くのがそろそろ面倒になってきたんで、えらく早く落ちを言っちまったもんだなぁ」
お馴染みの「火焔太鼓」ならぬ「買えん文庫」の一席でございます。
▼その他に買ってた古本。
鮎川哲也『企画殺人』(集英社文庫、S53、100円)
P・K・ディック『聖なる侵入』(創元SF文庫、1990、100円)
鮎川の『企画殺人』を買うのは、今年に入ってからでももう二冊目。鮎川でもこのあたりの文庫を必死に探していたり、YAHOOオークションで千円以上で落札したりしている人の考えていることが俺にはさっぱり分からんのだが(特に分かりたいとも思わないが)。
[234] 古書市から丸善の方へ 2002-03-01 (Fri)【3月1日(金)】
▼仕事でちょっと栄方面に出る予定があったので、途中、今日が初日の定例古書市に立ち寄る。百円均一ではラリー・ケニヨン『ル・マンへの挑戦』(立風書房、1969)とレン・デントン『ベルリンの葬送』(早川ノベルズ、S43)の2冊を発掘。
ラリー・ケニヨンの『ル・マンへの挑戦』は、FIドライバーにして秘密諜報員を主人公とした「ドン・マイルズ・シリーズ」の第一作。惜しいことにカバ欠である。本書に引き続き『モナコGP作戦』『インディ500の復讐』『悪魔の輪』と邦訳が出版されているらしいのだが、生憎全然知らない。しかしそれでも、題名に薄ぼんやりと記憶のある『モナコGP作戦』と『インディ500の復讐』の2冊はもしかすると持っているかもしれないんだから、油断も隙もない俺だ。
『ベルリンの葬送』はもちろん所有しているが、今回買ったのは第三版で表紙カバーが本書の映画化作品「パーマーの危機脱出」のスチール写真となっているもの。英国諜報部員であるハリー・パーマー(原作では名無し)のシリーズは、この「危機脱出」を含めて全部で6作が映画化されており、制作された順番通りに並べれば、「国際諜報局」(1965)「パーマーの危機脱出」(1966)「10億ドルの頭脳」(1967)「国際諜報員ハリー・パーマー/Wスパイ」(1995、未)「国際諜報員ハリー・パーマー/三重取引」(1995、未)「ハリー・パーマーと賢者の石」(2001)だ。主人公のハリー・パーマーに扮した黒縁眼鏡を掛けた若き日のマイケル・ケイン(あ、もしかして「オースチン・パワーズ」の眼鏡の元となっているのはこれか?)が窓越しに不審気にこちらを窺っている絵柄である。普段はカバー違いというだけでのダブリ買いは極力避けているのだが、あまりにも美本なのでついつい手が出てしまう。
本会場である二階に上がり会場をグルリと一周するが、触手の伸びるような本は皆無。せっかく初日の古書市へやって来たということもあり、何となく手ぶらでは帰りにくい。ちょうどこの前日に発売された「週刊文春」の連載で長女に子供が産まれたことを知った小林信彦の『パパは神様じゃない』(晶文社、1973、500円)を「小林信彦初孫誕生記念」として購入。
何せ、こちとらはこのドメスティック・子育てスケッチが「ミステリマガジン」連載中にリアルタイムで読んでいる口だ。だから、小林信彦の娘といえば我が子も同然(←違うけど)。ここまで大きく育つまで、常に苦楽を共にしてきた実感もある(←大袈裟だし)。その娘が子を産んだってんだから、目出度ぇ話じゃねぇかよぉ(←親戚の叔父さんじゃないんだから)。この俺も、これまで影になり日向となって人知れず見守ってきた甲斐があったってぇものよ(←だから大袈裟なんだってば)。
もう一冊、植草甚一『ぼくの東京案内』(晶文社植草甚一スクラップブック19、1977、700円)も購入。この植草甚一スクラップブックも一冊千円以上で売る店が増えてきたので、700円ならまぁお買い得の部類か。問題は唯一、この植草甚一スクラップブックのどれを持ってて何を持っていないか、さっぱり見当もつかない点だけだな。
▼栄での一仕事を終えて、丸善名古屋栄店へと向かう。1月のバリー・アイスラーサイン会の時に面識を得た丸善の店長から過日、俺の元に「次回は太田忠司先生のサイン会を行いたいので、ぜひ仲介して欲しい」というメールが来たのである。早速、太田さんにその旨の連絡をすると快諾との返事。これでとりあえず俺の役目は終わったわけだが、そうは問屋が卸すものか。一旦、この俺が太田忠司サイン会のプロデュースをやる気になったなら、太田さんの指の骨が砕けるまでサインをさせる所存なのである。
生憎、店長とは所用で会えなかったので、代わりにサイン会担当のI女史と話す。
「私が太田さんのサイン会のプロデュースを引き受けたからには、少なくとも5万人はお客さんを集めたいですね」と俺。
「あの、えとえとえと、ちょっ、ちょっ、ちょっと待って下さい! 今、プロデュースを引き受けたって言いました?」とI女史。
「はい、はっきりと言いました。」
「もっ、もしかして、店長が未読王さんにサイン会のプロデュースを頼んだのですか?」
「いーえ、あくまでもこの私の善意でやらせてもらうつもりです」と俺。
「す、す、す、す、すると、太田さんからそういう依頼が未読王さんに・・・?」
「太田さんは奥ゆかしい人ですから、そういう気持ちがあっても直接、この私に言うような人ではありません。だから、もちろん太田さんには一言も言ってません。ただし引き受けるからには、私にも一つ条件があるのですが・・・」と俺。
「なっ、なっ、なっ、何なんですか、条件って?」とI女史。
「店内に貼るポスターには『太田忠司先生サイン会』という字よりも若干大きめのサイズで『未読王プロデュース』と入れて戴きたい。この条件だけは少なくとも飲んで貰わなくてはね」
「・・・は、はぁ、そうですか。一度、店長と相談いたします」と、嬉しさのあまり深く深く溜め息をつくI女史なのであった。
しかし、このI女史とてただ者ではない。こんなことを言い出すのであった。
「太田先生の次は黒田研二先生のサイン会も行いたいですー」とI女史。
てっきり悪い冗談かと思うと、意外にもその目はマジである。会社に密かに怨みを持ち、この機会に大損害を与えてやろうと思っているわけでもないようだ。
家に帰り、早速、黒田研二に「かくかくしかじかで、くろけんにも丸善でサイン会をしてくれと言ってるぞ」とメールする。「聞いた話だと、著者がサインを入れた本は出版社に返品出来ないそうだ。つまり、全部売れたことになるってわけよ。だから、いい機会なので丸善の店頭にある全てのくろけん本に全部こっそりサインしてきてやれ。何なら丸善の向かいの栄ブックセラーズにも忍び込んで、売り場にあるくろけん本にも全て黙ってサインを入れてくるのだぁ!」
▼おっといけない。丸善で買った新刊を書き落とすところだった。
北村薫編『謎のギャラリー 愛の部屋』(新潮文庫)、北村薫編『謎のギャラリー こわい部屋』(新潮文庫)、バーバラ・ヴァイン『煙突掃除の少年』(早川HPB)、ヘルムート・ツェンカー『マン嬢は死にました。彼女からよろしくとのこと』(水声社ウィーン・ミステリー・シリーズ)、ダニエル・ベナック『散文売りの少女』(白水社)、志村有弘『夢枕獏と安倍晴明』(桜桃書房)。
最後の志村有弘『夢枕獏と安倍晴明』は昨年出版されていた本。出版されてたことを全然知らなかったな。
▼ビデオは三本。スペイン映画の「パズル PUZZLE」、ロン・ハワード監督、ジム・キャリー主演の「グリンチ」、ブレンダン・フレイザー主演の「モンキー・ボーン」。
題名からてっきり本格ミステリっぽい展開を期待した「パズル」は、どちらかといえば巻き込まれ型サスペンスか。事件に巻き込まれる主人公がクロスワード作家であるという点が珍しいが、ストーリーとはさして関係はない。主人公を演ずるエドゥアルド・ノリエガはなかなか男の色気というものを醸し出しているタイプ。外見は日本でいえば「ガチンコ! ファイトクラブ」の梅宮みたいなタイプといえば、分かる人には分かるか?
