田沢・八幡平の高山植物


コマクサ 自然保護第5集(1978) 秋田田沢湖初日記念印押ミヤマウスユキソウ 高山植物第1集(1984)シナノキンバイ 高山植物第2集(1984)ミヤマリンドウ 高山植物第5集(1985)

 十和田八幡平国立公園の中にある秋田駒ヶ岳と乳頭山は,奥羽山脈の一角をなし,秋田と岩手の県境に連なる山々で,一帯は”花の山”と言われております。北アルプスならば3,000メートル級の山に登らなければ見られない高山植物が,登山道のすぐそばに次々と現れて飽きさせない山−それが秋田駒ヶ岳一帯です。
 標高1700メートルに満たないこの山がなぜ”高山植物の宝庫”と言われるのでしょうか。それは,北緯40度ラインのすぐそばで,地元で”生保内東風(おぼないだし)”と呼ばれるオホーツクから来る冷涼な風(ヤマセ)とが相まって高山植物の楽園を作り上げているのです。高山植物の種類も多く,田沢湖町観光協会編「花の山,秋田駒ヶ岳・乳頭を歩く」には,代表的なもの108種,工藤茂美著「秋田駒ヶ岳花の旅」には204種,山田隆雄著「秋田駒ヶ岳花紀行」には写真300葉が収録されております。
 この豊富な高山植物から,いままでに上の4種が郵便切手に採用され,田沢湖局が初日指定局になりました。
「コマクサ」(駒草) ケシ科
 薄紅色の花が6〜8月に咲く。秋田駒ヶ岳を代表する花で,”秋田駒の駒草”と駒が2つ重なるためか全国的に有名である。つぼみが馬の横顔に似ていることからこの名がある。高さ5〜10センチメートルほどの多年草で,北海道と本州中部以北の高山帯の砂礫地に生える。東北では岩手山と蔵王山,それに秋田駒ヶ岳だけでみられる。
 日本最大級のコマクサ群生地といわれる大焼砂と焼森はどちらも黒褐色の火山礫に覆われ,絶えず吹く風によって砂礫が移動しているような,植物の生育環境としては劣悪な条件の地である。この地にしっかり根を張って,1本の花茎に咲いた数個の花は人の魂を揺さぶる。だからこそコマクサの孤高は保たれ,見るものに感動を与える。まれに,白色のシロバナコマクサを見ることもできる。
「ミヤマウスユキソウ」(深山薄雪草) キク科
 花の時期は7〜8月で,白い花を付ける。東北地方の秋田駒ヶ岳,月山,朝日山地,飯豊産地などの山頂付近の乾いた草地に特産する多年草。ハヤチネウスユキソウと同じくエーデルワイスに近縁で,女性に人気がある。全体に灰白色綿毛に覆われ,大群生をつくる。この花は女目岳の登山道からも見られるが,横岳が一番多い。高さは5〜15センチメートル。別名をヒナウスユキソウという。
「シナノキンバイ」(信濃金梅) キンポウゲ科
 7〜9月に咲き,花の色は黄色。本州中部以北,北海道および朝鮮半島北部の高山から亜高山帯の,湿潤で日当たりのよい草地に生える。その名の通り,信濃地方(長野県)に多産する。高さ20〜80センチメートルで,大型の黄金色の美花を開くが,花びらのように見えるのは,実はがくで,その内側にあるのが花弁。この地方では,八幡平に生えている。秋田駒ヶ岳にはバラ科のミヤマキンバイは自生しているが,シナノキンバイはみられない。八幡平に生えていることの確認は,飯塚象八会員に調べていただきました。
「ミヤマリンドウ」(深山竜胆) リンドウ科
 花の時期は7〜8月で,濃い紫色の花。北海道と本州中部以北(おもに日本海側)の高山帯の草地に生える高さ10〜15センチメートルの多年草。濃い紫色が気品と強い生命力を感じさせる。正五角形の花は微妙な安定感を出している。お花畑に星が降ったように咲き,小型であるが美しいので歩道からよく目につく。花の色が薄いものをウスイロミヤマリンドウといい,白色種をシロバナミヤマリンドウという。

文:樋口清作



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