光の回折実験 〜光とは何か?〜(2007.01.03)


「光」と一口に言っても、色々な種類がある。
人間の目にモノを映す光から、目には見えないけれど温かいとか、目には見えないけれど細菌を殺すとか、目には見えないけれど、人が死ぬとか…色々。

意識せずに利用しているものでは、海外との通信やら、CD・DVDに記録されたコンテンツを楽しんだり、出血の少ない手術なんてのも、光(自然界には存在しにくい種類の光ではあるが。)の有用な用途の一つである。
勿論、生物が生存するためには、何らかの形で光が必要であったりもする。

そんなことで、大変お世話になっている「光」ではあるけれど、その実体について知る機会はなかなかない。
まぁ、場合によっては、「エライ何かが最初に「光あれ!」と作った」と聞かされることもあるかも知れないが、その性質については、あまり言及されることも無いだろう。

では、ということで、科学関連の読み物を紐解くと、
「アインシュタインは光量子仮説によってノーベル賞を受賞した。」
などと、突然ノーベル賞の世界の物理学に突入して、
「粒子と波の両方の性質を持つ」

なんていう説明を読まされたりする。

「粒子」というイメージは、なんとなくわかる。
「波」というイメージも、水を例とすれば、見ることができる。
しかし、光において、「波」といわれても、波打つ光が見えるわけでもなく、途端に理解を超えてしまい、概念の世界においやるしか無くなってしまう。

ようやく、今回の本題である。
光の「波」としての性質を確認できる実験がある。
これは、まず、「波」がどのように振舞うかを知らなければ理解できない。
予備実験の例を示すので、次に進む前に、必ず一度は確認して欲しい。


予備実験 〜 波の回折 〜

●準備するもの

・しゃもじ(画像にはありません)
・水を張った鍋
・発泡トレイ(牛乳パックでも可)。
 発泡トレイは、カッターで半分程度に切った上でスリットを入れる。
 スリットの幅は、5mm程度。広すぎると、観察が困難になる。




●実験手順
1、鍋に発泡トレイをセットする。




2、しゃもじにて、発泡トレイの向こう側から、手前に軽く波を発生させ、
  スリットを通り抜けた波の挙動を観察する。
  波が見えにくい場合は、鍋底の波の影の方が見やすい場合もある。





  *1:手前に現れた波を、発泡トレイと平行な断面で観察した場合、どのようになるか、想像を働かせておくこと。



<参考>
スリットを2本にすると、「波の干渉」の様子を観察する実験も可能。





この実験でわかることは、
・波は障害物の裏に回りこむ性質がある(回折する)
ということである。



ということは、光が「波の性質を持つ」ということは、同じように、光も回折するということが確認できれば良いということになる。

それでは、本題に入る。



本実験 〜 光の回折の観察 〜

●実験概要
予備実験と同様に、光を細いスリットに通し、予備実験 *1 の断面における波と同様のパターンが現れることを確認する。

●準備するもの
・レーザーポインタ
 実験には、「コヒーレント」な光が必要となる。
 これは、波長と方向が一定である光であり、自然界には存在しにくい。
 今では、ホームセンターなどで、1000円以下で入手が可能。
 (今回は、家電量販店にて、2200円にて入手)

 レーザー光は、決して目で直接見ないこと!
 反射光にも十分注意をすること!


・光を通さず、厚さの極めて薄い板2枚
 光を通すスリットの材料として使用。
 今回は、デザインナイフの刃を2枚使用。
 普通のカッターナイフの刃でも問題無いと考えられる。
 わざわざ購入するほどのものでも無いので、身近にあるものを。

・ボール紙
 スリットの保持・光のスクリーンとして使用。

下図に、装置の概要を示す。


手前から、レーザーポインタ・スリット・スクリーン。

スリットは、カッターの刃2枚の間に、コピー用紙1枚分程度の隙間を空けて、
ボール紙に固定する。
隙間を上手に作ることが難しい場合は、鋏の刃のように、一部をクロスさせ、序々に隙間が広くなるようにし、実験を行う際に、一番「いい位置」を探るのも一つの方法かも?


●実験方法
手前から、スリットを経て、奥のスクリーンにレーザー光が投射されるように、レーザー光を当てる。
スリットから、スクリーンの距離は、15cm程度が良いと思われるが、スリットの幅にも左右されると思われるため、10cm程度から観察をはじめて、様子を見ながら距離を調整すると良い。


●実験結果の例(暗くするとよく見えます)



中心が明るいのは、スリットの中心を通った光。
そして、その左右に縞が見えるのは、光が波の性質によって、回折を起こし、同心円状の波として、スクリーンに当たった時の断面と考えられる。
光源そのものに疑問を持たれる場合には、光源はそのまま、スリットを90度傾けてみると良い。

このパターンを見た瞬間は、感動である。
天体望遠鏡で、初めて月のクレーターをはっきり見た時とか、それと同等の喜びを感じられる。
目の前の小宇宙。

これによって、光の波としての性質を確認することができた。
是非ともこの実験を追試して、自然法則の美しさを体感していただきたい。






*本文中の誤りがあれば、ご指摘願います。







実験 トップへ戻る