「グリンチ」のストーリーは「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」の二番煎じみたいなものだが、素顔を一度も見せないジム・キャリーの動きが素晴らしい。コメディアンとしてはハンサムすぎるジム・キャリーは、「マスク」もそうだが素顔を見せない方がいいなぁ。「世界一のかぶりもの役者」を目指すべきではないか?
その「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」の監督だったヘンリー・セリックの作った「モンキー・ボーン」は、3Dアニメと人間の競演作。「グリンチ」がお子様向きに作られているのに対して、「モンキー・ボーン」は観客の年齢層がはっきりしない点がかえって良い。死体が内臓をばらまきながら追っかけっこをするシーンなんて、子供が観るものとは違うやろ(笑)。ブレンダン・フレイザーは「ハムナプトラ」のような徹底的にカッコイイ役を演じるよりも、やっぱりこの手のタイプの方が似合う。猫娘役を演じたローズ・マクゴーワンはすんげぇ可愛い。自分自身でもこれほどまでに俺が猫耳に弱いとは思わなかったぜ。惜しむらくはモンキー・ボーンそれ自体に魅力が無い点か。造形的にもうちょっと何とかならなかったんだろか? それと、スティーブン・キングが自分自身の役でカメオ出演していたのも、キングファンには嬉しい驚きでした。
[233] スペオペを買う 2002-02-26 (Tue)【2月26日(火)】
▼某古本屋から「主に70年代に出版されたSFが段ボール一箱分入荷したので一度見に来て下さい。欲しい本を抜いてもらったら、残りは市に出しますから」との電話が入る。この店はミステリやSFは得手ではないので、たまに思わぬ拾いものが出来るのだ。そういう店からわざわざ連絡をもらったとあらば何があろうと行かざるを得まい。会社帰りに駆けつけてみる。
「この段ボールがそうです」と店主に指さされてチェックを始めると、ほとんど全てが早川SF文庫である。ちぇっ、てっきり単行本だとばっかし思いこんでた。早川の文庫って、SF文庫であろうがミステリ文庫であろうが、全て新刊で売られていたのをリアルタイムで同時体験してるから、ちっとも古本って気がしないんだよねぇ。
とはいえ、ここまでやって来て手ぶらで帰るわけにもいくまい。わざわざ電話してくれた店主の手前もある。気配りの人か、この俺は? で、抜いたのはこんなところ。
エドモンド・ハミルトン『太陽強奪』(早川SF文庫、S47)
同『輝く星々のかなたへ』(早川SF文庫、S48)
同『月世界の無法者』(早川SF文庫、S55)
同『フューチャーメン暗殺計画』(早川SF文庫、S55)
同『脅威!不死密売団』(早川SF文庫、S50)
同『時のロストワールド』(早川SF文庫、S47)
ケネス・ロブスン『魔島』(早川SF文庫、S49)
同『死の胡蝶』(早川SF文庫、S50)
デヴィッド・グリンネル『百万年後の世界』(早川SF文庫、S49)
J・G・バラード『時間都市』(創元SF文庫、1969)
ハインリヒ・ハウザー『巨人頭脳』(創元SF文庫、1965、)
ロバート・M・ウイリアムズ『宇宙連邦捜査官』(久保書店QT-SF、S43)
パット・フランク『戦略空軍破壊計画』(久保書店QT-SF、S44)
佐藤みどり『情事の部屋』(鱒書房、S30)
早川SF文庫が出始めた頃には、「なぁんだ、スペオペ用の安物文庫かぁ」と馬鹿にしてきちんと買わなかったツケが今ごろになって回ってくる。実際、当時は古本屋の均一棚でいちいち避けなければならないほど出回っていたもんなぁ。
その早川SF文庫の古いところ(特に古典的なスペオペのシリーズもの)が、今や一部の古本屋では一冊千円二千円といった気の遠くなりそうな金額で取引されている。いつの間にこんなことになってしまったんだろ? あの頃、邪険にしていてご免なぁ。
ということで、見た通り、キャプテン・フューチャーとドック・サヴェジものを集中的に買ってみました(但しハミルトンの『太陽強奪』は別シリーズ)。デヴィッド・グリンネルの『百万年後の世界』はシリーズものではないのだけど、訳が稲葉明雄なので買ってみた。買った後で知ったのだけど、このデヴィッド・グリンネルってドナルド・A・ウォルハイムのペンネーム だったのね。
最後の佐藤みどり『情事の部屋』はタイトルに惹かれて買いました。・・・って、違うわいっ! 副題に「若き女探偵の尾行記」とあるようにこれは実録ものである。著者写真を見る限り、佐藤みどりはなかなかの美人。女私立探偵というもの珍しさとその美形が幸いしたものか、当時の探偵作家クラブにも入会を許されている。しかもこの本には乱歩と高太郎の両巨頭の跋文入りだ。いやもう、ちょっと相手が若い娘だと耳にしたら、みんな揃って鼻の下をのばしちゃって、このこの〜。
久保書店のQT-SFは、どちらもたぶんダブリである。
さて、これだけ買った支払い額合計は店との約束で明かせないのだが、ちょっとモノの判った皆さんがこれらの書名を見てパッと頭にひらめいた金額のほぼ半分の値段だと言っておこう。感覚的にはまだちょっと高いような気もするが、わざわざ電話まで掛けてきてもらって今更値切るわけにもいかないしな。
店主によればこの本の持ち主は、先日、八十何歳で亡くなった近所のご老人だとの由。つーことは、この文庫が出ていた昭和40年代後半から50年代に掛けては既にもう初老といった年頃だったのだろう。家族が店に売りに来たらしいのだが、これより古い本は全部捨てちゃったそう。ちぇっ、出来たらそっちの方が見たかったのになぁ。
▼他に買ってた古本。
石沢英太郎『秘画殺人事件』(集英社、1970、100円)
柾悟郎『邪眼』(早川JA文庫、1988、100円)
ジェイムズ・エルロイ『わが母なる暗黒』(文藝春秋、1999、100円)
村瀬継弥『水野先生と三百年密室』(双葉社、1997、300円)
宮部みゆき・室井滋『ちちんぷいぷい』(文藝春秋、2000、300円)
ご覧のようにたいしたものは買ってません。全て新刊で何となく買い逃していたものの落ち穂拾いみたいなもの。ごく最近出版されたばかりのような気がするジェイムズ・エルロイの『わが母なる暗黒』がいくら何でも100円ではなぁ・・・。たぶんダブリだけど、万一持っていない時のことを考えるとこの値段では買わざるを得ないよな。
その他、中古ビデオで拾ったのがピーター・セラーズのお馴染み「ピンクの豹」(550円)とバスター・キートンの「ハードラック、空中結婚、捨小舟」(350円)の喜劇映画二本。クルーゾー警部ものならホントは第二作目の「暗闇でドッキリ」が欲しいのだが。
▼新刊は、次のようなところ。
津原泰水『少年トレチア』(講談社)
戸川昌士『助盤小僧』(太田出版)
唐沢俊一『笑うクスリ指』(幻冬舎)
石川一『ホラーシネマ 銀幕の怪奇と幻想』(河出書房新社)
日下三蔵編『小酒井不木集』(ちくま文庫怪奇探偵小説名作集1)
「HMM 4月号」(早川書房)
「HSF 4月号」(早川書房)
『助盤小僧』は、マニア高じてついに神戸の古本屋‘ちんき堂’の店主となった戸川昌士の待望久しかった一冊。ちなみに表題の「助盤」の読みは「すけばん」で、つまりは「助平なレコード盤」の略ってわけ。みうらじゅんなら「フェロモンレコード」と呼んでるやつね。
一言で「助盤」と言っても、ジャケット写真が女の裸だったり、全編、延々と女の溜息とあえぎ声だったり、ポルノ女優が録音した盤だったりと様々だが、自らのことを「ジャケット至上主義者」と言い放つ戸川昌士は、あたかも「帯至上主義者」や「初版至上主義者」と名乗る古書マニアを見るようでもある(笑)。
[232] 悩んだら買えっ! 2002-02-24 (Sun)【2月24日(日)】
▼先日、古本まゆに立ち寄ると、白石潔の『行動文学としての探偵小説』が置いてあった。あれ? それとも『探偵小説の郷愁について』の方だったかな? ともかく、どっちにせよ二冊しかない著書のうちで俺の持ってない方だ。値段を確認してみると、即決で決めるには多少悩むところだが買って買えない値段ではない。日本で出た推理小説評論は全て所有するという大望を持つ俺にとっては避けては通れない一冊である。状態も良いし、次にパチンコで大勝ちした時にでも・・・という考えがふと頭に浮かび、悩んだ末に結局買わずに帰る。
で、本日、久々に4万円ほどパチンコで勝ったので、パチンコ屋を出たその足で勇躍、古本まゆへと繰り込む。
しかし、時すでに遅し。・・・売れちゃってたのである(;_;)! もちろん取り置きを頼んでおかなかった俺が悪いのだが、あんな本、俺以外に買う奴なんていないと思ってたのになぁ(;_;)。やっぱり、諺に曰く古本屋で悩んだ時には買っとけだよなぁ(;_;)。
▼このところ、H・G・ウェルズ、山風全集と一冊入手するともう一冊が続けざまに手元に転がり込んでくる状態が続いている俺だが、またまたその種のマーフィー的偶然が起こる。
先日、古書市で山中峯太郎の『俺は歸る』を買ったばかりなのに、今回は偶々入った古本屋で『ノモンハン戦秘史 鐵か肉か』(誠文社新光堂、S15、800円)が買えてしまう。この『鐵か肉か』は山中峯太郎の著作の中では比較的入手が容易な本で今までにも何回も見かけた本なのだが、売値が千円を切ったのを見たのはさすがに今回が初めて。状態もそれほど悪くないので、えいやっとばかりに買ってしまう。
しかしこの『鐵か肉か』、初版発行日が昭和15年7月5日なのに対して、今回、俺が入手したのは80版なのだが、その発行日は同じ年の8月8日。わずか一ヶ月あまりで80版とは『ハリー・ポッター』並みの大ベストセラーであったんだよなぁ。
▼その他、買った古本。
林圭一『舞台裏の喜劇人たち』(創樹社、1997、600円)
トマス・チャステイン『死の統計』(サンリオ、1979、100円)
ドン・パスマン『幻視者』(早川書房、2000、100円)
藤本泉『王朝才女の謎』(徳間文庫、1986、160円)
アンブローズ・ビアス『悪魔の寓話』(青土社、S47、650円)
南條竹則『ドリトル先生の英国』(文春新書、2001、250円)
このうち、間違いのないダブリ本はトマス・チャステイン『死の統計』。かなり怪しいのは『悪魔の寓話』。しかし、もしかすると『舞台裏の喜劇人たち』あたりまでもがダブリかもしれないので決して油断はできない。南條竹則『ドリトル先生の英国』は出版されたことをまったく知らなかった本。一日たりとも新刊本屋に行くことを欠かさない俺でさえこういうことがあるんだもんなぁ。で、こうして古本屋で先に見つけてしまったりするから困ったものだ。新刊で買える本は新刊で買わなければ駄目だよ(゚-゚)b>皆さん。
▼新刊。
中島らも・チチ松村『らもチチ わたしの半生(中年篇)』(講談社)
ネビル・シュート『パイド・パイパー』(創元文庫)
トニイ・ダンパー『判事の桃色な日々』(早川HM文庫)
水野雅士『シャーロック・ホームズ 大陸の冒険』(青弓社)
ハモンド・イネス『獅子の湖』(ソニーマガジンズヴィレッジプレス)
ブリジッド・オベール『雪の死神』(早川HM文庫)
リチャード・スタインバーグ『死のダンス』(二見文庫)
菊地秀行『ブルー・レスキュー』(メディアファクトリー)
太田忠司『黄昏という名の劇場』(講談社)
買った後で気がついたのだが、ネビル・シュートの『パイド・パイパー』は昔、角川文庫で出た『さすらいの旅路』の改題改訳本ではないか。ちぇっ。しかし、帯にある「英国冒険小説の雄」という肩書きは、ネビル・シュートにホントに似合うものなのか?
水野雅士『シャーロック・ホームズ 大陸の冒険』はホームズのパスティーシュ集。太田忠司『黄昏という名の劇場』は、ひょんなことでこの本に関するイベントに若干絡むことになってしまった。近々、太田忠司さんのサイト(http://homepage2.nifty.com/tadashi-ohta/)で詳細についての発表もあることでしょうから、名古屋地区の太田忠司ファンの皆さん(ついでに何故か黒田研二ファンの皆さん)は刮目して待て。
▼ビデオは・・・、うわ〜ん、とうとう観てしまいましたぁ(;_;)。「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」。だってだって、岡田斗志夫・山本弘他の『ナカヨシ』でもベタ誉めだったし、「映画秘宝」のアンケートでも去年のベストワンに選ばれてたしさぁ、ひっくひっく。やっぱり観なければいけないかと思っちゃったんだよぉ、えぐえぐえぐ。え〜と、泣かなくてもいいか?>俺。
観終わった感想は、まぁ、それほどでも・・・というのが正直なところ。俺なんて大阪万博から始まる70年代に今も首までどっぷりと浸かっている年代(普段聴いている音楽だってその頃のものばっかしだし)なのだが、今更、往時のノスタルジーをこのような形で前面に打ち出されてもなぁ。面はゆいわい。いや、決して面白くなかったわけではないんだけどね。たとえば、最期の通天閣みたいな敵の本拠地での高所追っかけなんてのは、ヒッチコックもかくやと思えるようなサスペンスアクションの王道を行くような出来映えでした。
もう一本、「モーレツ!オトナ帝国の逆襲」とは逆に昨年のワースト映画という世評も高い「パールハーバー」も観ました。いやぁ、これってもしかするとドラマ部分が無ければ大傑作だったんじゃないの? 予告編にもあったけど、草野球をする子供たちのバックに飛ぶゼロ戦の編隊なんて、見ただけで泣けてきましたもん。
それとこの映画を観て、今更「国辱ものだっ!」と憤慨している人たちも何だかなぁ。戦争映画なんて所詮、製作した側じゃない方の国にとっては国辱ものになってしまうんだからさぁ。そういう意味ではこの映画の引き合いに出される「トラ!トラ!トラ!」だって、充分国辱ものだったと思うぞ。
観るまではてっきり真珠湾攻撃がこの映画のクライマックスだと思っていたのだが、映画の中ではその後のドゥーリットル飛行隊の本土初空襲までが描かれる。ちなみにこの映画では空母から飛び立って日本爆撃に向かうB25爆撃機の編隊は、航続距離を稼ぐために本土空襲後に中国大陸に向かうだけの燃料も積まずに飛び立った命知らずのカミカゼ攻撃のように描かれるが、史実では燃料切れで墜落した機などは一機もいないはず。中の一機などはウラジオストックまで飛んでいるくらいだ。
映画館で観たのに後半はすっかり寝て過ごしてしまった「ハムナプトラ2」も改めてビデオで観直す。なるほど、こういう話でしたか。だったら寝てても良かったな。
[231] 古書市帰りに買った本 2002-02-17 (Sun)【2月17日(日)】
▼前日の土曜日、ぶらぶらと古本屋廻りをしていると、店のご主人から「もう古書市には行ってこられました?」と訊かれる。ああ、そうだったそうだった。今、古書市が開催中なのだった。このところ月に二〜三度は古書市があるので、いちいち憶えていられないや。
ということで最終日となる今日、一応覗くだけ覗いてみることにする。今更、何か掘り出し物があるような予感は全くしないが、まず行かないことには始まらないしな。
案の定、駄目である。一冊だけ、山中峯太郎『俺は歸る』(警醒社出版、T10、400円)を買う。後の冒険小説系ではなく、どうやら宗教小説のようだ。これで俺の蔵書に何があろうとも絶対に読まない本がまた一冊増えたようだな。
めぼしいものが何も買えなかった古書市の憂さ晴らしで帰り道に古本屋をひやかして回る。店主に「最近は何か入りませんか?」と尋ねると、「次回の古書市に持っていこうと思ってたんだけど・・・」と言いながら海外ミステリ単行本の束を見せてくれる。さして珍しいものとて無いが、一冊だけ、新刊時に買い逃して以来久しく探していたロバート・ブロック『アメリカン・ゴシック』(早川書房、S54)が混じっていた。この店は結構強気な値段を付ける店なので恐る恐る売値を訊いてみると、500円との返事。うむ、これならば文句はあるまい。均一棚で手に取ったジョセフ・ロウ『パリの女探偵』(角川書店、1983、100円)とともに帳場に座った親爺に差し出す。
これも怪我の功名。欲しかった古本がとりあえず入手できたのも、地道に古書市に出かけたおかげだ。
▼引き続き新刊書店で、矢作俊彦『ツーダン満塁』(東京書籍)、ミステリー文学資料館編『「新青年」傑作選』(光文社文庫)、有栖川有栖『作家の犯行現場』(メディアファクトリー)、伊藤秀雄『明治の探偵小説』(双葉文庫)、「SFが読みたい! 2002年版」(早川書房)、江下雅之『マンガ古書マニア』(インターメディア出版)、山田正紀『サブウェイ』(ハルキ・ホラー文庫)、横田順彌『明治時代は謎だらけ』(平凡社)、「本の雑誌 3月号」(本の雑誌社)を購入。
その他すでに買っていた新刊は、岡田斗志夫・山本弘他『ナカヨシ』(音楽専科社)、ジョー・R・ランズデイル『アイスマン』(早川書房)、グレッグ・ルッカ『暗殺者』(講談社文庫)、マーティン・スコット『魔法探偵スラクサス』(早川FT文庫)、ブライアン・ステイプルフォード『ホームズと不死の創造者』(早川SF文庫)、アガサ・クリスティ『アクナーテン』(早川HM文庫)、ジョン・モーガン・ウイルスン『夜の片隅で』(早川HM文庫)。まったく早川の思う壺にハマってるな、この俺は。ランズデイルは『ボトムス』も『人にはススメられない仕事』も読み終える前にどんどんと次の本が出るので困る。
▼古本は、関川夏央/松森正『地球最期の日』(日本文芸社カスタムコミック、S56、1,000円)、仁賀克雄編『吸血鬼伝説』(原書房、1997、600円)、大藪春彦編『ハイウェイの狼』(KKワールドフォトプレス、S52、200円)。
中古ビデオで「ストリート・オブ・ノーリターン」(350円)。このビデオ、サミュエル・フラー監督の遺作であるとともに原作はデヴィッド・グーディスという吉野仁さんならば泣いて喜ぶ布陣。これが350円というんだから買わないわけにはいかないよな。
▼珍しくも「購書日記」を読んだというメールが届く。この「購書日記」関連でメールが来ることはホントに皆無と言ってもいいほどなのである。実際、ウイルス・メールでさえ来やしない。
そのメールの内容は、
私は○○広告代理店の△△と申します。実は当社のクライアントである◇◆◇◆という会社の社長◎◎◎◎がこのたび著書を執筆いたしました。つきましては、誠に恐縮ですがあなた様の書評サイトでこの著書をご紹介していただけましたらと思い、ご無礼とは知りつつメールさせていただきました。よろしくご高配のほど願います
というもの。しかしその本ってのが、『住宅新時代への指針』というタイトルのビジネス書なんだぜ。いったいこの俺にどうせいっちゅーねん。それにだいたい、ここって書評サイトじゃないのに(笑)。おいっ、ホントはこの頁を読んでないだろ(笑)。
[230] 蔵書二万冊の男 2002-02-11(Mon)【2月11日(月)】
▼我が家の箪笥二棹をぶち捨てて、空いたスペースに新しく本棚を入れる。これで我が家にある箪笥はついに残り一棹を残すのみとなった。それに対して本棚は−−今回入れた二つを含めて−−全部で二十四。わーはははは、こりゃ家の床も抜けるわけだわ(;_;)。
しかし、本棚二本程度を新たに入れてみたところで、蔵書の収納状況はいっこうに楽にならざり。じっと手を見る。焼け石に水とはまさにこのことである。このままでは本気で何とかしなくてはならなくなる日も近いのではないか?(←まだまだあくまで他人事なんだけど)
▼新しく入れた本棚は、スチール製のごく一般的なものである。これの利点は、値段の安さはもとより、本棚それ自体の重量がたいしたことないので床に負担を掛けにくい点だ。俺の家にあるのは、ほとんど全てこのスチール製本棚(六段)である。これに棚板を一つ買い足して、七段として使っている。この一段に四〇冊から六〇冊の本が収納できる。これが七段だと約三五〇冊だ。そこに本をみっちりと前後二重に詰め込んでいるので、一つの本棚に入っている本の総数はおよそ七〇〇冊である。これが二十四ということは、約一六八〇〇冊。それにプラスして、本棚に収納できずに床に積み上げている本がその他に約三千冊はあるので、合わせて約一九八〇〇冊。これが俺が「蔵書二万冊の男」を名乗る由縁である。今の計算はあくまでも概算なのだが、昨日正確に数えてみたところでは我が家にある蔵書数は昨日現在で一九八五四冊である。なおかつそのうちの三五二五冊がダブリ本だ。嘘です。めんどくさいので数えてません。しかしこの分では今年中に二万冊を間違いなく超えるなぁ。
このを一九八〇〇冊を一日に2冊ずつ読んでいくとしたら、九九〇〇日掛かる計算となる。九九〇〇日といえば、約27年ちょっとだ。
なんだ、たいしたことないじゃん。
俺はてっきり、俺の蔵書の全てを読みきるためには、延べ5万人の農奴たちが三十年の歳月を費やして汗水垂らして読み続けなければならないくらいの分量なのかと思ってたのに。・・・って、クフ王のピラミッドを建造してるわけではないんだけどな。
▼ということで、9日からの三連休の間に少しは蔵書整理でもしようかと思ったのだが、生憎の風邪っぴき状態。身体を動かすことは極力避けて、もっぱら映像鑑賞に費やす。
まず映画館で観たのが「ラットレース」。Mr.ビーンことローワン・アトキンスンを始めとして、ウーピー・ゴールドバーグ、キューバ・グッティングJr.、ジョン・ロヴィッツ、セス・グリーンなどのコメディアン・演技派に混じってモンティ・パイソン一家のジョン・クリースも出演。二百万ドルを巡ってのドタバタ争奪戦とくれば、思い出すのが「おかしなおかしなおかしな世界」なのだが、少なくともあれよりは良い出来。最近のコメディ映画は、どちらかといえばヘタなパロディで笑わそうとするものばっかりなんだけど、これは純粋に身体を使ったギャグが多いのが好感が持てる。しかしウーピー・ゴールドバーグだけは、いつもどこが面白いのかさっぱり分からんな。アメリカの泉ピン子みたいなもんじゃないのか? 逆に意外な面白さを発揮したのがキューバ・グッティング。「SNL」出身のユダヤ人親爺ジョン・ロヴィッツも面白いが、これはどちらかといえばシチュエーションの勝利だよな。
▼ビデオは4本。「沈黙のテロリスト TICKER」、「DENGEKI 電撃」、「ディヴォーシング・ジャック」、「ハード・トゥ・ダイ」である。
「TICKER」「DENGEKI」の2本はスティーブン・セガールの主演作。「TICKER」のセガールはサンフランシスコ警察爆弾処理班の班長と、珍しくアクションとは(あまり)絡まない役。世の中にはどうヘタに作ってもサスペンスが自然に醸し出されるような映画の題材があって、その一つがこの爆弾処理なのだが、これはその中でも珍しくまるで盛り上がらない一本。伝説の爆弾テロ犯に扮するデニス・ホッパーがせっかく精魂込めて作った爆弾なんだから、爆発数秒前にテキトーに導線一本切っただけで爆弾を無力化しちゃうなってば(笑)。しかし実際にはこの映画、セガールは脇に回って刑事役専門役者のトム・サイズモアの主演作なのだった。
その点、対する「DENGEKI」のセガールははみ出し刑事役なのでまだ安心して観ていられる。それにしても強すぎだけど>セガール刑事。たかだか数センチ離れたところから頭に向けて拳銃を発射されても簡単に避けちゃうし、いったいどうやって殺せばいいのか見当もつかん(笑)。
意外に拾いものだったのが「ディヴォーシング・ジャック」。
ベルファストの新聞コラムニストがひょんなことから見知らぬ若い女と浮気する。ある日、娘り部屋に行くと血塗れの娘を発見する。いまわの際の娘の一言、「ディヴォース(離婚する)、ジャック」の秘めた謎は・・・というのが物語の発端。舞台がアイルランドだけに、IRA、アルスター義勇軍、謎の尼僧などが入り混じる。
イギリス映画ということもあって、ガイ・リッチー監督の「ロック・ストック・・・」風なテイストもあり、なかなかに楽しめる。それにしても、題名の語呂合わせはいくら何でも苦しくないか(笑)? 「ハード・トゥ・ダイ」は肝心のアクションに切れがない凡作。
▼石井春生から林二九太の『ちゃっかり夫婦』の交換本として、『誰にも出来る殺人・夜より他に聴くものもなし』(講談社山田風太郎全集16、S47)が送られてくる。何に驚いたといって、本の梱包がまさにプロ並みの手際(笑)。さすがと言うしかない(笑)。
本は不思議と仲間を呼ぶもので、その数日後に『白波五人帖』(講談社山田風太郎全集13、S47、250円)を自力で見つける。しかし二冊ともダブリかどうかは判然としない。
その他に買った古本はこんなところ。
レイモンド・タイラー『暗号名シルクストーム』(飛鳥新社、奥付無、100円)
E・R・バローズ『カリグラ帝の野蛮人』(創元SF文庫、1982、100円)
マイク・ダッシュ『ボーダーランド』(角川春樹事務所、1998、1,400円)
ライオネル・デヴィッドソン『チェルシー連続殺人』(集英社PLAYBOY BOOKS、1979、100円)
大槻ケンヂ『オーケンののほほん日記<1992-1995>』(ぴあ、1996、200円)
井原高忠『元祖テレビ屋大奮戦』(文藝春秋、1983、100円)
友成純一『淫獣迷宮』(天山ノベルス、1990、100円)
鮎川哲也編『怪奇探偵小説集 続々』(双葉社、S51、200円)
この中で間違いなくダブリ本は『チェルシー連続殺人』。しかも、たぶん二冊じゃ済まない。いくら1978年のゴールド・ダガー受賞作とはいえ、ダブらせて良いわけではない。鮎川編の『怪奇探偵小説集 続々』ももちろんダブリなのだが、こちらは200円という買値ならまだ許せる範囲だ。あとは『暗号名シルクストーム』『オーケンののほほん日記』『淫獣迷宮』あたりは何となくダブリ臭い。
この分では、まだまだ古本運は吹いて来ない感じだよなぁ。
▼新刊は次のようなところ。
菊地秀行『魔香録』(祥伝社NON NOVELS)
ニコラス・ブリコウ『アシッド・カジュアル』(文春文庫)
吉田戦車『酢屋の銀次』(白泉社文庫)
立川談志『芸人論二 早めの遺言』(講談社立川談志遺言大全集14)
吉田戦車の『酢屋の銀次』は、文庫化するにあたっておそらく題名を変えたんだろうなぁ・・・と店頭で悩みつつ買ってしまったが、案の定その通りであった。マンガには立ち読み禁止のビニールを書店で掛けている場合が多いが、こういうのは何とかして欲しいよなぁ。談志の『早めの遺言』は値段も見ないままにレジに持っていき「3,800円です」と言われて魂消るが、それもそのはずCDのオマケ付きなのであった。
ネットで早川に注文した「HMM2月号」と「HSF2月号」も届く。SFマガジンの定価(2,300円)にも驚くが、こちらは生憎、CDはおろかソノシートすら付いていないのであった。
[229] 浴読ノススメ 2002-02-02 (Sat)【2月2日(土)】
▼よしだ まさしの日記や掲示板で「入浴中の読書」がちょっとだけ話題になっていたが、俺は入浴中読書(以下「浴読」と称す)に関しては、少々自信と年期があるのだ。よしだ まさしの掲示板にも書いたことなのだが、湯船に全身を浸しながらの読書なんてのは浴読愛好者としてはまだまだ序の口。これが俺のような上級者ともなると、シャンプーしながらシャワーを浴びつつ本を読むなんて芸当も軽く出来てしまうのである。この場合、奔流となってシャワーからほとばしる湯の一滴一滴の飛び散る角度や勢いを瞬時に計算し、手に持った本を濡らさないように飛沫から避け続けるといった頭脳と反射神経の連係プレイが要求される高度な技術なのである。更に一段上級者ともなると、こうやってシャワーを浴びて頭を洗いながら本を読みつつ、鼻歌まで歌えてしまうほどなのである。このような場合、浴読初心者は「もしもシャンプーが目に入った時はどうするの?」というような疑問も湧くかもしれないが、僕、大人だからそのくらい我慢できるも〜ん。
この「購書日記」を読んでいる者で−−よほど切羽詰まった場合は別として−−トイレ(大)に行く際に本を持っていかないような奴はまずおるまい? 電車やバスに乗る時に手元に読む本が無いと分かると、とたんにキョーレツな不安感に苛まれるような連中ばっかしだろ? だったら、風呂に入る時にも本を読まない方がかえって変じゃん。人生というものは、風呂の三十分を無為のうちに過ごせるほどには長くはないのよ。
浴読に関して初心者が最も不安に思う点は、「もしも本が濡れたらどうするか?」であろう。もちろん、これは「濡れてもいい本を選ぶ」ことで簡単に解決できる。BOOK-OFFあたりで買ってきた百均本ならば、いくら濡れたって支障ないではないか。いかに浴読技術が向上しようと、乱歩の『貼雑年譜』完全復刻版定価参拾万円を手にして風呂に入ったりするのはやっぱりお奨めできない。いや、どうしても・・・と言うのであればあえて止めやしないが。
そもそも、君は雨の中、傘もささずに本を読みながら歩いた経験は無いか? 俺はあるぞ。本なんて少々濡れたくらいのことで大袈裟に騒ぐほどのものではないのだ。君は、カリブ海を見下ろす高級ホテルのプールサイドのデッキチェアで、半裸の金髪美女たちに囲まれながらトロピカルドリンク片手に濡れて火照った身体のままでジョン・グリシャムやクライブ・カッスラーのペーパーバックをを読んだ経験は無いか? ・・・あっ、無いの? みんな、そういう経験って無いの? へぇ、そうなんだぁ。ホントに無いんだ。ふ〜ん(←ちょっと驚いている)。じゃ、君はどしゃ降りの雨の中、道に倒れながら誰かの名前を呼びつつ本を読んだことは無いか? ・・・いや、俺もさすがにそこまでしたことは無いな。
ことほど左様に、人生のあらゆる局面において本を濡らしてしまう可能性は山ほどあるのである。その可能性を浴読で少々増やすことくらい、たいした違いはないのだ。
浴読のために準備すべきものはさして無い。必要なものは、本と水気を良く吸い取る吸収性の良い浴用タオル(このタオルを湯船に半分かぶせた風呂蓋の上に置き、そこに本を乗せて読むのが浴読の正式な作法である)くらいのものだ。しかし、浴読でどんな本を読むかは多少考えなくてはならない問題である。浴読は、その性格から言っても長時間行うものではない。8時間もぶっ続けで浴読したりすると、大抵の場合、後で湯冷めして風邪ひきます。お湯の温度は普段よりも若干ぬるめが良い。肴はあぶった烏賊でよい。間違っても「おうおうおう、べらぼうめぃ! いっ、いっ、いっ、いごくなっ! いごくんじゃねぇやぃ! ちょっとでもいごくと湯が全身に噛みついてきやがるから!」なんて江戸っ子好みの火傷しそうなくらいの高温では、落ちついて本を読んでいられない。
専門医はこのような点を考慮した上で、もっとも健康に良い浴読の基準を「湯温約39度、一回の浴読時間25分〜30分(但し心臓病や血圧障害の無い方の場合)」としている。また浴読の後で身体を洗う場合には、まず左足から徐々に心臓方向に向かって洗っていくことが肝要である。
一回の浴読時間が25分から30分ということであれば、読むものも自ずから限られてくる。湯船の中で「大菩薩峠」全二十巻や「エンサイクロペディア・ブリタニカ」全巻を読破しようというのは−−やって出来ないことではないが−−あまりお奨めできない。浴読にはできるだけ軽い内容の短編小説やエッセーの方が望ましい。俺はかつてサルトルの『存在と無』やジャック・デリダの『ポスト構造主義と文明批評』、ミッシェル・フーコーの『知の考古学』といった本を風呂で読んできたが、内容を充分に理解できたとは言えない。もっともその時の俺はまだ小学2年生だったので仕方ないといえば仕方ないのだが。
また、本の大きさも問題となる点だ。ここはやはりハンディで片手で持てる文庫がベストであると言っておこう。
となると、浴読に適した本は次のようなものになる。
文春文庫の東海林さだおの食べ物エッセー
新潮文庫の星新一のショートショート
「アサヒ芸能」「週刊大衆」(駅前のサウナの場合)
東海林さだおも星新一も一度の浴読で何編か読める上に、ノボせる前にいつでも止められる利点もある。またどちらもBOOK-OFFの百円均一でよく見かけるものだし、一度読んだものであってもその内容はほとんど忘れているので、何度でも読み返しがきく点も浴読の対象とするのに適している。ただし駅前のサウナでは、サウナ内に週刊誌を持ち込むことは禁じられている店もあるので要注意だ。
残念ながら、浴読の素晴らしさを経験したことのある者はまだまだ少ない。私の手元にあるデータでは18歳以上の日本人の中で浴読の経験がある者はわずか9.3%(男性9.5%、女性9.1%)である。まだまだ開拓の余地のある分野だと思う次第である。
▼新刊。
山崎一夫・西原理恵子『たぬきランド(3)』(実業之日本社)
北村薫編『謎のギャラリー 謎の部屋』(新潮文庫)
同『謎のギャラリー 名作博本館』(新潮文庫)
松本人志『シネマ坊主』(日経BP社)
B・フリーマントル『待たれていた男(上・下)』(新潮文庫)
筒井康隆『愛のひだりがわ』(岩波書店)
井上トシユキ+神宮前.org『2ちゃんねる宣言』(文藝春秋社)
光デパート他『大嘘新聞』(新潮社)
ピーター・ラヴゼイ『死神の戯れ』(早川HM文庫)
キム・ニューマン『ドラキュラ崩御』(創元文庫)
筒井康隆の長編がまた読めるとは思わなんだ。北村薫編のアンソロジーは、単行本で買っていても、再度買わざるを得ないよね。
▼古本。
谷甲州『神々の座を超えて』(早川書房、1996、300円)
イーヴリン・ウォー『囁きの霊園』(早川ブラックユーモア選集2、S45函欠、200円)
古本運はどうやらドツボにはまってしまったらしい。決して古本屋を回っていないわけではないがホントに買うべき本に巡り会わない。
[228] 早くも今年三度目の古書市 2002-01-25 (Fri)【1月25日(金)】
▼またまた目録注文で一冊届く。しかもまたもやH・G・ウェルズだ。書名は『続・處女教室 被虐肛姦女学園』。違うってば。H・G・ウェルズは、さすがにそんなもんは書いていません。『地球国家2106年』(読売新聞社、S48、1,000円)である。
▼本日は新春古書市第三弾の開幕日なので、昼休み、会社を抜け出して覗きに行く。それにしても新年早々飽きずによく続けるもんだぜ。ま、三回とも行く俺も俺だが。
一階の百円均一には何も無し。二階に上がってまずディクスン・カー『青銅ランプの呪』(東京創元社ディクスン・カー作品集12、S33、300円)を見つける。四半世紀前なら大喜びしていた本なのだが、今じゃどうでもいいわ。せめて月報付きだったのが唯一の心の支えか。その横をひょいと見ると富田常雄『誰か夢なき』(増進堂、S23)が同じく300円で並んでいる。普段の俺ならばたとえ30円で売っていようとも富田常雄ごときには洟も引っかけないのだが、その時はどういう気の迷いかこの本を手に取ると、これが著者自筆献呈本。俺は要らないけど、富田常雄コレクターのよしだ まさしならば大声で泣きながら土下座してでも手に入れたい一冊であろう。
よしだ まさしを土下座させる目的だけで購入。
もう一冊、クルト・クーゼンベルク『瓶の中の世界』(国書刊行会文学の冒険、1991、1,000円)も買って本日は打ち止め。
▼月末近くになると欲しい新刊が徐々に出てくる。
リチャード・スターク『悪党パーカー/地獄の分け前』(早川HM文庫)、ジョー・R・ランズデイル『人にはススメられない仕事』(角川文庫)、ウィリアム・A・チャンドラ『カシミールから来た暗殺者』(角川文庫)といったところを買う。ランズデイルは待望久しいハップ&レナードもの。悪党パーカーとともに俺が珍しく邦訳全てに目を通しているシリーズだ。
「ミステリ・マガジン 3月号」(早川書房)と『SFマガジン 3月号』(同)も書店に並んでいたので買う。中味をパラパラと見ていてふと、「そういや先月のHMMとHSFって買ってたっけ?」と思ってこの日記の該当個所を読み返してみると、買うのをすっかり忘れていたようなので、ネットを通じて早川書房に直接注文を入れてみる。もともと備忘録のつもりで始めたこの「購書日記」が、初めて俺自身の役に立ってくれた瞬間だ。
▼パチンコで久々に大勝し、余り玉でたまにはCDでも取ろうかと思ったのだが、特に欲しいCDも見あたらない。人間、追いつめられると何をしでかすか分からないもので、よりによって松任谷由実のバラードベスト「sweet, bitter sweet」を手に取ってしまう。俺、松任谷由実なんかにちっとも良い思い出なぞ無いのになぁ。というよりもユーミンの曲をBGMにした俺の思い出って、むしろ思い出したくないような悪いものばっかしなのに・・・。
しかし、聴いてみるとこれが意外に心に沁みるのよ。特に荒井由実時代の曲は聴きながらついつい涙ぐんでしまうほどだ。歳か? 歳なのか? 今度は勇気を振り絞って、中島みゆきにも挑戦してみるかぁ?
こちらはちゃんと買った「America; A Tribute To Heroes」は全米同時テロ発生のわずか十日後に全世界で放映されたTVミュージックチャリティのCD化。豪華な出演者陣も含めて、このような緊急時のアメリカはやることがさすがにすごいね。このCDを俺が買った理由は、ポール・サイモンの「明日に架ける橋」が収録されているから。「明日に架ける橋」の別バージョンの入ったCDをいったいどれだけ持っているのやら?
[227] 『處女教室』 2002-01-23 (Wed)【1月23日(水)】
▼目録注文本がまた届く。書名は『處女教室』、大正14年刊、発行元は朝香屋書店である。まるで富士見ロマン文庫かフランス書院と見間違うような題名のこの本を、品行方正・謹厳実直・臥薪嘗胆・喧々囂々として知られるこの俺がどうして注文したのかといえば、この本の作者が科学小説の鼻祖にして泰斗であるH・G・ウエルズその人であったからだ。注文段階では内容は一切不明ながらも、何だかものすごそうではないか、H・G・ウエルズ著わすところの『處女教室』って。きっと透明人間になって女子寮に忍び込み乱暴狼藉・狂態痴態の限りを尽くしたり、地球征服を目的としたタコ型火星人とドクター・モローが手を組んでいたいけな女子学生の肉体を改造しまくるというような話に違いないんだぜ。ええ、そうに決まってるってば。できれば宇野鴻一郎文体で書いてあれば更に良いなぁ(←あり得ないけど)。
で、送られてきた本を眺めると、函入りの瀟洒な造りの本。外見からだけではまさか内容がそんなとんでもないことになってるとは誰にも想像がつかないよなぁ。訳者は中御門康親という名の、平安時代から連綿と続く高貴な血の流れを汲んでいるか若しくは陰陽師のどちらかではないかと思えるような御人。まず、そのお方の手になる前書きを読む。前書きを読む時点まで俺が危惧していたのが、この本がH・G・ウエルズという名前であっても同姓同名のまったくの別人によって書かれた本ではないかということであった。しかし前書きに書かれた作者の評伝を読むと、『世界戦争』や『時計物語』(←『タイム・マシン』か?)で知られるまごうかたなきH・G・ウエルズその人だったので、ほっと胸をなで下ろす。もしこれがまったくの別人で、おまけに中味は性教育書だったりしたら目もあてられんわい。
行頭いきなり、「吾が日本の若き女性の中に、ハバート・ヂョーヂ・ウエルス氏の名を未だに知らぬ人が、若し假りにも御座いますとしたならば、それは皆様にとって大なる恥辱でなければなりません」などとご大層なことが書かれている。「丁度その人気は、ヴアレンチノやナヴアロやバーセルメス等の映畫が、日本の若き女性に熱愛されるのと、その程度に於いては遙かに勝るとも、決して劣りません。それほど吾が愛する『ウエルス』の名は、世界の凡ゆる女性を悩殺せしめています」
の、悩殺・・・? 現代におけるH・G・ウェルズのイメージとはかなり異なる単語だが、そこはそれ、何と言ってもこの本は『處女教室』なんだしぃ。内容に対する期待は嫌も応もなく高まるばかりである。
読みはじめる。・・・ふむふむ、・・・・・・・・・・・・・・・こっ、これはすごい。伏せ字だらけだ。一気に読み終えて、軽く溜息をつく。この本を読んで頭に残ったことは、「便秘を解消するには、常に冷たい○○を飲むこと」と「健康な若い女性なら、髪の毛は少なくとも二週間に一度は洗わなくてはならない」の二点だな。
・・・って、未婚女性向けの性教育書じゃねぇぇかよぉぉ、これは(;_;)!
しかも、肝心の部分は伏せ字ばっかりでワケが分かんねぇしよぉ(;_;)! うっひゃあ、こんな本に3,000円も出しちまったよぉ(;_;)!!
それにしても、ウエルズが単にSF作家の枠を超えて一般小説はもとより、思想家として世界史大観や文化史関連などの書籍をものしていたのはもちろん知っていたが、まさか若い女性向けの性教育書まで書いているとはなぁ。何でもやる人だったんだなぁ。少しは仕事選べよなぁ(-_-;)。
ところで大矢博子、上記の便秘解消方法の○○に当てはまる単語が知りたければ、3,000円出せば教えてやるが、どだ(゚-゚)b?
▼新刊は菊地秀行『妖獣都市・雪洞鬼』(徳間NOVELS)、高山宏『殺す・集める・読む』(創元ライブラリ)、ジャック・オコネル『闇に閉ざされた言葉』(ソニーマガジン・ヴィレッジブックス)。処女作以降一冊も欠かさず買い続けている菊地秀行は、もう俺が買わなくとも作家として食べていけるんじゃないのか?
▼古本はBOOK-OFF中心で安物買いがほとんど。
ハモンド・イネス『報復の海』(西武タイム、1985、100円)
ゴードン・M・ウイリアムズ『わらの犬』(角川書店、S47、100円)
鮎川哲也『企画殺人』(集英社文庫、S52、100円)
ウイリアム・ハガード『殺し屋テレマン』(創元推理文庫、1963、100円)
井狩春男『ベストセラーの方程式』(ブロンズ新社、1990、100円)
A・M・ウェルマン『S・F・W』(太田出版、1992、100円)
小泉喜美子『コメディアン』(新評社、S52、1,200円)
デイヴィッド・ジェロルド『ムーンスター・オデッセイ』(サンリオSF文庫、1979、450円)
このうち間違いなくダブリ本は、『わらの犬』『企画殺人』『殺し屋テレマン』『コメディアン』の4冊。まぁ、我ながら我慢した方だよな?
[226] 茶木来名 2002-01-19 (Sat)【1月19日(土)】
▼茶木から「今度、19日に一泊の予定で名古屋に行くよ〜ん」と聞いたのはつい先週のことである。「何しに?」と尋ねると、名古屋の丸善でトーク&ディナーショーをやるからとの返事。トーク&ディナーショー? 何が哀しくて茶木の話を聞きながら飯を喰わなきゃならんのよ、・・・しかも書店で。まぁ、ちゃんと決まったら詳しく教えてくれ、その時には悪いようにはしないからと言ってその場は電話を切る。
それ以来、日時が迫ってきたというのに茶木からは何の連絡もないので、当方から電話をしてみることにする。電話に出た茶木の話は前回よりもえらくトーンダウンしている。「いや、トーク&ディナーショーじゃなくただのトークだった」 そうだろそうだろ。 「握手会もないみたいだ」 そうだろそうだろ、当然だわな。 「しかも俺一人じゃなくて、今度、世界に先駆けて日本でデヴューするアメリカ人新人作家のトーク&サイン会のお供だった」 つーことはただの前座か? 「いや、露払いとでも呼んで貰おうか」 同じ意味やん。 「しかも名古屋からその日のうちに京都まで移動しなきゃならなくなった」 おお、そうかそうか。でも、終わった後でちょっと飯でも喰う時間はあるだろ? 「ダメダメ。他のみんなとはぐれたら、一人で京都まで行けないもん」 三歳児か、おのれは。 「つーか、名古屋に行くかどうかもよく分からん。・・・と言うよりも、まず会えないと思う。いや、名古屋になんか行かない。中止だ中止。名古屋には何があっても行かないっ!」
ははぁん・・・、俺に会ったらどうせまた茶木はマヌケなことをするに決まってるから、それをまた俺の日記に書かれてしまうと感づいて警戒してやがるな。ふふんっ、こいつもようやく少しは学習したようだ。
▼夕刻になり、栄の丸善へと向かう。店に到着するが、普通ならばあってもおかしくないそれらしき店内告知が一切見あたらない。ホントに中止になったのかと思いかけた頃、男子トイレ脇に貼ってあるポスターを発見する。「『雨の牙』発売記念 バリー・アイスラー先生トーク&サイン会開催! 本日5時半より!」 その下に出来るだけ目立たないようにして「司会茶木則雄」と小さく書かれているのもそこはかとなく哀れを誘う。
会場は2Fのレジ脇である。始まるまでまだ時間があるので、売り場を廻って太田光『ザ・ロングインタビュー 人はなぜ笑うのか?』(扶桑社)、エリザベス・デイリイ『予期せぬ夜』(早川ポケミス)、エド・マクベイン『ドライビング・レッスン』(ソニーマガジンズ ヴィレッジブックス)、クリス・ライアン『孤立突破』(早川NV文庫)、マーク・ティムリン『黒く塗れ!』(講談社文庫)、マイケル・ナーヴァ『秘められた掟』(創元文庫)、「小松左京マガジン第2巻」(角川春樹事務所)、「別冊幻想文学・モダンホラースペシャル」(アトリエOCTA)、「2ちゃんねる大攻略マガジン」(芸文社)を購入。へぇ、「2ちゃんねる大攻略マガジン」なんて雑誌が出てたんだ。「小松左京マガジン」は、これでとりあえず手元に欠けているバックナンバーは無くなったはずだな。「鳥肌のブリティッシュ・ノワール!」と帯に惹句の書かれているマーク・ティムリンの『黒く塗れ!』は、一人称単数視点で書かれた警察管崩れのタフな私立探偵が主人公の、どこからどう見たってハードボイルド小説である。もしもこれを「ハードボイルド」と呼ばず「ノワール」と呼ぶとしたら、この四半世紀、俺が信じ続けてきたものはいったい何だったのか?
サイン欲しさにバリー・アイスラー『雨の牙』(ソニーマガジンズ ヴィレッジブックス)も購入。日本を舞台としたこの作品は、本国アメリカに先行して日本で最初に書籍化されたらしい。
いよいよ定刻となり、開始の時間である。しかし、いっこうに客が集まって来る気配がない。これで俺がレジの前に一人で並んでたりすると、このままでは茶木の話を顔をつき合わせて一対一で聞くことになりかねない。俺からこいつに教えることはまだまだ山のようにあるが、今更こいつに教えてもらうようなことは何一つとして無いぞ。仕方なくサイン会会場の見える店内の喫茶店へと待避することにする。
店内放送があり、いよいよトークショーが始まるようだ。茶木が登場して話し始める。茶木の前の観客は−−多少の数え間違いはあるかと思うが−−4人。あっ、一番前で指をくわえながら物珍しそうに茶木の顔を見ていた五歳くらいの男の子を入れたら、5人である。人口二百万余の大都会であるこの名古屋に於いて集客能力5人というのは如何なものか?
5分ほど茶木が一人で喋って場内をしんみりさせた後に(←しんみりさせてどうする)、いよいよ『雨の牙』の作者で本日の真打ちであるバリー・アイスラーが登場する。何を隠そう、この作家がすっごい二枚目なのだ。皆さんにも分かりやすい例えを使うとすれば、まるで「アメリカの未読王」とでもいうようなカッコイイ男なのである。しかもこの人、日本企業で弁護士をしていて、柔道は黒帯の腕前であり、なおかつインタビュアーの茶木よりもよほど流暢な日本語を操るのである。どこから湧いて出たのか、いきなり観衆の数が茶木一人の時の十倍くらいに膨れ上がる。しかも観衆の大半が、茶木の時にはカケラも見えなかった若い女性ばかりだ。みんな、バリーの話している時には、目をハート型にして聞き入っている。うん、茶木の時とはえらい違いである。
▼インタビューも終わり、プログラムはサイン会へと移る。俺も買った本にサインを貰って、その後は茶木と喫茶店でお茶。丸善側としても「茶木先生のサイン本も欲しい」と言う客が訪れて来るといった不測の事態に備えて、茶木の著書『帰りたくない!』(本の雑誌社)をサイン会用として何冊か手配していたようなのだが、もちろんそんな酔狂な客などいるはずもない。余談だが、今回のサイン会用として五冊注文した茶木の『帰りたくない!』なのだが、何故か版元から丸善に倍の十冊も送られてきたとの由。この機会に不良在庫処分か? 更に余談だが、茶木がその十冊に「何ならサイン入れときましょうか?」と言うと、丸善の店長は茶木に向かって、静かな口調で「そんなことされたら、返本できなくなります」ときっぱりと答える(笑)。
その後、本日中に次のイベント先に向かって事前にその街の知識を勉強しておこうと考える真面目なバリー・アイスラー氏と別れ、「おねーちゃんのいる店、おねーちゃんのいる店」と譫言のように呟く茶木を引き連れて名古屋の街を飲み歩くことに・・・。メンバーは、茶木に俺、ソニー・マガジンズの編集長S氏、そして丸善の店長と売場担当のI女史の5名。丸善の店長と茶木はどうやら旧知の仲らしい。
一軒目の店を出る頃になって、丸善のI女史から初めて「失礼ですが、あなたは誰?」と尋ねられる。それまではいったい何だと思われてたんだろ、俺は?
さすがに本名を名乗るわけにもいかないので「未読王と申します」と答えると、とたんに顔面からさっと血の気の退くI女史。俺を指さしながら、いきなり店長に向かって「店長〜っ! 大変です〜っ! こっ、こいつが未読王です〜っ!」と叫ぶ。「おおっ! こいつがかっ!?」と叫び返す店長。・・・え〜と、いったい俺が何をしたと言うんだよ。
二人が落ち着いた頃に委細を尋ねると、どうやら店長と俺はNiftyのチャットで何度か話したことがあったらしいのである。今回のイベントもI女史の友人が事前にNiftyの推理小説フォーラムに告知文をアップしていたらしく、前日も店長とI女史の間で「Niftyでこんな告知をしたら、もしかしたら未読王が店に来たりして・・・」「店長っ! 冗談でもそんな不吉なことは言わないで下さいっ!」というような会話が為されていたらしい(-_-;)。何はともあれ、世間は狭いのよ(-_-;)。
▼2軒目の店で茶木の新たな弱点を発見。その店には、今日初めて店に出たという触れ込みの金髪碧眼のウクライナ人女性がいたのだが、もちろんまだ日本語はほとんどおぼつかない。幸いこの俺は日常会話程度ならウクライナ語も喋れるので、件の女性は俺と茶木の間に割って座ってくる。で、俺と日本文化とウクライナ文化の相違や極東安全保障体制における日本とウクライナの果たすべき役割等の問題について英語も交えながら語り合ったのだが、その間、茶木は一度たりともこちらを見ない。その金髪外人娘と視線すら交わすことがないのだ。で、こいつとのつき合いが長い俺には一目瞭然なのだが、まるでタンヤオドラ1をダマテンでテンパッている時の茶木のように緊張して手が震え目が虚ろに泳いでいるのである。
ははぁん・・・。こいつ、もしかすると外人が怖いんだぁ。突然、噛みつかれるのではないかとでも思ってるんだろか?
二十歳で大学に入学するために上京するまで一度も外人を見たことがないという広島県の片田舎出身の茶木だから仕方がないといえば仕方ないのだが、だったら今日みたいな外人相手の仕事を受けるなよなっ!
その後、三時過ぎまで飲み続ける。帰宅3時半。
▼買った古本は、デイヴィッド・アーモンド『肩胛骨は翼のなごり』(東京創元社、2000、100円)、トム・ダーディス『バスター・キートン』(リブロポート、1987、1,250円)の2冊だけ。どちらもBOOK-OFFで購入。
[225] 古書市は続くよどこまでも 2002-01-13 (Sun)【1月13日(日)】
▼一月もまだ始まったばかりだというのに、名古屋では早くも今年2回目の古書市が開催されている。う〜む、もしかすると我々古本マニアは、正月早々、それほどまでに暇だとでも思われてるんだろか? いや、確かに他に特にやることも無いんだけど、何だかこちらの手の内まで読まれているようで実に心外である。・・・などと口の中で文句をつぶやきながら、仕方なく開催最終日となる本日、定例古書市の開かれている名古屋古書会館に嫌々駆けつける。
いつものように百円均一コーナーから順に見ていくが、案の定、何にも買うものが無い。しかし、こういう場合は「苦しい時の手塚治虫漫画全集」だ。たぶん持っていないような気がした手塚治虫『平原太平記』(講談社手塚治虫漫画全集38、1977、300円)、同『ふしぎ旅行記』(同59、1979、300円)の2冊を購入。それにしても、ダブリ買い防止のために手持ちの手塚治虫漫画全集をリスト化しておく程度の簡単なことがどうしてできんのだ、この俺は?
もう一冊、少し高いなと思いながら、ダルコ・スーヴェン編『遙かな世界果てしなき海』(早川海外SFノヴェルズ、S54、1,000円)も買ってしまう。ロシア/東欧SFってのは人気のない分、後々古書価も高くなる可能性もあるしな。
▼収穫のまるで無かった古書市を出て、新刊本屋巡り。
三谷幸喜『三谷幸喜のありふれた生活』(朝日新聞社)
開田あや・開田裕治『開田無法地帯』(マイクロデザイン)
うわ、2冊しか買う本が無いっ! あわてて近くの古本屋に駆け込み、新野新『笑いほど素敵な商売はない』(神戸新聞出版センター、S58、750円)、アガサ・クリスティ『さぁ、あなたの暮らしぶりを話して』(早川書房、1992、100円)、ジョン・サンドフォード『沈黙の獲物』(早川書房、1996、100円)の三冊を購入して、ほっと一息つく。サンドフォードの単行本も百円で見つけるたびについつい購入してしまうのだが、果たしてどれだけ家にダブッていることやら・・・。珍しい本ならばいざ知らず、このあたりのまるで珍しくない本ではダブリも二冊までならまだ許せるが、これが三冊四冊とダブるとなるとさすがに我慢の限界だな。「仏の顔もサンドフォードまで」と言うくらいだし。
▼ビデオは手持ちの買い置きビデオをぽつりぽつりと観ている状態。年始挨拶廻りの出張も多いし、なかなか古本屋通いもままならない日々が続くのだった。
そんな中で目録注文で送られてきたのは、木々高太郎『詩と暗号』(新太陽社、S22、2,000円)。注文した記憶が全くないが、美本だったので許す。